近年、企業や教育現場、個人サイトなど、多くの人が動画配信を行う時代となってきました。動画の配信方法にも、ストリーミング配信、ダウンロード配信、プログレッシブダウンロード配信など、さまざまな仕組みがあります。この記事では、ストリーミング配信における「ストリーミングサーバ」にフォーカスして解説します。
さらにストリーミングサーバの基本から構築方法、ストリーミング配信ができる動画配信システムまで紹介します。ぜひ、自社の情報発信に活用してください。
この記事は2022年2月時点の情報に基づいて編集しています。
ストリーミングサーバとは
ストリーミングサーバとは、動画ファイルをダウンロードしながら同時に再生するストリーミング配信で利用されるサーバのことです。ストリーミング配信では、専用のサーバであるストリーミングサーバを使い、動画ファイルをパケット単位で細分化し、端末のメモリに蓄積して動画を再生します。視聴後はメモリからパケットは削除されるので、端末に動画は残りません。
プログレッシブ配信という方法でも動画をダウンロードしながら再生できますが、ストリーミングサーバは使用しません。プログレッシブ配信にはWebサーバが用いられ、動画ファイルをダウンロードして端末に保存しながら動画を再生します。端末に動画が残るので、動画を複製される恐れがあるなどセキュリティ面でやや劣るでしょう。
リアルタイムのライブ通信で使われることが多い
端末にデータを残さずに動画配信ができるストリーミング配信ですが、「ライブ配信」と「オンデマンド配信」にわけられます。
- ライブ配信
- ・生放送で動画を配信する方式(ウェビナーなど)
・配信動画はストリーミングサーバへ送られ、ユーザーがサーバにアクセスして閲覧する
・同時接続数に応じて利用料金が高くなるケースもある
- オンデマンド配信
- ・録画した動画を配信する方式(eラーニングなど)
・ストリーミングサーバに動画を保存し、そこにユーザーがアクセスして動画を閲覧
・いつでも閲覧でき、早送りや巻き戻しも可能
ライブ配信においては、アクセスが集中しても動画を再生できることが求められ、負荷に耐えられるサーバが必要です。ストリーミングサーバは、通信速度を自動的に調整し、スムーズに通信を行うのでライブ配信する際には欠かせません。
動画配信システムの多くは、ストリーミングサーバが使えるようになっており、サーバの管理をベンダーに任せられるなどさまざまな活用のメリットがあります。
さっそくストリーミング配信ができる動画配信システムを比較したい!という方は、▼ストリーミング配信が可能な動画配信システムもぜひご覧ください。
ストリーミングサーバとWebサーバの違い
動画配信で用いられるサーバとして「ストリーミングサーバ」と「Webサーバ」がありますが、両者の最大の違いは、時間軸の情報の有無です。
ストリーミングサーバは、動画の早送りや巻き戻しなど、時間軸の情報を要する動的なやり取りが可能です。
一方Webサーバは、ブラウザからのアクセスに応じてデータを返すことで、Webサイトの閲覧を実現します。この方式でやり取りできるのは静的データであり、時間的な概念はありません。またそのほかの特徴は、以下のとおりです。
- ストリーミングサーバ
- ・データを受信しながら再生できる
・最適なデータ速度で通信でき、データ通信に無駄が生じにくい
・ファイル保存は不可、PCのキャッシュに残らない
- Webサーバ
- ・データの受信が完了してから、再生・早送り・巻き戻しが可能
・最適なデータ速度を選べない
・ファイル保存ができ、PCのキャッシュにも残る
・同時接続数が多いと、配信不可になることもある
LinuxやWindowsを使ったストリーミングサーバの構築方法
個人や小規模組織でストリーミング配信を行う際には、LinuxやWindowsでストリーミングサーバを構築すると経済的です。その方法を見ていきましょう。
Linux:nginxで構築する
nginxで構築する手順を解説します。
- 1.nginxをインストール
- nginxをインストールするためのツールとRTMPモジュール、nginxのソースをダウンロードしビルドする。
- 2.配信側の設定を行う
- RTMPで配信できるソフトウェアであればなんでもよい。URLとストリームキーを設定し、配信開始。
- 3.配信確認を行う
- 設定したURLとストリームキーでストリームを開き、動画を再生。
Windows:Raspberry Piとカメラモジュールで構築する
WindowsではRaspberry Pi(ラズパイ)とカメラモジュールを利用して構築するのが一般的です。
- 1.ラズパイ上で動画配信サイトを構築
- パソコンで閲覧できるようにしておく。
- 2.カメラをラズパイに取り付け、SSH接続で認識させる
- ラズパイOSに再度SSH接続し、カメラの映像が正しく出力できるか確認する。
- 3.mjpeg-streamerをインストール
- mjpeg-streamerを起動し、動画を配信する。配信サイトにアクセスし、正しく動画が配信されているか確認。
ストリーミング配信が可能な動画配信システム
小規模であればセルフでサーバ構築してもよいですが、大規模な場合はストリーミング動画配信システムを利用したほうが使いやすいでしょう。そこで、おすすめの動画配信システムを比較紹介します。
《necfru Media Cloud》のPOINT
- AWSパートナーが提供する動画配信ソリューション
- 想定されているほぼ全ての動画サービスが可能(資料参照)
- 配信〜コンテンツ管理まで、動画関連の仕組みは何でも構築可能
参考価格 |
年額300,000円~ |
無料トライアル |
別途お問い合わせ |
特徴 |
AWSを利用した動画オンデマンド・ライブ配信ソリューション |
株式会社ネクフルの「necfru Media Cloud」は、AWSサーバを利用した動画オンデマンド/ライブ配信ソリューションです。AWSとは、Amazonが提供するクラウドサービスのことで、クラウドを介してサーバを利用するので低コストになります。加えて、AWSサーバに障害が発生した場合は復旧対応を任せられます。そのほか、大規模動画配信サイトでの配信やライブチャットとECサイトの融合などができ、拡張性の高さも魅力でしょう。
《メガDOGA》のPOINT
- 導入実績は1,000アカウント以上
- 豊富な動画実績によって安心したサポートを実現
- 会員限定の動画配信も可能
参考価格 |
月額30,000円~100,000円 |
無料トライアル |
◯(2週間限定のフリーコース) |
特徴 |
最短1営業日以内に導入できる |
株式会社カテノイドが提供する「メガDOGA」は、2週間のフリーコースが用意されているVOD動画配信プラットフォームサービスです。フリーコースは無料のトライアルとして使えます。また、導入は最短1営業日以内で完了し、最低利用期間は1か月からなので手軽に利用できるでしょう。なお、動画配信のほか動画販売も可能で、アクセスIP制限やSSL通信などのセキュリティ対策も万全です。
《C-stream》のPOINT
- 月額料金5,000円からの超低価格
- 動画投稿からエンコード、ログ出力まで管理サイトから簡単に可能
- 動画配信用会員サイト(E-learningASP)も+5,000円/月で利用可能
参考価格 |
月5,000円~/10GBまで
| 無料トライアル |
別途お問い合わせ |
特徴 |
月額5,000円から利用できる低価格ストリーミング配信 |
「C-stream」は、株式会社大宮商会が提供するストリーミング配信サービスです。ひと月に10GBの動画を配信する場合、5,000円という低コストで利用できるうえ、同時配信数や配信動画容量に制限はありません。動画の配信方法も簡単で、HTMLタグのプレイヤーを出力し、それを動画配信サイトに貼りつけるだけです。タグ配置サイトのホスト制限機能があるため、不正も防げるでしょう。また、SNSでの動画共有など便利な機能も備えています。
《millviポータル》のPOINT
- 有料セミナー、社内外向け研修、オンライン展示会などに活用可能
- チャンネル設定・コンテンツ管理・ログ取得など豊富な管理機能
- クローズドでの情報発信やイベントのDXを検討中の企業へお薦め
参考価格 |
月額100,000円~ 初期費用200,000円 |
無料トライアル |
◯(30日間) |
特徴 |
会員ログイン機能×動画配信ができるプラットフォーム |
「millviポータル」は、株式会社エビリーが提供する動画共有ポータルサイトです。動画配信以外にも会員管理や動画投稿、アンケート、テストなど豊富な機能を取り揃えています。
動画はストリーミング配信のため、動画のダウンロード、転用などの恐れはありません。さらにIP制限をかけたり、暗号化配信を行ったりできるため、セキュリティ対策も安心です。
《viaPlatz》のPOINT
- 3つのシステム形態があり、自社に合ったものを使用できる
- 2段階認証や視聴ログによる高いセキュリティ性
- 理解度テストによる配信効果の確認が可能
特徴 |
価格 |
無料トライアル |
クローズド配信向け |
別途お問い合わせ |
ー |
NTTテクノクロス株式会社が提供する「viaPlatz(ビアプラッツ)」は、社内研修やセミナーでの活用に適した動画配信システム・映像配信サービスです。動画と資料の連動表示や切り替え、月単位の視聴ログの取得などの機能を搭載しています。また、コンテンツごとに視聴できる人の設定が可能で、セキュリティ対策も行えます。
ハルシステム
初期費用0円で動画のストリーミング配信をはじめられます。申し込み後即日でストリーミング配信できるため、すぐに効果を実感できるのが特徴です。さらに、ストリーミング配信が初めての場合、キャプチャやエンコードについて安心のストリーミングガイドを提供しています。
SmartSTREAM ストリーミングサーバーレンタル(ライブ配信)
大規模なライブ配信に適したサービスです。信頼性の高いデータセンターにシステムを設置し、大容量・高速通信に対応できるのが魅力です。また、プランが複数用意されているため、必要な機能だけを使えてコスパがよいといえるでしょう。
カテゴリー数・製品数業界最大級のITトレンドでは、このほかにもさまざまなタイプの動画配信システムを紹介しています。詳しくは以下の記事をご覧ください。
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ストリーミングサーバは、ストリーミング配信に利用するサーバで、ライブ配信には欠かせません。Webサーバとの最大の違いは、時間軸の制御が可能であることです。
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