プロジェクトにおける工数比率とは
プロジェクトにおける工数比率とは、進捗管理・品質管理・変更管理・障害管理などの工数の比率です。工数比率は、管理工数を比率で考える手法です。どの工程にどのくらいの工数を割り当てるのかを考えることで、見通しを立てます。
プロジェクトを成功させるには、適切な見積もりが欠かせません。これをおろそかにすると、思わぬところで時間や手間がかかります。その結果、納期に間に合わない、品質が下がるといった問題が生じるでしょう。そのため、プロジェクト開始前に必要な管理工数を洗い出し、全体工数に対して適切な比率で見積もることが重要です。
管理工数の工数比率の目安
プロジェクトにおける管理工数は、一般的に全体工数の1~2割程度を目安に考えられます。例えば、全体工数が100人日のプロジェクトであれば、進捗管理や品質管理、変更管理、障害管理などに10~20人日程度の工数を見込むイメージです。
ただし、必要な管理工数はプロジェクトの規模や内容によって異なります。関係者が多いプロジェクトや、仕様変更が発生しやすいプロジェクト、品質要件が厳しいプロジェクトでは、会議・レビュー・調整作業などが増えるため、管理工数の比率も高くなりやすいでしょう。
一方で、過去に類似プロジェクトの実績があり、作業内容や役割分担が明確な場合は、比較的少ない管理工数で進行できることもあります。そのため、1~2割という目安だけで判断せず、プロジェクトごとの特性を踏まえて、必要な管理作業を洗い出すことが重要です。
管理工数が不足すると起こる問題
管理工数が不足すると、プロジェクト全体の状況を正確に把握しにくくなります。進捗確認や課題管理、レビュー、関係者との調整などが不十分になり、納期遅延や品質低下、コスト超過につながるおそれがあります。
進捗遅延に気づきにくくなる
進捗管理に十分な工数を割けないと、各タスクの遅れや担当者の負荷状況を把握しにくくなります。その結果、問題の発見が遅れ、納期直前になって大幅な遅延が明らかになるケースもあります。
品質低下や手戻りが発生しやすくなる
レビューや品質確認の時間が不足すると、仕様漏れや認識違い、不具合を見落としやすくなります。後工程で問題が発覚した場合、修正作業や再確認が必要となり、結果的に全体の工数が増える可能性があります。
仕様変更や障害への対応が遅れる
変更管理や障害管理に十分な時間を確保できていないと、仕様変更の影響範囲や障害の原因を整理するのに時間がかかります。対応方針の決定が遅れることで、現場の作業が止まったり、関係者間で認識のずれが生じたりするでしょう。
コスト超過につながる
管理工数を少なく見積もりすぎると、後から追加の会議や調整、修正作業が発生しやすくなります。想定外の対応が増えることで、当初の予算やスケジュールを超過するリスクが高まります。
工数比率の見積もり方
プロジェクトの管理工数は、全体工数の1~2割程度が割り当てられますが、ユーザー企業に対して、なぜ1~2割程度の工数を要するのか、管理工数の根拠を具体的に提示することでより納得が得られます。ここでは、具体的に工数比率の見積もり方について、解説します。
管理工数の作業項目を洗い出す
管理工数を見積もる際は、まず管理業務に含まれる作業項目を洗い出しましょう。管理工数には、進捗管理や品質管理、変更管理、障害管理などが含まれます。作業項目を整理することで、必要な工数を具体的に算出しやすくなります。
- ■進捗管理
- WBS作成、報告書作成、ミーティング
- ■品質管理
- 有識者によるレビュー、不具合の管理
- ■変更管理
- 仕様変更に関する会議
- ■障害管理
- 障害の集計、改修計画
このように細分化することで、どのくらいの工数が必要になるのか分かりやすくなります。
作業にかかる工数を具体的に算出する
管理作業項目を洗い出したら、それぞれの工数を具体的に算出しましょう。
例えば、進捗管理のミーティングでは、何名参加で何時間のミーティングが週何日、1ヵ月でどれだけの時間と人手が必要か、具体的に数値を算出します。管理作業に必要な工数を具体化することで、工数の根拠を提示することができるでしょう。
対象作業に対して工数を割合で算出する
工数見積もりにおいては、「テスト工数」「管理工数」などは、工数見積もりの根拠を提示することが特に難しいため、「工数割合」という考え方が用いられます。ここではV字モデルのテスト工数を想定して、見積もり方の例を見ていきましょう。V字モデルとは、開発工程とテスト工程の関係を図示したものです。以下のように開発とテストを対応させます。
- ●要求分析→受け入れテスト
- ●要件定義→システムテスト
- ●基本設計→結合テスト
- ●詳細設計→単体テスト
- ●コーディング→コードレビュー
開発工程は上から、その後のテスト工程は下から(V字型に)進めていきます。テスト工数の見積もりでは、どの工程を対象とするか、また対象の工程に対する工数割合を見極める必要があります。
このモデルを参考にすると、「要求分析」に対して「受入テスト」、「基本設計」に対して「結合テスト」というように、各テスト工程に対して対象が明確化され、どのテスト工程にどのくらいの工数がかかりそうなのか、想定しやすくなるでしょう。たとえば、「各テスト工程は対象開発工程の4割の工数を割り当てる」と決めれば、それぞれの工数を算出できます。
ただし、管理工数はテスト工数のように作業対象が明確ではありません。そのため、V字モデルも万能ではなく、考え方の1つとして認識しておきましょう。
管理工数の計算例
管理工数は、作業ごとに「参加人数×作業時間×実施回数」で算出できます。会議やレビュー、報告書作成などの作業を項目ごとに分けて計算すると、必要な工数を具体的に把握しやすくなります。
例えば、週1回の進捗会議を4名で1時間実施し、1か月に4回行う場合、必要な工数は以下のとおりです。
4名 × 1時間 × 4回 = 16時間
1人日を8時間とすると、進捗会議だけで月2人日の管理工数が必要です。さらに、会議資料の作成や議事録作成、課題の整理などに毎回1時間かかる場合は、追加で4時間、つまり0.5人日分の工数が発生します。
この場合、進捗会議に関連する管理工数は、合計で月2.5人日となります。ほかにも、品質レビューや仕様変更の調整、障害対応などの作業を同じように積み上げることで、プロジェクト全体に必要な管理工数を算出できます。
なお、管理工数を見積もる際は、会議時間だけでなく、事前準備や資料作成、関係者への共有、課題の確認といった付随作業も含めて考えることが大切です。見えにくい作業まで含めることで、実態に近い工数を見積もりやすくなります。
プロジェクトの工数管理を円滑に行う方法
プロジェクトの工数管理を円滑に行うには、ツールを活用した以下のような方法があげられます。
プロジェクト管理ツールを導入する
プロジェクト管理ツールを導入することで、管理が円滑になります。プロジェクト管理ツールは、以下のような情報をもとに見積もりを立てる機能が備わっています。
- ●要員計画
- ●機能内訳
- ●工数入力
一度上手くいった見積もり方法を記録しておけば、同じようなプロジェクトの際に活用できます。それがノウハウとして蓄積され、より精度の高い見積もりが実現するでしょう。
そのほか、作業工数のグラフ化やレポート出力など、工数を管理するうえで便利な機能を多数備えています。このようなプロジェクト管理ツールを利用することで、適切に工数管理ができるようになるでしょう。
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プロジェクト管理ツールを現場で使用する
プロジェクト管理ツールを現場の従業員が使用することで自然と工数管理に意識が向くようになります。それまでは報告のために仕方なくデータを集めていた人も、自分に関わることとして積極的に行動できるようになるでしょう。結果として、正確なデータが集まり、見積もりの精度が向上するでしょう。
おすすめのプロジェクト管理ツールについては以下の記事で解説しています。
管理ツールを導入してプロジェクトを円滑に進めよう
プロジェクトにおける工数比率とは、管理工数を割合で考える手法です。全体の何割をどの工程に割くのか、という視点で必要工数を見積もります。
見積もり方には、V字モデルなどの考え方があります。とはいえケースバイケースな部分も大きいので、ノウハウを積み重ねることが大切です。そのためにプロジェクト管理ツールを導入し、円滑な管理を目指してください。




