
ステークホルダーマネジメントとは
では、ステークホルダーマネジメントとはどのようなものか見ていきましょう。
利害関係者全員を管理すること
ステークホルダーマネジメントとは、プロジェクトのステークホルダー全員を管理することです。ステークホルダーとは「利害関係者」という意味で、プロジェクトの意思決定や成果に大きな影響を受ける対象を指します。
このステークホルダーは企業によって定義が異なるため注意が必要です。例えば、社内プロジェクトであればメンバー以外に、プロジェクトを設定した経営層も含まれます。社外からプロジェクトを発注した人もステークホルダーに該当するでしょう。
ステークホルダーの中にはプロジェクトに否定的な意見を持つ人もいます。そのため、ステークホルダーマネジメントは、ステークホルダーと関わりを持ちプロジェクトを円滑に進めることが役割です。
利害関係者と良好な関係を築くことが目的
ステークホルダーマネジメントで重要なのは、利害関係者全員を管理し良好な関係を築くことです。
例えば、メンバー間の関係を良好にして順調にプロジェクトを進めていても、決定権を持つ者が突然仕様変更を言い出せば遅れてしまいます。普段からコミュニケーションを密に取っていれば、突然の変更なども事前に把握できるでしょう。
また、お互いに良好な関係を築くことで、情報共有もしやすくなります。
協力者を増やすことができる
ステークホルダーマネジメントが適切に機能していれば、プロジェクトの協力者を増やすことができます。
プロジェクトマネージャーが積極的にステークホルダーと良好な関係を築くことで、協力してくれる人が増えるでしょう。コミュニケーションを取ると、反対する人が減り、協力してくれる場合もあります。
PMBOKにおけるステークホルダーマネジメントの方法
では、ステークホルダーマネジメントの方法である4つのステップを具体的に見ていきましょう。
1:ステークホルダー特定
ステークホルダーマネジメントでは、まず誰がステークホルダーなのかを特定します。影響を与える人や組織をリストアップし、利害関係の大きさや影響度や関与している度合いを整理するステップです。
基本的にはプロジェクトの関係書類からステークホルダーを洗い出し、役割や影響度などの関連情報を特定します。こうすると、誰とコミュニケーションを取れば良いか明確になるでしょう。
2:ステークホルダー・マネジメント計画
ステークホルダー・マネジメント計画とは、ステークホルダーにプロジェクトへ関与してもらう戦略のことです。影響度や重要度に合わせて、コミュニケーションを取るタイミングなどを決めていきます。
このときにステークホルダーの権力と関心度によってマトリクスを作成し分析することがおすすめです。
例えば、ステークホルダーとミーティングを行う日程などを計画すると良いでしょう。戦略的に計画を立てることで、適切に情報共有を行ってプロジェクトを円滑に進めることができます。3:ステークホルダー・エンゲージメント・マネジメント
ステークホルダーマネジメントで重要なのは、実際にコミュニケーションを取り、ステークホルダーの期待を満足させることです。
マネジメント計画に沿ってステークホルダーとやり取りを行い、プロジェクトへの関与を強化します。計画や戦略をもとにステークホルダーを管理しましょう。計画に変更が発生した場合は、その都度ログを作成します。
4:ステークホルダー・エンゲージメント・コントロール
ステークホルダーとの関係はプロジェクトの進行具合によって変わるため、その都度調整する必要があります。
ステークホルダーを監視し、マネジメント計画や戦略を見直すなど最適化を行います。適切にコントロールするためにも、プロジェクトの進捗を正確に把握しなければなりません。
ステークホルダーマネジメントのコツとは
ステークホルダーマネジメントのコツは、人間関係構築スキルを磨くことです。具体的には、プロジェクトを円滑に進めるための交渉能力などを身につけましょう。
戦略的にコミュニケーションを進めることは重要ですが、日頃からステークホルダーと関わる姿勢の方が重要になります。プロジェクトについてだけでなく、相手の立場や考えを理解する関わり方をしなければなりません。
また、上手くいかないときは上司に出てきてもらうことも1つの手段です。プロジェクトの方向性を敏感に察知し修正する力が求められます。
ステークホルダーマネジメントでは、交渉や調整を行いやすいように良好な関係を築く必要があるでしょう。そして、ステークホルダーと一緒に隠れた要求事項を明確にしていかなければなりません。
ステークホルダーマネジメントでプロジェクトを円滑に!
ステークホルダーマネジメントは、プロジェクトが成功するかどうかに大きく関係します。適切な計画・戦略を立て、円滑に進むように調整しましょう。以下のPMBOKのステップも参考にしてみてください。
- ■特定
- ■計画
- ■ステークホルダー管理
- ■最適化
また、良好な関係を築くためにも交渉術など対人能力を磨く必要があります。ステークホルダーマネジメントを適切に行い、プロジェクト管理を円滑に進めましょう。
