要員管理とは
要員管理とは、具体的に何をすることなのかを説明します。
要員全体の状況を把握する
要員管理では、要員全体の状況を把握します。
要員管理とは、企業がプロジェクトを行う際に適切な人材配置を実現するための方法です。したがって、採用や配置、能力開発、異動などを含む、あらゆる場面における人員を把握する必要があります。他部門のプロジェクトも含め、企業内の人材を俯瞰的に把握しましょう。
要員のスキルを把握する
各要員がどのようなスキルを保有しているのかを把握します。
スキルの評価はプロジェクトマネージャーの役割です。プロジェクトが進行する中で、誰がどのようなスキルを獲得したのか把握しておく必要があります。そして、プロジェクトが完了した段階で、その要員がスキルを獲得したことを記録しておきます。
PMBOKに基づく要員管理の4つのプロセス
プロジェクトマネジメント知識体系であるPMBOKに基づく、要員管理の4つのプロセスを解説します。
1:人的資源マネジメント計画
人的資源マネジメント計画書を作成しましょう。以下のような内容を記載します。
- ■プロジェクトメンバーの調達方法・調達時期
- ■責任範囲
- ■要員マネジメント計画
必要な要員数はタイムマネジメントの計画をもとに見積もられます。その人数を調達する方法と時期を具体的に決めておきましょう。また、要員の責任範囲を明確にしておきましょう。
RACIチャートなどのツールを利用するのも有効です。責任範囲を決めることで、情報連携におけるミスの発生を防止できます。要員マネジメント計画書には、以下の8項目を記入します。
- 要員調達
- 調達先、コスト
- 資源カレンダー
- 作業期間、調達時期
- 要員ヒストグラム
- 作業時間、要員数などのヒストグラム
- 要員離任計画
- 離任方法、時期
- 表彰と報酬
- 表彰方法、基準
- 訓練の必要性
- スキル強化計画
- 法令遵守
- 遵守すべき法とその運用
- 安全
- 安全と健康を考慮した方針
2:プロジェクト・チーム編成
作成した人的資源マネジメント計画書をもとに、実際にメンバーを調達し、チームを編成しましょう。プロジェクトに必要なスキルを持つ要員を調達する方法は、以下のとおりです。
- ■先行任命
- ■他マネージャーとの交渉
- ■外部からの調達
- ■バーチャルチーム
バーチャルチームとは、遠隔地からプロジェクトに参加するメンバーのことです。メールや電話、チャットなどのツールを介したコミュニケーションでプロジェクトに参加します。
調達後、要員の情報を資源カレンダーにまとめましょう。いつ、誰がどのくらいプロジェクトに参加できるのかを記載します。
3:プロジェクト・チーム育成
プロジェクトのチームを育成しましょう。短い期間のプロジェクトで質の高い成果を上げるには、トレーニングを課して要員のスキルやチームワークを向上させる必要があります。タックマンモデルでは、チームは以下の5段階を経て成長します。
- 形成期
- メンバー各々が現状や目的を把握しようとする
- 混乱期
- メンバーが意見を発し、対立が生じる
- 統一期
- 役割が明確になり、信頼関係も生まれる
- 機能期
- チームワークを発揮し、パフォーマンスが向上する
- 散会期
- 目的を達成し、メンバーが離任する
チームがどの段階にあるのかを把握し、報酬や表彰の設定などを通してチームワークを強化することが大切です。
4:プロジェクト・チームマネジメント
プロジェクト・チームマネジメントとは、チームのパフォーマンスを見ながら課題を発見し、それを解決することです。
実績報告書などを通じて、チーム内に問題が発生していないか監視しましょう。成熟していないチームでは、コンフリクト(衝突)が生じることも珍しくありません。それを解決するために必要なのが、コンフリクトマネジメントです。
個人間の問題ではなく、チームの課題と認識し、解決を目指しましょう。コンフリクトの解決方法には以下のような例があります。
- 強制
- 自分の観点を押し通す
- 撤退
- 問題を先送りにする
- 鎮静
- 同意できる意見を強調する
- 妥協
- 当事者が妥協できる案を提示する
- 協力
- 異なる意見を取り込む
- 問題解決
- 当事者が問題解決に取り組む
あまりプライベートなことに踏み込まない程度に、コンフリクトを調停することが大切です。

プロジェクト管理における要員管理の方法
プロジェクト管理における要員管理方法を2つ紹介します。
Excelで管理
Excelで要員管理できます。以下の3項目を記入しましょう。
- ■見積もり工数
- ■現状の人数と必要人数の差
- ■求められる能力(技術や役職、部署など)
データを入力して過不足を明確にし、必要な要員を調達しましょう。Excelにはフィルタ機能があるため、データが膨大になっても困りません。また、Excelではガントチャートを作成できます。行にタスクや担当者、列に日付をとり、進捗度はセルに色を塗って表現します。
無料のテンプレートも豊富に出回っているため、それを利用してもよいでしょう。
ツールで管理
ツールで管理する方法もあります。Excelではファイルの共有が難しい、誰が更新したのか分かりにくいといった欠点があります。
一方、プロジェクト管理用のツールであればスムーズに要員管理できます。リアルタイムでの確認や計画変更時の編集も簡単なため、メンバーはプロジェクトに集中できるでしょう。
無料のツールもありますが、機能や利便性に乏しい傾向にあります。また、多人数の利用にはあまり適していない場合もあります。そのため、使い勝手を求める場合は、有料製品の導入を検討したほうがよいでしょう。
適切な要因管理でプロジェクトを成功させましょう
要員管理とは、要員の状況やスキルを把握し、プロジェクト成功へと導くことです。PMBOKでは、要員管理は以下の4ステップに分類されます。
- ■人的資源マネジメント計画
- ■チーム編成
- ■チーム育成
- ■チームマネジメント
要員管理には以下の方法があります。
- ■Excel
- ■専用ツール
ぜひ、適切な要員管理を実施し、プロジェクトを成功させてください。
