飲食店におけるCRM(顧客管理システム)とは
顧客管理(Customer Relationship Management)とは、来店客の会員情報や注文履歴、クレームや問い合わせ履歴などを記録し、管理することです。飲食店では、来店客の名前・連絡先などの記録や、売上の多い曜日やメニューの分析、新プロモーションのメール配信など、リピート率向上のために普段遂行している業務が顧客管理にあたります。
また、顧客管理に特化したシステムをCRMといいます。CRM(顧客管理システム)とは、顧客の年齢や職業、来店履歴などの情報を収集・管理し、分析するツールです。リアルタイムな顧客管理や分析ができるため、顧客一人ひとりに最適なタイミングで、プロモーションやサービス提供が実現します。
CRMで解決できる飲食店の課題
飲食店にはさまざまな課題があるものの、CRMの導入によって効果的に解決できる課題が多いのも事実です。次に、主な課題とその解決策を紹介します。
人材不足と人件費の高騰
飲食店でよくある課題として、人材不足と人件費の高騰が挙げられます。新型コロナウイルス流行の影響で業績が悪化し、やむなく人件費削減を余儀なくされたため、アフターコロナとなった現在でも人材は戻らず、現場のマンパワーは不足している状態です。また業界全体でも人手不足となっているため、人材獲得競争が起こり人件費も高騰しています。
少ないスタッフで調理やホールの仕事を回しながら、顧客管理や分析を行い、リピート率向上につながる施策を行うためには、ツールを導入し業務効率化する必要があるでしょう。CRMを導入することで、これらの業務を効率的に行えます。
売上の低迷とリピーター獲得の困難さ
リピーターが獲得できないことによる売上の低迷も、よくある課題の一つです。リピーターが獲得できない背景には、顧客分析が不十分で、ニーズにマッチするサービス提供ができていない場合や、新規キャンペーンなどのプロモーションを周知できていないケースがあるでしょう。
飲食店において、顧客ニーズを的確に把握し、多くの顧客に最適なサービスを提供することこそが、リピーター率向上と売上アップのポイントといえます。CRMを活用することで、顧客データの分析や効果的なプロモーションの実施が可能となり、これらの課題解決に貢献します。
効果的な顧客管理の難しさ
多くの飲食店では、顧客情報の管理が手作業や断片的なデータ管理にとどまっており、効果的な活用までできていないのが現状です。CRMを導入することで、顧客情報を一元管理し、来店履歴や好みのメニュー、特別なリクエストなどを簡単に記録・参照できるようになります。これにより、きめ細かなサービス提供や効果的なマーケティング施策の実施が可能となります。
飲食店で活躍するCRMの機能
CRMシステムに搭載されている主な機能は以下のとおりです。
- ■顧客情報管理機能
- 予約時や注文時、退店時などに取得される顧客データ(氏名・電話番号・属性・年齢層・利用金額・注文履歴・クレームなど)が蓄積され、管理画面上でリアルタイムに反映される。
- ■予約管理機能
- オンラインでの予約受付や予約状況のリアルタイム表示、予約確認・リマインドの自動送信などが可能。特別な日(誕生日、記念日)の予約に対して、自動で特別サービスの準備を通知する機能もある。
- ■テイクアウト/デリバリー管理機能
- Webサイトやアプリからのオンラインオーダー受付、配達状況のトラッキング、過去の注文履歴の管理などが可能。ピークタイムの予測や効率的な配達ルートの提案など、業務の支援機能が備わっている製品もある。
- ■分析機能
- 配信したクーポンの利用履歴やアプリのスタンプカードから、来店日・来店頻度・利用金額など顧客の傾向を分析する。ニーズや属性ごとに分類するセグメンテーション分析やシーズンごとの特徴を絞り込む行動トレンド分析など、分析の種類は多岐にわたる。
- ■マーケティング・プロモーション支援機能
- メールマガジンや特典クーポンの配信、アプリのプッシュ通知などでプロモーション支援する。問い合わせフォームを自動生成する機能もあり、顧客からの意見を収集できる。
- ■フィードバック管理機能
- 来店後のアンケート自動送信や、各種グルメサイトやSNSでの口コミの一元管理、クレーム対応の記録と追跡などが可能。顧客からの提案を記録し、サービス改善に役立てられる。
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飲食店でCRMを導入するメリット
CRMツールの導入によるメリットについて、具体例を交えながら解説します。
顧客データの管理・分析を効率化できる
CRMでは顧客の年齢や属性、来店回数、注文履歴、行動履歴などを記録・管理できます。顧客台帳やエクセルでの管理よりも工数を減らせるうえ、スタッフ間での情報共有が可能です。
さらに利用したクーポンやアプリの提示から来店時の記録が自動化されるなど、人手不足に悩む現場でも顧客管理が効率化されます。顧客管理アプリを提供している製品では、会員登録は顧客自身が行うため、新規登録の手間も省けるでしょう。製品によっては、QRコード作成機能もあるため、アプリ入会促進のチラシ作成にも活用できます。
また、来店頻度や利用金額、好みなどの顧客情報はCRMで分析され、新たなメニュー開発や中心価格帯、客単価の設定などにも役立ちます。データにもとづいた意思決定により、より効率的で収益性の高い店舗運営が可能になるでしょう。
効果的なマーケティング施策を行える
顧客データの分析により、ターゲットを絞ったマーケティング活動が容易になります。例えば、来店時間帯や注文内容に応じた新メニューの案内や、顧客の誕生日月にクーポンを配信するなど、顧客のニーズにあわせた情報発信が可能です。適切なタイミングで施策を行えば、リピート客の獲得が狙えるでしょう。
また、CRMは新メニューの宣伝や値引きキャンペーン、クーポンなどの情報発信を自動化します。アプリ通知やメールマガジンなどで配信し、顧客獲得の機会を逃しません。マーケティング効果を高め、費用対効果の良い販促活動が実現します。
飲食店におけるCRMの導入効果
2022年6月に株式会社リクルートが発表した「飲食店経営者のDX(※3)に対する興味・関心と導入状況・効果の調査(2022年3月実施)」によると、顧客管理システムを「すでに導入している」と回答した飲食店の割合は10.5%、「導入していないが導入を検討している」と回答した割合は11.0%でした。またCRMを導入した飲食店のうち、33.3%が「売上がアップした」と回答しており、30.0%が「顧客満足度向上」に効果を実感したと回答しています。
参考:飲食店経営者のDX(※3)に対する興味・関心と導入状況・効果の調査(2022年3月実施)|株式会社リクルート
飲食店向けCRMシステムの選び方
飲食店向けCRMシステムを選定する場合、操作性と連携性に着目してみましょう。具体的に解説します。
使い勝手に優れているか
CRMシステムは日々運用されてこそ、真価を発揮します。飲食店は、学生のアルバイト従業員や主婦のパート従業員など、さまざまなメンバーで構成されており、誰が利用してもわかりやすく扱いやすい操作性のものがおすすめです。
そこで、CRMシステム導入前に無料トライアルを活用し、担当者に製品の操作性を確認してもらいましょう。ユーザーインターフェースはシンプルか、初心者でも操作できるのかを確認し、担当者の意見を参考にしたシステム選定が大切です。
他システムと連携ができるか
CRMシステム導入前に、飲食店向けタブレットPOSシステムや予約管理システムといった、他システムと連携できるかを確認しましょう。
飲食店向けタブレットPOSシステムは、売上や仕入、在庫などの管理をシステム化したもので、顧客の注文内容や性別などの属性情報を画面操作して取得します。予約管理システムは顧客の氏名や連絡先、注文コースの内容、リピーターかどうかの情報を取得するツールです。
これらのシステムとの連携に対応していないと、各システムに二重入力する手間や入力ミスが発生するリスクがあります。事前に既存システムとの連携の可否を確認してみてください。
【多店舗経営の飲食店向け】CRMシステム
まずは、複数店舗を展開する飲食店での導入実績があるシステムを紹介します。各社製品の一括資料請求も可能なため、比較のうえ自社にあうものを検討してください。
《kintone》のPOINT
- 自社の業務内容にあった形で、CRMシステムを自由に作成
- チーム専用のスペースで、顧客の情報をスムーズに共有
- 他サービスと連携することで、名刺管理やwebアンケートも可能に
「kintone」は、サイボウズ株式会社提供の業務改善プラットフォームです。自社の業務形態にあわせて、誰でもノンプログラミングで簡単にシステムが構築できます。CRMのほか、店舗日報や店舗別QSCチェックリストなどのツールが用意されているので、すぐに実務に活かせるでしょう。
顧客リスト・問い合わせ管理・案件管理など、必要に応じてツールを追加し、連携も容易なため、店舗の業務形態にあわせたシステム構築が可能です。
提供形態 |
クラウド |
無料トライアル |
◯(30日間) |
参考価格 |
ライトコース:月額780円/ユーザー スタンダードコース:月額1,500円/ユーザー |
参考価格補足 |
最低契約数5ID |
いい点 通信サービス 1,000名以上 5,000名未満
改善してほしい点 その他 100名以上 250名未満
GMOおみせアプリ
GMOデジタルラボ株式会社が提供する「GMOおみせアプリ」は、自社のオリジナルアプリを簡単に作成できます。アプリならDMのように個人情報を必要としないため、開封率が高く、低コストで集客できます。
顧客管理のほか、来店スタンプなどの施策や情報発信、さらにキャッシュレス決済にも対応できるなど、豊富な機能がポイントです。
ユビレジ
株式会社ユビレジの「ユビレジ」はiPadをPOSレジとして活用できるシステムです。顧客と購入履歴を紐付けて管理でき、リピーター獲得の施策に役立つでしょう。また、複数店舗の管理が可能で、売上のリアルタイム集計や売上報告の自動配信機能が搭載されています。
そのほか、オーダーリング機能やキャッシュレス決済に対応し、予実管理や勤怠管理といったさまざまな機能を備えているのが魅力です。
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【個人店・小規模な飲食店向け】CRMシステム
「ポイントカードの管理を効率化したい」「予約と顧客管理を一緒に行いたい」「ドタキャンに対処したい」など、さまざまな課題に対応可能な個人・小売店向けのCRMシステムを紹介します。
dodo point
「dodo point」は株式会社Yanolja F&B Solution JAPANが提供する、ポイントカードやスマートフォンを利用しない小売店舗向けポイントシステムです。顧客が携帯番号を店頭のタブレットに入力するだけでポイントが付与され、クーポンなどが利用できます。
さらに、SMSでお得な情報やクーポンが配布できるので、顧客のニーズに沿ったモバイルマーケティングも実現するでしょう。
リザーブキーパー
株式会社エアネットが提供する「リザーブキーパー」は、飲食店向けの予約・顧客管理システムです。CTIシステムにより、着信時に顧客情報をパソコン画面に表示でき、予約登録も効率的に行えます。
テイクアウト注文受付サイトを作成することもでき、イートインでの顧客情報とあわせて管理が可能です。グルメサイトからネット予約する際も、予約台帳へ簡単に自動反映されます。
トレタ
株式会社トレタが提供する「トレタ」は、飲食店向けの予約・顧客台帳サービスです。基本機能として予約台帳、顧客台帳、集計、分析、ウェブ予約が搭載されており、誰でも簡単に利用できるのが特徴です。
POSやグルメサイト、CTI機能と連携できるほか、Googleから予約を受けることもできます。
TableCheck
「TableCheck」は、株式会社TableCheckが提供する飲食店向けの予約顧客管理システムです。業界唯一のドタキャンゼロ対策機能「キャンセルプロテクション」を搭載しています。また、CTI連携による電話予約機能は、受電時に全スタッフが常連客を認識しながら対応が可能です。
国内外主要メーカーのPOSシステムとの連携も可能で、レシートの内容から何を注文したのか、顧客情報と結びつけて管理します。
なお、業種を問わずおすすめできる定番のCRMシステムはこちらからご覧いただけます。
飲食店向けCRMシステムで売上UPの活用方法
飲食店向けCRMシステムの活用で売上アップを狙うには、他システムとの連携で得た顧客情報をもとに分析を行い、具体的な施策を実行することが重要です。
例えば、誕生日にお祝いのメッセージや誕生日クーポンを配信することで来店を促したり、イベント時にメルマガを一斉配信したりといった既存顧客へのアプローチを行いましょう。CRMは、適切なタイミングで顧客へメールを送付でき、来店を促すといった戦略的な活動を可能にします。またリピート率が低い場合は、CRMの分析結果を参考にメニューや接客方法を見なおすのもよいでしょう。
このように、CRMシステムから得た顧客情報を分析し、施策を実行することで、顧客一人ひとりにあったきめ細やかなおもてなしを追求できます。
まとめ
飲食店において、顧客管理は満足度向上や売上アップのために大切な業務です。CRMは、顧客情報の収集や分析業務を効率化し、人手不足を補います。また、分析結果から適切に顧客ニーズを把握することで、一人ひとりにあったアプローチが実現するでしょう。さっそく資料を取り寄せ、飲食店に役立つCRMを比較検討してみてはいかがでしょうか。