
原価管理と原価計算の違いとは
原価管理と原価計算は混同されることもありますが、厳密にいうと原価管理を行う手段の1つが原価計算です。原価管理の「原価」にはさまざまな定義が含まれていますが、原価計算の「原価」は基本的に製造原価を指しています。そのため、製造時における原価を管理する手段の1つとして原価計算が用いられます。
原価管理:原価を把握しPDCAを回す
まずは、原価管理について詳しく解説します。
原価管理とは?
原価管理とは各部門の商品などの原価を把握しPDCAを回すことで、これにより利益率の改善や経営判断を行っていくことです。製造業に関しては、計画時に設定している標準原価と実際に掛かった原価である実際原価を比較することで、現在の経営が想定していた原価に近いかどうか、さらに標準原価を下げれるかどうかを検討します。
原価管理のプロセス
実際に原価管理を行うプロセスは、以下のようなステップでPDCAを回していきます。
- 1:原価の設定を行う「原価企画」
- 原価管理ではまずはじめに「原価企画」を行います。原価企画とは、製品企画や生産などの製造工程の際にかかる原価を設定することです。製品の企画段階で作成される目標なので、予定販売価格と目標利益から許容できる原価(標準原価)を決定します。
- 2:実際の原価と調整をする「原価統制・維持」
- 予め設定していた標準原価と実際原価を比較し、どれだけ差異があるのかを分析します。この分析を行うことで「設定していた見積りは正しかったのか」「製造工程に無駄はなかったのか」などさまざまな観点から見直しを行えます。
- 3:結果から改善を行う「原価統制・原価低減」
- 分析を行ったあとは、「実際原価を標準原価に近づけていく」または「標準原価を正しく設定する」ために改善案を打ち立て原価統制を行っていきます。さらに原価を適正に維持できるようになったあとは、さらに利益があげられるように標準原価をさげる原価低減を行いましょう。
- 1.決算書作成
- 企業の財政状況を表す「正確な決算書」の作成のため
- 2.販売価格の決定
- 過去の実績から適切な販売価格を決定するため
- 3.原価管理
- 原価のムダをなくすために、過去データから正確な原価を算出しコスト削減を図るため
- 4.予算管理
- 原価計算をもとに、適切な企業の予算を立てるため
- 5.中長期的な意思決定
- 新商品の開発や投資など環境が変化した際に、原価計算の数字が判断材料の1つとなるため
原価管理の概要を解説しましたが、なぜ原価管理を行わなければならないのか、具体的にどんなメリットがあるのかを知りたい方は以下の記事をご覧ください。
原価計算:正確な原価を知るための手段
原価計算でいうところの「原価」は基本的に「製造原価」のことを指しています。そのため、製造原価の管理を行う上での手段の1つが原価計算なのです。
原価計算とは?
原価計算とは、製造業において材料費や人件費、エネルギー代などの「製造にかかった原価」を正しく把握するための計算手法のことです。原価は常に変動するため、原価を正確に把握できないと利益に直接影響がでてきます。そのため、原価の変動リスクに備えるためにも、原価計算が必要です。
ただし、原価計算を行っているからと言って原価管理を行っていることにはなりません。原価計算で適切な実際原価を把握しつつ、分析や改善を行い適正な原価を保つことはあくまで原価管理を行う手段の1つなのです。
原価計算の5つの目的
原価管理以外にも原価計算の目的は大きく5つあります。
原価計算についてもっと詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
原価管理と原価計算の違いを明確に理解しよう!
原価管理と原価計算はそれぞれ異なる役割を持ちます。商品企画や予算編成・財務諸表作成の際は、原価計算を行わなければなりません。この原価計算の結果をもとに原価のバランスを取ることが原価管理です。
原価管理には原価企画・原価統制・原価低減の3つのステップがあり、これにより原価を下げられます。原価計算・原価管理の違いを理解し、経営に活かしましょう。
