社宅代行サービスとは
社宅代行サービスは、企業が行ってきた社宅管理業務のアウトソーシングサービスのことです。1990年代中頃より、バブル崩壊に伴う不動産価格の急落を機に社宅代行サービスのニーズが高まったといわれています。
社宅として利用する住宅は所有者や契約条件などにばらつきがあるため、管理物件が増えるほど契約や管理が煩雑になりがちです。また、契約時には専門的な知識も必要なため、人事労務部門の担当者にとって負担が多いだけでなく、属人化のリスクもあるでしょう。
社宅代行会社に依頼できる業務内容
社宅代行会社のサービス内容は、業者により異なります。ここでは、社宅代行サービスの主な内容について解説します。
物件の手配
借り上げ社宅の場合、企業が定めている条件をもとに入居者が自ら物件を探してくる必要があります。社宅管理代行サービスでは、物件探しから入居者の物件申請まで代行可能です。
- ●全国の提携不動産会社からの物件情報の提供
- ●社宅管理規定に合致する物件情報の提供
- ●入居者の希望に合致する物件情報の提供
- ●上記物件から選択された物件の下見の手配
入居者との新規契約手続き
新規契約時には、社宅規定と転勤者の希望に合致する物件の斡旋申し込み、一時金の立替払い、契約書内容の精査・交渉が必要です。さらに、入居者へ鍵の受け渡し、入居の案内を行います。また、各社によってサービス内容は違いますが、契約書の捺印代行、賃貸借契約書の保管を行うサービスもあります。
- ●希望物件への申し込み
- ●契約条件の内容確認
- ●契約書・重要事項説明書への署名・捺印代行
- ●契約書類の回収・保管
- ●鍵の受け渡し
- ●入居のご案内
- ●入室時対応業務
- ●入居者・家主・管理会社との対応および折衝
賃料などの支払い業務
社宅では家賃のほか、敷金・礼金や修繕費の支払いなどが必要です。社宅代行業者に依頼をした場合、賃料などの支払いをまとめて代行してくれ、あとから一括で企業側へ請求される仕組みです。企業にとっては入金手続きを減らせるため、業務負担を大きく軽減できるでしょう。
- ●新規契約時代金の支払い
- ●毎月の家賃支払い
- ●更新料更新手数料の支払い
- ●解約時修繕不足金
契約更新時の手続き
契約更新時には更新条件の精査や更新料、手数料の立て替え払い、更新契約書関連の書類作成などがあります。さらに、更新契約書の保管、一連の更新スケジュールの管理を行います。
- ●更新時期の到来連絡
- ●更新通知の受領
- ●更新条件の精査・交渉
- ●更新料支払い代行
- ●更新契約書作成
- ●新契約書類の署名・捺印
- ●更新契約書類の回収・保管
- ●更新契約書の保管
解約時の手続き
解約時には、解約申し込みの受付、家主に対する解約通知、入居者からのカギの返却を行います。さらに、原状回復費用の見積もり作成、敷金などの清算や回収・管理業務、解約に伴う書類の作成と保管などがあります。
- ●解約申し込み受付
- ●管理会社・家主への解約通知
- ●鍵の返却
- ●原状回復費用の内容精査・交渉
- ●解約精算
- ●敷金残高管理業務
- ●解約書類の作成・提出
- ●解約書類保管
帳票の作成
社宅管理業務では関連帳票の作成が欠かせません。社宅代行サービスでは、請求書や申し込み書類、退去精算書などの作成などを依頼できます。なかでも、税務署への提出が義務付けられている支払調書は正確性が求められるため、作成代行や支援が受けられると便利です。委託可能な帳票の一例は次のとおりです。
- ●家賃負担明細書
- ●家賃支払口座明細書
- ●解約通知書
- ●退去精算書
- ●退去立会報告書
- ●支払調書作成または支援
その他の業務
入居者の入れ替えや退出時に発生する手続きやルームチェック、必要に応じてリフォームの手配や補修業務をはじめ、管理会社の対応や折衝を担います。そのほか、トラブルや苦情への対応など、管理に関するあらゆる業務を代行します。
- ●入居者入れ替え手続き・諸連絡
- ●退室時ルームチェックおよびリフォームの手配
- ●社宅担当者様への定期報告
- ●トラブル・苦情の対応
- ●家主のマイナンバー管理
なお、以下の記事では家主のマイナンバー管理に関わる社宅業務について詳しく解説します。貸主が個人かつ年間の賃料の合計額が15万円を超える場合は必要になるため、該当する企業担当者は参考にしてください。
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2023.01.17
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社宅代行サービスのメリット
社宅代行サービスの導入メリットは以下のとおりです。それぞれ詳しく解説します。
- ●全国の不動産ネットワークを活用できる
- ●社宅管理業務の効率化とコスト削減を実現できる
- ●季節業務を効率的に行える
- ●専門知識をもった人材が不要になる
全国の不動産ネットワークを活用できる
全国の不動産ネットワークを活用できるため、より条件にあった社宅物件を探しやすくなるでしょう。さらに急な異動や物件が少ないエリアにも対応し、社員のニーズにあった不動産情報をスムーズに入手できます。社員の満足度を高め、業務へのモチベーションや会社へのロイヤルティ向上へ貢献します。
社宅管理業務の効率化とコスト削減を実現できる
一般的に、企業規模が大きくなるほど社員数が増え、管理する社宅の数も増えます。契約条件や更新時期、契約先などにばらつきがあるため、管理部門の担当者の負荷も膨大になるでしょう。
社宅管理代行会社に委託すれば、窓口一つで社宅管理業務を完結できます。管理するすべての物件にかかる事務処理が一括で可能になり、業務効率化に貢献します。また、原状回復費用に関するトラブル対応なども任せられるほか、火災保険の一括契約になる割引など、無駄な費用の発生予防やコスト削減も期待できるでしょう。
季節業務を効率的に行える
社宅管理業務は、時期に応じて業務量が大きく変動します。特に、人事異動が多い春先や秋にかけて業務が増えがちです。一時的に人員を増やすのも一つの対応策ですが、社宅代行業者に委託することで、人員計画の工数や採用費よりも管理コストを抑えられるかもしれません。費用だけでなく、効率や業務の質の面も考慮すればメリットが大きいといえます。
専門知識をもった人材が不要になる
社宅管理業務には、宅建法などの不動産契約に関する知識が求められます。そのため自社で管理業務を行うとなると、教育コストがかかるほか、資格や知識をもった人材の獲得も困難でしょう。社宅代行サービス会社には専門知識をもった担当者がいるため、社内でかかる人件費や研修費などを減らせます。
社宅代行サービスのデメリット
社宅代行サービスを利用する際に考えられるデメリットや課題点は以下のとおりです。サービス導入の前に適切な対策を行い、社宅代行の導入効果を最大化させましょう。
- ●社宅管理委託費用がかかる
- ●個人情報の漏えいリスクを伴う
社宅管理委託費用がかかる
代行業務の範囲やオプション契約により異なりますが、社宅代行サービスを利用するためには費用がかかります。委託したい社宅管理業務の洗い出しと順位付けを行い、自社の予算にあったサービスを選択しましょう。なお、家具・家電のレンタルサービスなど、オプションをうまく活用してトータルコストで削減を図るのもおすすめです。
原状回復費の適正化や人的リソースの削減により、どの程度コストを抑えられたかも加味したうえで費用対効果を測りましょう。
個人情報の漏えいリスクを伴う
社宅管理代行サービスは外部委託であるため、自社情報や社員の個人情報を受け渡す必要があります。災害やウイルスの影響により、もしものことがあれば情報漏えいにもなりかねません。サービス利用の際は、サービス会社のコンプライアンスや、セキュリティ内容を確認しましょう。
なお社宅管理の課題点については以下の記事で詳しく解説しているため、参考にしてください。
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社宅管理代行サービスの選定ポイント
社宅管理代行サービスは各社でサービス内容が異なるため、自社にあうサービスを見極めることが大切です。 サービス選定のポイントは次のとおりです。
- ●信頼できる実績があるか
- ●紹介可能な物件数は十分か
- ●自社がもつ社宅の種類(借り上げ住宅・社有住宅)に対応しているか
- ●サポート体制が充実しているか
- ●社宅に適した住環境を提案してもらえるか
- ●自社の予算に見合っているか
- ●自社の求めるセキュリティ性をもつか
これからサービスを新たに導入しようとしている企業であれば、まずは自社の求める機能を明確化しておきましょう。また、すでにサービスを導入していて「代行業者に委託しているのに社員からの問い合わせが減らない」「物件紹介数が少ないと社員から不満があがっている」などの課題がある企業は、見直しを図りましょう。
ITトレンドでは、実際にサービスを導入している企業の社員による口コミが確認できます。「豊富な物件数を期待して契約したが、掲載地域に偏りがあった」などの導入後の失敗を防ぐためにも参考にしてください。
注目の社宅代行サービスを比較
ここからは具体的にサービスをお探しの方に向けて、ITトレンド上半期ランキング2023(社宅代行)において問い合わせが多かった上位3サービスを紹介します。
製品・サービスのPOINT
- 《ANSWER》システムによる確かな安心とメリット
- 全国1800社の《ANSWER》ネット加盟店
- 貴社専任担当者で窓口を一本化
ITトレンド上半期ランキング2023(社宅代行)1位
株式会社タイセイ・ハウジーの社宅代行は、社宅管理システム「ANSWER」を用いて社宅管理業務を約9割削減できます。Web上で新規・解約・情報変更などの申請手続きを行えるほか、進捗確認も可能です。
対応エリア |
全国 |
対応する社宅の種類 |
借上社宅/社有社宅 |
受託実績 |
受託社数:747社、受託戸数:100,057戸(2021年12月末時点) |
不動産ネットワーク |
直営営業所31店舗、ANSERネット加盟店全国2,200社 |
業種 |
食品、医薬、化粧品 |
従業員規模 |
1,000名以上 5,000名未満 |
株式会社タイセイ・ハウジーの社宅代行のいい点 |
★ ★ ★ ★ ★ 5
|
このサービスを使用して3回転勤しております。こちらから何か動かなくても、住みたい家さえ見つかれば、契約等タイセイハウジーがやってくれるので楽です。
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業種 |
食品、医薬、化粧品 |
従業員規模 |
1,000名以上 5,000名未満 |
株式会社タイセイ・ハウジーの社宅代行の改善してほしい点 |
★ ★ ★ ★ ★ 5
|
月極駐車場を手配する必要がある場合、月極駐車場は自分自身で探す必要があります(契約手続きはタイセイハウジーさんに対応いただけますが、月極駐車場自体は自分自身で探す必要があります)
月極駐車場探しは非常に手間がかかりますので、そこも対応いただけると嬉しいです。
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《リロの社宅管理》のPOINT
- 住宅制度コンサルティングから社宅管理までまるごと解決!
- 業界最後発ながら年間受託戸数伸び率10年連続No.1!
- インボイス対応完結!貴社社宅業務の95%以上を削減!
ITトレンド上半期ランキング2023(社宅代行)2位
「リロの社宅管理」は、株式会社リロケーション・ジャパン提供の社宅代行サービスです。転貸方式により敷金の負担や残高管理不要で運用でき、社宅管理業務のフルアウトソーシングが可能です。また社宅制度の見直しをはじめ、課題解決のサポートにも対応します。
対応エリア |
全国 |
対応する社宅の種類 |
借上社宅(転貸型)/社有社宅 |
受託実績 |
導入社数1,100社以上、借上管理戸数:240,000戸以上 |
不動産ネットワーク |
加盟店仲介会社645社、全国約4,000店舗(2023年4月末時点) |
業種 |
金融・証券・保険 |
従業員規模 |
5,000名以上 |
リロの社宅管理のいい点 |
★ ★ ★ ★ ★ 5
|
利用者は、リロケーション・ジャパンが提供するwebサービス「リロネット」を通じて24時間各種申請が可能。社内の部署、不動産会社とのやりとり全てがオンラインに集約されるので状況が分かりやすい。
帳票もPDFで掲載されるので保存しやすい。
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業種 |
金融・証券・保険 |
従業員規模 |
5,000名以上 |
リロの社宅管理の改善してほしい点 |
★ ★ ★ ★ ★ 5
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リストアップする候補物件が特定のオーナーや仲介業者にやや偏りがちで、良質な物件が提供されるまでやや時間が掛かることが改善してもらいたい数少ない点です。
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製品・サービスのPOINT
- 「HASEKO社宅NAVI」を使って、手続きを簡略化
- 24時間いつでもどこでも管理が可能
- お客様の要望の数だけサービスの形があります
ITトレンド上半期ランキング2023(社宅代行)3位
株式会社長谷工ビジネスプロクシーの社宅代行は、社宅管理代行と転貸に対応するほか、複数の物件において同一の契約条件を設定したULプランが特徴です。また、専用のWebツールにより物件検索から申請・解約までオンライン上で完結します。
対応エリア |
全国 |
対応する社宅の種類 |
借上社宅(転貸型も可)/社有社宅 |
受託実績 |
受託社数320社、受託戸数62,000戸(2023年4月時点) |
不動産ネットワーク |
全国優良不動産会社約160社2,000支店と連携 |
業種 |
情報処理、SI、ソフトウェア |
従業員規模 |
1,000名以上 5,000名未満 |
株式会社長谷工ビジネスプロクシーの社宅代行のいい点 |
★ ★ ★ ★ ★ 5
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全てがWebフォーム化しており選択方式で迷うことなく必要項目を入力できます。社内担当者もアサインして頂き要望の詳細や変更も親切に対応して頂きました。社内規定もシステムに盛り込み可能なようで過去2回転勤を経験しましたが準備のための時間に割り当てる事が出来ました。未入力、未実行の項目のアラート機能も嬉しいです。
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業種 |
食品、医薬、化粧品 |
従業員規模 |
1,000名以上 5,000名未満 |
株式会社長谷工ビジネスプロクシーの社宅代行の改善してほしい点 |
★ ★ ★ ★ ★ 5
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提示された物件が希望と少しずれていました。物件最新情報は不動産屋さんに行かないとわからないので、最新情報があると嬉しいです。
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より多くのサービスを比較したい方は、以下のボタンから最新の月間ランキングを確認できます。ぜひ参考にしてください。
社宅代行サービスのメリットを理解して導入検討しよう
社宅代行サービス会社を利用すると、業務負担の軽減や教育コストの削減、トラブルに対応時のリスクなどを低減できます。自社の予算とコストに見合うサービスを選び、社宅管理を効率化しましょう。気になるサービスは資料を取り寄せ、複数サービス間で比較してみてください。
なお以下の記事では、おすすめ社宅管理代行会社をより多く紹介しています。あわせて参考にしてください。
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【比較表】社宅管理代行サービスおすすめ製品14選を徹底比較!
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