変化してきたPBXの基本機能とその特徴
ここでは、PBXとビジネスフォンから、IP-PBX、クラウド型PBXについて詳しく解説していきます。
専用ハードウェアが必要な「PBX」とは
PBXとは「Private Branch eXchange」の略であり、構内電話交換機のことをいいます。このPBXを構築することで、電話交換業務を行え、社内の内線間通話の料金を削減できます。
従来のPBXは、社内に専用のハードウェアを設置し、電話回線と電話機を物理的に接続する必要がありました。そのため、電話をするための環境を構築するために、導入コストや手間がかかっていたのです。
複数拠点を内線化できない「ビジネスフォン」とは
PBXの中には同じ仕組みの「ビジネスフォン」があります。このビジネスフォンは従来のPBXと同じ機能を持ち、50名前後の企業に使われる小規模向けのPBXです。
ビジネスフォンは従来型のPBXの一部ですが、大規模なPBXと違い複数拠点を内線化することはできません。
社内ネットワークを利用する「IP-PBX」とは
IP-PBXは従来のPBXの電話回線ではなくLANケーブルで接続し利用可能な回線です。このIP-PBXは、インターネット環境とLANケーブルで構築された社内ネットワークが必要になりますが、IP-PBXに必要な基盤は既に揃っている企業が多いため、導入コストを抑えられます。
基本的には、社内ネットワークとIP-PBX環境を作るためのハードウェアかサーバが必要になります。
このシステムを使うことで、音声をデジタル化し、音声データをインターネット回線を用いて送受信できます。LANケーブルを増やすことで接続する電話機を増やすことも可能で、パソコンで簡単に設定できるため運用面でもメリットがあります。
また、インターネットで接続するため、全国に支店・支社を持つ企業でも各拠点にPBXの設備を構築する必要なく、内線化が可能であり企業内通話を効率化できます。さらに音声データはそのまま保存できるため、簡単に通話録音を残すことも可能です。
独自のネットワークが必要ない「クラウド型PBX」とは
クラウド型PBXは、従来のPBXやIP-PBXと違い、自社に環境を構築する必要がなく、インターネットを使ってクラウド型PBXサービスを提供する事業者のサーバに接続してPBXの機能を利用します。
このクラウド型PBXは、インターネット環境・パソコン・ヘッドセットなどがあれば電話が可能です。また、社内に設備を用意する必要がないため、コストを抑え短期間で導入できます。PBXの種類の中では、最も導入しやすいため、この利用が増加しています。
また、顧客管理システム(CRM)などの業務システムと連携することで、電話業務を便利に行えます。
このように、PBXにはさまざまな種類があり、時代の変化に応じて市場シェアは変わってきています。
PBX・ビジネスフォンの国内市場規模と動向
ここからはPBX・ビジネスフォンの国内市場規模と動向について説明していきます。
ビジネスフォンから需要の大きいPBXへ
今までは従来のPBXが使われており、そこから小規模に対応したビジネスフォンのシェアが拡大してきました。しかし、今では従来型のPBXの仕組みを使ったPBXからIP-PBXなどへと市場が拡大しています。
従来の社内に設置するタイプのPBXは、耐用年数によって交換する必要があり、新しいタイプのPBXへ移行する企業も多いです。また、NTT東日本・西日本では、2024年からアナログの電話回線が使えなくなるため、インターネットを使ったIP-PBXやクラウド型PBXの利用が促されています。
クラウド型PBXシェア成長率が顕著に
特に利用が増加しているPBXの種類は、クラウド型PBXです。クラウド型PBXは社内にPBXの環境を構築する必要がないため、簡単に導入でき、インターネットに接続するパソコンがあれば着信・発信が可能です。
他にもパソコンにアプリをインストールすることで、電話業務に必要なさまざまな機能を使えるようになるため、普及率が上昇しています。
クラウド型PBXをとりまく市場動向とは?
近年ではクラウド型PBXの需要が高まっており、市場シェアを伸ばしています。クラウド型PBXの市場シェアが伸びている要因には大きく分けて「低コスト戦略」と「コミュニケーション多様化」の2種類があります。
ここからはクラウド型PBXの市場動向について説明していきます。なぜクラウド型PBXの市場が大きくなってきているのか、その背景を見ていきましょう。
1. 従来PBXより圧倒的にコストを削減できる
従来のPBXは、構築するのに時間とコストがかかり、耐用年数があるため、数年に1度リプレイス(買い替え)する必要がありました。また、保守・運用を自社で行うため、専門的な技術者が必要になり運用コストが大きくなります。
これに対してクラウド型PBXは自社にPBXを設置する必要がないため、導入コストを抑えることが可能です。また、保守・運用やシステムのアップデートもサービスを提供している会社が行うため、自社が負担する運用コストを削減できます。
このようにコストを削減できるため、クラウド型PBXの導入が進んできましたが、近年ではPBXのハードウェアも低価格になってきています。一方、クラウド型PBXは月額利用料が発生するため、長期的に利用することで高くなる可能性があります。
また、ハードウェアは独自のネットワークを構築するため、セキュリティを強化できますし、安定したネットワークを構築できます。クラウド型PBXは、費用が高くなっても、機能が豊富であるため成長し続けられます。PBXを導入するときには、長期的に見てコストを比較することが大切です。
2. コミュニケーションツールが多様化
近年ではスマートフォンが一般化しており、クラウド型PBXを含むさまざまなコミュニケーションツールがスマートフォン用アプリでリリースされています。PBX以外にもビジネスチャットやビジネス用のSNSといったようなツールが登場しており、業務の進め方が変わりつつあります。
最近では、内線電話でやり取りをするのではなく、ビジネスチャットで意思疎通を行うことが増えており、クラウド型PBX以外のツールを導入する企業が増えています。
ここまで説明してきたように、クラウド型PBXの需要は増えているものの、最盛期と比較すると成長率は落ちている傾向にあることが分かります。
クラウド型PBXの海外市場規模とその動向
ここまで説明したように、国内ではクラウド型PBXが急成長し、近年では落ち着きつつあるものの市場シェアを伸ばしてきています。では、日本国内と比較して海外のPBX事情はどうでしょうか。
ここからは海外のクラウド型PBXの市場規模や動向を説明していきます。
UCサービスの台頭とクラウド型PBX市場の拡大
海外でもクラウド型PBXの市場は拡大している傾向にあります。海外の市場はエリアによって変わりますが、主に北米地域のクラウド型PBX市場の成長は著しく、シェアを拡大しています。このクラウド型PBXの市場が拡大した要因は、UCサービスの台頭によるものといわれています。
UCサービスとは「Unified Communication」の略であり、電話・メール・チャット・Web会議などさまざまなコミュニケーションツールを統合したサービスを意味します。このUCサービスはIT技術の発展により、コミュニケーションをスムーズに行えるようになっています。
海外のビジネスツールは、クラウド型PBXにこのUCサービスの機能が追加されており、UCサービスが充実したことによりクラウド型PBX市場が拡大したといわれています。
海外では従来PBXが縮小傾向
ここまで解説してきたように、UC機能を持つクラウド型PBXはハードウェアを用意する必要がなく、低コストで充実した機能を導入できます。そのため、クラウド型PBX市場の拡大に伴い、ハードウェア型の従来のPBX市場は縮小傾向にあります。
海外ではハードウェアでPBXを提供している企業を中心に、ソリューションのクラウド化を進めているため、ハードウェア型のPBXそのものが少なくなっているといわれています。
このように導入する企業と、提供している企業の間でも、クラウド化が進んでいるため、ハードウェアの需要は縮小しています。また、国内との違いとしては、国内では小規模の企業でクラウド型PBXの需要が高まっていますが、海外では中小企業だけでなく大企業でもクラウド化が進んでいる点が挙げられます。
その要因は、従業員数が多い大企業でもコストのメリットがあるような課金形態でサービスを提供しているからだといわれています。国内と違い、海外ではグローバル化が進んでいるため、インターネット環境があれば利用できるクラウド型PBXの需要が高くなっているのです。
ここまで説明したように海外ではUC機能を持つクラウド型PBXの市場が拡大しています。
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働き方の変化に求められるUCサービス
海外だけではなく、国内でもUCサービスは注目されており、その機能は多くの企業で評価されています。実際に、市場環境の変化により統合したコミュニケーションツールであるUC機能を持ったクラウド型PBXは、国内外を問わず注目されています。
ここからはUCサービスの特徴について解説していきます。
働き方改革に対応
企業が抱える課題は、年々深刻になっており、その対応に追われています。主な課題は以下の通りです。
- ■少子高齢化による市場縮小
- ■労働人口の減少
- ■事業継続に向けたグローバルへの進出
このような状況の中、企業が成長するためには、高度で円滑なコミュニケーションを行い、状況把握や意思決定をスムーズに行うことが大切です。
特に人材不足は、どのような企業でも感じている課題ですが、さまざまな技術が発展することによって働き方の変化に柔軟に対応できます。人材を有効活用するには、働く場所や時間に制限されずに業務を行う環境が必要になります。
UC機能を持ったクラウド型PBXであれば、自宅でもコール業務を行うことができ、社内コミュニケーションをスムーズに行うことが可能になります。
コミュニケーション方法を多様化
クラウド型PBXを活用することで音声をクラウド化し、働き方の変化に柔軟できます。スマートデバイスが業務で使われるようになっているため、チャットやSNSを使ったコミュニケーションがより簡単に行えます。
さらにスマートフォンでもPBXと同じ機能を使えるため、音声をクラウド化することにより、さまざまな働き方に対応できると考えられています。
今後はさらにUC機能が発展すると考えられているため、ハードウェアの価格が下がっているPBXよりも、有用性は高くなるでしょう。海外と同様に日本国内でもUC機能を持つクラウド型PBXの市場が拡大していくでしょう。
トレンドはクラウドPBX!自社に合った製品を導入しよう
今回は国内外のPBXの市場やトレンドについて紹介してきました。従来のように社内にハードウェアを設置するPBXはコストがかかるため、一度は勢力が弱くなりましたが、ハードウェアの低価格化により再び勢力を増しています。しかし、近年のトレンドは社内にPBX環境を構築しないクラウド型PBXです。
このクラウド型PBXはUC機能の台頭により世界的にはニーズが再び高まっています。国内でもUC機能があるクラウド型PBXが注目され始めています。以下の記事では、人気のPBX比較と選び方を詳しく解説していますので、ぜひ無料で資料請求して、自社に合った製品の導入を検討してみましょう。