在庫の種類
在庫管理について考える前に、まず在庫にはどんな種類があるのかを把握しましょう。ここでは自社で製品を組み立てる製造業の場合と商品を保管するだけの小売業の場合に分けて解説します。
製造業の場合
製造業が持つ在庫は、どの製造工程に属するかによって3種類に分けられます。
1.原材料・部品
原材料・部品は製品を作るために必要不可欠なもので、製品を作る前に仕入れる在庫です。
鉄や樹脂などの原材料はそのままでは使用できず、加工という工程を経ることで初めてネジやナットなどの部品となります。原材料を部品に加工する工程はアウトソースすることも多く、多くの製造業は部品のみを在庫として持っています。
2.半製品・仕掛品
次に部品・原材料を使用して加工や組み立てをおこなって製品を製造していきます。このときに発生するのが半製品という在庫です。半製品は製造工程内にある生産途中の製品のことで、仕掛品とも呼ばれています。加工や組み立てをして半製品ができる段階では、半製品が在庫となります。
3.完成品
製造が完了し販売可能な製品のことで、出荷を待つ在庫となります。在庫といえば、この完成品をイメージされる方も多いでしょう。
小売業の場合
小売業が持つ在庫は製造業の持つ各工程ごとに分かれた複雑な在庫とは違い、1種類のみです。一般的に小売業では仕入れた商品は加工や組み立てなどを行わず、そのまま販売されます。そのため販売を目的として仕入れ、まだ販売されていない状態にある商品が小売業の在庫となります。

在庫管理を効率的に実施する手法
在庫管理を効率的に行うにはどのような手法があるのでしょうか。簡単に4つの手法を紹介します。
1.先入れ・先出しを徹底する
在庫管理の基本ですが、先に入荷したものを先に出荷するという手法です。特に食品など期限がある商品は、期限切れになると商品を出荷できなくなり、余計な廃棄費用が発生します。また廃棄するま棚の保管スペースを占有することで、在庫管理全体での保管効率を下げることにもなるでしょう。
先入れ先出しについて、詳しくはこちらの記事をご覧ください。
2.ABC分析で優先順位をつける
どの在庫を優先的に管理するかをABCでランク付けする手法です。売上高などの指標を決めてABCの3グループに分類します。各優先度に最適な発注方式を選択することで、在庫管理全体の効率化を図ることができます。
ABC分析の詳細は以下の記事をチェックしてみてください。
3.発注方法・方式を見直す
発注方法・方式を見直して適正な在庫数を保ちましょう。発注方式にはいくつか種類がありますが、よく採用されているのが定量発注法式と定期発注方式です。
定量発注法式は在庫が一定量を切ったら、定期発注法式は一定期間ごとに発注する方法です。それぞれ前述のABC分析で分類されたグループによって適した発注方式が異なるため、商品ごとに最適な発注方式を選びましょう。
それぞれの発注方式についてはこちらの記事で詳しく解説しています。
4.棚卸・ロケーション管理を正確に実施する
在庫が「どこにどれくらいあるのか」を正確に把握しましょう。在庫情報を正しく把握できていないと、ピッキング効率が下がったり過剰在庫・欠品を起こす原因となります。ロケーション管理を日々行いつつ、定期的な棚卸で大きなズレが無いか確認することを繰り返しましょう。在庫は会社の資産であるため、正確な把握が必須です。
ロケーション管理についてさらに詳しく知りたい方は、以下の記事を参考にしてください。
在庫管理を効率化できるツール
続いて、在庫管理を効率化できる便利なツールを紹介していきます。
エクセル(Excel)を使った在庫管理
Excelでの在庫管理は、パソコンにExcelが入っていれば無料で手軽に始められるのが特徴です。入庫と出庫の差を関数やマクロを用いて管理するため、入力する数値を間違わなければ正確に計算することができます。
インターネット上にはExcelで在庫管理するためのテンプレートも多くあります。テンプレートを利用すれば一から在庫管理表を作成することなく、簡単にExcelで在庫管理を始めることが可能です。
ハンディターミナル・RFIDを使った在庫管理
ハンディターミナルを活用すると、在庫商品のバーコードやQRコードを読み取ることができます。読み取りは一瞬で完了するため、紙ベースで管理したりシステムに手入力するよりも素早く行うことができます。
またバーコード・QRコードとは別にRFIDというものがあります。RFIDとは在庫情報などを記録できる小型のタグであり、電波によって非接触で記憶・読み取りが可能です。このRFIDを入荷時に商品に貼っておくと、ピッキング時に読み取ることで誤出荷を防いだり、棚の高い位置にある商品を人の目線の高さからスキャンして棚卸することもできます。
在庫管理システムを使った在庫管理
在庫管理をシステム化し、入庫から出庫までを一元管理するのが在庫管理システムです。在庫管理は在庫の情報を一元管理することで、適正な在庫数を維持することを目的としています。在庫管理システムを導入することで、煩雑な管理業務を軽減することができます。
在庫管理システムについてご興味のある方は、下記の記事を参考に実際の製品を比較してみてはいかがでしょうか。
在庫の種類やツールを知って業務を効率化しよう
在庫の種類や管理ツールについて解説しました。在庫管理を効率的に行うことができれば、売上を上げることも可能になります。エクセルを利用すれば費用をかけず在庫管理を行うことができますが、実際にかかっている人件費を考えるとハンディターミナルや在庫管理システムを導入したほうが、費用対効果が出る場合もあります。
エクセル以外のツールやシステムの導入も検討してみてはいかがでしょうか。
