
ERPとBIツールの関係とは?連携の重要性を解説
企業がデジタル化を進めるなかで、ERPとBIツールの連携が注目を集めています。ERPは販売や在庫、会計などの業務データを一元管理するシステムですが、蓄積されたデータをそのままでは経営判断に活かしきれないケースもあります。
そこで、BIツール(BIシステム)を組み合わせることで、データの分析・可視化が可能となり、より戦略的な意思決定が実現します。両システムは相互に補完し合う関係にあり、連携によってデータ活用の真価が発揮されるのです。
BIツールとは?ERPとの違いや役割を比較
BIツール(Business Intelligenceツール)は、企業が蓄積したデータを集計・分析し、視覚的にわかりやすくアウトプットするためのツールです。一方で、ERPは業務全体を一元管理する「データの蓄積」が主な役割です。
つまり、ERPは「データを集めるシステム」、BIシステムは「データを活かすシステム」といえます。両者は役割が明確に異なるものの、連携することで業務全体の見える化と高度な経営判断を支援する強力な基盤となります。
ERPとBIの連携がもたらすデータ活用の高度化
ERPとBIツールを連携させることで、企業はリアルタイムで多角的なデータ分析が可能になります。例えば、ERPに蓄積された販売・在庫・財務データをBIシステムが統合・可視化することで、各部門の業績や課題を即座に把握できます。
これにより、経営層は的確な意思決定を行いやすくなり、現場も迅速な対応が可能になります。単体では得られないインサイトを導き出せる点こそ、ERPとBIの連携がもたらす最大の価値です。
BIツールとERPの関係性については、こちらの記事もあわせてご覧ください。それぞれのおすすめ製品も紹介しています。
ERPのデータをBIツールで有効活用しよう
ERPとBIツールの基本的な違いを整理したうえで、なぜ両者を連携して活用すべきなのか、その理由を見ていきましょう。
BIツールとERPの違い
ERPは基幹業務のデータを一元管理できるため、「経営データの可視化も可能=BIツールと同じ機能をもつ」と考えられがちです。しかし、BIツール(BIシステム)は、複数のデータソースを組み合わせて柔軟に分析し、必要な情報を自由に抽出・出力できる点が大きな違いです。
適切な活用方法としては、社内に点在するデータをまずERPで統合し、その統合データをBIツールで分析する流れが効果的です。2つのシステムは連携させることで相互に補完し合い、単独利用よりも高い成果が期待できます。最近では、ERPにBIツールの機能が標準搭載されているケースも増えています。
ERP導入のみでは活用効果は半減する
ERPだけを導入している企業も少なくありませんが、データを統合するだけでは経営の効率化までつながらないケースが多く見られます。ERPは分散していた業務処理を統合し、事務作業の負担を軽減するためのツールです。そのため、現場では導入効果を実感しやすい一方で、経営層にとっては活用しきれていないのが実情です。
ERPから得られるデータだけでは、投資効果や売上につながるプロセスの詳細まで把握するのは難しく、経営判断に活かせる情報としては物足りないと感じる場面もあるでしょう。情報の分析・活用まで視野に入れるなら、ERP単体では限界があるのです。
統合したデータを分析するためにはBIツールが必要
ERPでデータを統合しただけでは不十分で、それを経営判断に活かすにはBIツールの導入が重要です。現場からは「ERPだけで十分」という声もあるかもしれません。しかし、経営層やマネジメント層の視点では、統合されたデータをさらに分析し、有益なインサイトを得たいと考えるのが自然です。
BIツールは、ERPに集約されたデータをもとに、現状をグラフや表で直感的に可視化できます。操作もシンプルなものが多く、現場の業務改善から経営戦略の立案まで幅広く活用可能です。
ERPとBIツールを連携すれば、それぞれの強みを補完し合い、企業全体の意思決定や業務効率を飛躍的に高められます。
BIツールとERPを連携させるメリット
BIツールとERPを併用することで、業務や経営にどのようなメリットがあるのでしょうか。ここでは、両システムを連携させることで得られる主な利点を紹介します。
ERPのデータを活用して分析できる
BIツールとERPを連携させることで、変化する業務データをリアルタイムに可視化し、迅速な対応が可能になります。ERPにはすでに販売・在庫・財務などの情報が統合されており、BIツールはそのデータを分析するための基盤として活用できます。
ERPで集約されたデータをBIツールで分析し、グラフや数値として視覚化することで、経営層や現場担当者が状況を把握しやすくなり、意思決定のスピードと質が向上します。
専門知識がなくても有効な情報をアウトプットできる
BIツールを使えば、データ分析の専門知識がなくても、有益な情報を簡単にアウトプットできます。例えば、データマイニングのような複雑な分析も、ツール上で設定するだけで自動的に処理され、誰でも活用しやすい形で結果を得られます。
経済学や統計の知識がなくても、ビジネスに必要なインサイトをスピーディーに導き出せるのが、BIツールの大きな強みです。
業務を効率化し適切な経営判断ができる
ERPから取得したデータをBIツールに取り込むことで、業務プロセスごとの詳細な情報を把握できます。これにより、課題の特定や改善点の洗い出しがしやすくなり、業務全体の効率化につながります。
さらに、蓄積されたデータをもとにした分析結果は、経営判断の材料としても活用可能です。どの業務に改善が必要かを明確にし、根拠に基づいた意思決定を後押しします。
現場の状況をリアルタイムに見える化できる
ERP単体ではデータの統合にとどまりますが、BIツールを活用することで、それらの情報をリアルタイムに視覚化できます。ダッシュボード機能を使えば、設定した指標に基づいて分析結果を自動表示し、現場の状況を常に把握できる状態を作れます。
こうした機能により、変化の兆しを即座に察知し、現場レベルでも柔軟な対応が可能になります。ダッシュボード機能について、詳しくはこちらをご覧ください。
ERPとBIツールを導入するときの注意点
ここでは、ERPとBIツールを導入する際に注意してほしい3つのポイントを紹介します。
ツールを導入する目的を明確にする
ERPとBIツールを導入する前に、「なぜ導入するのか」を明確にしておきましょう。自社が抱えている問題をすっきり解決できるものでなければ、導入の効果は薄れてしまうためです。事前に確認しておくべき点としては、以下の3つが挙げられます。
- ■業務上の問題点
- ■問題をどのようにして解決したいのか
- ■最低限ほしいデータの種類
また、ERPやBIツールは失敗しても買い直せばよいと思えるような安い買い物ではありません。そのため、目的を明確にしたうえで失敗しない買い物をしなければならないのです。
社内に分析するために必要なデータがあるか確認する
ERPやBIツールを導入する前に、分析に必要なデータがあるかを確認しておきましょう。ERPやBIツールは情報を分析するシステムであるため、情報がなければそもそも効果を発揮しません。
システムやデータと連携できるか確認する
BIツールを選ぶ際には、システムやデータと連携できるかをしっかりと確認しておきましょう。ERPとBIツールは元来別の製品です。そのため、ツール同士でデータの連携ができなければ導入する意味がありません。
BIツールを導入してERPを更に活用しよう
ERPのみを利用している場合、経営判断のツールとしては不十分なケースが多いです。情報を活用するにはBIツールとの併用が有効であり、合わせて使うことで情報の見える化、そして適切な経営判断を補助してくれます。
ただし、BIツールもERPも安い買い物ではありません。そのため、導入目的を事前に明確にしたうえで製品選びをする必要があります。自社にあったBIツールを選び、ERPとの併用で、BIツール(BIシステム)の力を最大限に活かし、ビジネスをさらに加速させましょう。
