集合教育(研修)における課題
集合教育(研修)を実施する前に、まずは課題を認識しておきましょう。ここでは、よくある課題を3つ紹介します。
受講者のレベルに違いがある
企業ではスキルアップ研修など、受講者を一堂に集めて行う集合教育がよく行われます。しかし、受講者の意欲や知識、スキルのレベルは異なります。
また、講義形式の集合教育(研修)だと受動的な受講態度になりやすく、集中力を持続させるのは難しいでしょう。そのような状態では知識の習得に結びつかず、研修自体が無意味なものになる恐れがあります。
主催者側は、受講者のレベルにバラつきがあることを踏まえ、カリキュラムを工夫しなければなりません。
研修の準備に時間がかかる
集合教育では、会場の確保、研修内容の企画や資料準備など、準備に時間がかかります。
また、講師の教え方にバラつきがあることも多く、研修の効果に差が出てしまいます。それを解消するには講師自身を教育しなければならず、集合研修開始までに多くの時間を要します。優秀な講師を雇うとなるとコストがかかるでしょう。
中途採用者の多い企業では集合研修の頻度も高くなり、その都度、会場の確保や資料の準備をしなければなりません。集合研修の準備に要する時間的コストは総じて大きくなります。
研修で学んだことを活かせていない
知識やスキルを習得するだけの集合教育では、受講者が研修で学んだことを活かしきれません。
研修の企画段階で現場の状況や経営層のニーズを把握しておらず、集合研修後にどのようになっていて欲しいのか明確になっていないことが考えられます。また、主催者側で集合研修後の効果測定やフォローをしていないこともあり、受講者にどのような効果・変化があったのかを把握できていないのが現状です。
そのため、集合研修では知識を教えただけで、それを実践するまでには至らない、といったケースが多いのです。
集合教育(研修)の課題を解決する方法
集合教育(研修)の課題を解決するにはどうすべきなのでしょうか。3つの方法を紹介します。
eラーニングを利用する
集合教育(研修)のデメリットを解決する方法の1つとして、eラーニングが有効です。
eラーニングはインターネット環境とタブレットやスマホを用いて、学習を進める方法です。場所に制約がないため、集合研修会場の確保は必要ありません。教材や資料はeラーニングシステム上にまとめられ、講師への質問も可能です。
受講者が主体となって自身のペースで学習でき、受講者のレベルにバラつきがあっても問題ありません。さらに、学習方法自体は全受講者で統一されているため、講師の教え方にバラつきがあるという課題も解決できます。
受講者の学習進捗や習熟度もeラーニングシステム上で管理され、研修後の効果測定や受講者へのフォローが行いやすくなります。
目的や目標を決めて、評価する
集合教育(研修)の実施前に、目的や目標を明確にすることも重要です。まずは理想と現状の乖離点を把握し、課題を洗い出しましょう。これにより、集合研修で習得すべき知識やスキルが明確になり、目的や目標を設定しやすくなります。
なお、優先順位の高い課題から解決できるよう、目的・目標を設定してください。「来期までに〇〇業務ができるようになる」というように具体的な達成基準を示すと、受講者は取り組みやすいでしょう。
研修後は受講者が目標を達成できたか確認し、評価します。評価後も定期的にリマインドメールを受講者へ送ったり、研修での学習が実務に活かせているか定着度の振り返りを行ったりして、行動変革を促しましょう。さらに、受講者同士でお互いを評価し合ったり、定着度や実践状況を上司に判断してもらったりする取り組みも重要です。
Off-JTのメリット
職場における社員教育には、業務内で行うOJTと業務外で行うOff-JTの2種類があります。この記事で解説している集合教育(研修)とeラーニングはOff-JTに該当しますが、どのようなメリットがあるのでしょうか。
集合教育(研修)のメリット
集合教育(研修)のメリットは以下の2つが挙げられます。
- ・教育が必要な社員を選んで実施できる
- ・演習やロールプレイングなど実務スキルの向上に適している
集合教育(研修)では、社員の階層や所属部門などにあわせた研修や、コンプライアンス・ロジカルシンキング・メンタルヘルスなど、ビジネス全般について学ぶ研修などが実施できます。
研修に参加する社員を選ぶことで、対象の社員の階層や業務に適した教育を行うことが可能です。これにより効果的な教育を行えます。また、集合研修で対面で教育を行うことは、eラーニングなど座学だけでは身に着けられない実務スキルの向上に効果的です。
eラーニング研修のメリット
eラーニングのメリットは、社員が自分の都合のよい時間・場所で受講できることです。
最近は動画コンテンツも増えており、非対面であっても臨場感のある講義を受けられます。スマートフォン・タブレットなど使用できるデバイスが多いこともメリットです。
また、集合教育(研修)での演習やロールプレイングの効果を高めるために、研修を実施する前にeラーニングで受講者に事前学習をさせることも可能です。
例えば新人研修の場合、座学で済む業界知識や製品紹介などはeラーニングで研修を実施できます。対面研修ではマナーや実務スキルなどの演習・ロールプレイングのみを実施することで、研修期間を短縮しコストの削減が期待できる点もメリットです。
Off-JTのデメリット
OJTに比べてOff-JTにはどのようなデメリットがあるのでしょうか。
集合教育(研修)のデメリット
集合教育(研修)のデメリットは以下の5つが挙げられます。
- ・時間・費用に制約がある
- ・すぐに現場で活かせる内容ではないこともある
- ・研修の内容が現場の状況とかけ離れている場合がある
- ・研修した知識が定着しにくい
- ・研修の効果がはっきりと確認できない
集合教育(研修)には上記のようなデメリットもあるため、研修内容を工夫したり研修後のフォローにも気を配る必要があります。特に研修後のフォローを怠ると研修がやりっぱなしの状態で終わってしまい、時間や費用をかけても効果が得られなくなります。
研修後のフォローアップについての詳細は、こちらの記事を参考にしてください。
eラーニング研修のデメリット
eラーニングのデメリットは、以下の5つが挙げられます。
- ・社員のモチベーションによって学習進捗に差が出る
- ・受講中にその場で疑問点を確認できない
- ・研修内容の現場での業務に繋げられないことがある
- ・実技を学ぶ内容はほかの研修に比べて効果が薄い
- ・受講環境が整っていないと受講できない
eラーニングは対面での研修ではないため、研修内容や社員の自主性によって効果に差が出る可能性があります。そのため、eラーニングの学習管理システム(LMS)などを活用し、しっかりとeラーニングを運用することが重要です。
eラーニングを利用し、PDCAを回して有意義な集合研修を!
集合研修の課題として、受講者のレベルが均一でない・研修で得た知識を実務に活かせない・研修準備に時間がかかる、といったことが挙げられます。
これらの課題を解決するにはeラーニングが有効です。場所の制約がなく、受講者のペースで学習を行えます。また、集合研修の効果を最大限に引き出すには、明確な目標設定とその後の評価も大切です。
eラーニングを適切に利用し、PDCAを回して有意義な集合研修を行いましょう。