CRMとは
CRMは「Customer Relationship Management」の略語です。日本語では顧客関係管理、あるいは顧客管理と訳されます。CRMは顧客関係を適切に管理し、良好な関係を築くことを目的とした概念です。ただし多くの場合はITシステムを用いて管理を行うため、そのシステムのことをCRMと呼ぶこともあります。
CRMの機能は主に以下の2つに大別されます。
データ管理
CRMは顧客のデータを保存、管理できます。営業で知り得た顧客の情報や、受け取った名刺、またコールセンターにおける問い合わせ内容といった顧客の情報を、システム上で一括管理します。
データ分析
蓄積したデータを分析する機能も備わっています。購買履歴や商談内容、問い合わせ内容から顧客の見込み度や悩み、ニーズを把握できます。これらの情報をもとに、より確実性の高いアプローチを考えられるでしょう。
CRMの機能については以下の記事で詳しく解説しています。
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無料でCRMツールを利用する方法は?
CRMツールを無料で利用するにはどのような方法があるのでしょうか。
1.無料CRMを活用する
無料で提供されているCRMシステムがあります。スタートアップ企業や小規模企業で、それほど多くの機能は必要ないという場合には有効でしょう。また無料製品の中には、有料版に移行することでより便利な機能を使えるようになるものもあります。
無料CRMを利用する際の注意点
多くの無料CRMは、利用人数やデータに上限があります。使い慣れたころにデータ容量が上限に到達して使えなくなる可能性があります。そして有料版に移行することで上限が解放され、引き続き利用できるようになるものが多いです。本格的に利用を続けるには、ずっと無料のままというのは難しいことを知っておきましょう。
2.クラウド版の無料トライアル提供製品を活用する
クラウド版の無料トライアルを活用するという方法もあります。基本的に期間が決まっているため永続的な利用はできませんが、無料で自社に適したシステムを見極められます。また、無料トライアルから正式な製品版に移行する際も、スムーズに行えます。ベンダーからのサポートも受けられることが多いため、導入に伴う負担は少ないでしょう。
無料トライアルを利用する際の注意点
無料トライアルを活用する際は、次のようなことに気を付けましょう。
- ・期間が決まっている
- ・機能に制限がある可能性もある
ほとんどの製品では利用期間が決まっています。その期間内に製品の特徴を把握し、導入検討の参考にしましょう。また製品によっては、トライアルではすべての機能が使えない場合もあります。自社が求めている機能を試せるトライアルを選ぶようにしましょう。
3.オープンソースCRMを活用する
オープンソースCRMを活用する手もあります。オープンソースのソフトとは、そのソフトを構成するプログラムが一般公開されているものです。誰でも無料で利用・改良・再配布することができます。
オープンソースCRMを利用する際の注意点
オープンソースCRMシステムは大抵の場合、自社に合う形にカスタマイズを施す必要があります。特定の企業が提供しているサービスではなく、導入の際のサポートを受けることもできないため、ソフトを扱うための知識が必要になるでしょう。また、利用は完全に自己責任です。特にセキュリティ面も完全に自社で整備しないといけない点については、よく注意しておきましょう。
無料のCRMツール3選
それでは具体的に製品例を見ていきましょう。まずは無料のCRMシステムを3つ厳選して紹介します。
ZOHO CRM
無料プラン |
有料プラン |
無料トライアル |
3ユーザーまで、基本機能のみ利用可能 |
1,440円~ |
15日間 |
無料プランがあるだけでなく、有料プランの無料トライアルもあります。まずは無料プランで基本的な機能を試し、次に有料プランの無料トライアルで本格的な機能を試してみると良いでしょう。
機能としては、メールや電話、SNSなど幅広いチャネルで顧客と連絡を取る手段が備わっています。迅速に対応することで、顧客とより良好な関係を築けるでしょう。また営業実績をグラフや表など分かりやすい形で表示したり、顧客の反応の傾向を分析したりする機能が備わっています。
HubSpot
無料プラン |
有料プラン |
無料トライアル |
制限なし |
なし |
なし |
制限なしの完全無料CRMです。しかし機能性やデザインも優れています。すっきりと見やすい画面でタスクや商談、書類などの営業にかかわるデータを管理できます。さらにGmailやOutlookと連携させれば、自動でメールや通話の内容をデータとして取り込んでくれます。入力の手間を大幅に削減できるでしょう。同じベンダーが提供しているほかのシステムと連携することでより高度な機能が使えるようになりますが、それらのシステムは有料です。
Fullfree
無料プラン |
有料プラン |
無料トライアル |
一部機能に制限あり |
8,640円 |
なし |
基本的に、無料でほとんどの機能が使えるCRMシステムです。国内最大級ダウンロードサイトベクターの顧客管理カテゴリーにて、ダウンロード数1位を獲得した実績があります。クラウドに対応しているため、複数台のパソコンで使うことができます。操作もエクセルと大きく変わらないため使いやすいでしょう。ただし無料版には、データ容量など一部の機能に制限があります。有料版にアップグレードすることでより使いやすくなるでしょう。
クラウド版の無料トライアル提供製品6選
無料トライアルが実施されているCRMシステムを紹介します。
《Knowledge Suite》のPOINT
- 働き方改革の実現に向けたCRM!テレワークで業務も効率的に!
- ITトレンド年間ランキング1位実績あり!累計導入7,500社の実績!
- 名刺管理と顧客台帳が連携!手入力なしで顧客情報が最新に更新!
有料プラン |
無料トライアル |
月額50,000円~ |
別途お問い合わせ |
Knowledge Suiteは2017年度ITトレンド年間ランキングで1位に輝いた人気の製品です。少ない手間で営業報告ができ、その内容はデータベース上に蓄積されます。また、名刺登録・管理機能も備えています。スキャナやスマートフォンのカメラで名刺の画像を取り込み、それをテキストデータとして保存できます。その他ビジネスで役立つアプリがオールインワンになったシステムです。これ一つで幅広い業務を円滑化できるでしょう。
《Sales Cloud》のPOINT
- 15万社の圧倒的な導入実績とノウハウ
- 導入企業は、売上25%アップを実現!
- 世界でも日本でもトップシェアのCRM/SFA
有料プラン |
無料トライアル |
1ユーザー当たり月額18,000円 |
30 日間、機能制限なし |
日本国内で最も利用されているCRMシステムです。世界中で15万社以上の導入実績を誇ります。特長は、導入の際の手厚いサポートです。Salesforce活用支援専門の部門があり、そこのスタッフがシステムの導入・定着をサポートしてくれます。導入後に使いこなせるか心配な人でも安心して導入できるでしょう。また無料トライアルでは本番同様の機能を30日間体験することができます。
Approach DAM
有料プラン |
無料トライアル |
1ユーザー当たり月額1,500円~ |
30日間、他の製品もセットで体験可能 |
セミナーや展示会といったイベントで入手した顧客情報を適切に管理できます。イベントごとにやり取りの内容や名刺情報が保存されるため、イベント内容に紐づいたアプローチを行うことができます。無料トライアルではCRMシステムだけでなく、見積書作成システムや問い合わせ対応システムも同時に試すことができるため、一通り試して自社に必要なも
のを見極めましょう。
《GEOCRM.com》のPOINT
- フォローすべき見込み顧客が地図上で分かる
- 位置情報付き顧客カルテがスマホで簡単に記録・共有ができる
- 現在地から行くべき訪問先を知らせてくれる
有料プラン |
無料トライアル |
1ユーザー当たり月額1,800円~ |
14日間、全機能使用可能 |
地図上で顧客の情報を把握できるシステムです。顧客の見込み度や最終訪問日といった情報を色分けして地図上に表示してくれるため、次に向かうべき営業先の情報を視覚的に確認できます。また自分の営業活動の履歴も地図上で確認でき、成果の振り返りや営業内容の確認も簡単です。GPS機能を使ったシステムですが省バッテリー機能も備えているため、バッテリー消耗を気にすることなく野外で使い続けられるでしょう。
《kintone》のPOINT
- 自社の業務内容にあった形で、CRMシステムを自由に作成
- チーム専用のスペースで、顧客の情報をスムーズに共有
- 他サービスと連携することで、名刺管理やwebアンケートも可能に
有料プラン |
無料トライアル |
別途お問い合わせ |
30日間 |
Kintoneは業務に用いるアプリを作るためのシステムです。プログラミングやサーバに関する知識がなくても、豊富なテンプレートと簡単な操作によってアプリを作ることができます。作成できるアプリは顧客管理やクレーム管理、案件管理など豊富です。自社に必要なアプリを作成し社内で簡単に共有できます。またモバイル端末からも利用できるうえ連携できるシステムも多く、柔軟性に優れたシステムです。
Sales Force Assistant
有料プラン |
無料トライアル |
月額3500円~ |
30日間 |
最大の特長は、AI秘書が営業業務をサポートしてくれることです。電子秘書機能に人工知能「SAI」を搭載し、ユーザーの行動を学習して自動で使いやすくなっていきます。その他、営業活動を円滑化するための機能を豊富に備えています。商談内容を一括管理したり、視覚的に人脈を把握できる相関図を見たりできます。
さらにこのシステムの機能は、同じシリーズのシステムと連携することで拡張できます。Approach DAMも同じシリーズなので、連携してより便利に使うことができます。
無料オープンソースCRM5選
オープンソースのCRMを5つ紹介します。
F-RevoCRM
VtigerCRMという世界中で使われているオープンソースCRMを、日本の企業向けにアレンジして作られたシステムです。VtigerCRMをそのまま日本の企業で導入しようとすると大きくカスタマイズをする必要がありますが、F-RevoCRMであれば少ないカスタマイズで導入できます。
SugarCRM
アメリカのSugarCRM社によって開発・提供されているシステムです。世界中で一万社以上もの導入実績を誇ります。コミュニティが活発で多くの情報がやり取りされているため、それをもとにカスタマイズして導入できます。オープンソースCRMの中では導入の
ハードルが低い製品だといえるでしょう。
SuiteCRM
SalesForceの代替として活用できるのではないかと注目されている、PHP製のオープンソースCRMシステムです。ただし登場してからの月日が浅いため、あまり情報が豊富ではありません。特に日本語での情報は少なく、導入する際に英語での利用が必要になります。
CiviCRM
国際的に使われているシステムです。そのため、多言語・多通貨に対応しています。ただし非営利団体での利用を想定して作られているため、利益を上げるための機能は備わっていません。あくまで、適切に顧客情報を管理するためのシステムだと考えましょう。
VtigerCRM
世界中で使われているCRMシステムですが、日本の企業とは合わない部分が多く、導入の際にはカスタマイズを施す必要があります。しかしこのVtigerCRMを日本向けにアレンジして作られたF-RevoCRMもあるので、日本の企業が導入するのであればF-RevoCRMのほうが適しているでしょう。
もっと多くの製品を比較したいという方は以下の記事を参照してみてください。有料版も含め、この記事よりもさらに多くの製品を紹介しています。
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無料CRMをうまく活用するための大切なポイント
無料で使えるCRMツールを適切に活用するためには、どのようなポイントに気を付ければよいのでしょうか。
利用目的と計画を立てる
利用目的をはっきりとさせましょう。顧客情報を管理することで営業活動を円滑化したいのか、マーケティングにおいて確実性の高いアプローチをしたいのかなど、CRM導入目的は企業によって異なります。目的がはっきりしたら、次はそれを計画へと移しましょう。具体的には、誰がどのようにシステムを利用するのかを決定します。
実際にシステムを利用するスタッフは業務内容が変わるため、準備をせずに導入すると業務に混乱をきたす可能性があります。スタッフによく説明し、利用のルールと方法を周知させておきましょう。
実際に無料版で試してみる
計画を立てたら、その計画に沿って無料版を試してみましょう。自社が求める機能は充分備わっているか、また操作性はどうかなど、実際に試してみないとわからない部分は多くあります。ただし無料版では利用できない機能もあるので、本番の機能ではどのようなことができるのかも、ベンダーに問い合わせてよく確認しておきましょう。
無料で使えるCRMを活用して自社に必要な機能の見極めを!
この記事で紹介したように、CRMには無料で使えるものや無料トライアル期間がある製品もあります。まずは無料サービスを利用してそのシステムの使い心地や、自社の顧客管理に本当に必要な機能を見極めましょう。
ただし、無料トライアルには期限があったり、使える機能が制限されている場合もあるため、CRMを本格導入する際には有料版に移行する必要が出てくるでしょう。その際は、無料トライアルで確認した必要機能を持ち合わせている製品を選ぶことをおすすめします。