ITトレンドがおすすめする製品・サービス
- ■抑えたいリスク別
- 部門間で数字の定義をそろえたい:Yellowfin
- データの異常や変化に早く気づきたい:MotionBoard、Yellowfin
- 現場への定着を進めたい:SAP Analytics Cloud BI、Excellent、Dr.Sum、FineReport
- ■料金体系別
- 利用者の役割に応じたライセンス:Tableau Server
- データ量の上限を気にせず使えるライセンス体系:Dr.Sum
- サブスクリプションと買い切りのプランがある:MotionBoard、Dr.Sum
BIツールで想定しておきたいリスクの全体像
BIツールのリスクは、分析結果の信頼性、運用と定着、費用と情報管理の3つの領域に分けると整理できます。どの領域のリスクが自社で大きいかによって、導入前に準備すべきことも変わります。
分析結果の信頼性に関わるリスク
1つ目は、表示される数字そのものが正しくないリスクです。BIツールは元のシステムから取り込んだデータを集計して表示するため、元データの誤りや集計ルールの違いがそのまま画面に反映されます。
グラフが見やすく整っているほど、数字を疑う人が少なくなる点にも注意が必要です。誤った数字が会議資料や経営判断に使われると、後から訂正する手間がかかるうえ、BIツールへの信頼も下がります。数字の出どころを確認できる状態を作ることが対策の出発点です。
運用と定着に関わるリスク
2つ目は、導入しても使われなくなるリスクです。ダッシュボードを作った時点で満足してしまい、日々の業務で見る習慣が根づかないまま、従来のExcel集計に戻るケースがあります。
また、レポートの作成や修正ができる人が一部に限られると、その人が異動したときに更新が止まるおそれがあります。BIツールは導入して終わりではなく、誰が作り、誰が見て、どう改善するかという運用の設計が欠かせません。この領域のリスクは、費用をかけても効果を感じられない結果につながります。
費用と情報管理に関わるリスク
3つ目は、利用の広がりにともなって費用や情報管理の負担が増えるリスクです。BIツールは閲覧者や作成者の人数、扱うデータ量によって料金が変わる製品があります。そのため、全社展開の段階で、想定を超えて費用が増える場合があります。
あわせて、売上や顧客、人事といった機密性の高いデータを1か所に集めるため、共有範囲の設定を誤ると見せるべきでない人に情報が届くおそれもあります。導入前の試算と、閲覧範囲のルールづくりを同時に進めることが大切です。
指標の定義ずれで数字が食い違うリスク
BIツールの導入後に起こりやすい問題の一つが、同じ名前の指標なのに部門ごとに数字が違うという食い違いです。原因と、定義をそろえるための対策を見ていきます。
「売上」の意味が部門によって異なる
数字が食い違う主な原因は、同じ言葉でも部門によって集計の条件が違うことです。例えば営業部門は受注日で売上を数え、経理部門は請求日や入金日で数えている場合、同じ月の売上でも金額が一致しません。
ほかにも、返品や値引きを差し引くか、税込か税抜か、社内取引を含めるかといった違いがあります。BIツールで各部門が自由にレポートを作れるようになると、こうした違いが表面化します。会議のたびに「どちらの数字が正しいか」の確認に時間を取られることがリスクです。
指標の定義書と共通のデータモデルを用意する
対策は、主要な指標の定義を文書にまとめ、BIツール側でも共通の計算式として登録しておくことです。指標の名前と計算式、対象となるデータ、更新タイミングを一覧にした定義書を作り、関係部門で合意しておきます。
製品によっては、指標の計算式を一元管理し、各レポートから同じ定義を呼び出せる仕組みがあります。個々の作成者が計算式を書く方式だと定義が分かれやすくなるため、共通の定義をどう管理できるかを選定時に確認するとよいでしょう。定義の変更履歴を残すことも、後の混乱を防ぐのに役立ちます。
データの鮮度と品質が判断を誤らせるリスク
BIツールに表示される数字は、元データが正しく、最新の状態で取り込まれている前提で成り立っています。ここでは、データの更新と品質にまつわるリスクを取り上げます。
気づかれにくいデータ更新の失敗
BIツールでは、元のシステムからのデータ取り込みを決まった時刻に自動で行う設定が多く見られます。その処理が失敗すると、古いデータのまま表示され続ける場合があります。失敗の原因には、接続先のパスワード変更や、元システムの項目名の変更、通信の一時的な障害などがあります。
画面上は普段どおりに見えるため、利用者が古い数字だと気づかずに判断してしまう点がリスクです。対策として、最終更新日時を画面に表示する、取り込みに失敗したら管理者へ通知する、再実行の手順を決めておくといった準備が有効です。
元データの入力ミスや欠損
BIツールは元データの誤りを自動で正すものではありません。入力の揺れ(株式会社の有無や全角と半角の違い)や、未入力の項目、重複した登録があると、集計結果が実態とずれる可能性があります。
対策は、取り込み前の段階でデータを整える工程を用意することです。表記を統一するルールを決める、必須項目の入力を元システム側で徹底する、BIツールやETLツールで重複や欠損を検出するといった方法があります。どこまでをBI側で補正するかを決めておくと、責任の所在もはっきりします。
基幹システムの処理速度への影響
BIツールを基幹システムのデータベースへ直接つなぐ構成では、集計の問い合わせが重なると元システムの処理が遅くなるおそれがあります。月末の締め処理と、多くの利用者によるレポート閲覧が同じ時間帯に集中する場合は特に注意が必要です。
対策として、分析用のデータを別のデータベースやDWH(分析用にデータをためておく倉庫)へ複製してから参照する方法や、取り込みを業務時間外に行う方法があります。接続方式によって負荷のかかり方が変わるため、情報システム部門や提供会社に構成を相談しましょう。
ITトレンドでは、最新の製品・サービスを多数比較・掲載しています。まず資料請求して、さまざまな製品の機能や特徴を比較してみてください。忙しい業務時間内でも、各社に問い合わせる手間なく、たった1回の入力(約60秒)でBIツールの一括資料請求が可能です。浮いた時間で、じっくりと製品の比較検討を進めましょう。
BIツールが社内に定着しないリスク
BIツールの効果は、現場の人が日常的に数字を見て行動を変えることで生まれます。ここでは、使われなくなる原因と、定着させるための工夫を解説します。
ダッシュボードを作っても見られない
使われなくなる原因の一つは、ダッシュボードの内容が利用者の業務とつながっていないことです。経営層向けの指標をそのまま現場に配っても、自分が何をすればよいかが読み取れず、見る理由が生まれません。
対策は、利用者ごとに「この数字を見て何を判断するか」を決めてから画面を設計することです。例えば営業担当者向けには担当顧客ごとの進捗、店舗責任者向けには日別の売上と在庫のように、判断の単位にそろえます。閲覧状況を確認できる製品なら、使われていない画面を見直す材料にもなります。
レポートの作成が一部の担当者に偏る
レポートを作れる人が少ないと、修正依頼が集中して対応が遅れたり、担当者の異動で更新が止まったりするおそれがあります。作成手順や計算式の意図を担当者本人しか知らない状態は、継続的な運用を妨げます。
対策として、作成ルールと手順書を残す、複数人で作成と確認を分担する、社内勉強会で作成できる人を増やすといった方法があります。現場の担当者が自分でグラフを作れるセルフサービス型のBIツールもありますが、作成者が増えるほど定義のずれも起きやすくなるため、共通の指標とあわせて運用しましょう。
費用の膨張と情報管理のリスク
BIツールは試験導入の段階では問題が見えにくく、全社へ広げる段階で費用や情報管理の課題が表面化する場合があります。ここでは、利用拡大にともなうリスクを2つ取り上げます。
利用者やデータ量の増加による費用の膨張
BIツールの料金体系は、作成者と閲覧者の人数で決まるもの、データ量や処理量で決まるもの、サーバーの規模で決まるものなど、製品によって異なります。少人数での試験導入時と、全社展開後とでは費用が大きく変わる可能性があります。
対策として、導入前に3年程度の利用者数とデータ量の見込みを立て、複数の料金体系で試算しておくとよいでしょう。閲覧だけの利用者が多い場合は、閲覧者向けの料金設定があるかどうかも確認ポイントです。データの取り込み頻度を上げると処理量が増える製品もあるため、更新の頻度とあわせて検討します。
共有やファイル出力による情報の持ち出し
BIツールは多くの人にデータを見せるための仕組みであるため、共有範囲の設定を誤ると、権限のない人に機密情報が表示されるおそれがあります。また、レポートをExcelやCSVに出力できる設定の場合、手元に保存されたファイルが社外へ持ち出される可能性もあります。
対策は、部署や役職ごとに見せるデータの範囲を決め、ファイル出力や外部共有の可否を利用者の役割ごとに設定することです。誰がどのレポートを見たかの記録を残せるかも、事後の確認に役立ちます。設定の変更は複数人で確認する手順にすると、操作ミスによる公開範囲の誤りを抑えられます。
リスク対策の視点で見るBIツール一覧
BIツールのリスクは、数字の定義、データの異常への気づきやすさ、現場への定着、費用の増え方の4つで考えると整理できます。この記事で取り上げる製品を、それぞれの特徴とあわせて一覧にまとめました。
| 製品名 | 特徴 |
|---|---|
| Yellowfin | セマンティックレイヤーで指標定義を一元管理。異常検知にも対応 |
| MotionBoard | 60種類以上のデータソースに接続。閾値アラートやデータ入力にも対応 |
| SAP Analytics Cloud BI | 実績・予算・見込を一体で分析。導入後の定着化支援あり |
| Excellent | Excelアドイン型。データベースを直接参照し、アクセス記録も残せる |
| Dr.Sum | 高速集計のデータマートが核。ライセンス体系で費用を固定しやすい |
| FineReport | Excelライクなデザイナで帳票とダッシュボードを作成。データ入力も可 |
| Tableau Cloud | ホスティング型のセルフサービス分析。SSOプロバイダーと統合可能 |
| Tableau Server | オンプレミスやパブリッククラウドに導入。閲覧用などライセンスを使い分け |
数字のずれと定着に備えるBIツール
指標の定義をそろえる仕組み、異常への気づきやすさ、現場が使い続けられる工夫、費用の見通しを立てやすい料金体系という観点で選びました。自社で特に気になるリスクに近い製品から確認してください。
Yellowfin
- 自然言語で質問するだけでAIが分析・可視化
- セマンティックレイヤーで統制されたAIデータ活用
- AIが異常や変化を検知し、気づきを自動通知
Yellowfin Japan株式会社が提供する「Yellowfin」は、セマンティックレイヤー(共通辞書)を中核としたAI対応のBIプラットフォームです。指標の定義や計算ロジックを一元管理できるため、部署ごとに計算式が分かれて数字が食い違うリスクを抑えたい場合の選択肢です。データの変化や異常値を自動で検知して通知するシグナル機能や、自然言語での分析にも対応しています。
MotionBoard
- 4,100+社導入・顧客満足度5年連続No.1・サポート品質三ツ星評価
- 生成AI機能*チャットで自動生成・インサイト分析も自然言語で!
- システムも現場・IoTデータも、60種類以上のデータソースと接続◎
ウイングアーク1st株式会社が提供する「MotionBoard」は、可視化や分析に加えて、データ入力やボタン操作の機能も備えたデータ活用プラットフォームです。設定した閾値を超えたときに知らせるアラート機能があり、数字の異常にいち早く気づきたい運用に向いています。60種類以上のデータソースと接続でき、クラウド版とオンプレミス版があります。買い切り型のライセンスも用意されています。
SAP Analytics Cloud BI
- 実績・予算・見込を一体分析し、未来志向の経営管理を実現
- 経営&営業ダッシュボードを統合、経営と営業の高い連携を実現
- 競合企業のデータも分析し、市場でのポジションを把握可能
アクセス・インテリジェント・ソリューションズ株式会社が提供する「SAP Analytics Cloud BI」は、実績に加えて予算・見込も一体で分析できるBIパッケージです。ドラッグ&ドロップでレポートを作れるセルフサービス型で、導入後も操作フォローを続ける定着化支援が用意されています。経営と営業のダッシュボードを標準で提供し、導入しても使われなくなる事態を避けたい企業にとって候補です。
Excellent
- 【導入実績 6,400件】幅広い業種・業務で活用中!
- 【安全にデータ公開】金融機関200社以上/銀行70行以上の導入実績
- 【手厚いサポート】純国産!納得・満足するまでサポート!
株式会社システムコンサルタントが提供する「Excellent」は、使い慣れたExcelの画面からデータベースのデータを抽出・分析できるExcelアドイン型のBIツールです。ふだんの操作に近い形で使い始められるため、現場への定着を重視する場合に検討しやすい製品です。データベースを直接参照するのでキューブの構築が不要で、グループやユーザー単位のアクセス制御と、誰がどのデータに触れたかの監査証跡ログに対応しています。
Dr.Sum
- 導入実績8,000社超!顧客満足度No.1・サポート品質三ツ星評価
- 散在したデータを一元化、10億件のデータも1秒台で◆高速集計◆
- 直感的な操作で誰でも簡単にデータ分析が可能
ウイングアーク1st株式会社が提供する「Dr.Sum」は、高速集計のデータマートを核に、Excelやブラウザで集計・分析できるデータ分析基盤です。ライセンス体系の価格設定でシステム費用を固定でき、データ上限を気にせず使える点が、利用拡大にともなう費用の膨張を抑えたい企業に向いています。学習コンテンツや、チャットで問い合わせできるAIアシスタントも用意され、現場の定着を支えます。買い切り型のライセンスもあります。
FineReport
- ローコードでExcelライクのデザイナにより、分析画面を簡単作成
- データ可視化にデータ入力機能もあり、社内様々な課題が解決可能
- 日本国内大手企業の導入実績が多く、各種事例と安心サポート
バリューテクノロジー株式会社が提供する「FineReport」は、帳票作成、BI分析、ダッシュボード作成、データ入力をまとめたデータ活用ツールです。IT部門などが分析画面を先に作り、利用者はそれを見て分析する「見せるBI」の考え方で、画面を見る人の学習負担を抑えられます。Excelライクなデザイナで画面を作成でき、データベースへ直接接続するため分析用のキューブ作成が不要です。
Tableau Cloud
- インテリジェントなツールのデータの力で自信の持てる意思決定へ
- 理解しやすいインサイトで時間を節約し、誰もが簡単に分析できる
- 埋め込み分析で顧客にデータで価値・シームレスな体験を提供
株式会社セールスフォース・ジャパンが提供する「Tableau Cloud」は、完全ホスティング型のクラウド分析プラットフォームです。サーバーの構成やアップグレードの管理が不要で、パーミッション管理や、利用中のSSOプロバイダー・IDプロバイダーとの統合により、見せる相手を絞った共有ができます。料金はユーザー単位の費用で示されているため、全社展開時の利用者数を見込んで試算する際の目安にできます。
Tableau Server
- オンプレミス・パブリッククラウドの柔軟な導入体系
- 利用状況を俯瞰できるガバナンス機能
- あらゆる環境から暗号化されたデータをシームレスに抽出
株式会社セールスフォース・ジャパンが提供する「Tableau Server」は、分析データの共有プラットフォームです。オンプレミス、またはAWSやAzureなどのパブリッククラウドにインストールして使います。社内で情報がどう使われているかを監視・管理するガバナンス機能と、パーミッション管理で適切なユーザーにだけデータを使わせる仕組みを備えています。分析用や閲覧用などライセンスを使い分けられるため、閲覧のみの利用者が多い組織で費用を調整しやすい構成です。
まとめ
BIツールのリスクは、指標の定義ずれ、データの鮮度と品質、社内への定着、費用と情報管理の4つに分けて考えると対策を立てやすくなります。いずれもツールを入れるだけでは解消されず、定義書や更新監視、利用者に応じた画面設計、料金の試算といった準備が欠かせません。自社で特に大きいリスクを見極めたうえで、それを抑える仕組みを持つBIツールを比較しましょう。資料請求で各製品の対応範囲を確認してみてください。

