プロジェクトライフサイクルとは
プロジェクトが開始され完了に至るまで、「始まり」「中間」「終わり」の各フェーズを経由するプロセスのことを、プロジェクトライフサイクルといいます。詳しく内容を解説します。
プロジェクトが通るプロセス
プロジェクトライフサイクルは、プロジェクトが通るプロセスのことです。以下の4ステップに分けられます。
- ■開始
- ■準備
- ■作業
- ■完了
また、プロジェクトライフサイクルには、以下の3つの特徴があります。
- ■コストや要員は中盤にかけて増加し、そこから減少に転じる
- ■ステークホルダーの影響力は開始時に最大で、その後は減少の一途をたどる
- ■変更やエラーの影響は終盤にかけて増大
※ステークホルダー 株主・経営者・従業員・顧客・取引先など企業が活動を行うことで影響を受ける利害関係者のこと。
プロジェクトフェーズの集まり
プロジェクトライフサイクルは、プロジェクトフェーズの集まりとも言えます。プロジェクトにおける「フェーズ」とは、プロジェクトを計画・遂行するにあたり、作業内容や期間や規模によって細かく区分したものです。
大きく長期にわたるプロジェクトとなると、作業量も膨大になるため、プロジェクトを複数の「フェーズ」に分けて管理することで、着実にプロジェクトを遂行できます。またそれぞれのフェーズで、達成基準などの目標を定めて管理します。
フェーズの中でやるべき作業を「タスク」と呼び、すべてのタスクが完了し次のフェーズに成果物を引き継ぐことで、一つのフェーズが完了します。各フェーズの終盤はマイルストーンやフェーズゲートなどと呼ばれ、作業の再評価が行われます。
※マイルストーン プロジェクトの中間目標地点や節目のポイント地点のこと。
※フェーズゲート 一つのフェーズの終局地点のこと。
プロダクトライフサイクルに含まれる
プロジェクトライフサイクルは、プロダクトライフサイクルに含まれます。プロダクトライフサイクルは、ビジネスの開始から、市場より撤退するまでです。このサイクルの中に、プロジェクトライフサイクルが含まれます。
たとえば、プロダクトライフサイクルの中の製品開発や市場調査といったフェーズは、1つのプロジェクトです。そして、そのプロジェクトがプロジェクトライフサイクルとしてフェーズに区分され、管理されます。
プロジェクトライフサイクルの種類
プロジェクトライフサイクルは、プロジェクトの特色に応じて3つの種類があります。プロジェクトの目的を明確にして、どのタイプのプロジェクトサイクルが適しているのか見極めましょう。
1.初期段階でコストなどを決定する「予測型ライフサイクル」
プロジェクトの予算やスコープを、初期段階で決定するタイプを予測型ライフサイクルと呼びます。各フェーズで達成すべき目標やプロセスを厳密に区分するのが特徴です。そのため、フェーズごとで作業内容や必要なスキルが異なります。
2.サイクルを繰り返し行う「反復型・漸進型サイクル」
一連のサイクルを繰り返すことで、チームメンバーがプロダクトへの理解を深められるタイプです。反復型と漸進型では以下の違いがあります。
- 反復型
- 一連の作業を繰り返すことでプロダクトが完成する
- 漸進型
- プロダクトに新しい機能を加えていくことで完成する
3.変化に対応していく「適応型ライフサイクル」
短期間での反復を行うタイプで、アジャイル型や変化駆動型とも呼ばれます。反復する点では反復型と同じですが、その期間が2~4週間程度と短いのが特徴です。また、時間とコストがあらかじめ決まっています。
適応型ライフサイクルは、事前の見通しが難しい場合に用いられます。要求や概念レベル、ステークホルダーの意見など、変動の激しい環境に適応しやすい形式です。
プロジェクトライフサイクルの4ステップ
プロジェクトライフサイクルにおいて、プロジェクトが経由する各フェーズについて、内容やポイントを具体的に解説します。
開始
プロジェクトライフサイクルは、立ち上げ時に検討する必要があります。プロジェクトをコントロールする手段であると同時に、組織から支援を受けるためのチャンスでもあります。
以下の4つを定めましょう。
- 作業内容
- それぞれのフェーズで必要な作業を見積もります。要件定義や基本設計、テストを洗い出します。
- 要素成果物とその検証・承認方法
- いつ要素成果物を生成し、それを検証・承認するをか定めます。要素成果物とは、各フェーズで生成すべき成果物です。要件定義フェーズでは要件定義書、設計フェーズでは設計書が要素成果物に該当します。
- 要員配置
- それぞれのフェーズに誰を配置するかを定めます。特に予測型ライフサイクルでは、フェーズごとに求められる作業内容やスキル、必要な人材が異なるため要注意です。
- 各フェーズのコントロール・承認方法
- フェーズのコントロール方法と、フェーズ完了の確認方法を定義します。完了した段階で次に引き継ぎます。
準備
このフェーズでは、プロジェクトの概要と目的を明らかにします。それをもとに、具体的な期限や担当、スケジュールなどの計画書を作成します。具体的には、以下のような項目が記載されます。
- ■プロジェクトの目的とゴール
- ■スコープ
- ■コスト
- ■スケジュール
- ■体制
- ■品質
- ■コミュニケーション
- ■リスク
プロジェクト管理の計画書については、以下の記事で詳細を解説しています。
作業
このフェーズでは、キックオフミーティングから始まります。プロジェクト管理における計画書が作成出来たら、関係者全員に対して内容を説明し承認を得る必要があります。
承認を得られたら各々作業に移ります。このフェーズでは、作業の遅れや予期せぬ変更などが生じることもあるため、プロジェクトマネージャーはすべての要素が正確に進行しているかどうか、適宜進捗管理を行う必要があります。
進捗管理のについては、以下の記事で詳細を解説しています。
完了
このフェーズでは、プロジェクトマネージャーがすべての成果物の最終確認をし、プロジェクトの引き渡しを行うことで、正式にプロジェクトの終了となります。次回のプロジェクトに繋げる課題として、プロジェクト振り返りやまとめ、分析なども行いましょう。
プロジェクトライフサイクルに役立つツールについては以下の記事を参考にしてください。
プロジェクトライフサイクルを理解し、プロジェクトを円滑に!
プロジェクトライフサイクルとは、プロジェクトが通るプロセスのことです。フェーズの集まりとも言えます。
プロジェクトライフサイクルには「予測型」「反復・漸進型」「適応型」の3種類があり、それぞれプロジェクトの内容や目的に応じた形式を選択しましょう。検討時のポイントや手順も併せて、プロジェクトを円滑に進める参考にしてください。