ファイリングとは
ファイリングとは、日々の業務で発生する書類を、一定のルールに従い分類・整理することです。紙文書は紙ファイリング、電子文書は電子ファイリングと区別して呼ばれることもあります。
書類の整理から保存、破棄に至るまで必要なルールを決めることによって、業務の無駄を省き、業務環境を改善します。近年ペーパーレス化が進んでいますが、紙の文書を取り扱うケースはまだ多くあるでしょう。書類整理ができていないと、必要な時に使用できないおそれもあります。
保管要件に沿って、社内文書を必要なときにいつでも利用できるようにすると、書類を探す時間の削減ができるため、業務の効率化にもつながるでしょう。書類の適切な管理によって、取り間違いなどのミスも防止できます。企業の業績向上のためにも、ファイリングをして適切な文書管理を実施することは、非常に重要といえるでしょう。
以下の記事では、ファイリングを含めた文書管理の目的や重要性などを解説しています。ファイリングを効果的に実施するための参考にしてください。
実践したいファイリングの5つのコツ
ファイリングは、どのように行えば効率的に進められるのでしょうか。今すぐ実践できるコツを5つ紹介します。
- ・不要な書類を処分する
- ・保管できる場所を確保する
- ・見出しと色で分類する
- ・書類やファイルを立てて保管する
- ・デジタル化して管理する
不要な書類を処分する
不要な書類は保管スペースを圧迫するため、できるだけ定期的に破棄すべきです。ここでは、保管期間を決める方法と玉突き方式について紹介します。
保管する期間を決める方法
保管と保存の意味は、異なります。保管はすぐに取り出せること、保存は倉庫などに格納することです。違いをふまえて、期日到来後に保存か破棄か決められるように、書類ごとに保管する期間を決定します。設定した期間ごとに、保管場所も決めておくとさらに整理されます。使用頻度が低く重要でない書類は、保管期間が過ぎたらできるだけ早急に処分しましょう。個人情報などの重要な書類は、ほかの文書とわけて保管し、期間が到来したらシュレッダーでの処分が大切です。
なお、書類によっては法律で保存期間が決められており、領収書・納品書・契約書などは7年間の保存が求められます。
参考:No.5930 帳簿書類等の保存期間及び保存方法|国税庁
玉突き方式で処分する
玉突き方式とは、古い書類から順に破棄することです。破棄するのが不安なら、倉庫に移動させるだけでも構いません。例えば「作成したばかりの書類は棚の1番左に入れる」というルールを作った場合、今年度作成した文書はすべて棚の左側へ配置します。次年度は右にずらし、3年目は一番右に配置されたので破棄する、というイメージです。あらかじめ一定のルールを決めておけば、不要な書類はたまりません。
保管できる場所を確保する
はじめてのファイリングや多忙で余裕がないときは、書類を保管する場所に迷う場合もあるでしょう。長期的に保存する場所が決まっていない場合は、一時的に保管する場所を決めておくのがおすすめです。一時保管場所があると、重要度があいまいな書類を周りに散らかすことなく活用できます。
一時保管した場所をしっかりと把握し、追って書類をファイリングしていきましょう。仕掛りボックスなどは、区分けしやすいため、書類の一時保管場所として最適です。
見出しと色で分類する
シール・ラベル・付箋・クリップなどを使用して、見出しや色をつけると、どこにどのような書類があるのか一目でわかります。例えば機密書類は赤、期日が迫っているものは黄色などにすると、色だけで重要度を把握できるのでおすすめです。ファイルを何度も繰り返し利用できるように、剥がせるタイプのシールやラベルを使用しましょう。
書類やファイルを立てて保管する
書類を寝かせて保管すると、一番上のもの以外はどのような文書なのか把握できないおそれがあります。必要な書類を探すとき、上から順に確認していくのは効率が悪いでしょう。書類やファイルを立てて置けば必要な書類を見つけやすくなり、山のように積み重なったりほかの書類が混在したりする可能性は少なくなります。
書類をデジタル化して管理する
効率的な文書管理を行うためには、紙書類を電子文書化して、デジタルでの管理へ切り替えることも手段の一つです。ファイリングによる管理では、正確な分類や保管場所の移動、手作業での廃棄などの各工程で、多くの手間と時間を必要とします。
ファイリングから文書管理システムに移管することで、書類の作成から保存、廃棄までをシステム上で一元管理できます。書類の分類や共有もしやすくなり、文書管理における社員の負担が大幅に軽減するでしょう。
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ファイリングの種類
一般的にファイリングには、「バーティカルタイプ」「バインダータイプ」「ボックスタイプ」があります。それぞれの方法や注意点を解説するので、ファイリングの参考にしてください。
バーティカルタイプ(バーティカルファイリング)
個別フォルダに書類を挟み、キャビネットの引き出しやファイルボックスに垂直(バーティカル)に保管する方法です。個別フォルダには同じ性質の書類を収めます。バーティカルタイプは、書類を綴じこまないため出し入れしやすいのが特徴です。ただし目線より高い位置に保管すると、書類を探すのが困難になります。
また蓋を閉じられないため、書類を紛失する可能性も高いといえるでしょう。書類が多くなると、引き出しやファイルボックスを増やさなくてはなりません。引き出しやファイルボックスが多くなる場合は、シールやラベルなどで見出しをつけ、管理しやすくする必要があります。
バインダータイプ(簿冊式ファイリング)
バインダーや厚型ファイルに書類を綴じ、本棚のように保管する方式です。背表紙にタイトル・見出し・索引・年代・種類・重要度などを記載すれば、必要なときに探しやすいでしょう。ただし書類の量にかかわらず、バインダーや厚型ファイルを収めるためのスペースが必要です。ファイルを綴じこむのにも手間がかかります。
ボックスタイプ(ボックスファイリング)
ボックスファイルに書類を保管する方式です。種類ごとにフォルダを細分化できるため、目的の書類を簡単に見つけられます。ボックス状のため、もち運びもしやすいでしょう。ただし、ボックスファイルを揃えるために、費用がかかります。バインダータイプと同様、ボックスファイルを置くスペースの確保が必要です。
ファイリングにおける書類分類方法
ファイリングでは、書類の種類ごとに適切な分類が重要です。ここでは、書類を分類するための代表的な方法を紹介します。
ツミアゲ式
ツミアゲ式とは、実務担当者が現場のニーズに応じて小分類を作成し、中分類・大分類の順にグループをまとめる方式です。ボトムアップ方式とも呼ばれ、各部署で業務上発生する固有文書の分類に適しています。
ツミアゲ式は、実務担当者がルールを決めて身の回りの文書から分類できるため、各部署にてすぐに整理が可能です。実務担当者が現場のニーズを反映したルールで実施するため、書類の分類と実務に乖離が生じません。分類しにくい新規文書が発生しても、ルールの改善がしやすいでしょう。
なおツミアゲ式は、各部署で取り組む方法であり、組織横断的な情報共有は困難な傾向にあります。ルールの改善を実施する際は、実務担当者全員の同意を得たうえで行い、新しいルールの正確な共有も必要です。
ワリツケ式
ワリツケ式とは、管理部署が組織内の業務分析をしてルールを決め、大分類を作成し、中分類・小分類の順にグループ分けをする方式です。トップダウン方式とも呼ばれ、膨大な書類を管理する場合に有効です。ワリツケ式は、組織全体で同じ基準に分類されるため、円滑な情報共有につながります。部署を異動しても管理方法が同じため、新しいルールを覚える必要がなく業務に支障をきたすこともありません。
なおワリツケ式は、実務担当者が希望する分類体系と実務に乖離が生じやすく、スムーズな運用ができない場合もあるでしょう。組織的に指示をするため、現場の同意を得られるような取り組みが必要です。
社内文書を適切に分類し有効活用するためには、紙文書を電子化してシステムで一元管理すると便利です。以下のボタンより、文書管理システムの資料請求ランキングを確認できるため、興味のある方は参考にしてください。
ファイリングの注意点
ファイリングの際に、ポイントをふまえて書類分類を実施しないと、管理が煩雑になるおそれがあります。文書分類の注意点は、以下のとおりです。
- 細分化しすぎない
- 文書は、重要度の高い書類から分類し管理しましょう。重要度の低いものは管理の必要性がない場合もあります。すべての文書を分類し、管理するのは非効率です。
- カテゴリーの統一
- 1つの分類で、異なるカテゴリーを混ぜると管理しにくいです。例えば、入金関連の文書に出金関連の文書が混ざらないようにし、出金は別ファイルで管理するなどの工夫をおすすめします。
- わかりやすい番号・タイトルをつける
- 分類数が多い場合は、分類ごとに番号を設けると管理がしやすいでしょう。作成したファイルは誰が見てもわかりやすいように、具体的なタイトルをつけることも重要です。
なお、ファイリング方法が決まったら、書類の保管から廃棄までのマニュアルも整備し、企業における文書管理のルールや体制などの仕組み(ファイリングシステム)を構築しましょう。ファイリングを導入した後は、継続することが何より大切です。ファイリングを適切に維持していくことで、業務効率が高まり生産性の向上につながります。
適切な書類管理は文書管理システムがおすすめ
文書管理システムとは書類を電子化し、保管から廃棄に至るまでを管理するシステムです。紙文書では分類やファイリングなど、管理に時間と手間がかかります。分類にも抜けや漏れが発生して、効率的な文書管理が困難といえるでしょう。
文書管理システムでは書類の情報をデータベース化でき、カテゴリごとの分類が可能です。階層構造でファイル管理ができるようになり、文書の検索性が上がります。ファイルの共有も容易になり、円滑な情報共有や適切な情報管理が実現するでしょう。
電子帳簿保存法にも対応している製品が多いため、法改正により文書保存の対応も可能です。自社にあった文書管理システムを知りたい方は、以下のページもあわせてご覧ください。
ファイリングのコツを理解し適切な文書管理をしよう
ファイリングのコツは、不要な書類を処分して、保管する文書のスペースを確保することです。見出しや色による分類で書類を探しやすくし、文書を立てて保管すると効率的な管理につながるでしょう。
ファイリング方法には、バーティカル・バインダー・ボックスタイプがあります。取り出しやすさならバーティカル、収納性ならバインダーやボックスタイプがおすすめです。分類方法にはツミアゲ式とワリツケ式があり、書類の量や種類によって適切な保管方法を採用しましょう。
ファイリング作業に文書管理システムを活用すると、保管や保存はもちろん、検索がしやすく保存期間に応じて自動削除も可能です。自社にあう方法で効率的に書類を管理するためにも、文書管理システムの資料請求をして理解を深め、最適な文書管理の方法を検討しましょう。