動画配信におけるCDNとは
CDN(Content Delivery Network)は、画像や動画などの大容量コンテンツを高速かつ安定して配信するためのネットワークの仕組みです。
特に動画配信では、大容量のデータを継続的に配信するため、アクセスが集中するとサーバへの負荷が大きくなり、動画の読み込み遅延や再生停止が発生することがあります。CDNを活用すれば、複数のエッジサーバにアクセスを分散できるため、オリジンサーバの負荷を軽減し、安定した動画配信を実現できます。
CDNの仕組み
CDNは、オリジンサーバ(コンテンツの元データを保存しているサーバ)とエッジサーバを連携させることで、効率的にコンテンツを配信する仕組みです。エッジサーバとは、ユーザーに近い場所に配置されたサーバのことで、オリジンサーバのデータをキャッシュ(コピー)して配信します。
ユーザーがWebサイトへアクセスすると、CDNはユーザーの位置情報などをもとに最も近いエッジサーバからコンテンツを配信します。これにより通信距離が短くなり、ページの表示速度が向上します。
また、アクセスが集中した場合でも複数のエッジサーバがリクエストを分散して処理するため、オリジンサーバへの負荷を軽減しながら安定したコンテンツ配信を実現できます。
CDNの主な役割
CDNの主な役割は、エッジサーバを活用してコンテンツ配信の負荷を分散し、安定した配信を実現することです。エッジとは「端」や「末端」を意味し、エッジサーバはユーザーに近い場所に配置され、コンテンツを配信するサーバを指します。
これらのサーバが配信負荷を分散して担うことで、自社のオリジンサーバの負担を軽減できます。
例えば、自社のサーバで大規模な動画を配信する場合、そのサーバには高い負荷がかかります。そこでエッジサーバにオリジンサーバのデータをコピーしておくことで、エッジサーバが分身のような役割を果たし、配信負荷を分散します。
自社で多数のサーバを保有して対応することも可能ですが、必要なときにCDNサービスを利用した方がコスト面で効率的な場合も多いでしょう。
動画配信でCDNを活用するメリット
動画配信にCDNを活用すると、配信の安定性やセキュリティ性、SEO対策の面でさまざまなメリットが得られます。以下で詳しく解説します。
安定した動画配信を実現できる
容量の大きいコンテンツを配信すると、サーバに大きな負荷がかかります。動画の場合は、映像の遅延や停滞が発生し、ユーザーの満足度低下につながりかねません。
しかし、CDNを利用すれば、そのリスクを抑えられます。なぜなら、CDNは複数のエッジサーバを活用してアクセスを分散し、オリジンサーバの負荷を軽減できるからです。
特に、共有型のインターネットを利用している企業にとってCDNのメリットは大きいでしょう。共有型とは、他社と一つの回線を共有する形態であり、安価な代わりに回線が混雑しやすいのが難点です。CDNを用いれば複数のサーバとネットワークを利用できるため、共有型回線を利用していても円滑な通信が実現します。
セキュリティの向上を期待できる
サーバに大量の負荷を与えることで、サーバダウンを引き起こすサイバー攻撃を、DDoS攻撃といいます。Webサイトやサービスが一時的に利用できなくなるため、企業にとって機会損失につながります。今後、IoT機器の普及に伴い増加すると考えられており、対策必須の脅威といえるでしょう。
CDNは、このDDoS攻撃への対策として有効です。DDoS攻撃によって与えられた負荷を、エッジサーバで分散できるからです。一つのサーバに負担が集中せずに済み、サーバダウンに追い込まれるリスクが小さくなります。
SEO対策ができ売上向上が期待できる
SEO対策の重要な要素の一つとして、表示速度が挙げられます。表示速度が遅い場合、ユーザーの離脱率が上がり、サイト全体のパフォーマンスも低下するでしょう。CDNの活用によりサイトスピードを改善できれば、ユーザーはサイト内をスムーズに回遊できるため、CV率や売上向上が期待できます。また、表示速度はGoogleの検索順位アルゴリズムの一つであるため、CDNによって改善されることで順位向上の効果もあるでしょう。
CDNサービスだけでなく、動画配信システムについても興味のある方は以下より製品の資料請求が可能です。
動画配信でCDNサービスを活用するデメリット・注意点
CDNサービスを利用して動画を配信する際、コンテンツの更新時間やシステム障害、アクセスログの取得などに留意する必要があります。詳しく見ていきましょう。
動画コンテンツの更新に時間がかかることがある
エッジサーバには、オリジンサーバの動画データをコピーして利用します。そのため、オリジンサーバ側で動画を更新しても、エッジサーバのキャッシュには同時に反映されません。
特に、大規模なCDNを利用している場合、すべてのエッジサーバで更新されるには時間がかかります。更新中にユーザーがアクセスしてきた場合、古い動画が途中で新しいものに切り替わるなど、不適切な見え方になるケースがあります。
そこで重要なのが、キャッシュの更新が速やかなサービスを選ぶことです。サービスによっては、すべてのキャッシュを更新するのに数分かかり遅い場合があります。できれば1秒以内に更新できるサービスを選定しましょう。
システム障害の要因が増える
CDNを利用してコンテンツを配信する場合、CDNに障害が起こると、当然動画視聴に支障をきたします。つまり、CDNを利用すると、動画配信における障害発生のリスク要因が増える可能性があります。
万が一障害が発生したときのことを考え、マニュアルなどを準備しておくとよいでしょう。また、事業者が障害に備えて可用性を高めているか、サービス選定時に確認しましょう。
アクセスログを取得できないケースがある
CDNを利用した動画配信では、エンドユーザーからのアクセスをCDN経由で処理するため、オリジンサーバ側だけではエンドユーザーのアクセス情報を十分に取得できない場合があります。そのため、詳細なアクセス状況を確認するには、CDN側に蓄積されたログの取得が必要になることがあります。
CDN内のログが提供可能かどうかは、事業者によって異なります。ログの提供が有料(または無料)の場合もあるため、CDN製品を選定する際に問い合わせてみましょう。
CDNの料金体系・費用相場
CDNには、従量料金、コミット料金、定額料金の3種類の料金体系があります。以下で詳しく見ていきましょう。また、具体的な費用例も紹介しています。
従量料金
従量料金タイプは、1GBあたりのデータ転送量における費用を設定し、その月の使用量に応じて課金する形式です。課金対象として、エンドユーザーへのデータ転送量やCDNとオリジンサーバ間のデータ転送量、リクエスト数や配信するサイト数などがあります。これらすべてを課金対象とするか一部のみを対象とするかは、事業者によって異なるため、製品選定時に詳細を問い合わせてみるとよいでしょう。
従量料金型は、使用した分のみの支払いで済む点がメリットであり、月々100PV程度までは月額数千円~数万円程度で利用できる場合もあります。しかし、アクセス数が増えた場合は高額になる可能性があり、毎月の請求額が安定しないのがデメリットでしょう。
コミット料金
コミット料金は、毎月一定のデータ転送量までは固定の月額料金を支払い、上限に達した分を従量料金で支払うプランです。毎月の配信ボリュームが決まっている場合は、月額料金を一定に保てます。また、データ量あたりの単価は多くの場合従量料金より安く設定されているのもメリットです。
しかし、コミット料金タイプの相場は月々数万円からですが、中には10万円を超える場合もあり、安定したアクセス数が得られなければ、コストパフォーマンスがよいとはいえません。自社に最適な料金プランを選択するためには、製品導入前にデータ転送量を算出する必要があるでしょう。
定額料金
使用したデータ量にかかわらず、毎月決まった金額を支払うプランです。オリジンサーバとCDN間のデータ転送量やリクエスト数による課金はなく、HTTPS配信に関しても基本料金に含まれる場合があります。
定額料金プランは、アクセス数やダウンロード数を考慮せずに安定したサイト運営が可能です。一定のアクセス数が担保されている場合は活用しやすいでしょう。また予算が立てやすいのもメリットの一つです。
しかし、今現在CDNの完全定額料金プランを提供している事業者は少なく、月額定額料金+従量課金のコミット形式を採用しているケースが多い傾向にあります。
CDNを利用した際の費用例
ここで、CDNの費用例を算出してみましょう。まず、アクセス解析ツールを活用し、PV数(Webサイト閲覧者数)とWebサイトの容量から、おおよそのデータ量を割り出します。また、月々10TBまで、1GBあたり15円の従量料金制プランを提供するCDNを利用すると仮定します。
- ■データ量=PV数(Webサイト閲覧者数)✕ Webサイトの容量
- 月のPV数(Webサイト閲覧者数):1,000,000
Webサイトの総容量:3MB - 1,000,000✕3MB=3,000,000MB
※3,000,000MB=3,000GB(3TB) - ■1か月あたりの従量料金
- 3,000GB✕15円=45,000円
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CDNを選ぶ際のポイント
CDNを選ぶ際は、主に以下のポイントを確認しましょう。
配信対象のエリアに対応しているか
ターゲットユーザーのエリアに対応しているかを確認しましょう。CDNはユーザーに近いエッジサーバからコンテンツを配信するため、サーバの設置地域によって表示速度や動画配信の安定性が左右されます。国内向け・海外向けなど、自社の配信対象地域をカバーしているサービスを選ぶことが重要です。
サポート体制が充実しているか
サポート体制の充実度も重要な選定ポイントです。CDNに障害が発生すると、動画の再生やコンテンツの表示に影響する可能性があります。24時間365日の監視体制があるか、トラブル時に電話やメールなどで迅速なサポートを受けられるかを確認しておきましょう。
以下の記事では、自社に最適なCDNを選定する際のポイントについて詳しく解説しています。興味のある方は、参考にしてください。
動画配信でCDNを利用する方法
動画配信でCDNを利用するには、動画配信に対応したCDNサービスに申し込みましょう。利用規模やコストを踏まえて、自社に最適なサービスの選定が大切です。
サービス申し込み後は、はじめにオリジンサーバを設定します。オリジンサーバに保存されているコンテンツをCDNのエッジサーバにコピーすると、エッジサーバがコンテンツを配信できるようになります。
その後は、CDNの利用に関する詳細な設定をします。自社ですべて対応できますが、CDNサービスのサポートを受けながらの設定も可能です。
大規模配信に耐える!CDNサービスを比較
ここからは、動画配信に活用しやすいCDNサービスを紹介します。
Akamai
Akamai Technologies, Inc.が提供する「Akamai」は、135か国、1,400以上のネットワークと4,200か所以上の拠点で構成されており、世界中で利用される信頼性の高いサービスです。専用のツールセットを利用することで、ユーザーはCDNの障害、パフォーマンス、セキュリティなどを包括的に管理できます。
Fastlyエッジクラウドプラットフォーム (ファストリー株式会社)
- 高速・安全なWeb配信を実現するエッジクラウド基盤
- プログラマブル設計で柔軟な制御とカスタマイズに対応
- CDN、セキュリティ、配信機能を一元化した統合基盤
Amazon CloudFront (アマゾン ウェブ サービス ジャパン合同会社)
- 世界中へ高速・低遅延でコンテンツを配信
- DDoS保護と暗号化でセキュリティを強化
- コードを最適化し、実行せず品質や安全性を向上させる。
CDNetworks (株式会社シーディーネットワークス・ジャパン)
- 1.24Tbps規模のDDoS攻撃を防ぎ、ブラウザゲーム基盤を保護
- ベトナム有料テレビ著作権侵害対策を強化
- IDC中国WAAP評価で強力なWAAP能力を評価
以下の記事では、おすすめのCDNサービスを比較紹介しています。CDNの基本知識や選び方なども解説しているので、興味のある方は参考にしてください。
動画配信・CDNに関するよくある質問
動画配信でCDNを利用する際によくある疑問をまとめました。CDNの必要性やメリット、活用シーン、選び方などについてわかりやすく解説します。
動画配信にCDNは必要ですか?
必須ではありませんが、大容量の動画を多くのユーザーへ安定して配信する場合は、CDNの活用がおすすめです。CDNを利用すると複数のエッジサーバにアクセスを分散できるため、オリジンサーバの負荷を軽減し、動画の読み込み遅延や再生停止などを抑えやすくなります。
動画配信でCDNを利用するメリットは何ですか?
主なメリットは、動画配信の安定化、サーバ負荷の軽減、セキュリティの向上です。アクセスが集中した場合でも複数のサーバで負荷を分散できるため、安定した動画配信につながります。また、DDoS攻撃による負荷を分散するなど、セキュリティ対策としても役立ちます。
CDNはどのような動画配信におすすめですか?
大容量の動画コンテンツを配信する場合や、一時的なアクセス集中が予想される場合、海外のユーザーに動画を配信する場合などにおすすめです。特に、多数のユーザーが同時に動画を視聴するサービスでは、CDNによる負荷分散の効果を得やすいでしょう。
動画配信でCDNを利用する際の注意点はありますか?
動画コンテンツを更新してからキャッシュへ反映されるまでに時間がかかる場合があります。また、CDN自体に障害が発生すると動画視聴に影響する可能性があるほか、アクセスログの取得方法もサービスによって異なります。導入前にキャッシュ更新速度や可用性、ログの提供条件などを確認しましょう。
動画配信向けCDNを選ぶ際は何を比較すればよいですか?
まず、動画を配信する対象地域をカバーしているかを確認しましょう。あわせて、料金体系やデータ転送量、サポート体制、障害発生時の対応なども比較することが大切です。自社の動画配信規模やユーザーの所在地に適したCDNを選びましょう。
動画配信でCDNを活用し、安定した運用を実現しよう
CDNは複数のエッジサーバによってオリジンサーバの負荷を分散する仕組みで、動画配信などで利用されます。一つのサーバだけで配信するよりも動画の安定性が向上するほか、DDoS攻撃への対策になるのも魅力です。利用するには専用のサービスに申し込む必要があります。動画配信を最適化するために、さっそく資料を取り寄せ、自社に合うCDNサービスの比較をしてみてはいかがでしょうか。



