そもそもナレッジマネジメントとは
ナレッジマネジメントとは、SECI(セキ)モデルというプロセスを活用することで、個人が蓄積してるナレッジ(知識や仕事のコツ、ノウハウなど)を全社員で共有し、スキルの底上げや新たなアイデアの発案を促したり、全社的な生産性向上を目的とした概念・手法のことです。
現在多くの企業がこのナレッジマネジメントに興味を持っていますが、課題にぶつかり思うようにプロジェクトが進んでいないことも多いようです。では具体的にどのような課題があるのか見ていきましょう。
ナレッジマネジメントについて改めて詳しく知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。
課題1:過剰なトップダウンでナレッジ共有の意識が育たない
社内制度の改革は、トップダウンで成功するものとボトムアップで成功するものの2種類があります。ナレッジマネジメントは前者のトップダウンでの実施が向いているとされています。経営層の強いリーダーシップによって順調にナレッジマネジメントが進んでいる企業の話が聞かれる一方で、自社では上手く行かないという話も聞かれます。
理由:やりすぎると現場からの反発を買う
ナレッジマネジメントは、個人が今まで苦労して手にしてきた知識やノウハウを他者に提供する行為です。
そのため、トップ主導での強制的なナレッジの引き出しがある程度は必要とされています。しかし、やり過ぎるとかえって逆効果となり、現場社員から反発を買ってしまう恐れもあります。トップの独走が空回りしてナレッジが収集できない、という失敗が多く見られます。
解決策:目的を理解させ自発的なナレッジ共有を進める
まずは、なぜ自社でナレッジマネジメントを実施するのか、社員一人ひとりが目的をきちんと理解しているかを確認しましょう。もしこれまで社員に対して十分な説明をしていなかった場合は、実施の背景を含めて必ず説明するようにしましょう。
また部門ごとに勉強会や定期的な報告会を開くなどして必要性を訴え、ナレッジマネジメントの概念を植え付けていき、自発的なナレッジ共有を促します。
ナレッジを収集しやすい仕組み作りも重要でしょう。社内SNSやグループウェアなどを利用して、わかりやすいインターフェ
ースでスムーズに収集できる環境を構築して行く必要があります。
課題2:情報が分散していてナレッジが集めにくい
社内に蓄積されている既存の情報を収集し、ナレッジとして活用していく場合、課題となりやすいのが情報の分散です。
理由:社内システムの数が多く、データの形式も異なっている
すでにほとんどの業務はシステム化されており、顧客、販売、生産管理システムなどが構築されています。インターネットにも大量の情報が公開されています。しかし、これら情報ソースが分散しているために、容易に集めることができません。
収集できたとしても、形式等が異なっており、分析やナレッジとして活用できない場合もあります。
解決策:システム連携やサーバ横断を実現する
これは比較的容易に解決できます。それぞれのシステムを連携する仕組みを構築するのです。既に各種データベースを接続することで欲しいデータをダウンロードできるツールは、数多く発売されています。
例えばEAI(Enterprise Application Integration)という、アプリケーションの統合・連携を行うための製品によって、情報ソースを接続し、統合することができます。
また、社内外のWebサイトとイントラネット、企業内の大規模なファイルサーバやメールサーバを高速で検索できるエンタープライズサーチも製品化されています。これらの技術を活用して、データベース連携と活用環境を構築します。
EAIについて詳しく知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。
課題3:情報が多く必要なナレッジの取捨選択が難しい
この課題を解決することは難しいと言われていますが、その理由を解説します。
理由:ナレッジ活用の仕組みに問題がある
ナレッジマネジメントの構築には、次の4つのステップがあります。
- 1.経営トップが企業理念・ビジョンを明確にする
- 2.企業理念・ビジョン達成のために必要なナレッジを明確にする
- 3.個人が進んでナレッジを提供できる仕掛けを作る
- 4.集めたナレッジを共有化し、活用しやすい仕組みを作る
このケースの課題は最後の「集めたナレッジを共有化し、活用しやすい仕組みを作る」に位置しますので、前記2つの課題よりは前進しているといえますが、反面最も難しいのがこの段階であるとも言われています。
ステップ1~3までは比較的実現しやすいものの、ステップ4で挫折し、結局企業文化に浸透せずに終わってしまう企業も少なくありません。
解決策3:プッシュ型からプル型のリコメンデーションに変える
要不要にかかわらず多くのナレッジが強制的に送り込まれると、社員は必要なナレッジを確認できず、やがて無関心になってしまいます。ナレッジの提供にはプッシュ型とプル型がありますが、プッシュ型からプル型に切り替え、ナレッジが必要になった際に検索できる仕組みをつくることが重要です。
社員教育の必要性からプッシュ型を取り入れたい場合は、社員の属性などから必要性を分析し、リコメンデーションするといいでしょう。これによって、社員に使ってもらえるナレッジを届けることが可能となります。
ナレッジマネジメントの失敗例も確認しよう
ナレッジマネジメントツールは「導入して終わり」ではありません。しっかり管理・運用を行わなければ、その効果を得ることはできません。導入に失敗する理由としては以下のようなケースです。
- ●ツール導入後もナレッジマネジメントが進まない
- ●ナレッジが思うように蓄積されない
- ●過度なナレッジのマニュアル化による生産性の低下
下記の記事では、実際の製品を様々な視点で徹底比較しております。少しでも気になる製品があれば無料資料請求してみてください
コンサルティングやサポートを活用して課題を解決しよう
ここまで紹介したきた課題からも伺い知れるように、ナレッジマネジメントの導入には課題がつきものです。自社のみでこれらの課題を解決するのが難しい場合は、専門のコンサルティング業者や製品の販売元であるベンダーのサポートを活用するのがおすすめです。
ナレッジマネジメントを最大限生かし、自社の発展を目指しましょう。