エクセル・アクセスをCRMで使うメリット
CRMシステムを導入していない企業で広く使われているのが、マイクロソフトの表計算ソフト「Excel(エクセル)」とデータベースソフト「Access(アクセス)」です。ここではこれらをCRMに使うメリットを紹介します。
慣れ親しんだ操作性がある
エクセルとアクセスはともに汎用性が高く、企業人であれば多くの人が使うであろうソフトです。そのため、誰でも使えるという手軽さと慣れ親しんだ操作性を持っています。専門的な知識がなくともデータを簡単に扱える点で、どのCRMシステムよりも手軽にCRMの道具として導入できるでしょう。
導入コストを削減できる
続いてのメリットは導入コストを削減できる点です。CRMシステムを導入する際には初期費用がかかるうえ、業務フローの構築やマニュアルの作成、システム利用についてのレクチャーなどの手間がかかってきます。エクセルやアクセスであれば、既に利用している企業がほとんどなため、導入におけるコストがかからず、特別な指導も必要ありません。
エクセル・アクセスをCRMで使うデメリット
エクセル・アクセスをCRMに利用するにあたってのメリットを紹介しましたが、反対にどのようなデメリットがあるのでしょうか。
専門的な機能の不足
「汎用性が高い」ということは「顧客管理を目的として作られたソフトではない」と言い換えることもできます。2つのソフトは、ともにデータ管理を想定した関数機能が豊富に用意されていますが、顧客管理ツールという視点でみた場合には、必ずしも最適なツールとはいえない面があります。
まず、2つのソフトでは、複数ユーザーの同時入力が難しい、管理ができる件数に限界があるという点があげられます。また、CRMにあるような自動分析機能もありません。これでは顧客が増えたとき、随時情報を入力して、適切に活用することは難しいでしょう。
セキュリティ面の不安
次に、セキュリティ面の不安が挙げられます。エクセルもアクセスも、ファイルそのものが顧客データベースになっていますが、一般に顧客情報を管理するためのデータベースは、入力漏れや情報の分散、漏えいを防ぐために一元的に集約することがセキュリティーの面からもよいとされています。
エクセルやアクセスでは、ファイルをコピーするだけで簡単に顧客データベースの複製ができてしまいます。これでは企業にとっては機密情報である顧客情報のセキュリティーを確実に保持することは難しいでしょう。
また、操作ログが残らないため、「誰がいつデータを書き換えたのか」が分からないということもあります。これもセキュリティー面からみれば不安材料です。こうした点で顧客管理ツールとしては十分ではないといえるでしょう。
顧客の数が限られ、顧客管理に必要な情報も少ない企業であれば、エクセルやアクセスを利用してもよいでしょう。しかし、多くの顧客を抱え、顧客情報を事業戦略、営業活動に活用する企業にとって、オフィス用ソフトは機能やセキュリティーの面から顧客管理ツールとしては最適とはいえないでしょう。
顧客管理(CRMシステム)の機能
一方で、顧客情報を専門に管理するシステムとして設計・開発されたのがCRM(顧客管理システム)です。顧客管理の専用ツールとして、顧客情報を活用するための様々な機能が搭載されており、多くのメリットがあります。まずはCRMシステムの持つ機能を紹介していきます。
基本機能
CRMは、顧客ごとの情報を一元的に管理する機能が基本です。顧客一人ひとりのプロフィールや過去の購買履歴などを一つのインターフェース上で確認できます。また、その情報を分析する機能がついています。
営業支援機能
営業支援では、商談、キャンペーン、メール配信など営業先や顧客に対して行った営業活動を一括して閲覧できる「営業活動管理」、商談中の見込み客に対しての活動やステータス、確度などを入力・閲覧することができる「商談管理」などを搭載しています。この機能は、SFA(営業支援システム)とも呼ばれています。CRMとSFAの機能を持ち合わせた製品がほとんどです。
マーケティング支援機能
また、マーケティング支援は、見込み客に対して一括メール配信をする「メール一括配信」や実施したキャンペーンを管理する「キャンペーン管理」の機能など、顧客サポート支援では、顧客からの問い合わせ内容をステータスや期限などの情報と一緒に管理・蓄積する「サポート案件管理」や過去のお問い合わせや回答を基にFAQを作成する「FAQ作成」などの機能があります。
ここまで機能についてみてきましたが、実際に製品例を見ないとわからないことも多いと思いますのでまずは以下の記事で一度具体的な製品を見てみることをおすすめします。
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CRMのメリット
CRMの最大のメリットは、詳細な顧客情報を可視化できることです。営業担当者などが個別に管理していた顧客情報を一元的に集約し管理することで、それぞれの顧客について状況が見えるようになり、顧客のニーズや行動が見えやすくなります。
顧客のニーズが分かることで、そのニーズにマッチした製品やサービスを提供できるようになり、顧客一人一人の満足度を向上させることが見込めます。
また、情報が一元化されることで、今まで散らばっていた顧客情報を俯瞰(ふかん)して見ることができるため、様々な営業活動や顧客の分析にも生かせます。
エクセルやアクセスは、顧客の連絡先や購買履歴などの限られた情報しか管理できません。一方、CRMは、会社名や担当者名などの基本情報をはじめ、購買目的、指向やニーズなどの顧客属性、購入した製品・サービス、購買実績、購入見込みなどの情報を蓄積・管理して社内で共有できるのです。顧客管理に必要な多くの情報が保存できることで2つのソフトよりも優位性があるといえます。
メリットについては以下の記事でも詳しく解説しています。
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エクセルやアクセスを活用した顧客管理の利点は、テンプレートを使ってすぐにでもできることと、無料のテンプレートを選べば費用をかけずに始められることでしょう。
一方で、2つのソフトでは複数名で同時に編集できないなど、リアルタイムな情報把握や履歴の保存が難しくなり、活動分析が難しいという課題もあります。
エクセルやアクセスでの顧客管理に限界を感じた場合には、CRMが必要になるでしょう。CRMは大企業向けの製品もありますが、最近では手軽に始められるクラウドの製品も出てきています。顧客管理について、エクセルでは物足りない感じる場合には、まずはCRMのデモや無料トライアルなどで使い勝手を試してみてもよいのではないでしょうか。