CRM導入で失敗する理由
CRMを社内で導入したけどまったく効果が上がらない理由は、導入目的が曖昧で、CRMの評価指標が設定されていないからです。こちらではCRM導入で失敗する理由を3つ解説します。
理由1.CRMの導入目的があいまい
CRM導入時の失敗原因として、目的が明確でないまま導入し、システムを活用しきれずに想定していた効果が出なかったことが挙げられます。
CRMは、目的や戦略を明確にしておかないと、あいまいなまま運用が開始されてしまうでしょう。その場合、莫大な費用を投下して導入したCRMが結果的に単なる「顧客リスト」や「問い合わせ履歴データベース」としてしか機能しないことも起こりえます。
こうした事態を避けるには、CRMの導入前に目的をはっきりさせることが大切です。「業務効率を改善する」「サービス品質の向上を目指す」「マーケティングデータとして活用する」など、目的を明確に掲げましょう。
理由2.CRMの評価指標が設定されていない
CRMは、「費用対効果が見えない」とよくいわれます。導入したCRMの効果を得るには、評価指標を設定し、効果測定を実施することが重要です。評価指標を設定していないと、CRMの効果に対して社員が疑問をもつようになり、結果的に使用されないという失敗につながってしまいます。
評価指標には「顧客獲得効率」「顧客維持効率」「顧客満足度」「口コミ効果」などがあります。CRMを導入する際は、自社の目的に沿った評価指標を持ち、効果測定を定期的に行うようにしましょう。そうすることで導入効果を正しく評価でき、CRMが単なるデータベースではなく、マーケティング上の重要な司令塔になってくれるのです。
理由3.CRM製品を入念に検討していない
CRMを導入した企業では、営業現場などで「データが入力されず、結局CRMがあまり活用されていない」という現状が多くあります。
しかし、システムを実際に使用する営業担当者からは、入力作業を「余計な手間がかかる」と認識されていることがあります。なぜなら商談情報であれば、自分で管理していることが多く、「指定の場所に入力をしてくれ」と言われることは、余計な業務が増えるとしか受け取られないこともあるからです。これでは、担当者はCRMを使うメリットを感じることはできません。
そのような失敗の原因は「製品の検討不足」といえるでしょう。入力が面倒だと感じられるようなシステムを選んでしまったことによって、営業担当者をシステムから遠ざけてしまったのです。
CRM導入の3つの失敗事例
上記で紹介したようなことが要因で、実際にCRM運用に失敗した事例を3つ見ていきましょう。
失敗事例1.CRMを導入した意味が浸透していない
数か月前にCRMを導入したA社。CRMが顧客価値の向上に役立つと聞いてさっそく導入しました。システム担当のSさんはマーケティング部門や、営業部門の業績が大幅にアップすることを期待したのですが…効果が上がるどころか、誰もシステムを使おうとしません。
Sさんが営業部門やマーケティング部門の社員に聞いて回ってみた結果、「導入した目的や運用方法をほとんどの社員が理解していない」という現状があることがわかりました。CRMを導入した目的や運用プラン、業務フローが使用者にとって明確になっていない状態で運用開始しても、宝の持ち腐れになってしまうのです。
失敗事例2.効果があるか見えていない
1年前からCRMを運用しているB社。営業部門の社員からは、「営業の手助けをしてくれてありがたい」「電話対応が楽になった」などと好評ですが…ほかの部門からは、「CRMの効果が見えない」「月々のランニングコストを払っているが、それに見合った効果はあるのか」といった疑問が出てしまい、その説明に追われています。
営業部門が説明に追われるのは当然で、そもそもB社ではCRMの運用評価を行っていなかったのです。営業部門の体感的な指標だけでなく、実際に顧客管理業務にかかった時間が削減されているというデータや、CRM導入前と導入後の顧客満足度の比較といった指標が用意されていれば、このような失敗は起こらなかったのではないでしょうか。
失敗事例3.システムが使いにくい
つい最近CRMシステムを導入したC社は、これまでエクセルで顧客管理を行ってきました。営業担当がエクセルに顧客情報を入力して、その情報をもとに分析を行うというフローで顧客管理が行われていたのです。
エクセルでは分析が不十分なため、CRMを導入しましたが、営業担当者からは「顧客情報の入力が面倒くさい」という口コミがちらほら聞かれました。結局、営業担当者はCRMシステムを使わず、従来のエクセルで顧客管理を行うという結果になってしまいました。
操作性を考慮することなく、評判だけを見て製品を決めてしまっていたことが原因です。製品をしっかりと比較検討しておけばこのような失敗はなかったはずです。
CRM成功を導く3つのポイント
CRMの導入失敗に陥る例をご紹介しましたが、そこから導入成功を導くためのポイントをおさらいしておきましょう。
ポイント1.導入前に目的を明確にする
導入をゴールにしていては、CRMの本来の効果が期待できません。必ず、導入前に自社の課題を洗い出し、「どうしてCRMを導入するのか」「なんのために情報管理をするのか」を明確にしましょう。必要な顧客管理に焦点を当てて管理ができます。
ポイント2.評価指標を設ける
結果なしに改善もさらなる売上拡大も可視化することはできません。自社でどのような評価指標を目標として設定するのかをしっかり設けましょう。これに加えて定期的な効果測定を行うことも忘れてはいけません。
ポイント3.製品を注意深く検討する
CRM導入時の失敗を避けるためには、CRM製品がどのようなものなのか、しっかりと注意深く検討することが重要です。無料トライアル期間やお試し製品を利用し、実際に一定期間使ってみることでそのCRMが自社に適しているかの判断材料にできるでしょう。
以下の記事では、具体的な製品についてその機能や特徴、お試し期間などに関する情報を詳しく比較しています。
CRM導入前の準備で失敗を未然に防ごう
紹介した失敗を未然に防ぐためには「誰が何のために使うのか」という目的をはっきりと整理・確認することが重要です。そのために、選定時には関係者の意見をしっかりと聞き、CRM導入で「誰のどのような問題が解決できるのか」「解決のための障害は何か」を明らかにしておきましょう。
その上で、適切な製品・サービスを選定し、さらに関係者と目的や効果などを導入前に説明し、共通認識を持っておきます。入念な準備をすることが、CRM導入成功へと導くカギとなります。