ゲストプロフィール
アドバンサー株式会社 代表取締役
藤田 純氏
1983年北海道名寄市生まれ。地元の高校を卒業後、東京に進学、その後三菱系列の会社に新卒入社。その半年後に通信系ベンチャー企業に転職し2015年4月アドバンサー株式会社を設立する。
現在、350名を超える社員を抱える通信系特化型人材支援サービス会社へと成長させた。
2021年7月には祖父が立ち上げた藤田産業株式会社(プロパンガス事業)を継承し現在東京と北海道の2社を経営。また世界学生起業家コンテストGSEAの日本理事を4年務め、多くの学生起業家を世界に送り出してきた。近年、自社でも事業家を生み出しサポートする「事業家創造プラットフォーム」の運営を開始。
はじめに
ーー御社の事業について教えてください。
「事業家プラットフォーム創造事業」ということをやっています。具体的には、弊社のプラットホーム上に入ることによって、事業家が誕生するという形を整えています。インキュベーションプラットフォームというイメージで、社員が自分たちでいろいろな事業をどんどん調整していって、その集合体になっていくというのが我々の事業のコンセプトです。
ーー藤田さんの働き方や業務について教えてください。
会社は東京にありますが、私は2021年の4月から出身地の北海道に在住しています。コロナ禍によって社会が変化し、お客様に対しても最初の対面からオンラインでも失礼がないという風潮になったので、フルオンラインにシフトしました。
今住んでいるのはコンビニもないような小さな町です。”隠居生活”ではなく、ちゃんと事業も伸ばしながら離れた所から経営しており、このように仕事ができるのはITツールのおかげだと思っています。
ーーオンラインを活用しながら、全国展開し事業を成長されているのですね。
売上を伸ばすにあたって、縦と横に伸ばすという2つの方法があると思いますが、多くは縦に伸ばしますよね。横に伸ばす場合はコストが増えリソースも分散するので、なかなか難しいことです。
弊社は東京に中枢を置きながら、全国に展開できるオンラインのノウハウをもっています。増やした拠点に、オフィスを作ったり担当者を置いたりしなくてもやっていけるんですよね。コストをかけずに伸ばせるのでスピードも早くなりますし、すごく気楽だとも言えます。
藤田さんが紹介する3つのITツールはこちら
LINE WORKS
弊社のビジネススタイルに合った形がすべて集約されていますし、オフィスに出社しなくても会話に近い感じでコミュニケーションを取れるツールとして、必須のツールですね。弊社は平均年齢24.5歳と若い社員が多いことと、非エンジニアの社員にも馴染みがあるということでLINE WORKSを導入しました。慣れたツールで、利用方法を教えなくても仕事に利用できるというところが一番です。
また、LINE WORKSを社内情報のメインストリームとなるように工夫をしています。そもそもLINE WORKSはアプリケーションなので、ホーム画面にアイコンを表示できます。Googleワークスペースに近いと思いますね。アイコンをタップすると、指定したページにアクセスするように設定できるんです。一見地味な機能ですが、これによってすべての物事を集約できます。弊社ではスケジューラー、チャット、掲示板、自社のHPや月次アンケートをとるためのGoogleフォーム、社内のお知らせ情報が記載されたページへのリンクなどを、すべてLINE WORKSからアクセスできるようにしています。
毎日使うものに、みんなが使える情報を集約できるのがLINE WORKSの面白いところだと思います。社員はあちこちにアプリがあると困るんですよね。「じゃあ、これはフェイスブック」とか、「これは違うソフトを立ち上げてください」とかはだめなんです。弊社の仕事においては、このアプリさえ立ち上げれば、そこをハブにしてどこにでもいける、情報を取得できると。そこがオフィスみたいなものですよね。
ーー社員の方はスマホから利用する方が多いですか?
ほとんどスマホですね。今は全体で380名いる社員の8割くらいが取引先の現場に常駐して携帯販売の仕事をしているので、パソコンを開く機会がないんです。残りの2割の社員は勤怠処理や資料の整理などのオフィス業務があるのでPCを使っています。
- Q.どんなときに使っているか
- 日々のコミュニケーション、連絡。ディスカッションなどもチャットでパパッと行います。
- Q.気に入っている機能
- チャット機能に、リプライ機能、メンション機能、既読機能がすべて揃っているところ
- Q.おすすめの企業
- 若い社員の多い企業。はじめてチャットツールを導入する企業
《LINE WORKS》のPOINT
- すぐに使える!新しいシステムの導入に伴う負担は最小限
- 掲示板やアドレス帳などコミュニケーション機能が豊富!
- 24時間365日体制でサーバ監視!重要なデータの送受信も安心
Canva
Canvaはデザインツールです。Canvaを使うと、社内プレゼン資料などを作るときある程度のデザイン性を保てますし、わざわざGoogle検索して画像を探す必要もなくなります。かつ、資料を共有することでほかの人が作ったものを応用できるので、確実に資料作成が早くなります。資料を作るための無駄な時間が省けるので非常に重要ですね。
Canvaはすごく細かいことはできませんが、テンプレが用意されていたり、概ねスタンダードな資料を作るには十分なナビゲーションが備わっています。アイコンやイラストなど必要な素材が元から入っているので、「こんな背景の写真を入れたいな」と思って検索すればたくさん背景写真が出てきますし、人型のマークをほしいと思ったら「人 アイコン」と検索すれば出てきます。
さらに図や絵、写真をはめ込んだら、自分の決めた枠に入るように自動でサイズ調整やトリミングもしてくれますよ。
↑画像をクリックするだけで写真を差し替えたりすることが可能
ーー有料プランを利用されていますか?
有料です。有料版は使える素材の幅が広がりますし、チームを組む機能を使えば、フォルダをみんなで管理できるんですよ。たとえばAというフォルダを作ってバンバン資料を入れていけば、みんなが見られるんですよね。Google Drive機能みたいな感じです。
ーー社員の方もCanvaで資料を作られているのですか?
社外で使う資料については特に指定していませんが、社内で使う資料についてはCanvaで作るように言っています。たとえば「このあと15時にミーティングね」って言うと、まずみんなZoomで時間を組んで、会議までの間にCanvaでパパッと資料を作って持ってきます。
対面なら身振り手振りで伝えられるときもありますが、私達はオンラインで仕事をしているので資料がないと上手く伝わらないことがあるんです。そのために頑張って資料を作っていたらすごく時間効率が悪いので、Canvaみたいに手軽に作れることが大切です。
気軽なホワイトボードや紙芝居みたいなものですよね。オンラインの活動をしながら人に物事を伝えるというので、結構僕らにとっては必要なツールなんです。
ーー社内向けに資料をどんどん作るということは目からウロコの気がします。
テキストを図解したものを作るイメージです。議論の必要がないもので、テキストだと伝わりづらいなと感じるものは、資料を作ってそのまま共有だけすることもありますよ。
テキストでもいいですが、具体的に図解を示してあげるとよりいいですよね。Zoomでのミーティングの場合などは特にいいと思います。いわゆる字幕みたいなものです。話す言葉と字幕とを一緒に出してあげると分かりやすいですよね。
たとえば、採用の相談でも「今後こういう人材が必要ですよね」ってなったとき、イメージとなる絵も全部Canvaの素材から持ってきて作成しています。
↑採用資料も簡単にCanvaで作成している
- Q.どんなときに使っているか
- 社内プレゼンや、伝達したいことがあるとき。
- Q.気に入っている機能
- テンプレートがたくさんあるところと、必要な素材が簡単に挿入でき、トリミングや調整が自動で行えること。
- Q.このツールがおすすめの企業
- 自分のイメージを伝えるような社内プレゼンが多い企業です。
Canvaの公式ページはこちら
https://www.canva.com/
Googleスプレッドシート(Google Sheets)
以前は、DropboxやGoogle ドライブでエクセルを使っていましたが、同時に編集するとファイルが競合してしまいますよね。結果的に「どっちが最新なの?」となってしまうのを非常に煩わしく感じていました。そこで、すべてGoogleスプレッドシートに変更したことでファイルが競合することなく更新できています。
さらに、みんなでリアルタイムな共同編集ができると、上司に報告をする必要がなくなりますよね。たとえば弊社の場合、社員リストに採用情報も打ち込んでもらっています。紹介日や面接日を入れ込んでもらっていく仕組みを作って、あらかじめ数式をバンバン組んでおけば、「じゃあ今、採用率は何%なのか」ということも自動計算で出るようになります。採用後の社員番号も、「何番から振ればいいんだっけ」っていうこともなく全部勝手に出るようになるんですよね。地味ですけども、こういう使い方をしています。
ーー役員報告用などのデータを社員の方が用意することがないということですか?
そうですね。報告会が始まるまで経営者が数字を分からないのって、本当にだめだと思うんです。みんなの普段の仕事をスプレッドシート上でやってもらうことで、あとは私や管理職が裏側で式を組んでおけば必要な情報がリアルタイムでそこに出てくる、っていうのが一番強いと思います。先程の社員管理のスプレッドシートには、サマリーのシートがあって、今の男女比、採用数、年齢分布図、勤続年数などが全部自動で出てくるんです。
これはオンラインで業務していることとは関係ないですけど、スプレッドシートにあらかじめ式を組んでおくことによって、彼らは普段の仕事をするだけで報告を兼ねられています。シートは、現場の業務フローに準じて「ここのこういう部分を反映してほしい」などの要望を逐一反映するようにしています。
↑社員の男女比などがグラフでリアルタイムで表示できる(ぼかし加工をしています)
- Q.どんなときに使っているか
- 予実管理、社員データ管理
- Q.気に入っている機能
- 複数のシートをまたいでリアルタイムで連携できること
- Q.おすすめの企業
- 全企業ですね。数字の報告が必要なすべての企業の方におすすめです。報告をもらうより自分でデータを取りにいけるようになったほうがいいと思います。
Google Sheetsの公式ページはこちら
https://www.google.com/intl/ja_jp/sheets/about/
編集後記
藤田さんのお話を伺って、「オンラインにシフトするためには、ただチャットを増やそうぜとか、チャット文化にしていこうぜっていうのでツールだけを導入するだけではダメだと思います」という発言が非常に印象的でした。ツールをどう使うか、どうすれば効率よく、迷うことなく使えるか、無駄を削減できるか、どうすればリモートでも伝わるかを考え抜いて取り組む姿から、同社の事業成長スピードが非常に早い理由をうかがい知ることができました。
オンラインにシフトしたいけどどうすればいいか悩んでいる、リモートワークを導入したけれど生産性が上がらないという方は、ぜひ参考にしてみてください。
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