eラーニング導入における主な課題
eラーニングを導入した際、どのような課題が考えられるでしょうか。
教材の作成に手間がかかる
eラーニングの教材作成に課題を感じている企業が多い傾向にあります。費用はかかりますが、専門業者に作成してもらうか、既存のコンテンツを購入するのがよいでしょう。オリジナルのコンテンツ教材を作成したい場合は、専用の作成ツールの活用もおすすめです。
実習が必要な講座には向いていない
eラーニングは映像や資料などの研修コンテンツを観て学びます。例えば、調理や工芸品の制作のような技術を必要とするものは座学でしか学べません。実習を必要とするものは対面講座と併用するか、ライブ配信授業でWebカメラを通じて双方向にやりとりをするなどの工夫が必要でしょう。
モチベーション管理が難しい
集合研修と違い、eラーニングは主催者側がスケジュールを決められないため、従業員を強制的に参加させられません。学習の進捗は個人の主体性やモチベーションに依存します。受講者の学習意欲が維持できず、eラーニングが使われなくなってしまう企業も現実に多くあります。そのため、楽しみながら学べる工夫が必要です。
近年では学習意欲を向上させる手法として、以下の要素が注目されています。
- ●学習進捗に応じたバッジ・ポイントの付与
- ●成績ランキングの公開
- ●学習履歴にもとづいたおすすめ講座の提示
- ●受講者の苦手分野を分析し、テストや教材を自動で抽出
受講環境を整える必要がある
eラーニングの受講にはインターネット環境が必要です。テレワーク時に自宅で受講する場合など、環境が整っていない場所では受講が難しいでしょう。オフラインに対応したeラーニングを選ぶのもおすすめです。

eラーニングを成功させるためのポイント
eラーニングの課題を解決し、eラーニング導入を成功させるにはどのような点に気をつければいいのでしょうか。
最近では講義を聴くだけでなく、会話や体験を重視し、能動的に講義に参加できるようなコンテンツが人気です。研修の目的や達成目標を明確にし、研修内容に応じてeラーニングと対面講座を組み合わせましょう。
またeラーニングは得た知識を実務に活かせるようにすることが目的であることを忘れてはなりません。eラーニングだけで人材教育が完結すると思わず、社内の業務にも学びのプロセスをつくりましょう。
人材教育における課題を理解しておくことも大切
人材教育は、基本的なスキルの定着・専門性の向上を目的としています。また、自発的に行動できる社員の育成も重要です。人材教育で企業が課題と感じる点を以下にまとめました。
- ■全員に均一な成果を期待できない
- OJTやOff-JTによる研修では社員一人ひとりのフォローが困難であり、受講者全員に同程度の学習成果は期待できない。
- ■研修スケジュールの調整が難しい
- 受講者と講師全員の予定をあわせるのは難しい。特に参加できなかった社員へのフォローは非常に困難。
- ■場所の確保が難しい
- 受講者が支社や工場など別の地域に分散していると、複数会場の確保が必要となり、講師の負担やコストが増大する。
- ■市場の変化や緊急性のあるテーマに対する柔軟性がない
- 市場の変化への対応、自社の新技術・新製品の発表にあわせた研修内容の変更は難しい。特に、作成済みの印刷物やDVDなどのメディアに頻繁に最新情報を反映・更新するのは不可能。
- ■途中参加の受講者に対応できない
- 途中参加した受講者へのフォローや指導に手間がかかる。教材の追加生産に余計なコストがかかる場合もある。
- ■新人教育のコストが高い
- 新卒社員の研修では、ビジネスマナーや仕事の進め方といった社会人としての基本的なルールも教える必要がある。そのため講師の派遣にコストがかかる。
- ■講習内容が身につかない
- 研修を行うことばかりに重きを置いて、講義後のフィードバックやアフターケアを怠った結果、知識が身につかない可能性がある。
厚生労働省の資料によると、企業の競争力を高めるために今後強化すべき事項として「人材の能力・資質を高める育成体系」と答えた企業が半数を占めています。また、人材育成の課題として多いのは「業務が多忙で、育成の時間的余裕がない」「上長等の育成能力や指導意識が不足している」です。多くの企業で人材育成の重要性は認識しているものの、業務に追われ社員および指導者の育成に課題を感じているようです。そのほか、若年層においては「離職等で人材育成投資が回収できない」ことを課題としている企業も目立ちます。
自社の課題をeラーニングで解決しよう
eラーニングは集合研修の課題を解決するのに役立ちます。また、近年ではeラーニングと対面型の研修を組み合わせたスタイルが注目されています。eラーニングのメリットとデメリットを踏まえ、適切に導入しましょう。
