タレントマネジメントとは
タレントマネジメントの概要や目的、方法について解説します。
従業員の能力やスキルを最大限に活かすための管理手法
タレントマネジメントとは、従業員がもつタレント(能力・資質・才能)やスキル・経験値などの情報を集約し、人材開発・配置に活用する管理手法です。住所・年齢・学歴などの人事の基本情報に、これらを追加して一元管理します。
2種類のアプローチ方法がある
タレントマネジメントには、包含的アプローチと排他的アプローチの2種類があります。包含的アプローチは全社員が対象で、新入社員から幹部社員まで幅広くとらえた考え方です。全社員を適材適所に配置し、スキルや意欲を高められれば、組織全体におけるパフォーマンスの底上げが実現します。
排他的アプローチは、幹部候補やスペシャリストを対象にする考え方です。確かな経歴や高い専門性をもつ社員を、優先的にキャリアアップすることを目的としています。さらなる業績のアップが期待できるだけでなく、企業としての目標の具現化にもつながりやすいため、包含的アプローチと同様に重要視されています。
企業の収益アップや組織の成長が目的
タレントマネジメントは、従業員のタレント情報にもとづいてそれぞれの能力や経歴を最大限に活かし、企業の利益アップや組織の成長につなげることを目的としています。組織全体のパフォーマンスが向上すれば、企業経営にもプラス効果が見込まれるため、経営戦略の実現に有効です。
日本でタレントマネジメントが注目される背景
日本でタレントマネジメントが注目される背景を解説します。
労働市場が変化してきたため
日本は少子高齢化で人口減少が進んでおり、労働市場は大きく変化しています。労働力人口(15歳以上の人口のうち、就業者と完全失業者をあわせた人口)も年々下降傾向にあり、企業の新規採用は厳しさを増すばかりです。
その結果、新規採用に頼らず、社内の人材を活かし最大限の効果を上げることが求められるようになりました。タレントマネジメントで適切な人材配置ができれば、従業員は自分の仕事にやりがいを見いだせるようになり、離職率低下につながるでしょう。
また、政府が主導する「働き方改革」の中の「長時間労働の是正」に対応するためには、従業員の生産性向上が欠かせず、その対策としてもタレントマネジメントは注目されています。
参考:長時間労働削減に向けた取組|厚生労働省
HRテックの活用が進んできているため
HRテックはHuman Resource(人材資源)テクノロジーの略で、タレントマネジメントを支えるITテクノロジーです。最先端の人工知能技術やクラウド・ビッグデータ分析など、大きな技術革新が図られ、人事分野でも活用されるようになりました。
日本では、人材の流動が激しい欧米と異なり、終身雇用が定着しています。これまでは人事部員の入れ替わりが少なく、担当者の主観で人材配置などを実施してきました。しかし現在は働く環境の整備が急務となり、勘に頼るこれまでの手法は通用しなくなっています。HRテックを活用すると客観的なデータを得られるため、最適な人材配置を実現できます。
タレントマネジメントの導入効果とメリット
タレントマネジメントを導入することで得られるメリットや導入効果を解説します。
人材配置・育成がスピーディーに進む
タレントマネジメントでは、従業員のあらゆる情報を一元管理します。部署やプロジェクトに人材が必要なときは、そのなかから効率よく的確に選出できます。適材適所の人材配置が実現すれば、業務が円滑に進むでしょう。
また新しい事業を展開するときは、人材の育成や教育が必要になるケースがあるため、タレントマネジメントが有効です。個人のもつ才能・能力・スキルがデータとして登録され、最適な人材をピンポイントで見つけられれば、客観的に評価した配置が実現するでしょう。また外部の人材を新たに採用するよりも採用・育成にかかるコストが抑えられるうえ、ミスマッチも起こりにくいことも、タレントマネジメントのメリットです。さらに従来のような派閥・年齢・期待値などの偏った見方から解放され、新しいポストや新しい事業などに最適な人材配置が実施できる効果もあります。
従業員のモチベーションが向上する
タレントマネジメントは、従業員の過去・現在・未来に関する情報を管理し、配置転換や育成を検討します。データは論理的かつ可視化されているため、それをもとにした人事的判断を、従業員は公平で納得できるものと受け取るでしょう。
結果として、会社への信頼感が強くなります。また今後やりたい仕事や身につけたい能力などの目標をもちやすくなり、モチベーション向上につながります。さらにタレントマネジメントを導入し、自身の特性・スキルに合う仕事を続けることで満足度アップの効果が見込めるでしょう。
リーダー育成・後継者育成にも活用できる
タレントマネジメントを、リーダー育成として活用している企業も多くあります。従来の人事管理にも能力開発の役割はありますが、タレントマネジメントでは、社員を選抜して育成するのが特徴です。将来にわたって会社を牽引していくリーダーに絞って、教育できるのが、タレントマネジメントのメリットです。
タレントマネジメントの実施により育成計画を立案し、PDCAのサイクルを回しながら人材育成します。後継者管理も同様の概念で可能です。後継者像に近いポテンシャルをもつ人材を候補として選別し、計画的な育成が実現するでしょう。
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タレントマネジメントの導入事例を紹介
タレントマネジメントの成功事例と失敗事例を紹介します。
タレントマネジメントの成功事例
タレントマネジメントが、大規模な人材把握や緊急時の人材配置に役立ったという事例を紹介します。
- 事例1.グループ企業の人材を把できるようになった
- 中堅広告代理店A社。数百人におよぶ企業規模・6社のグループ間の人材把握が困難になったため、タレントマネジメントを導入。グループ間に必要な人材と現状のギャップを可視化して、過不足のない人材配置ができるようになった。
- 事例2.人材の最適配置により赤字プロジェクトの防止つながった
- SI事業者B社の事例。全国の主要都市に拠点を設け、サーバ・ストレージ・ネットワーク・ミドルウェア・アプリケーションを総合的に対応。時おり大幅な遅延が生じてしまうことがあり、緊急な人材の補充のため派遣を利用するなど赤字になることもあった。タレントマネジメント導入以降、プロジェクトの発足時に必要となるスキルと人数を明確化し、すばやく的確な人材を投入できるようになった。
タレントマネジメントの失敗事例
タレントマネジメントを導入したものの、上手く活用できなかった失敗事例を紹介します。
- 事例1.社員に浸透せずデータが集まらなかった
- タレントマネジメント導入前に社員に目的やメリットを伝えておらず、運用に必要な社員の情報が集まらなかったため、活用ができなくなった。
- 事例2.データの活用方法が定まらなかった
- 従業員本人を含む、現場の管理者や経営層、経営企画部門など非人事部門でも活用できるタレントマネジメントシステムを導入したが、それぞれの活用の目的や、ゴールを定めていなかったため人事管理システムと重複したり、放置されたままのシステムになった。
タレントマネジメントのデメリット
タレントマネジメントを実施するにあたってシステムを導入すれば、適切で効率的な人材管理が実現します。しかし導入・運用にはコストがかかることが、デメリットといえるでしょう。
提供形態にもよりますが、オンプレミス型の場合は数百万~数千万円ほどかかるケースもあるようです。クラウド型であれば、初期費用は安く済みますが月々のランキングコストがかかるため、自社に最適な形態や機能を事前に検討しておきましょう。
タレントマネジメントの導入時に押さえるべきポイント
タレントマネジメントの導入を成功させるために押さえるべきポイントを解説します。
導入目的を明確にする
タレントマネジメントを単に導入しただけではメリットを実感できません。例えば従業員の情報を集約するだけで人材配置に活用しなければ、宝の持ち腐れになります。企業の経営理念や課題などをもとに適切な目標を立て、それが達成できる運用を確立しましょう。
また目的を決めたあとは、必ず全従業員に周知します。目指す場所を共有できていれば軸がブレにくくなり、一丸となって目的の達成に取り組めます。
システムの導入を検討する
タレントマネジメントでは、従業員のあらゆる情報を一元管理し、評価・人材育成・人材配置などを行わなくてはなりません。限られた人数でこれらを遂行するとなると、膨大な手間がかかるうえ、ほかの業務に時間を割けなくなるでしょう。
そこでおすすめなのがタレントマネジメントシステムです。タレントマネジメントシステムには以下のような機能が搭載されており、効率化を図れます。
- ・データの蓄積・検索機能
- ・サイトの連携機能
- ・スキル分析機能
- ・テキストマイニング
- ・パーソナリティ診断機能
- ・異動シミュレーション機能
- ・評価シート作成機能
- ・人材育成用の動画教材
時間を節約しつつ、的確な人材配置・育成を実施したい企業は、タレントマネジメントシステムの導入を積極的に検討しましょう。導入製品にお悩みで、まずは最新の人気製品から検討してみたい、という方はこちらのランキングも参考にしてください。
タレントマネジメントの基本知識を踏まえ導入を検討しよう
タレントマネジメントとは、従業員の能力やスキルを活かすための管理手法で、「包含的アプローチ」と「排他的アプローチ」の2種類のアプローチ方法があります。導入により、人材配置・育成の効率化、従業員のモチベーション向上などのメリットがあります。タレントマネジメント活用のポイントを押さえ、早速システム導入を検討してみてはいかがでしょうか。