ECMとは
ECMとはEnterprise Contents Managementの略語で、画像・動画・音声といったデジタルコンテンツを一括管理するシステムのことを指します。膨大な情報を長時間に渡って保管が可能で、各情報へのアクセス権限の設定もできるためセキュリティの強化にも貢献します。また、検索機能により情報へのアクセスを容易にすることも可能です。情報資産の保護にくわえ活用のしやすさも改善するため、コンテンツのもつ価値の向上が期待できるでしょう。
ECMと文書管理システムの違い
ECMと似た役割をもつツールとして、文書管理システムがあります。文書管理システムはECMと同じく、文書データ・コンテンツの「作成・共有・活用・保存・破棄」などを一元管理するシステムです。しかし、管理対象や他システムとの連携範囲には違いがあります。ここでは、ECMと文書管理システムの異なる点を解説します。
管理対象
文書管理システムは、ワードやエクセルやPDF化した紙文書のデータ管理を中心とするシステムです。一方ECMは、文書だけではなく動画や画像などのコンテンツも管理対象としています。文書だけを管理したいのか、デジタルコンテンツも同時に管理したいのか、目的の違いによって適したシステムは異なるでしょう。
他システムとの連携範囲
管理対象が広いECMは、文書管理システムよりも規模が大きく他の業務システムとの連携範囲も広くなります。ERP(経営資源の統合管理)やCRM(顧客管理)などと連携し、プラットフォームとして利用される場合もあり、文書管理システムより幅広いデータ管理を可能にします。
以下の記事では、ITトレンド編集部がおすすめする文書管理システムを紹介しています。機能や導入メリットも解説しているので、文書管理システムについてより詳しく知りたい方は参考にしてください。
ECM・文書管理システムの重要性と今後の展開
ECMや文書管理システムは業務効率化・コンプライアンスの強化につながりますが、日本では紙と印鑑を重視するため普及しませんでした。しかし、IT化やペーパーレス化の促進により、システムの注目度が高まっています。ECMや文書管理システムの重要性が高まっている理由は、以下のとおりです。
- ■デジタルコンテンツの増加
- 電子文書の増加やIoT化の促進などにより、デジタルコンテンツの量は爆発的に増加しました。事業活動においても、膨大なデータを取り扱っている企業は少なくありません。そのため、適切なデータ管理・運用を実現するECM・文書管理システムの重要性が高まっています。
- ■グローバル化
- 従来のグローバル事業は国際分業が基本でしたが、近年では世界各地に地域の中心拠点を置き、地域の特性を活かして最大限に強みを発揮する戦略を取る企業も多くあります。拠点同士の国際協働の必要性も高まり、膨大な情報・ナレッジ共有を可能にするシステム導入の重要性も高まりました。
- ■労働人口の減少
- 日本では少子高齢化が進み、労働人口の減少による人手不足が問題となっています。膨大なデータの管理・運用は非常に手間と負担がかかる業務です。人員の有効活用の重要性が高まるなか、システムの導入による業務効率化を図る企業が増加しています。
- ■コンプライアンス強化への注目
- 自社内で扱うデジタルコンテンツを適切に管理できていないと、データが散在し情報漏えいのリスクも高まるでしょう。IT化の促進により機密情報が電子化されている企業も多いため、セキュリティ対策によるコンプライアンス強化が可能なECMや文書管理システムが注目されています。
また、現代社会のデジタル化促進により、ECMは今後さらなる発展が考えられています。代表的な発展形態は「プラットフォーム化」と「機械学習化」です。ECMはあらゆるデジタルコンテンツを管理できるため、さまざまなアプリケーション・システムと連携し、柔軟なプラットフォームとして発展することが予想されています。
また、近年の機械学習の発展にともない、ECMも機械学習化が進行しています。文書の内容や重要度を判断し自動的に文書を分類できるため、非定型文書の自動分類が可能です。
ECM・文書管理システムの機能
ECM・文書管理システムの主な機能は以下のとおりです。
- ■コンテンツ保管・管理機能
- データを保管する際の属性付与、バージョン管理、プレビューが可能です。
- ■検索機能
- ファイル名のキーワード検索にくわえ、属性検索や全文検索などで検索性が高まります。
- ■セキュリティ機能
- データへのアクセス権限の付与や暗号化、アクセス履歴の記録などでセキュリティを強化します。
- ■ワークフロー機能
- 申請・承認業務の効率化のほか、社内回覧や取引先への書類送付が可能な製品もあります。
- ■システム連携機能
- 関連する業務システムと連携し、データの一元管理を可能にします。
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ECM・文書管理システム導入のメリット
ECMや文書管理システムを導入すると、以下のようなメリットが得られます。
- ●保管スペースの削減や情報共有
- ●業務の効率化
- ●コンプライアンスの強化
- ●グローバル化への対応
保管スペースの削減や情報共有
ECMや文書管理システムを導入すると、社内の文書やコンテンツをシステム内で一元管理できます。各部署・各拠点のデータすべてがシステムで管理可能になるため、各拠点の書類保管スペースやデータの保存サーバが不要です。また、場所を問わずにデータにアクセスができるため、常に最新の情報やナレッジ・ノウハウの共有が実現するでしょう。
業務の効率化
ECM・文書管理システムで管理するデータは、ファイル・コンテンツのタグや属性に応じて部署やサービスごとに整理されます。さらに検索機能も充実しているため、必要な文書やファイルを迅速に探し出せるでしょう。データの整理や検索にかかる時間を削減し、業務効率化に貢献します。
コンプライアンスの強化
ECMや文書管理システムでは、管理している情報のアクセス権限が可能です。データへのアクセス制限を用いることで、重要書類などの閲覧者を特定の部署や従業員に制限できます。また、編集や変更の履歴も残るため、万が一情報の流出が発生した際の原因の特定も可能です。高度な情報セキュリティ機能により内部統制・コンプライアンス強化につながるでしょう。
グローバル化への対応
海外に拠点をもつ企業であれば、国内外であらゆるデータが作成され拠点ごとに散在するため、一元管理が困難になりがちです。国外からのアクセスが可能なECM・文書管理システムを導入することで、国内外のデータを一つのシステムでまとめて管理できます。また、製品によっては多言語対応のものもあるため、情報やナレッジの共有もしやすくなるでしょう。今後グローバル展開を計画している企業にもおすすめです。
ECM・文書管理システムのデメリット
ECM・文書管理システムの導入には、デメリットもあります。代表的なデメリットは二つ挙げられます。一つ目は導入・運用にコストがかかることです。システム導入の初期費用にくわえ、月額費用がかかる製品もあります。無料製品や比較的安価に導入が可能な製品もあるため、ECM・文書管理システムの導入前に予算を決めてから比較検討するとよいでしょう。
二つ目は導入・運用管理に手間がかかることです。導入後も効果的にシステムを活用できるように、導入前から運用体制の整備や従業員の教育が必要になります。導入後は社内のコンテンツをシステムにまとめる作業やアクセス権限の設定など、管理体制の移行準備に手間がかかるでしょう。導入前に運用体制や移行準備の計画を立てておき、無理なく導入ができる製品を選定するとよいでしょう。
ECM・文書管理システムの活用例と選び方
ECM・文書管理システムの主な活用例は、以下のとおりです。
- ●社内に散在する多様な形式のデータを一元管理
- ●データの共有・活用を容易にし業務を改善
- ●社内の複数の業務システムからデータを統一して管理
- ●社内文書のペーパーレス化促進
- ●データ管理を改善しセキュリティ強化
ECM・文書管理システムの導入を検討する際は、主な活用例を参考に自社の導入目的・活用方法を明確にしてから製品を選定するとよいでしょう。そのうえで必要な機能や特徴を比較することで、自社に最適な製品を導入でき、システムの導入効果を最大限にいかせます。
また、システムで管理したいデータが文書のほかに画像・動画などもあり、社内システムのプラットフォーム化を目指すのであればECMがおすすめです。一方で、自社内の文書管理・共有やペーパーレス化を目的とする場合には、文書データの管理に特化した文書管理システムが適しているでしょう。
ECMや文書管理でコンテンツや文書を効率的に管理しよう
ECMと文書管理システムの違いは、管理対象とシステム連携範囲の広さです。自社で管理したいデータや導入目的にあわせて、適したシステムを選定するとよいでしょう。資料請求などでそれぞれのシステムについて詳しく知ってから比較するのもおすすめです。
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