給与明細の電子化とは
給与明細の電子化とは、紙で配布していた給与明細を電子メールやPDF、クラウドなどの電子データに変換して交付することです。
給与明細を電子化すると、給与明細の印刷や封入、配布や郵送といった作業工程を大幅に短縮できるため業務効率が向上します。また、書類の作成にかかっていた人的コストや印刷コストの削減も可能です。
在宅勤務やテレワークなど多様化する働き方にも適しており、現在では多くの企業で導入されています。
電子化した給与明細の交付方法
国税庁によると、給与明細の電子交付方法として認められているのは以下の3つです。
- 1.電子メールを利用する方法
- 2.社内LAN・WANやインターネット等を利用して閲覧する方法
- 3.フロッピーディスク、MO、CD-ROM等の磁気媒体等に記録して交付する方法
一般的には、電子メールで送付する方法とクラウド上で閲覧させる方法が広く利用されています。
参考:1.基本的な事項| 国税庁
【管理者視点】給与明細電子化のメリット
給与明細の電子化には、管理者と従業員それぞれにメリットがあります。まずは管理者視点でのメリットを見ていきましょう。
管理者視点のメリットは、以下の3つが挙げられます。
- ●コストの削減
- ●ミスの減少と業務効率化
- ●紛失リスクの軽減
それぞれのメリットについて詳しく解説します。
コストの削減
給与明細を電子化すると、メールやWeb上で配布が可能なため、紙や印刷代、郵送代などが不要になります。これら一つひとつの費用は小さいため、コスト削減効果もあまり得られないように感じるかもしれませんが、年単位で考えればコストの大幅な削減が見込めるでしょう。加えて、印刷した明細書の封入や切手貼り、投函作業などにかかっていた人的コストも削減できます。
ミスの減少と業務効率化
人の手で給与情報の管理や給与明細の配布作業を行っていると、気をつけていても配布ミスや給与データの転記ミスなどが発生してしまう場合もあります。しかし、給与明細電子化ツールを活用すれば、作成した明細は従業員ごとに自動配付するため、配付ミスを防げます。
また、既存の給与計算ソフトとの連携により、給与データが自動でシステムに反映されるため、手作業による転記ミスの防止が可能です。間違いがないようWチェック体制で時間をかけていた確認作業がカットできれば、業務効率化にもつながります。
紛失リスクの軽減
紙の給与明細は従業員に配布する前に誤って紛失してしまったり、従業員自身が間違えて捨ててしまったりする場合があります。しかし、給与明細が電子データで配布され、端末から確認できるようになれば、紛失のリスクはなくなるでしょう。
また、企業に給与明細の保管義務はないものの、給与明細の記載項目は賃金台帳と重なるところが多いため、賃金台帳と同じく最低5年間保管しておくことが推奨されています。電子化されていれば、長期保管する際に起こり得るデータの改ざんや紛失といったリスクも軽減できるでしょう。さらに、明細書を保管するための物理的なスペースが不要になるのもメリットの一つといえます。
【従業員視点】給与明細電子化のメリット
従業員にとってのメリットは、いつでもどこでも給与明細を確認できることです。Web給与明細サービスは、スマホやタブレットなどモバイル端末に対応した製品も数多くあります。外出先や普段の業務でパソコンを使っていない場合でも、スマホがあれば給与明細データをいつでも確認できます。
また、多くの製品では給与明細だけでなく、賞与明細や源泉徴収票などの各種明細もWeb上で確認が可能です。
給与明細電子化の注意点
給与明細の電子化には、導入前に知っておくべき注意点もあります。しっかり理解したうえで検討を進めましょう。
従業員からの同意の取得が必要
給与明細の電子化は、平成18年4月1日施行の税制改正によって認められています。しかし電子交付の条件として、従業員からの同意取得が必要です。同意は口頭によるものではなく、証拠として残るものでなくてはいけないため、同意書を作成する必要があります。
同意書の作成手順や提示すべき内容などについては以下の記事で詳しく紹介しています。あわせて参考にしてください。
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既存の給与計算システムとの相性
給与明細電子化システムを利用するためには、既存の給与計算システムから給与データを取り込む必要があります。一部の製品では給与計算システムと給与明細電子化システムの機能が一体化しているタイプもありますが、基本的には別々で導入する場合が多いため、既存の給与計算システムとの相性が重要です。
相性が悪いと、読み込み時のデータ整形に手間がかかりミスにもつながります。無料プランや無料トライアルサービスなどを利用して、事前に相性を確認しておくと安心でしょう。
給与明細を電子化する方法
給与明細を電子化する手順は以下のとおりです。
- 1.電子化する範囲を決める
- 給与明細以外に源泉徴収票なども電子化するのか、具体的な電子化の範囲を決定します。
- 2.電子化した給与明細の配布方法を決める
- メール配信や、Webサイトなどのクラウド上での閲覧によるものなど、配布方法はシステムによりさまざまです。自社の担当者の業務負担と従業員のスマホ所持の割合などを考慮し、条件にあったものを選びましょう。
- 3.従業員の同意を得る
- 給与明細における従業員の同意は所得税法で定められています。給与明細を電子化することによるメリットを説明し、従業員の不安を解消できるよう事前に説明会を開催するのがおすすめです。万が一同意が得られない場合は、従来どおり紙での配布が求められます。
- 4.適切な給与明細電子化システムを選定する
- 自社の勤怠管理システムや給与計算ツールとスムーズに連携できるものがおすすめです。セキュリティ性能やシステム連携の柔軟さ、また、紙での配布に対応できるか、などを比較するとよいでしょう。無料トライアルの活用で実際に操作してみると導入後のイメージがつかみやすいといえます。
人気の給与明細電子化システム
ここでは、実際にどんな給与明細電子化システムがあるかを見ていきましょう。ITトレンド上半期ランキング2023Web給与明細(給与明細電子化)システム部門で、資料請求数が多かった上位3製品を紹介します。
製品・サービスのPOINT
- シンプルな画面構成で、マニュアルいらずの簡単操作!
- PC、スマホ、タブレットからいつでもどこでも明細閲覧が可能!
- 自社データセンターを使用し、高セキュリティで低価格を実現。
ITトレンド上半期ランキング2023Web給与明細(給与明細電子化)システム1位
「S-PAYCIAL」は、鈴与シンワート株式会社が提供するWeb給与明細システムです。給与明細書のほかに賞与明細書や源泉徴収票、支払調書にも対応しています。また、社会保険改定通知書やアンケート機能など、業務効率化に役立つオプション機能が充実しているのも特徴です。
対象企業規模 |
すべての規模に対応 |
提供形態 |
クラウド / SaaS / ASP |
参考価格 |
初期費用50,000円 月額30円/人 |
対応機能 |
メール配信/Web閲覧 |
業種 |
その他 |
従業員規模 |
750名以上 1,000名未満 |
S-PAYCIAL with 電子給与明細のいい点 |
★ ★ ★ ★ ★ 5
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課金は登録者数ではなく、実際に送信した数に対しての請求であり、退社した社員をすぐに削除する必要がない。登録から運用まで、非常にシンプルで機能性は高いと思います。
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業種 |
その他 |
従業員規模 |
750名以上 1,000名未満 |
S-PAYCIAL with 電子給与明細の改善してほしい点 |
★ ★ ★ ★ ★ 5
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明細のレイアウトに柔軟性がなく、不要な項目部分に給与明細の空白部分が出てしまうことから、多少見にくく見える印象がある。
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《ポケット給与》のPOINT
- 給与明細をスマホ・PC・タブレットで、いつでもどこでも閲覧可能
- 年末調整・マイナンバー収集・オリジナル帳票など幅広く電子化!
- 充実した機能と分かりやすい操作性で業務をサポート
ITトレンド上半期ランキング2023Web給与明細(給与明細電子化)システム2位
株式会社ICSソリューションズが提供する「ポケット給与」は、従業員の希望にあわせて給与明細の受け取り方法を12種類から個別設定できるのが特徴です。給与明細のほか、賞与や源泉徴収票にも対応しています。さらに、社会保険料変更通知書や昇給通知書、請求書などのオリジナルフォームも用意されています。
対象企業規模 |
すべての規模に対応 |
提供形態 |
クラウド / SaaS / ASP |
参考価格 |
初期費用見積もり 月額30円~/人 |
対応機能 |
メール配信/Web閲覧 |
業種 |
不動産 |
従業員規模 |
1,000名以上 5,000名未満 |
ポケット給与のいい点 |
★ ★ ★ ★ ★ 5
|
基本的に手間をかけることがないという点がこの製品の良さだと思います。例えば、web給与を利用するにあたってのアドレスやパスワードの登録は従業員自身が行いますので、経理スタッフとしての手間はかかりません。経理業務が増えている状況ですので、手間が省けるのはありがたいです。
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業種 |
不動産 |
従業員規模 |
1,000名以上 5,000名未満 |
ポケット給与の改善してほしい点 |
★ ★ ★ ★ ★ 5
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導入してからまだ1年経っていませんが、今のところ問題なく使っていますので、改善してほしい点はありません。
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《SmartHR》のPOINT
- Excelや給与計算ソフトのCSVデータを活用し給与明細配布
- 給与明細配布前に内容確認可能
- 貴社独自の給与明細項目も追加可能
ITトレンド上半期ランキング2023Web給与明細システム(給与明細電子化)3位
ITトレンド認定Good Productも受賞した、株式会社SmartHR提供の「SmartHR」は、Web給与明細機能を搭載したクラウド型の人事労務管理ソフトです。給与明細の電子化だけでなく、人事データも一括管理したい企業におすすめです。また、給与データのCSVインポート後に確認フローを挟み、従業員へ通知を送る前に内容をチェックできるためミス防止にも効果的でしょう。
対象企業規模 |
すべての規模に対応 |
提供形態 |
クラウド / SaaS |
参考価格 |
ー |
対応機能 |
メール配信/Web閲覧 |
※"ー"の情報はITトレンド編集部で確認できなかった項目です。詳細は各企業にお問い合わせください。
業種 |
コンサル・会計・法律関連 |
従業員規模 |
10名未満 |
SmartHRのいい点 |
★ ★ ★ ★ ★ 5
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従業員が自分で従業員情報を入力するので、後からデータベース化しなくてもデータベースが出来上がっている。退職届や住所変更届などもsmartHRで作成できるので便利。
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業種 |
コンサル・会計・法律関連 |
従業員規模 |
10名未満 |
SmartHRの改善してほしい点 |
★ ★ ★ ★ ★ 5
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従業員が従業員情報を書き換えた際、ログを見ることはできるが、どこが書き変わったのか従業員のページでフラグなどがつくと分かりやすいと思う。
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給与明細電子化サービスに興味がある、Web給与システムについて知りたいという方は、以下のボタンから最新ランキングを確認できます。問い合わせが多い人気製品を紹介しているので、傾向の把握や比較検討にもお役立てください。
給与明細電子化システムの基本機能
ここでは、給与明細電子化システムの基本機能について紹介します。製品によっては複数のツールが統合されています。自社に必要な機能を見極めたうえで製品を選ぶとよいでしょう。
- メール配信
- 給与明細データを従業員へ自動配信する
- Web閲覧
- Webブラウザで閲覧可能な専用ページへ従業員がアクセスし、給与明細閲覧・ダウンロードが行える
- スケジュール設定
- Web公開日の設定やメール配信予約ができる
- 外部システム連携
- 給与計算ソフトウェアや勤怠管理システム、チャットツールなどと連携できる
- 配布手段選択
- Webページ上での閲覧・PDFの受信など、従業員が希望する配布手段を選べる
給与明細電子化のメリットを理解しシステムの導入検討を
給与明細を電子化すると、ペーパーレス化や作業効率の向上、コスト削減など多くのメリットがあります。給与明細電子化システムの導入を検討している場合は、既存の給与計算システムとの相性やセキュリティなどに配慮しながら、製品を選定しましょう。
まずは気になる製品の資料請求をしてみて、製品について詳しく知ってから比較検討することがおすすめです。