プロジェクト管理のゴールとは?
プロジェクト管理のゴールとは、プロジェクトの達成を判断するための指標です。通常、数値で明確に定義し、これを数値目標と呼びます。数値目標には以下のような例があります。
- ■売上高
- ■コストカットの割合
- ■商品販売数
- ■システムの処理速度
- ■エラー回数
一方、社員のモチベーション向上のように、数値で表現できない状態目標もあります。補助的なデータとなりますが、無理に数値目標を作る必要はありません。
また、ゴールには「絶対に達成すべきゴール」と、「可能であれば達成したいゴール」があります。この両者の区別を明確にし、注力する部分を間違えないことが大切です。

ゴール達成のために重要な「QCD」とは?
QCDとは、品質・コスト・納期の3つの要素を意味します。プロジェクトを正しくゴールに導くためには、この3要素を意識することが大切です。では、それぞれの意味を見ていきましょう。
Quality(品質)
品質とは、「品物がある一定の基準を満たしているかどうかを評価する特性」のことを指します。つまり、「ある品物が満足に利用できる水準」を保つための指標といえます。そのため、システム開発を行う際は、以下の6つの指標を品質の判断基準にしましょう。
- 機能性
- 要件定義などの仕様を満たしているか
- 信頼性
- 納品時の品質を維持できるか
- 使用性
- ユーザーにとって使いやすいか
- 効率性
- 効率よく処理できるか
- 保守性
- メンテナンスしやすいか
- 移植性
- サーバやOSのアップグレードに対応できるか
品質は納品時だけでなく、運用開始後のことも考慮する必要があります。
また、成果物の品質を管理するには、以下の3つの手法があります。
- 品質計画
- 品質を保証するための手順やプロセスを定義する
- 品質保証
- 計画に従い、適切な品質かどうかを監査する
- 品質管理
- 成果物の品質を確認し、問題点を抽出する
これらのステップを踏み、品質が当初の予定からずれていないか監視しましょう。
Cost(コスト)
コストを管理するには、以下の4つの手法があります。
- コスト管理計画
- 計画書の作成
- コスト見積もり
- 費用を見積もる
- 予算算出
- コスト見積もりをもとに予算を設定
- コストコントロール
- 見積もりと実績を比べ、調整を実施する
これらのステップを踏み、費用を予算内に抑えることが大切です。システム開発で予算内にコストが収まらない場合は、いくつかの原因が考えられます。
目的が曖昧であれば、途中で機能を追加・変更する必要が生じ、想定外のコストがかかります。特にセキュリティ対策に関しては後になって要望が出ることもあります。そのため、あらかじめ予定を明確化しておきましょう。
また、運用面でのコストも考慮しなければなりません。納品後もコストがかかることを忘れないようにしましょう。
Delivery(納期)
納期管理には以下の7つの手法があります。
- スケジュール管理計画
- 計画書を作成
- アクティビティ定義
- WBSでタスクを細分化
- 順序設定
- タスクの順序を設定
- 資源見積もり
- 必要人材や資源を見積もる
- 所要期間見積もり
- 所要期間を見積もる
- スケジュール作成
- タスクをこなすための具体的なスケジュールを作成
- スケジュールコントロール
- 実態がスケジュールからずれないよう調整
システム開発で短納期を実現するには、ウォーターフォール型開発が望ましいでしょう。ウォーターフォール型とは、一度定めたスケジュールを後戻りすることなく進める方法です。途中での変更ができないため柔軟性は失われますが、納品速度を上げられます。
途中での変更が必要ないように、計画をしっかりと練ってメンバーで共有しておくことが大切です。
QCD達成のコツとは?
QCDを達成するためのコツを解説します。
PMBOKの活用
プロジェクト管理にPMBOKを活用しましょう。PMBOKとは「Project Management Body of Knowledge」の略で、プロジェクト管理に必要な知識をまとめたものです。
従来は企業ごとに異なっていたプロジェクト管理手法が体系的に示されています。ゴールであるQCDだけでなく、そこに至るプロセスにも焦点を当てているのが特徴です。
実践的な手段が書かれているわけではありませんが、考え方や心構え、基本的な知識が記載されています。これを参考にし、適切な管理を目指しましょう。
プロジェクト管理ツールの活用
方法だけを考えても、それを実践するためのツールがなければうまくいきません。スケジュールを管理するにはガントチャート、メンバーとの情報共有にはコミュニケーションツールが必要でしょう。これらのプロジェクト管理に必要な機能を搭載しているのがプロジェクト管理ツールです。
ガントチャートを利用すれば、タスクやその流れを視覚化でき、共有が円滑になります。コミュニケーションツールでこまめなコミュニケーションが取れれば、より状況把握が簡単になるでしょう。
これらの機能を備えた管理ツールを活用することで、プロジェクトを円滑化できます。その結果、人為的ミス・必要工数・コストの削減や、品質向上につながります。
QCDを意識してゴールを設定しましょう!
プロジェクト管理におけるゴールとは、達成を判断する指標です。一般的に数値で明確化します。ゴールにはQCDと呼ばれる以下の3要素があります。
- ■品質
- ■コスト
- ■納期
これらを達成するためのコツは以下の2つです。
- ■PMBOKの活用
- ■プロジェクト管理ツールの活用
ノウハウとツールの両方を活かし、プロジェクトを円滑に進めましょう。ぜひ参考にして、スムーズなQCD達成を目指してください。
