入社前に必要な準備
入社前に必要な準備とは、どんなものでしょうか。
必要書類の作成・送付
入社前には、入社に必要な書類を作成し、内定者に送付します。必要書類は、以下の通りです。
- ■雇用契約書
- ■労働条件通知書
- ■採用通知書(内定通知書)
- ■入社承諾書
- ■誓約書
雇用契約書は、就業規則などの重要事項や、使用者と社員双方の署名又は記名押印欄を作成・記載します。
労働条件通知書には、雇用形態・職種・仕事内容・日数・労働時間・給与額などの労働条件や、使用者の署名又は記名押印欄を作成・記載します。雇用形態は正社員、契約社員、パート、アルバイトなどです。
採用通知書(内定通知書)は、内定者の意思確認の意味合いがあるため、入社承諾書と誓約書をセットで作成・送付するのが一般的です。採用通知書(内定通知書)には、以下の項目を記載します。
- ■応募に関するお礼
- ■採用内定のお知らせ
- ■同封書類の紹介
- ■必要な提出書類と提出期限
- ■入社日(未定なら、別途連絡する旨を記載)
- ■問い合わせ先(担当者の連絡先、担当者名など)
入社時に回収する書類などの提出依頼
人事担当者は、内定者から入社時に以下のものを提出してもらいます。
- ■雇用保険被保険者証(中途採用者のみ)
- ■年金手帳の写し
- ■住民票
- ■給与所得者の扶養控除等(異動)申告書(配偶者や扶養家族の確認用)
- ■健康保険被扶養者(異動)届、国民年金第3号被保険者資格取得届(該当なしの場合は不要)
- ■マイナンバー(本人および扶養家族のもの)、本人確認も
- ■源泉徴収票(前職での収入があった場合)
- ■雇用契約書、入社承諾書(署名、捺印済み)
- ■給与振込先申請書、身元保証書(必要な方のみ)
- ■通勤手当支給申請書、住宅手当支給申請書
- ■資格免許証、合格証明書類(特定の資格が採用条件になっていた場合)
- ■健康診断書(有効期限3ケ月が一般的)
- ■個人情報保護法に基づく誓約書
入社後に必要な手続き
従業員が入社した後には、どのような手続きが必要になるのでしょうか。
保険に関する手続き
保険に関する手続きには、どのようなものがあるのでしょうか。
社会保険の資格取得
社会保険(厚生年金保険や健康保険)は、常時雇用されている従業員であれば、国籍や性別、年金受給の有無に関わらず、一定の条件を満たす全員が加入対象となります。70歳以上の新規雇用者の場合、加入対象となるのは健康保険のみです。
社会保険の資格取得には、雇用後5日以内に、管轄の年金事務所と健康保険組合へ、「健康保険・厚生年金被保険者資格取得届」を提出する必要があります。協会けんぽの場合は年金事務所が窓口になります。
提出方法は、電子申請(e-Gov)か郵送、窓口持参のいずれでも構いません。配偶者や子どもがいる場合は「健康保険被扶養者(異動)届」の提出も必要です。また、「国民年金の第3号被保険者」となる配偶者がいる場合は「国民年金第3号被保険者資格取得・種別変更・種別確認(3号該当)届」も一緒に提出します。
雇用保険の加入手続き
雇用保険は、以下の2つの条件を満たした場合に、加入手続が必要です。
- ■31日以上の雇用継続
- ■週20時間以上の所定労働時間
条件に合致する場合は、雇用月の翌月10日までに「雇用保険被保険者資格取得届」に法定三帳簿(後述)などの確認資料を添えて、ハローワークへ提出しましょう。内定者が中途採用の場合は、前職の「雇用保険被保険者証」が必要です。
税金に関する手続き
採用内定者には、所得税と住民税の手続きが必要です。
所得税の手続きでは、入社時に提出してもらった「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」をもとに、企業側が源泉徴収簿を作成します。年内に再就職した従業員には、前職の「給与所得の源泉徴収票」を提出してもらいましょう。源泉徴収税は、給与支払い月の翌月10日が納付期限なので、それに間に合うように源泉徴収簿を作成します。
住民税は、前年の所得に対して徴収されます。そのため前職が無職の場合は、住民税の手続きをする必要はありません。この場合は、来年の6月に従業員の給料から所定の金額が天引きされます。
住民税を普通徴収(自ら納める)から特別徴収(源泉徴収する)に変更する場合は、「給与支払報告・特別徴収に係る給与所得者異動届出書」を納付先の役所に提出しましょう。
特別徴収を継続する場合は、「特別徴収にかかる給与所得者異動届出書」を納付先の役所が設定している期限までに提出します。
法定三帳簿の作成
法定三帳簿とは、労働者名簿・賃金台帳・出勤簿のことです。労働基準法によって作成・保管が義務付けられています。
労働者名簿は、性別・住所・仕事の種類・入社年月日などを記載し、保管します。賃金台帳は、契約社員やアルバイトを含む全従業員の賃金情報が必要です。出勤簿は全社員が対象で、3年間保管する必要があります。
仕事で必要となる備品の用意
新入社員に必要な備品を準備します。職場によって異なりますが、主なものは以下の通りです。
- ■制服
- ■社員証
- ■オフィスデスク
- ■オフィスチェア
- ■PC
- ■事務用品
- ■名札
- ■ロッカー
備品を準備する際は、内定者の身長や体重、その他の情報を事前に入手しましょう。
入社日までに必要な備品をそろえるには、ある程度の個人情報が必要です。間違った情報をもとに準備すると、入社後に修正の手間が発生します。特に制服や社員証、名札などは、作り直しに時間がかかるので注意しましょう。
入社手続きを効率化する方法
入社手続きを効率化するには、労務管理システムがおすすめです。
労務管理システムを導入すれば、各種保険の資格取得届・資格喪失届・離職証明書・源泉徴収票などの必要書類を、簡単に自動作成できます。
従業員が直接システムに必要な情報を入力するため、書類作成の手間もなくなるでしょう。進捗状況を確認できるため、記入漏れや誤字脱字なども減らせます。電子申請が可能なので、役所や年金事務所に書類を提出する必要もありません。入社に関するすべての手続きを、管理画面上から行えます。
労務管理システムを使って入社手続きをスムーズに行おう
入社手続きには、以下の作業が必要です。
- 【入社前に必要な準備】
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- ■必要書類を作成し、内定者に送付する
- ■入社時に必要な書類などを回収する
- 【入社後に必要な手続き】
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- ■社会保険や雇用保険、税金に関する手続きを行う
- ■法定三帳簿を作成する
- ■仕事で必要となる備品を用意する
業務を効率化するには、労務管理システムを導入するのがおすすめです。労務管理システムを使って、入社手続きをスムーズに行ってください。