CRMとは
CRMとは、どのようなものなのでしょうか。基本的にCRMには以下の2つの意味が存在します。
- 広義のCRM:顧客との良好な関係を構築・維持する施策
- 狭義のCRM:顧客関係管理を行うツール・システム
ここでは、その違いを確認していきましょう。
広義のCRM:顧客との良好な関係を構築・維持すること
CRM(Customer Relationship Management)とは、文字通り、顧客との関係性を管理する、すなわち顧客管理のことを指します。顧客情報や履歴情報を集約して、一人ひとりの顧客に対して適切な対応を行うことで、顧客との良好な関係を維持・促進することを表します。
狭義のCRM:顧客関係管理を行うツール・システムのこと
CRMは、狭義には顧客管理を行うツール・システムのことを指します。広義のCRMを行うためには顧客情報を集約して、一人ひとりに適切なサービスを提供する必要がありますが、企業の規模が大きくなればなるほど、顧客の数が増えるため、すべての情報を自分たちで管理することは難しくなってくるでしょう。そんなときに役立つのがCRM、つまりツールなのです。
CRMシステムの基本機能
CRMシステムは「顧客がどのような動きをしたのか」を管理し、その情報をもとに「顧客との関係性を維持するためのアクション」がとれる機能が豊富にあります。その中でも今回は6つほど、具体的な機能について見ていきましょう。
顧客単位での情報管理
顧客の氏名・年齢・性別などの基本情報や、購入日や購買金額などの購買履歴情報、購買実績を商品別に管理する購入商品の情報管理機能があります。
会員管理
会員の情報を一元化し、問い合わせの管理のコストや情報漏えいのリスクを削減します。メール配信機能と連動させ、販促活動からマーケティング分析まで会員情報を有効活用することができます。
メール配信
顧客をセグメントに分けてメールの配信を行います。開封率を可視化できるので、メール配信を行うのに適切な時間帯・件名・文章量などを、比較検証できるようになります。
問い合わせ管理
各個人の問い合わせ内容や履歴が可視化できるので、問い合わせ漏れや二重対応を防ぐことができます。また、過去に多かった問い合わせに対してはFAQを設置することで、同じような問い合わせに対応する工数を削減することができます。
アンケート実施
アンケートは顧客の声をダイレクトに反映できるツールです。アンケートフォームを作成しその結果を集計・分析することで、顧客情報を抽出しターゲティングリストを作成することができます。
各種セミナー/イベントの実施
セミナー申し込みフォームの作成、受講票の配信や来場者リスト作成など、運用管理を効率化します。セミナーに興味がありそうな顧客を、過去の購入履歴・コンタクト履歴などから自動で抽出してくれる機能を持ち合わせている製品もあり、営業担当の強い味方になるでしょう。
CRMシステムの機能をどう使っていけば良いのかについては、以下の記事で解説しています。
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CRMシステムの必要性
多くの企業で導入が進んでいるCRMシステムですが、どのような点で必要なのでしょうか。
日本における消費の変化への対応
以前は高品質な商品を作ることである程度シェアを獲得でき、一度他社に流出した顧客でも、さらに高品質な製品・サービスを作ることで取り戻すことも比較的容易でした。しかし、現在は品質での差別化が難しく、消費者が製品自体でなく、付属するサービスなど、2次的な価値にも注目するようになりました。
つまり、一度獲得した顧客を失うことは、企業にとって、以前に比べてより大きな損失になってしまうのです。そのため、顧客と良好な関係を築き他社に流出してしまわないよう、CRMシステムの重要性が高まっているのです。
効率化とコスト削減
先程も述べたとおり、会社が大きくなればなるほど、顧客管理は難しくなってきます。顧客情報をすべて手入力して、すべての分析をエクセルなどで行ってしまうと、それだけで莫大な時間を使ってしまいます。また、人の手による管理はどうしてもミスや手違いが発生しがちです。
これは効率が悪いだけでなく、人件費がより多くかかってきたり、対応が遅れてしまうことによる顧客の流出など、損失がかさんでいくことにつながってしまうのです。そのため、分析や情報整理を自動で行ってくれるCRMシステムが必要になってきます。
顧客生涯価値(LTV)の向上
一般的に、新規の顧客獲得には既存の顧客の約5倍の販売コストがかかると言われています。上記のように、常にサービスが多様化・増加する中で新規の顧客を獲得するのは容易ではありません。その中で利益を出すために、企業側は、既存顧客と今まで以上の良好な関係を構築し、顧客一人が自社にもたらす価値である顧客生涯価値(LTV)の向上に注力する必要があるのです。
CRMシステム導入のメリット
CRMシステムの必要性について解説してきましたが、実際にCRMシステム導入にはどのようなメリットがあるのでしょうか。
部署間で顧客情報を共有できる
これまでは営業担当者が顧客情報を握っており、顧客対応状況を一元的に管理できていない企業も多くありました。しかし、CRMシステム導入によって、アクセスを許された担当者に顧客情報が共有できるようになり、各部署がその顧客のためにアクションを起こせるようになりました。部署間の連絡にかかっていた時間も削減され、効率化も実現できます。
成約率を向上できる
CRMシステム導入で、顧客の分析が容易になるため、顧客一人ひとりに適切なサービスを提供し、適切な対応ができるようになります。これは結果的に顧客満足度の向上につながり、新たな製品・サービスの成約率が向上します。また、顧客満足度の高さは新規顧客獲得にもつながるでしょう。
以下の記事でメリットについてより詳しく解説していますのでチェックしてみてください。
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CRMシステム導入の課題
CRMを導入するにあたっての課題には、どのような点があるのでしょうか。
導入コストがかかる
CRMシステムを導入する際にかかるコストや手間の存在は、導入に踏み切れない原因となります。多くの場合、社内にCRMのメリットが浸透していないことが原因で、コストや手間を負担に感じてしまうのです。導入コストや手間を考慮してもなお導入する効果があることを、社内に伝えていく必要があるでしょう。
自社にあったCRMシステムが見つからない
各企業によって、CRMシステムを運用するにあたって必要と思われる機能や使う場面は異なってきます。その中で自社に適したCRMシステムが見つからないという課題にぶつかり、導入を断念してしまう企業もあるのです。
しかし、それは単なる情報収集の不足である場合も多いです。CRMシステムには機能をカスタマイズしたり、柔軟性に富むシステムもあるため、より多くの製品をしっかりと比較した上で検討する必要があるでしょう。
以下の記事ではCRMシステムを紹介していますのでぜひ比較してみてください。
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CRMとSFAの違い
CRMと関連する言葉に、SFAというものがあります。CRMシステムはこれまで述べてきたように、既存顧客とより良好な関係を築くことでLTVを向上することが目的のツールのことでした。
一方で、SFAは『Sales Force Automation』の略で、見込み顧客を顧客に変える、つまり営業を成功させるためのツールを指します。順序としてはSFA→CRMとなるわけです。多くの製品はこのSFAとCRMを兼ね備えていますが、目的が異なることに注意しなければなりません。
CRMについて理解し、自社の顧客対応を改善しよう!
CRMについて、理解いただけたでしょうか。CRMシステムは、顧客中心の現代のマーケティングにおいては重要なツールです。顧客との関係を改善して売上に貢献するだけでなく、社内の業務効率化にも役立ちます。
導入を目指すのであれば、必要性や機能をきちんと把握してから運用を開始することをおすすめします。