1 導入の目的を明確にする
販売管理システムの導入に必要な事前準備は、以下の3ステップになります。
- 1 導入の目的を明確にする
- 2 自社の業種に合った販売管理システムを検討する
- 3 部門間の要望をまとめる
各ステップでどのような事前準備が必要なのか、詳しく説明します。
まず、販売管理システムの導入目的を明確にしましょう。
システムの導入はあくまで課題解決の手段であるため、導入によって解決したいことや実現したいことを定かにしておく必要があります。そうしなければ、システムの導入自体が目的になってしまい、それを有効に活用できません。
販売管理システム導入の目的としては、以下のようなものが挙げられます。
販売業務を効率的にする
煩雑な販売業務をシステム化することで、効率的に業務を行えます。また、効率化することであらゆる無駄を無くすことができ、コスト削減も期待することができます。
進捗状況を可視化する
受注から納品、請求、入金までの進捗状況がデータで登録されることにより可視化され、視覚的に把握できるようになります。そのことにより、発注ミスや納品遅れ、在庫過多、商品不足といった問題の発生を未然に防げます。
売上データを活用する
蓄積された売上データを集計・分析して、販売戦略や販売目標の設定に活用できます。売上の減少などの問題も早期に発見して対策を打つことができます。
2 自社の業種に合った販売管理システムを検討する
販売管理システムは業種ごとに搭載されている機能が異なり、その業種に特化したような機能が備えた製品が多く存在します。そのため、当然ですが自社の業種向けのシステムを選択することは非常に重要です。複合的なビジネスを展開している場合は、どのシステムを導入するのが適切なのかを専門業者と相談して吟味することをおすすめします。
業種ごとに異なる選定ポイントというものがあります。せっかく販売管理システムを導入するのであれば、その選定ポイントを踏まえてシステムを選ぶべきです。
以下では、製造業、卸売業、小売業の選定ポイントをご紹介します。
【製造業】製造工程を把握できるシステムなのか
製造業が注目すべきポイントは、「自社の製造工程をどれだけ正確かつ詳細に把握できるシステムなのか」という点です。複雑になる製造工程を可視化し、数字として管理することが、製造業者が販売管理システムに求める機能でしょう。この機能により、製造計画に遅延をきたすことなく、シームレスに業務を進めることが可能となります。
【商社・卸売業】「取り寄せ」に対応した受発注入力ができるか
商社の場合、常に自社で製品を保有しているのではなく、「取り寄せ」を行う割合が多いというのが特徴です。煩雑な伝票入力の手間を省くことが出来るような受発注入力機能を備えているかを、重要ポイントとして確認するようにしましょう。
【卸売業(食品)】賞味期限の管理機能を搭載しているか
食品卸売業が注目すべきポイントは、「自社に合う賞味期限の管理機能を搭載しているか」です。食品卸売業者の業務の中で、賞味期限の管理は比較的大きな比重を占めています。そのため、その比重をどれくらいシステムによって軽減できるかという点を食品卸売業者は考えるべきです。
賞味期限を管理する機能としては、「賞味期限が迫っている商品の通知」、「賞味期限を基準とした商品の分類」などがあります。そういった機能の中から、どの機能が自社に合っているのかという点を吟味することがシステム選定時のポイントです。
【卸売業(医薬品)】薬品の管理方法は自社と合っているか
医薬品を扱う卸売業の場合は、「薬品の管理方法の種類」が選定のポイントとなるでしょう。使用有効期限による薬品の管理方法や、有効期限が迫っている薬品の把握方法など、求められる機能が多岐に渡ります。
【小売業】機能がどれくらい搭載されているか
小売業が注目すべきポイントは、「店舗運営を効率的に行うための機能がどれくらい搭載されているか」です。そのような機能としては、予算管理機能や売上管理機能はもちろん、例えば日ごとの売上と売上目標の差を管理しグラフ化する機能や、タバコや酒などの税金管理機能などが挙げられます。
そういった機能があることで、煩雑な業務が簡略化され、効率的な店舗運営を実現できるでしょう。
販売管理システムの業種別選定ポイントについてより詳しく知りたい方は、こちらの記事を参考にしてください。
3 部門間の要望をまとめる
システム導入の目的が明確になり、自社の業種に合うシステムとはどういったものかが判明した後、もうひとつやるべきことがあります。それが「部門間の要望をまとめる」ことです。
部門の要望をまとめる際のポイント2点を紹介します。
機能のすり合わせを行う
販売管理システムは、販売における一連の業務を管理してくれるシステムです。この「一連の業務」とは、販売に関するデータの発生からその販売取引が終了するまでであり、売上、購買、在庫などといった業務を管理するさまざまな機能が搭載されています。
そのため、販売管理システムの導入にあたっては、それらの業務に関連する各部門の要望に対応しなくてはなりません。関係する部門は企業によって異なりますが、主に営業部門、経理部門、製造部門、仕入部門などの部門が挙げられるかと思います。それぞれの部門から出てきた要望を実現できるような機能を搭載したシステムを選ぶ必要があります。
カスタマイズも視野に入れる
当然各部門によって求める機能は異なり、それをとりまとめるのは難しいかもしれません。しかし、導入前にそのすり合わせを怠ってしまうと、どの部門の要望も実現できないようなシステムになってしまう恐れがあります。その結果、導入したは良いものの、誰も使わないという事態が発生してしまう可能性があるのです。
販売管理システムは、機能のカスタマイズや追加が可能です。事前に要望をまとめておくことにより、より自社にとって使い勝手の良いシステムを作り上げることができ、導入後のシステムの効果を高めることが期待できます。
導入準備をして実際に販売管理システムを比較してみよう
本記事では、販売管理システムの導入ステップをご紹介しました。販売管理システムをうまく活用すると、業務が効率化するだけではなく、販売業務におけるさまざまな問題の発生を未然に防ぐことができます。今回ご紹介した3つのステップを経て、ぜひ自社にあったシステムを導入してみてください。