経営上重要な販売管理の業務フロー
販売管理業務は以下の流れで進みます。
それぞれのポイントについて、詳しく解説します。
1 受注管理を行う
受注管理には大きく分けて「見積り」「契約」「受注」の3段階に分けられます。
企業間のやりとりでは、実際の取引を行う前に注文する商品の個数や期日に応じた金額を提示します。この時提示する書類が「見積書」であり、発注する企業が作成を依頼します。見積書の内容に問題がなければ取引を決定するため「契約」を行います。
最終的に契約内容に応じて注文を受け付けることが「受注業務」です。受注業務は、注文内容を記載した明細や受注伝票の発行などの事務作業であることが多いです。基本的には営業部門の社員が行うケースがほとんどですが、大きな企業になると受注は専用の部署が行うケースもあります。
ここまでの業務をまとめて管理することが受注管理の役割です。
2 出荷管理を行う
受注業務が完了すると、受注した商品を出荷する業務へ移ります。出荷管理には大きく分けて「出荷業務」「納品業務」の2種類の業務があります。
「出荷業務」は名前の通り、出荷に必要な書類を作成し、受注した製品を出荷する手配を行うことです。在庫・倉庫管理を行っている担当者に出荷情報を共有し、納期に間に合うように出荷をします。
「納品業務」は出荷した商品を納品し、その事実を確認することです。一般的に納品伝票や受領証を発行し、確認印が押されるまでが納品業務です。自社で納品することがあれば、携している配送業者を通して納品されるケースもあります。
3 請求管理を行う
請求管理業務は請求書の発行を行いますが、必要な書類を発行するだけでなく、代金を回収し、支払われた金額の確認を行います。販売管理業務の中でも特に「期日」が重要なポイントになるため注意しましょう。企業間の取引では商品と代金を交換するのではなく、決まった支払日までに指定された金融機関に振り込みます。
販売管理の場合は、指定した期日までに正確な金額がしっかりと振込まれているか確認します。万が一金、額が振込まれていなければ、営業部門など窓口になっている担当者に事情を連絡し、入金を催促します。
4 在庫管理を行う
販売管理の業務では受注してから納品するまでの管理だけでなく、自社の在庫がどれくらいの個数あるか管理も行います。実際に営業部門や顧客から商品の在庫数の問い合わせがあったときに対応するのは販売管理部門です。
例えば、営業部門から在庫数に関しての問い合わせを受けたとき、回答までの時間を短縮できれば営業部門の効率が良くなります。そのため、販売管理部門では商品の在庫を把握し、問い合わせに対応できる環境を整えなければなりません。
5 仕入管理を行う
販売管理業務では、実際に売れた数以外にも自社の支払いを管理する一面もあります。在庫管理を行っていれば、商品の過不足を把握が可能です。不足している商品に関しては製造するか、発注する必要があります。
この仕入管理を適切に行うことで、在庫数を最適化できます。仕入管理の流れは自社が商品を販売するときと同様に、「見積り」「契約」「発注」を行います。発注した商品を受注し、支払いを行うまでが支払管理の業務範囲です。
業務を効率化する「販売管理システム」とは
ここまでの説明のように、販売管理業務はいくつもの業務に分かれ複雑になっています。しかし、販売管理業務は重要度が高いため、正確な情報を取り扱わなければなりません。そのため、人の手で行うとどうしてもミスが起こりやすいなど非効率な部分が出てきてしまいます。
そこで、販売管理業務を効率化する手段として「販売管理システム」があります。販売管理システムとは、販売管理の業務フローを自動化するシステムです。例えば、営業部門が作成した見積書の情報を入力しておけば、その情報を共有して請求書や納品書を自動で発行できます。
人の手による入力の場合、情報を転記するときにミスが発生する可能性があり、時間もかかります。販売管理システムを活用することで、今まで発生していた業務の二重化を削減し、ミスを防ぐことが可能です。
販売管理システムのメリット
販売管理システムのメリットは、以下の2つが挙げられます。
- 業務スピード・精度を向上できる
- 的確な経営判断・コストカットが期待できる
それぞれのメリットについて、詳しく解説します。
業務スピード・精度を向上できる
先程の説明のように、販売管理システムを活用することで業務を自動化し、業務の精度が向上します。販売管理業務以外にもさまざまな情報を共有できるため、関係している各業務のスピードアップを図ることも可能です。
例えば、営業部門や顧客から商品の在庫数に関する問い合わせを受けたときは、迅速に対応しなければなりません。このときに、販売管理システムを活用していると、該当する商品の在庫数を瞬時に検索でき、問い合わせに対応できます。
的確な経営判断・コストカットが期待できる
販売管理システムは自社で扱っている全商品の売上情報から在庫の状況まで、さまざまな情報を一元管理できます。
今までの営業活動や生産データを蓄積することで、重要な経営判断を行う際の参考になり得るでしょう。実際に蓄積したデータを効果的に分析し、経営の意思決定をサポートする販売管理システムも存在します。
このように販売管理業務だけでなく、データを蓄積することで適切な分析を行い、戦略的な行動を実現できます。また、企業内の状況を把握できるため、無駄を見つけコストを削減する効果も見込めるでしょう。
販売管理に必要不可欠な帳票
ここまでの説明のように、販売管理は複数の業務が存在しています。そのなかでも特に重要な意味を持つものが「帳票類の発行」です。企業間の取引は常に取引を行う証明が必要です。このやり取りを証明するものが「帳票類」であり、管理している情報をもとに作成しなければなりません。
では、具体的に販売管理ではどのような帳票が必要になるのでしょうか。販売管理業務では請求書などの書類以外にもさまざまな帳票が存在するため、適切に業務を行うために種類を把握しておきましょう。ここからは販売管理に必要な帳票類を紹介していきます。
帳票1:見積書
見積書とは、製品やサービスの金額や取引条件を、契約前に取引先に提示する書類のことです。この見積書には、項目・金額・納期・支払い条件などを記載します。契約を結ぶ前にこのような内容を提示することで、双方の認識にズレがないかを確認する役割があります。
また、見積書の発行は1回だけでなく、状況や交渉によって複数回発行することもあります。見積書の内容に問題なければ契約を行い、その後請求書を発行します。
このときに見積書と請求書の内容に差が発生してはいけません。見積書を活用することで、認識違いなどのトラブルを防げるため、取引先は安心して契約できます。見積書を活用してスムーズに取引を行いましょう。
帳票2:注文書
注文書とは発注した内容を記載した書類のことです。注文書は発注書とも呼ばれ、商品・サービスの提供元への依頼内容も記載されています。見積書・契約書と同じ内容を記載しなければなりません。
この注文書には、見積書や契約書よりも具体的な依頼が記載されていることが多いです。担当者とのやり取りによって「いつまでに」「どのような方法で」提供するかを指示します。見積書と注文書は同じ役割を担うことが多いため、見積書兼発注書として同じように扱われることもあります。
帳票3:納品書
納品書は納品したことを証明する帳票です。基本的に納品書は納品物と同時に取引先に届けられます。納品されたことを確認する役割があり、必ず発行する義務はありませんが、トラブルを防止するために使われます。
この納品書の形式は特に決まっていません。基本的には何がいつ届いたのかが記載されていれば問題ありませんが、詳細は取引を行う企業間で決めます。そのため、納品書に不備があれば問い合わせを行って発行してもらいましょう。
販売管理システムの導入で業務フローを効率的に実施しよう
いかがでしたか。今回は販売管理の業務フローについて紹介してきました。販売管理業務は製造業や自社でサービスを提供している企業にとっては非常に重要です。人の手だけで行うと非効率でミスが発生しやすいため、販売管理システムを使って効率化すると良いでしょう。
この販売管理システムには対応している規模や業界があるため、自社に合ったシステムを選ぶことが大切です。最適なシステムを導入し、業務フローを効率化しましょう。