POSシステムとは
POS(Point of Sale:販売時点情報管理)システムとは、商品が売れた時点の情報を取得し、売上・在庫・顧客などのデータを管理・分析するシステムです。商品名や販売価格、数量、販売日時、店舗、決済方法などの情報を記録し、店舗運営や経営判断に活用できます。
POSシステムを利用すると、レジで会計を行うだけでなく、商品の販売と同時に在庫数を更新したり、店舗別・商品別の売上を集計したりできます。複数店舗やECサイトとデータを連携できる製品もあり、販売情報を一元的に把握するための基盤として活用されています。
POSシステムの仕組み
POSシステムは、商品や注文の情報を取得し、商品マスタを参照して会計処理を行ったうえで、売上・在庫データをサーバーやクラウドに記録する仕組みです。蓄積した販売データは、売上分析や在庫管理、仕入れ、販促施策などに活用されます。
POSシステムにおける基本的なデータの流れは、以下のとおりです。
- 1.バーコードなどから商品を識別する
- 2.商品マスタから価格や商品情報を呼び出す
- 3.金額を計算し決済処理を行う
- 4.売上を記録し在庫数を更新する
- 5.販売データを集計・分析する
1.バーコードなどから商品を識別する
商品に付いたバーコードをスキャナーで読み取ったり、POS端末の画面から商品やメニューを選択したりして、販売する商品を識別します。
一般的なJANコードを利用したPOSシステムでは、バーコードから価格そのものを読み取るのではなく、商品コードをもとに商品マスタを参照し、商品名や価格、税率などの情報を呼び出します。飲食店では、ハンディ端末やタブレットから入力した注文情報をPOSシステムに送信する方法もあります。
2.商品マスタから価格や商品情報を呼び出す
取得した商品コードをもとに、商品マスタに登録されている商品名や価格、税率などを呼び出します。セール価格や会員割引、クーポン、ポイント利用などを設定している場合は、条件に応じて会計金額へ反映されます。
価格や税率などをあらかじめ登録しておけば、スタッフが金額を手入力する機会を減らせるため、会計業務の効率化や入力ミスの防止につながります。
3.金額を計算し決済処理を行う
商品情報をもとに購入金額や消費税、割引額などを計算し、会計金額を確定します。その後、現金やクレジットカード、電子マネー、QRコード決済など、顧客が選択した方法で支払いを処理します。
キャッシュレス決済を利用する場合は、POSレジと決済端末や決済サービスを連携させることで、会計金額の入力や決済結果の記録を効率化できます。
4.売上を記録し在庫数を更新する
会計が完了すると、商品名、数量、価格、販売日時、店舗、担当者、決済方法などの情報が販売データとして記録されます。クラウド型POSシステムでは、インターネットを通じてクラウド上のデータベースへ情報を送信します。
在庫管理機能を備えている場合は、販売した数量に応じて在庫数も更新されます。複数店舗やECサイトと連携すれば、店舗や販売チャネルをまたいだ在庫状況の把握も可能です。
5.販売データを集計・分析する
蓄積した販売データは、日別・月別・店舗別・商品別・時間帯別など、さまざまな条件で集計できます。売れ筋商品や売上が伸びる時間帯、店舗ごとの販売傾向などを把握し、仕入れや人員配置、販促施策の検討に活用できます。
製品によっては、在庫不足の通知や発注支援、顧客の購買履歴分析、会計システムやECサイトへのデータ連携などにも対応しています。
POSシステムを構成する機器・システム
POSシステムは、店頭で会計を行うPOS端末だけで構成されているわけではありません。商品情報を取得する機器や決済機器、販売データを保存するサーバー・クラウド、管理画面などを組み合わせて利用します。
| 構成要素 | 主な役割 |
|---|---|
| POS端末 | 商品の登録や金額計算、会計操作などを行う |
| バーコードスキャナー | JANコードなどの商品識別情報を読み取る |
| 決済端末 | クレジットカードや電子マネー、QRコード決済などを処理する |
| レシートプリンター | 商品や金額などを記載したレシートを発行する |
| キャッシュドロア・自動釣銭機 | 現金の保管や入出金、釣銭処理などを行う |
| サーバー・クラウド | 売上や在庫、顧客などのデータを保存・管理する |
| 管理画面・分析機能 | 蓄積した販売データを集計・分析する |
必要な構成は店舗の業種や規模によって異なります。例えば飲食店ではハンディ端末やキッチンプリンター、小売店ではバーコードスキャナーや自動釣銭機などを組み合わせて利用するケースがあります。
POSシステムとPOSレジ・一般的なレジの違い
POSシステムとPOSレジは似た言葉ですが、指している範囲が異なります。また、一般的なレジスターとは、販売データを収集・活用できるかどうかに違いがあります。
| 種類 | 概要 | 主な役割 |
|---|---|---|
| POSシステム | POSレジや管理ソフト、データベース、周辺機器などを含む仕組み全体 | 会計、売上管理、在庫管理、顧客管理、データ分析など |
| POSレジ | POSシステムを利用して店頭で会計処理を行う端末 | 商品登録、金額計算、決済、販売情報の入力など |
| 一般的なレジスター | 主に金額計算や現金管理を行う機器 | 会計金額の計算、レシート発行、現金の保管など |
POSレジは、POSシステムに販売情報を入力する窓口のような役割を担います。一方、POSシステムは、POSレジから集めた情報を保存・集計し、在庫管理や売上分析などに活用する仕組みです。
POSシステムの種類
POSシステムは、使用する端末によって「ターミナル型」「PC型」「タブレット・スマートフォン型」に分類できます。また、データを保存・管理する環境によって「クラウド型」と「オンプレミス型」に分けることもできます。
ターミナル型POSシステム
ターミナル型POSシステムは、POS専用に設計された据え置き型端末を使用するタイプです。耐久性が高く、レジを長時間・高頻度で使用するスーパーマーケットや量販店、飲食店などで利用されています。
業務にあわせて機器や機能をカスタマイズしやすい一方、専用端末の購入やシステム構築が必要となり、初期費用が高くなる場合があります。
PC型POSシステム
PC型POSシステムは、市販のパソコンへPOSソフトウェアをインストールし、バーコードスキャナーやレシートプリンターなどの周辺機器を接続して利用するタイプです。
既存のパソコンを活用できる場合は専用端末を用意する必要がなく、導入コストを抑えられる可能性があります。ただし、対応するOSや周辺機器などの動作環境を事前に確認しておく必要があります。
タブレット・スマートフォン型POSシステム
タブレットやスマートフォンへPOSアプリをインストールして利用するタイプです。専用端末と比べて初期費用を抑えやすく、省スペースで利用できるのが特徴です。
小売店や飲食店をはじめ、イベントやポップアップストア、移動販売などにも適しています。必要に応じてレシートプリンターやキャッシュドロア、決済端末などを追加できます。
クラウド型POSシステムとオンプレミス型POSシステム
POSシステムは、販売データを管理する環境によってクラウド型とオンプレミス型に分けられます。
| 種類 | 特徴 |
|---|---|
| クラウド型 | インターネットを通じてクラウド上のシステムやデータベースを利用する。初期費用を抑えやすく、複数店舗のデータも共有しやすい。 |
| オンプレミス型 | 自社や店舗内にサーバーなどの環境を構築して運用する。自社の業務にあわせてカスタマイズしやすい一方、構築・保守の負担が大きくなりやすい。 |
小規模店舗や短期間で導入したい企業ではクラウド型、大規模チェーンや独自の業務要件が多い企業ではオンプレミス型が選択肢になる場合があります。自社の店舗数や運用体制、必要な機能を踏まえて比較しましょう。
POSシステムの機能
POSシステムには、会計業務だけでなく、店舗運営を効率化するさまざまな機能が搭載されています。代表的な機能は以下のとおりです。
| 機能 | 内容 |
|---|---|
| 会計(レジ)機能 | バーコードスキャンやタッチ操作により、価格計算や決済処理を実行。現金・クレジットカード・電子マネーなど多様な支払いに対応。 |
| 売上管理機能 | 売上データをリアルタイムで記録し、日別・時間帯別・商品別などで分析可能。 |
| 在庫管理機能 | 販売と連動して在庫数を自動更新。在庫不足や過剰在庫の防止に貢献。 |
| 顧客管理機能 | 年齢・性別・購買履歴などを蓄積し、リピーター分析や販促施策に活用可能。 |
| 分析・レポート機能 | 売上や顧客データをもとに、売れ筋商品や来店傾向を分析。 |
| 外部システム連携機能 | ECサイトや販売管理システムと連携し、在庫・売上データを一元管理。 |
POSシステムのメリット
POSシステムを導入することで、業務効率化や売上向上などさまざまな効果が期待できます。
会計業務の効率化
商品情報を事前登録することで、会計作業を大幅に効率化できます。バーコード読み取りやタッチ操作で入力ミスを防ぎつつ、会計スピードを向上させられます。また、支払い方法や顧客属性などの情報も同時に蓄積され、マーケティング分析にも活用可能です。
セキュリティレベルの向上
POSシステムは、取引データの暗号化やアクセス権限の管理を通じてセキュリティを強化しています。不正アクセスやデータ漏えいを防ぐための機能が組み込まれており、顧客情報や販売データの保護を図れます。これにより、消費者の信頼を得やすくなるとともに、法令遵守の面でも利点があるでしょう。
打ち間違いなどのミスの防止
タブレット対応のPOSシステムは、通常のPOSシステムに加えて打ち間違いなどのミス防止につながるメリットがあります。例えば居酒屋のような飲食店では、通常のPOSレジとタブレットのオーダー端末を連携させて、スタッフが各テーブルに注文をとりに行く手間を省けます。それだけでなく、テーブルの着席状況や料理の配膳状況を一元管理し、注文ミスや配膳ミスを防ぐのにも貢献できるでしょう。
商品・在庫・売上管理
会計時に選択された情報は蓄積され、リアルタイムでレポートを作成可能です。売上計上、利益計算、在庫情報などが可視化され、仕入れや商品管理の効率化に役立ちます。購買日の情報や顧客情報など、さまざまなセグメントで分けた分析が可能なので、業務改善や新製品開発にも活用されています。
複数のシステムとの連動
ECサイトを運営している企業では、店舗での在庫とECサイト上での在庫両方の管理が必要です。POSシステムの導入により、在庫管理や分析において両者を統括したり、分割したりすることが可能です。
例えば、在庫管理は店舗とECサイトそれぞれ別個のほうが管理しやすいでしょう。売れ筋の商品を分析する際は両者を統括したほうが便利かもしれませんし、店舗とECサイトの運営を比較するなら別個で分析したほうがよいでしょう。
また、店舗運営だけでなく受発注や請求管理まで含めて業務全体を効率化したい場合は、販売管理システムとの連携や導入も有効です。販売管理システムを活用することで、売上・在庫・仕入・請求情報を一元管理でき、バックオフィス業務の効率化や経営管理の精度向上につながります。
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POSシステムのデメリット・注意点
POSシステムには店舗運営を効率化できるメリットがある一方、導入費用や通信障害などに注意が必要です。導入後の運用も想定したうえで製品を比較しましょう。
導入費用や月額料金がかかる
POSシステムの導入には、POS端末や周辺機器の購入費用、ソフトウェアの利用料などがかかります。低価格なクラウド型でも、レシートプリンターやキャッシュドロア、決済端末などを追加すると費用が増える場合があります。
通信障害や端末の故障に備える必要がある
クラウド型POSシステムは、基本的にインターネットを通じてデータを送受信します。通信障害が発生すると、一部の機能を利用できなくなる可能性があるため、オフライン時の会計可否や復旧方法を確認しておきましょう。
従業員への操作教育が必要になる
新しいPOSシステムを導入すると、会計方法や返品処理、売上確認などの操作を従業員に周知する必要があります。画面が複雑な製品を選ぶと、操作ミスや会計時間の増加につながる可能性があります。
セキュリティ対策が必要になる
POSシステムでは、売上情報だけでなく、顧客情報や決済に関する情報を扱う場合があります。アクセス権限の設定や通信の暗号化、ソフトウェアの更新など、適切なセキュリティ対策が必要です。
POSシステムの選び方・比較ポイント
POSシステムには従来のオンプレミス型、最近増えつつあるクラウド型、さらにそのなかにも業種特化型のように、さまざまなサービスが存在します。自社・自店舗に合ったシステムを選ぶための5つのポイントを紹介します。
導入目的を明確にする
自社業務に適したシステムを選ぶことが重要ですが、そのためには、導入目的を明確にして、どのような課題を解決するのかを整理しておく必要があります。ありがちな失敗が、多機能のシステムを選んだものの、使わない機能が多く現場での使い勝手が悪い割に、ランニングコストがかかりすぎてしまうというもの。
このようなことがないように、自社の業務に対して、どのような機能が必要なのか、よく考える必要があるでしょう。また、業務特化型のシステムを選ぶことも一案です。
自社の規模と拡張性も考慮
当然ながら、拠点数が少ない店舗と、全国的に拠点をもつ店舗とでは導入するシステムが異なります。例えば、店舗数の拡大戦略をとっている企業ならば、拡張性をもつシステムが必要となるでしょう。店舗数の変動が激しい場合にも対応できるような柔軟性があるシステムを選ぶ視点が必要というわけです。
一方、小規模店舗であれば、店舗数はほぼ変わらないだけでなく、限られた業務しか行わないものと考えられるので、不要な機能が少ないシステムを選ぶことでコストを抑えられるでしょう。
運用・保守の体制を考える
システム導入だけでなく、導入後の運用・保守を考えることも重要ポイントです。社内にシステムを運用できるスタッフがいるかどうかで、選ぶシステムも変わってきます。
POSシステムを導入することで、新たにサーバやネットワーク機器、その他POSハードウェアなどさまざまな機器が導入されるとともに、そのソフトウェアが安定的に動いているのか監視する必要性も生じるでしょう。
このような業務にリソースが割けるのかどうか、割けないならばどのように対応するのかを具体的に考える必要があります。そのため、ベンダーやメーカーのサポート体制について、詳しく条件などを確認し、何かあった場合にも業務が止まらないような体制作りを考えなければなりません。
現場の使いやすさも考慮
現場では顧客と対面し、POSレジを使うことが日常業務です。そのため、スタッフがPOSレジをスムーズに使いこなせることは、顧客満足度向上を考えるうえでも重要なことです。POSシステムを選定する際にも、現場の人が迷わず簡単に操作できるようなインターフェースがあるシステムを選びましょう。
昨今、業種ごとに特化したタッチパネルを搭載したPOSレジも多く登場しているので、そのような製品を選ぶのも一案です。また、実際にデモ利用などができるのならば、現場のスタッフ何名かに実際に触ってもらい、感想を聞きながら選定してもよいでしょう。
経営戦略・戦術に即した使い方ができるか
POSシステムを経営判断に活用することは、重要な導入目的の一つです。そのため、得られた情報を容易に見やすく加工できるか、必要な情報を必要なタイミングで適切に取得できるかといったことも、システム選定の際には重要なポイントです。
「経営判断にはどのような情報が必要か」を明確にし、その情報が的確に得られるシステムを選ぶ必要があります。
POSシステムの今後の動向
バーコードの読み取りから集計までのスピーディーな取引を支えるPOSシステムは、今や売上管理のリアルタイム化を可能にし、効率的な経営を実現しています。そして将来的には、機動性と柔軟性を高めるタブレット端末やクラウド型システムが主流になることが見込まれるでしょう。
これらの変化はPOSシステムの低コスト化を進め、導入を促進し、例えば初期投資を抑えたい小規模の店舗や、まずはスモールスタートして市場の反応を見て、業績に応じて拡大していきたい企業にとっても役立つはずです。また、販売データの詳細な分析を可能にすることで、商品の売れ筋を把握し、個別店舗のマーケティング戦略を練るうえでの精度を格段に向上させるでしょう。
ビジネスのDX(デジタルトランスフォーメーション)を加速するPOSシステムは、今後も革新的な変化を遂げながら、店舗運営の要としての役割を強化していくことが期待されます。
まとめ
POSシステムは、商品が売れた時点で販売情報を取得し、売上や在庫、顧客情報などを記録・管理する仕組みです。会計業務の効率化だけでなく、販売データを分析して仕入れや在庫調整、販促施策などに活用できる点も大きな特徴です。
POSシステムには、ターミナル型やPC型、タブレット・スマートフォン型などがあり、クラウド型・オンプレミス型といった提供形態の違いもあります。導入目的や店舗規模、必要な機能、外部システムとの連携性などを比較し、自社の運用に適したPOSシステムを選びましょう。


