FAQシステムとはどのような仕組みか
メリットを判断する前に、何を担うシステムなのかを押さえておきましょう。単なる質問と回答の一覧ではなく、探す仕組みと育てる仕組みを備えている点に特徴があります。ここでは役割と、既存の管理方法との違いを確認します。
FAQシステムの基本的な役割
FAQシステムとは、よくある質問とその回答を蓄積し、利用者が必要な情報を検索して自己解決できるようにするための仕組みです。顧客向けにWebサイト上で公開する使い方と、社内の従業員向けに公開する使い方があります。
備わっている機能は製品によって異なりますが、記事の作成と公開、カテゴリー分類、検索、閲覧数や検索語の集計、公開前の承認といった要素が中心です。作って終わりではなく、どの質問がよく見られているか、どの検索で答えが見つからなかったかを把握し、内容を改善していく流れまで含めて設計されています。
表計算ソフトや社内Wikiでの管理との違い
質問と回答をまとめるだけであれば、表計算ソフトや共有フォルダのファイルでも対応できます。ただし件数が増えると、目的の項目を探す時間が延び、更新した版がどれなのか分からなくなる場合があります。
FAQシステムでは、表記の揺れを吸収した検索や、閲覧されている記事の把握、更新履歴の管理といった機能が使えます。利用状況が数値で見えることで、どの記事を優先して直すべきかを判断しやすくなる点が大きな違いです。一方、扱う件数が少なく更新頻度も低い場合は、既存の方法で足りるケースもあります。
FAQシステムを導入するメリット
ここからは、問い合わせ対応の現場で実際にどのような効果が見込めるのかを整理します。件数、品質、改善という三つの面から確認します。
問い合わせ対応の件数を減らせる
電話やメールで寄せられる質問には、同じ内容が繰り返し含まれていることがあります。担当者はその都度同じ説明を行うため、対応時間が積み上がります。回答内容を検索できる形で公開しておけば、利用者が自分で解決できる場面が増えます。
効果の大きさは、問い合わせの内容がどの程度共通しているかによって変わります。導入前に、直近の問い合わせ履歴を集計し、上位に並ぶ質問がどれくらいの割合を占めるかを確認しておくと、期待できる削減幅の見当がつきます。件数がすぐに減るとは限らないため、公開してから利用状況を見ながら記事を増やす進め方が現実的です。
回答内容の均一化につながる
担当者ごとに説明の仕方や案内する範囲が異なると、利用者が受け取る情報に差が生じます。新任の担当者が判断に迷い、確認のために保留する時間が生まれることもあります。
回答を記事としてまとめておけば、担当者はその内容を参照しながら対応できます。対応の根拠が共有された状態になるため、経験の長さによる差を小さくできます。あわせて、記事を公開する前に内容を確認する承認の流れを設けておくと、誤った情報が広まる恐れを抑えられます。
検索ログから改善点を見つけられる
どの言葉で検索されたか、どの記事が読まれたか、検索しても結果が出なかったのはどの語かといった記録が残る点も利点です。利用者が何に困っているのかを、推測ではなく記録から把握できます。
結果が出なかった検索語は、記事が不足している領域を示す手がかりです。閲覧数が多いのに問い合わせも減っていない記事があれば、内容が分かりにくい可能性があります。こうした情報をもとに優先順位を付けて改善すれば、限られた工数を効果の出やすい部分に振り向けられます。
用途から見たFAQシステムの使われ方
公開する相手によって、重視する機能も運用の進め方も変わります。自社がどちらを主目的とするのかを整理しておくと、比較の基準が定まります。
顧客向けFAQでの活用
Webサイトに公開し、購入前の疑問や利用方法の質問に答える使い方です。営業時間外でも情報を得られるため、問い合わせ窓口が開いていない時間帯の対応の受け皿になります。
顧客向けでは、専門用語を避けた書き方や、関連する記事への案内が読みやすさを左右します。チャットボットや問い合わせフォームと組み合わせ、解決しなかった場合の連絡先を分かりやすく示しておくことも必要です。自己解決を促す設計と、行き止まりを作らない設計の両立を意識しましょう。
社内向けFAQでの活用
情報システム部門や人事、総務に寄せられる社内からの質問に答える使い方です。経費申請の方法、パソコンの設定手順、就業規則の解釈といった内容が対象になります。
社内向けでは、部署や権限に応じて閲覧範囲を分けられるかが重要な要素です。人事情報や機密性のある手順書を扱う場合は、誰が閲覧できるかを制御できる製品を選ぶ必要があります。あわせて、既存の社内ポータルやビジネスチャットから開ける導線を用意すると、利用が定着しやすくなります。
ITトレンドでは、最新の製品・サービスを多数比較・掲載しています。まず資料を取り寄せて機能や特徴をさまざまな製品で比較してみてください。忙しい業務時間内でも、各社に問い合わせる手間なく、たった1回の入力(約60秒)でFAQシステムの一括資料請求が可能です。浮いた時間で、じっくりと製品を比較検討し進めましょう。
FAQシステム導入前の注意点
導入したものの問い合わせが減らないという状況を避けるため、検討段階で押さえておきたい点を二つ挙げます。
利用されなければ効果が出にくい
記事を用意しても、利用者がその存在に気づかなければ検索されません。Webサイトの奥深くに置かれている、社内ポータルからの導線がないといった状態では、これまでどおり電話やメールで問い合わせが届きます。
対策としては、問い合わせフォームの手前にFAQへの案内を置く、チャットボットの回答から該当記事へつなぐといった導線づくりが有効です。社内チャットで新着記事を知らせる方法もあわせて検討するとよいでしょう。あわせて、検索しても目的の記事にたどり着けない場合に備え、言い換えの表現を記事に含めておくと見つかりやすくなります。
継続的に更新できる体制を確保する
製品やサービスの仕様が変われば、記事の内容も更新が必要です。古い情報が残ったままだと、利用者が誤った手順を進めてしまう恐れがあります。導入時に記事を作って終わりにしない体制づくりが欠かせません。
担当者を一人に固定する方法は、異動や休暇の際に更新が止まる要因になります。記事の作成担当と確認担当を分ける、部門ごとに担当範囲を決める、更新期限を設定して見直しを促すといった仕組みを整えておきましょう。更新履歴が残る製品であれば、いつ誰が変更したかを追えるため、引き継ぎもしやすくなります。
FAQシステムの選び方
製品によって検索の方式も、分析できる範囲も異なります。比較の段階で確認しておきたい基準を三つ挙げます。
利用対象と公開範囲の整理
最初に、誰に向けて公開するのかを決めます。顧客向けか社内向けか、その両方かによって必要な機能が変わります。両方を扱う場合は、一つの管理画面で運用できるか、それぞれ別に用意するのかも検討材料です。
あわせて、閲覧範囲の制御がどこまで細かく設定できるかを確認します。部署単位、役職単位、取引先単位といった単位で分けたい場合は、その運用が可能かを事前に確かめておきましょう。将来的に対象を広げる予定があるなら、その計画も含めてベンダーに伝えておくと提案を受けやすくなります。
検索方法と分析機能の確認
利用者が答えにたどり着けるかは、検索の使いやすさに左右されます。製品によって用意されている検索の方式は異なるため、想定する利用者にあうものを選びます。
- ■キーワード検索
- 入力された語句を含む記事を探す方式。表記の揺れや同義語をどこまで吸収できるかが確認点
- ■カテゴリー検索
- 分類をたどって記事にたどり着く方式。検索語が思い浮かばない利用者の助けになる
- ■自然文での検索
- 話し言葉に近い文章で質問し、あう回答を提示する方式。対応可否は製品によって異なる
分析については、検索語の集計、結果が出なかった検索の抽出、記事ごとの閲覧数や解決率の把握ができるかを確認します。改善を続ける前提であれば、この部分の充実度が運用の成果を左右します。
既存チャネルとの連携とサポート範囲
問い合わせフォームやチャットボット、コールセンターシステム、社内チャットとつなげられるかを確認します。オペレーターが対応中に記事を検索できる仕組みがあれば、応対時間の短縮にもつながります。
サポートについては、どこまで対応してもらえるのかを具体的に確かめます。操作方法の案内にとどまるのか、初期の記事作成や分類設計を支援してもらえるのか、運用開始後の改善提案まで受けられるのかは製品ごとに差があります。対応時間帯や問い合わせ手段まで含めて比べておきましょう。
問い合わせの自己解決を支えるFAQシステム
検索のしやすさや分析機能にあわせて検討できる、FAQシステムを紹介します。
PKSHA FAQ
- 社内・社外のお問い合わせ業務を効率化し、対応コスト削減
- 顧客向けFAQと社内ナレッジ、さらに応対ログを一元管理
- 1500サイト以上の導入実績を基とした運用ノウハウを提供
株式会社PKSHA Technologyが提供する「PKSHA FAQ」は、検索性能に重点を置いたFAQシステムです。表記の揺れを吸収した検索に対応しており、利用者が探している内容にたどり着きやすい構成になっています。検索されたが結果が出なかった語句を確認できる機能もあり、記事の不足箇所を把握する材料になります。
Helpfeel(ヘルプフィール)
- 特許を持つ検索技術であいまい検索。“使われないFAQ”から脱却
- AIで構築/運用/分析もらくらく。AI技術と伴走サポートが高評価
- 継続率99%!生成AIを安全に活用し既存システムとも連携
株式会社Helpfeelが提供する「Helpfeel(ヘルプフィール)」は、多様な言い回しでの検索に対応したFAQシステムです。利用者がどのような言葉で検索しても目的の記事にたどり着きやすい仕組みを備えています。社内向け・顧客向けのどちらの用途にも対応した構成が選べます。
アルファスコープ
- リモートワークにおける情報(ナレッジ)共有の課題を解決
- 顧客/社内/オペレータ向けと、利用目的に合わせた活用が可能
- 低コストですぐに始められるクラウドサービス
株式会社プラスアルファ・コンサルティングが提供する「アルファスコープ」は、問い合わせ内容の分析機能を備えたFAQシステムです。よくある質問を記事化するだけでなく、寄せられた問い合わせの傾向を把握し、記事の改善につなげる運用に対応しています。社内外の問い合わせ対応に活用できます。
Tayori (株式会社PRTIMES)
- プレスリリース配信のPR TIMESが開発。
- 大切な想いを届ける「お便り」がサービス名の由来。
- 紙飛行機で日本記録を達成するプロジェクトを実施。
OKWAVEPlus (株式会社オウケイウェイヴ)
- 1500種類以上のサンクスカードデザイン
- サンクスカードでポイントを貯めてギフトと交換
- ビジネスチャットツールと連携可能
FAQシステムに関するよくある質問
導入を検討する担当者から寄せられることの多い質問と回答をまとめました。
- Q1: 記事は何件くらい用意すれば効果が見込めますか?
- 必要な件数は業務内容によって異なるため、一律の目安はありません。まずは問い合わせ履歴を集計し、件数の多い質問から順に記事化する進め方が現実的です。公開後の検索ログを見ながら、不足している領域を補っていくとよいでしょう。
- Q2: チャットボットとどちらを導入すべきですか?
- 目的によって適する仕組みが変わります。情報を一覧で見せて自己解決を促したい場合はFAQシステム、対話形式で絞り込みたい場合はチャットボットが候補になります。両方を組み合わせ、チャットボットの回答からFAQ記事へつなぐ構成を採る企業もあります。
- Q3: 導入までにどのくらいの期間がかかりますか?
- 記事の準備状況や、既存システムとの連携範囲によって幅があります。用意した記事を登録して公開するだけであれば短期間で始められるケースもある一方、分類の設計や連携を伴う場合は準備に時間を要します。具体的な期間はベンダーに確認しましょう。
- Q4: 導入後の効果はどう測ればよいですか?
- 問い合わせ件数の推移、FAQの閲覧数、検索して結果が出なかった割合、記事ごとの解決率といった指標が候補になります。導入前の問い合わせ件数を記録しておくと比較しやすくなります。どの指標を重視するかは、顧客向けか社内向けかによっても変わります。
まとめ
FAQシステムは、質問と回答を検索できる形で蓄積し、利用者の自己解決を支える仕組みです。問い合わせ件数の削減や回答内容の均一化に加え、検索ログから改善点を見つけられる点も利点といえます。一方で、導線が整っていなければ利用されず、更新が止まれば情報が古くなります。公開範囲や検索方法、分析機能、連携の可否を比べたうえで、運用を続けられる体制とあわせて選びましょう。まずは資料請求から比較検討を進めてみてください。

