CRMとは
CRMは「Customer Relationship Management」の頭文字をとった略語です。日本語では顧客関係管理と呼び、顧客との関係をデータ化して管理しようという概念を指します。ただし、近年ではITシステムによって顧客関係管理を行うため、概念ではなくそのITシステム自体をCRMと呼ぶこともあります。
CRMシステムの目的は、顧客情報のデータベースへの蓄積やダイレクトメールの送信など、多くの機能を活用して、顧客と長期的に良好な関係を築くことです。
なお、CRMと似た概念を表す言葉に、データベースマーケティングがあります。どちらもITシステムを使って蓄積したデータを活用する手法です。次項から、データベースマーケティングやCRMとの違いについて解説します。
データベース・マーケティングとは
データベースマーケティングとは、顧客の個人情報やアンケートの回答、購入履歴などを蓄積し、ターゲットのニーズにあった商品を勧める手法のことです。できるだけ早く効果を出すことに重点を置いているため、新規顧客の獲得より既存顧客へのアプローチを重視しています。
またデータベースに登録されている顧客は、程度の違いはあれど企業と接触のあった人たちです。すでに関わりのある人たちの情報を整理し、より高い売上を目指す手法であるため、既存顧客へのアプローチが主になります。
CRMとデータベースマーケティングの違い
どちらも顧客のデータを用いるという点では同じです。しかし、CRMが顧客情報をもとに一人ひとりの顧客満足度を向上させるアプローチを考える手法であるのに対して、データベースマーケティングは、データベースを用いてマーケティング手法を考案するという点に違いがあります。
CRMは、各顧客のプロフィールや購買履歴から、その人にあった商品を提案することでより満足度を高めるという手法です。例えば30代男性のAさんにはBという製品を提案し、買ってもらったとします。このB製品を提案する過程がCRMです。
一方、データベースマーケティングでは、一人ひとりのデータを集積したデータベースの傾向を分析することで戦略を考えます。Aさんのように、30代男性にB製品を買う傾向が強いというデータが集まったのであれば、B製品に関しては30代男性をターゲットとした広告戦略を練るのです。このような過程がデータベースマーケティングです。
つまり、CRMとデータベース・マーケティングの違いを一言で表すと以下のとおりです。
- データベースマーケティング:データベースから新たなマーケティング戦略を考案する
- CRM:データから一人ひとりの満足度を高めるアプローチをする
CRMシステムのメリット
ここからはCRMシステムのメリットを紹介します。特にCRMシステム活用の機会が多い営業部門とマーケティング部門における導入効果について解説します。
営業部門におけるメリット
CRMシステムの活用により、顧客の個人情報から、営業担当が知り得た顧客の趣味や性格、関係性の進展まで、一元管理できるでしょう。他の部署との情報伝達も容易になります。
顧客が問い合わせの電話や資料請求をしているなどの情報を、CRMシステムを介して、他の部署から得ることも可能です。部署ごとではなく、企業として顧客との関係を築けるでしょう。営業部門におけるCRM活用のメリットを以下にまとめました。
- ・ 顧客と企業のやり取りを部署にかかわらず俯瞰的に把握できる
- ・ 顧客のランク分けと確実性の高い営業を実現できる
- ・ 営業の結果を把握し問題点を見つけられる
- ・ 自身で対応しきれないことの他スタッフへの引継ぎが容易になる
マーケティング部門におけるメリット
CRMシステムの利用はマーケティング部門にとっても利益をもたらします。営業担当が得た顧客情報を簡単にまとめて管理できるため、購買意欲の高い顧客に対してより確実なアプローチをかけられます。結果として、無駄を抑えることにつながるでしょう。
また、マーケティング部門がDMやセミナーを通じて得たリストを、営業部門が無駄なく活用できているかの把握も可能です。マーケティング部門におけるCRM活用のメリットをまとめると以下のとおりです。
- ・営業担当の集めた名刺からリストを作成する手間を削減できる
- ・集客して得たリストが有効活用されているかを把握できる
- ・ 購買意欲の高い顧客に絞り込んで密度の高いアプローチをかけられる
- ・ 密度の高いアプローチが可能になることで、コストカットを実現
- ・ アプローチの結果を記録することで次への反省につなげられる
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CRMシステムを有効活用させる3つのポイント
データベースマーケティングとCRMは非常に近い領域の概念です。そのため、両者を連携することでより精度の高いマーケティングが可能になります。ここではCRMシステムの活用の仕方について解説します。
- ・データベースを活用する
- ・顧客が求めているものを把握し続ける
- ・実績をあげるためにPDCAを回す
データベースを活用する
最も基本的なことは、データの記録を欠かさないことです。営業で顧客情報を知り得ても、データベースに蓄積しなければ誰も活用できません。得た情報をCRMシステム上、もしくは外部のデータベースに蓄積し、データベースマーケティングを行うことが重要です。
一見売上に結び付きそうにない情報でもレポートすることが大切です。CRMの目的は企業と顧客の良好な関係を築くことであるため、「お礼を言われた」「ちょっとしたクレームがあった」などの情報も重要なデータとなり得ます。
顧客が求めているものを把握し続ける
どれだけ多くの情報が集まっても、活用する目的がなければ意味がありません。データを使うときには常に、顧客がどのような商品やサービスを求めているのかを考える必要があります。
実績をあげるためにPDCAを回す
PDCAとは、「プラン・ドゥ・チェック・アクション」のことです。計画を立てて実行し、反省して次につなげることを意味します。PDCAはCRMにおいても大変有用です。CRMシステム上には、顧客へのアプローチ方法と結果がすべてデータとして蓄積されています。アプローチの進捗や成果をすぐに把握でき、振り返りと次の計画、行動につなげられるでしょう。
また、CRMシステム上ではスタッフ同士で容易に情報の共有やディスカッションができます。問い合わせにクレームが来たら、営業担当が訪問した際にフォローするなどの対応もとれるでしょう。全員が同じ情報を共有しながら、問題点の発見や次のプランを考えられます。
CRMのキャパシティや機能は製品によって違うため、導入検討の際は以下の記事で製品を比較することをおすすめします。
データベースを活用してCRMの精度を高めよう!
CRMシステムを活用することで、散在していた企業の所有する顧客情報を、データベースにして一元管理できます。顧客情報を全社的に活用しやすくなり、より顧客と良好な関係を築けるでしょう。ぜひCRMを導入し、よりよいサービスの実現を目指してください。