ロケーション管理の基礎知識
ロケーション管理とは在庫管理を行う上での1つの手法で、在庫の位置をあらかじめ決めて管理を行うことです。在庫の位置がわかっているので、倉庫内を探し回る必要もなくピッキングが容易に行なえます。ロケーション管理には2つの手法があり、「固定ロケーション」と「フリーロケーション」があります。
固定ロケーションとフリーロケーション
在庫を保管する倉庫管理の手法には、固定ロケーションとフリーロケーションがあります。固定ロケーションは決まった場所に製品を置いていく手法、フリーロケーションは空いている場所に順に置いていく手法です。
以前は決められた場所に製品を置く固定ロケーションが常識とされてきました。このため、どこに何を置くかを厳格に定め、作業員はそのルールを覚えなければなりませんでした。しかし、バーコードとハンディターミナルによる製品管理が登場し、時代が変わります。棚ごとに番地バーコードを貼り付けることで、製品のバーコードと紐付けてシステムに記録することが可能となりました。出庫の際は、ピッキングリストに棚番地を印刷することで、決められた置き場所を知らなくても探し出すことができるようになったのです。
2つを組み合わせたダブルトランザクション
ダブルトランザクションとは、固定ロケーションとフリーロケーションを組み合わせた方法のことです。倉庫内をピッキングエリアとストックエリアに分け、ピッキングエリアは固定ロケーションを、ストックエリアにはフリーロケーションを採用します。
ピッキングエリアには出荷率が高く作業頻度の高い商品を置きます。ストックエリアには、ピッキングエリアに入り切らなかった商品や作業頻度の低い商品を置きます。ピッキングエリアの在庫が一定数を下回ると、ストックエリアから補充を行います。
在庫管理のフリーロケーションのメリット・デメリット
フリーロケーションを行うことのメリット・デメリットは何でしょうか。
フリーロケーションを行うメリット
フリーロケーションの登場によって、置き場所のルールを覚える必要がなくなりました。保管業務が楽になり、パートやアルバイトでも作業できます。すき間無く置いていくことで、倉庫の保管効率も向上します。さらに棚割りが決まっていないので、棚割りを考え直す必要もありません。
フリーロケーションを行うデメリット
反面、フリーロケーションはシステム化の投資が必要となります。システム構築とハンディターミナルが不可欠となり、相応のIT投資が求められます。また、ピッキングの際は1ヵ所からまとめて探し出すことができません。置き方のルールは効率的なピッキングを前提に長年の経験で形にされたものです。
しかし、フリーロケーションは端から順に商品を詰めていくだけなので、ピッキングの効率をまったく考えていません。わずか数品の商材をピッキングするために、広い倉庫の端から端まで走り回らなければならないこともあります。
フリーロケーションの在庫管理に適した商材
倉庫の保管効率が向上するからといって、すべての商材がフリーロケーションに適しているわけではありません。適している代表的な例を紹介しましょう。
商品の入替え頻度が高い
固定ロケーションは置き方の運用ルールを明確に決め、それに従って商材を整然と保管していきます。しかし、その商材の入れ替えが激しい場合は、ルールの決めようがありません。あうんの呼吸で置くことになり、複数人での作業が困難になります。雑貨やアパレルがこれにあたります。雑貨やアパレルは季節、トレンド、セールなどによって商品が目まぐるしく変わるため、運用ルールを決めるよりもフリーロケーションで端から置いていった方が管理しやすくなります。
在庫量の変動が大きい
固定ロケーションにおける置き場所はある程度一定の在庫量を前提としています。しかし、化学原料などは生産する製品により在庫量に大きな増減が発生します。これも運用のルール化が困難でフリーロケーションの方が適しています。
外側から商品を判別できない
似たような荷姿であるため目視では商材を特定するのに時間がかかる、またはピッキングのミスが発生しやすいものはフリーロケーションが適しています。クリーニング、化学原料、繊維原反などがこれにあたります。
消費期限管理やロット管理が必要
賞味期限の異なるものは、同じ商材であっても別の棚において、出荷の順番を制御することが求められてきました。これもフリーロケーションにすることで、置き場所に関係なく管理できるようになります。ロット管理も同様で、同じ番号の商材は同じ場所に置くことが前提とされてきましたが、この管理からも解放されます。食品や医薬品がこれらにあたります。
ロケーション管理を行うには?
エクセルでロケーション管理
エクセルのテンプレートを利用して在庫管理を行うことはできます。しかし、在庫の状況は逐一変わるため人的ミスから逃れることはできません。さらに商品の数が増えてくれば、エクセルでの管理は困難になります。
参考記事:エクセル表から脱却! 基礎からわかる「在庫管理」
在庫管理システムを導入する
ロケーション管理、特にフリーロケーションの場合は在庫管理システムを導入することをおすすめします。在庫の状況をリアルタイムで把握することができて、バーコードでの管理により簡単に位置情報を管理することができます。在庫管理システムの導入には費用がかかりますが、適正な在庫管理を行うことで利益を上げることができます。システム導入も考えてみてはいかがでしょうか。
在庫管理システムにご興味のある方は実際の製品も見てみてください
参考リンク:在庫管理システムの製品を比較!
まとめ −増加している在庫管理のフリーロケーション
時代とともに在庫管理の手法にも変化が見られます。拡大・成長を遂げるネットショッピングの世界でもフリーロケーションが採用され、成功しています。膨大な量のアイテムをロボットが保管し、ピッキングしているのです。自社の在庫管理を見直し、ビジネスチャンスを拡大してみませんか。