固定資産管理システムとは
最初に固定資産管理システムの概要について解説します。
正確な固定資産の管理と処理を行うシステム
固定資産管理システムとは、企業がもつ固定資産を管理して正確に減価償却するための計算や処理を行うシステムです。
固定資産には有形資産や無形資産といった分類があり、資産によって計算方法や固定資産税の申告手続きが異なります。さらに会計上の管理だけではなく、実際の使用状況や配置状況を確認するために、固定資産の現物管理も必要になるでしょう。
状況確認の棚卸を行いつつ、ややこしい減価償却計算が必要になることから、固定資産管理システムを導入する企業が増えています。
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watch_later 2024.03.07
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固定資産管理システムの機能
固定資産管理システムには以下のような機能が搭載されています。
- ●さまざまな固定資産の一元管理
- ●企業ごとの処理方法への対応
- ●会計システムなどのシステムとの連携
- ●税制など制度改正への対応
- ●セキュリティ対策
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固定資産管理システムの選定ポイント
固定資産管理システムは固定資産管理業務の効率化を図り、適切な固定資産の管理を行っていくためにも重要なITツールです。さまざまなベンダーから製品が提供されていますが、自社に最適なシステムを選定するためにはどのようなポイントを押さえればよいのか紹介します。
リース資産管理や減価償却計算などの機能
リース資産管理機能や減価償却計算機能、複数帳簿対応などは製品によって搭載されていなかったり、オプション機能で追加が必要になる場合があります。導入してから利用できなかったという状況が起こらないために、自社の固定資産の処理に必要な機能が搭載されているかを必ず確認しましょう。
税制改正やIFRSへの対応
固定資産管理の分野では頻繁に税制改正が行われます。導入した固定資産管理システムが税制改正に対応していない場合、税制改正があるたびシステムを改修する必要があります。毎回システムの改修を重ねることでコストがかかり、最悪の場合、税制改正に対応できないという事態になりかねません。
また、IFRS(国際財務報告基準)に対応する場合、減価償却方法や耐用年数などが異なります。固定資産台帳の変更を変更する必要があるため、複数の原価計算に対応できるシステムかどうかも、製品選びの選定ポイントの一つとして意識するとよいでしょう。
基幹システムとの連携
固定資産管理システムと、自社の基幹システムとの連携が可能かどうかをあらかじめ確認をしておきましょう。
固定資産管理システムと会計システムの連携が可能であれば、さまざまな業務を自動化できたり、購買管理システムなどと連携ができたり、作業の効率アップを期待できます。
各システムでベンダーが異なると連携が難しい場合があるため、固定資産管理システムの導入の際には注意が必要です。
データ保存容量
会計監査や税務監査で情報開示を求められた際には、固定資産管理情報を開示しなければいけません。状況によっては過去の固定資産管理情報の開示に対応しなければいけない場合もあります。
固定資産管理システムは、会計・税務監査に対応するためにも最低でも10年間のデータを保管できるシステムをおすすめします。
データの保持や閲覧期間はシステムの公式サイトで公開されていないこともあるので、比較検討の際にはベンダーに問い合わせることをおすすめします。
導入までの期間と管理コスト
固定資産管理システムを導入する際は、導入期間と管理コストを確認しましょう。
一般的に、固定資産管理業務に特化したシステムである単独システムタイプは、導入コストを抑えられます。固定資産管理のあらゆる業務を網羅しており、減価償却をはじめ各種申請書類の作成が可能です。
【比較表】固定資産管理システムの対象規模・提供形態・価格
ここでは、紹介した固定資産管理システムの対象規模・税制改正対応・提供形態・価格を比較表にまとめました。自社に合うシステムを選ぶ参考にしてください。
単独システム型の固定資産管理システム
※"ー"の情報はITトレンド編集部で確認できなかった項目です。詳細は各企業にお問い合わせください。
▼単独システム型の固定資産管理システムの詳しい製品紹介へジャンプ!
ERPの一部として利用出来る固定資産管理システム
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製品名 |
対象企業規模 |
税制改正対応 |
提供形態 |
参考価格 |
レビュー評価 |
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会計システムの機能として利用できる固定資産管理システム
▼会計システムの機能として利用できる固定資産管理システムの詳しい製品紹介へジャンプ!
現物管理が行える固定資産管理のサブシステム
※"ー"の情報はITトレンド編集部で確認できなかった項目です。詳細は各企業にお問い合わせください。
▼現物管理が行える固定資産管理のサブシステムの詳しい製品紹介へジャンプ!
単独システム型の固定資産管理システム
固定資産管理システムの中でも固定資産管理の機能に特化した製品を紹介します。管理する際に細かな機能が必要な場合や、自社にあった固定資産を運用したい場合は、このタイプをお勧めします。
《Plaza-i 固定資産システム》のPOINT
- 建仮、固定資産、リース資産を抱える、上場企業、中堅企業に最適
- 法令改正にもバージョンアップ対応
- 豊富な管理コードや配賦機能で管理会計もカバー
株式会社ビジネス・アソシエイツが提供する「Plaza-i固定資産システム」は、減損処理、リース会計、資産除去債務、IFRS会計に対応した固定資産管理システムです。正確な減価償却費のシミュレーションができるため、的確な経営判断のサポートに役立てられます。また画面や帳票も日米表示でき外貨での償却にも対応するほか、ERPの一部としても利用可能です。基本ライセンスは600,000円 ~です。
業種 | 卸売・小売業・商業(商社含む) |
従業員規模 | 100名以上 250名未満 |
Plaza-i 固定資産システムのいい点 |
★ ★ ★ ★ ★ 5 |
弊社は複数社の合併により出来た会社であり、それぞれの会社で別々のシステムが運用されており、データ管理などの観点から不合理でした。海外にも会社があるので英語での決算対応など複雑な会計システムにも対応できるこのシステムは一元管理が可能であり、大きな商社などに特にお勧めです。 |
業種 | コンサル・会計・法律関連 |
従業員規模 | 50名以上 100名未満 |
Plaza-i 固定資産システムの改善してほしい点 |
★ ★ ☆ ☆ ☆ 2 |
店舗の改装などをした際の一部除却、移動について、資産の動きを台帳に反映しきれず、無理やり入れると減価償却費が想定の金額にならない等の問題があったので、細かく設定ができるようになるといいなと思いました。 |
《ProPlus固定資産システム》のPOINT
- 最適な固定資産管理で業務効率化を実現したい企業
- IFRS対応も見据え、多彩な事例をベースに再構築を検討中の企業
- グローバル固定資産管理基盤の構築を実現したい企業
株式会社プロシップが提供する「ProPlus固定資産システム」は、4,500社を超える導入実績があり、グローバルな展開を見据えた多言語多通貨機能を搭載した固定資産管理システムです。固定資産の取得・移動・除去の管理はもちろん、会計・税務関連や現物管理も行えます。価格は600,000円 ~、別途導入作業費用が必要です。
こちらの製品のほか、リース資産管理や建設仮勘定管理などに対応できるソリューションも提供されているため、自社の用途に適した製品がないかチェックしてみてください。
業種 | その他 |
従業員規模 | 1,000名以上 5,000名未満 |
ProPlus固定資産システムのいい点 |
★ ★ ★ ★ ★ 5 |
なんと言ってもシェアの高さです。社会インフラ系企業の殆どが導入しているため、安心して採用できます。サポート体制も手厚いです。 |
業種 | 運輸 |
従業員規模 | 750名以上 1,000名未満 |
ProPlus固定資産システムの改善してほしい点 |
★ ★ ☆ ☆ ☆ 2 |
操作が煩わしい点。リース資産管理でも同様だったが、エラーメッセージの解釈が難しかったり、過去データを参照するにはいちいち開き直す必要がある。 |
《OBIC7固定資産管理システム》のPOINT
- 会計との一体運用で、固定資産管理を総合的に管理
- 建設仮勘定やリース資産管理、減損処理にも柔軟に対応
- 不動産や工事取引など関連業務ともスムーズなデータ連携を実現
株式会社オービックが提供する「OBIC7固定資産管理システム」は、6基準での減価償却計算やリース資産管理・建設仮勘定機能を搭載し、固定資産管理を総合的にサポートします。同社製品と組み合わせることで基幹統合システムとしても活用できます。最小構成時の参考価格は5,000,000円です。
業種 | その他製造 |
従業員規模 | 1,000名以上 5,000名未満 |
OBIC7固定資産管理システムのいい点 |
★ ★ ★ ★ ☆ 4 |
償却資産税の申告への対応。
日々のメンテナンスさえ正確に行なっていれば償却資産の申告時にはボタン一つで申告書を作成できるので良い。 |
業種 | 医療 |
従業員規模 | 1,000名以上 5,000名未満 |
OBIC7固定資産管理システムの改善してほしい点 |
★ ★ ★ ☆ ☆ 3 |
固定資産の圧縮登録を行うと移動登録ができないなど、圧縮処理を行うと他の固定資産管理業務に不具合が生じることがある |
製品・サービスのPOINT
- 複数台帳管理で日本基準とIFRSどちらにも対応できる
- クラウドサービスで資産の見える化を実現
- 会計・税務・業務担当者全員が管理しやすい
「マネーフォワード クラウド固定資産」は、株式会社マネーフォワードが提供する成長企業から中堅企業向けのクラウド型固定資産管理システムです。会計・税務などの経理部門のほか、総務やIT部門まで固定資産に関わる全員が管理しやすい点が大きな特長です。写真や証憑も固定資産情報とあわせて一元管理できるほか、キーワード検索やフィルタ検索で、固定資産情報を誰でも簡単に検索可能です。さらに固定資産情報に紐付いたコメント機能で、部門間や担当者間のコミュニケーションがスムーズに行えます。
《PCAクラウド 固定資産》のPOINT
- 会計ソフト連動で「つながる× ひろがる」
- 管理したい項目の自由追加が可能
- 償却資産税の電子申告に対応
ピー・シー・エー株式会社が提供する「PCA固定資産DXクラウド」はリース管理から減価償却計算・申告まで対応できる機能を網羅した固定資産管理ソフトです。
1つの資産を複数部門で使用する際の償却費を簡単に割り当て設定できるため、複雑な減価償却処理による転記ミスを抑えられます。価格は14,850円 ~(1ユーザーの場合)です。
業種 | その他製造 |
従業員規模 | 10名以上 50名未満 |
PCAクラウド 固定資産のいい点 |
★ ★ ★ ★ ★ 5 |
償却資産税の電子申告がワンストップで行えるようになりました。他にも固定資産台帳をExcelで出力できるなど、細かな点に配慮がなされています。利用価格も安いです。 |
業種 | コンサル・会計・法律関連 |
従業員規模 | 50名以上 100名未満 |
PCAクラウド 固定資産の改善してほしい点 |
★ ★ ★ ☆ ☆ 3 |
ソフト自体がリーズナブルなので仕方ないかもしれませんが、大量の固定資産を入力すると動作が少し重くなります。 |
FAManager
株式会社TKCが提供する「FAManager」は、リース会計、減損会計、資産除去債務がワンパッケージで行えるクラウド型固定資産管理システムです。リース管理や資産除去債務、減損会計機能を標準搭載しており、税務・会計のスペシャリストのサポート付きで業務面でも安心して利用できます。
固定資産奉行11
株式会社オービックビジネスコンサルタント(OBC)が提供する「固定資産奉行11」は、制度改正に強く幅広い企業に導入されている固定資産管理システムです。会計・IFRSなど複数の会計基準に対応しており、環境の変化にも柔軟な対応が可能です。
ERPの一部として利用出来る固定資産管理システム
固定資産管理システムを搭載したERPを紹介します。固定資産管理だけでなく、基幹システムの統合や経営視点での情報管理を行いたい企業向けの製品です。
会計システムの機能として利用できる固定資産管理システム
固定資産管理のデータは、会計システムに反映させる必要があります。ここでは、会計システムの機能の一部として固定資産管理機能が利用できる、会計システム・ソフトを紹介します。
《multibook リース資産管理》のPOINT
- 全拠点にあるリース資産を一元管理!リアルタイムで見える化
- リース管理業務の工数削減!膨大なリース資産をしっかり管理
- 多言語対応!グローバル全体でリース資産の管理業務を標準化
株式会社マルチブックが提供する「multibook リース資産管理」は、リース資産管理を一元管理ができる固定資産管理ソフトです。リース資産の登録や管理の業務工数が削減されます。短期(1か月)の導入で、Excel利用によるリース資産管理を脱却し、グローバルな一括管理が実現可能です。スタッフが全員バイリンガルで、日本企業の海外進出支援歴20年以上の実績があり、要望に応じて3種類の稼働後サポートプランが提供できます。
会計指南
三菱電機ITソリューションズ株式会社が提供する「会計指南」は、各種機能と内部統制支援によって、戦略的な企業会計を行える会計システムです。サブシステムとして固定資産管理システムがあり、固定資産管理の減損会計処理やリース資産管理に対応した会計システムです。
ZeeM 固定資産管理
株式会社クレオが提供する「ZeeM 固定資産管理」は、ZeeM会計のオプション機能として利用できる固定資産管理システムです。5年10年先の資産取得や除売却の細かいシミュレーションを行え、詳細な予算立案のサポートが可能です。
弥生会計シリーズ
弥生株式会社が提供するデスクトップアプリ「弥生 21 シリーズ」とクラウドアプリ「弥生オンライン」は、固定資産管理機能を搭載した会計ソフトです。パッケージでの提供になるので、はじめて会計システムを導入する中堅中小企業向きの製品といえるでしょう。
現物管理が行える固定資産管理のサブシステム
固定資産を管理するには実際に棚卸を行うなど、現物管理の必要があります。ここでは、固定資産管理を行うための現物管理に役立つシステムを紹介します。情報の一元管理だけでなく、棚卸しの効率化を図りたい企業などにも向いています。
《Convi.BASE》のPOINT
- ICタグ・バーコードで固定資産の棚卸し、貸出し、入出庫が可能
- 会計システム等の外部システムとデータ連携可能
- ハンディターミナル、スマホで誰でも簡単に物品管理
株式会社ネットレックスが提供する「Convi.BASE(コンビベース)」は、社内のあらゆる現物を管理できるクラウド台帳サービスです。棚卸しや貸出し機能を有し、負担になりがちな紙やExcelでの台帳管理、目視による棚卸し業務の改善にも役立てられます。月額費用は55,000円 ~、ただしオプション機能+ライセンス数で変動するため詳細を問い合わせる必要があります。
業種 | 卸売・小売業・商業(商社含む) |
従業員規模 | 1,000名以上 5,000名未満 |
Convi.BASEのいい点 |
★ ★ ★ ★ ★ 5 |
社内の物品を一元管理でき画面上にて管理でき楽になる。またインポート機能なので既存のエクセル台帳から即移行できる。固定資産、IT資産、重要文書などの機能があるので工数を大幅に減らすことができる |
業種 | 情報処理、SI、ソフトウェア |
従業員規模 | 1,000名以上 5,000名未満 |
Convi.BASEの改善してほしい点 |
★ ★ ☆ ☆ ☆ 2 |
ユーザーインターフェース(UI)がイマイチに感じる点があります。例えば、物品の管理者担当者でフィルターしようとしたときに、管理担当者が小さな窓に選択式で全件表示され非常に操作性が悪いです。フィルタするキーワードを手打ちすると候補が絞り込まれながら表示されれば良いと思います。 |
《Assetment Neo》のPOINT
- 減価償却計算ではなく、固定資産の実査に特化した豊富な棚卸機能
- バーコードやRFIDを活用した棚卸で、作業負担を1/5に削減
- 固定資産管理システムと連携し、正確な資産管理を実現
株式会社アセットメントが提供する「Assetment Neo」は、豊富な棚卸機能で購入から廃棄までのライフサイクルに合わせた管理ができる、クラウド社内資産管理ソフトです。IT資産管理システムや固定資産管理とは目的が異なる、社内資産の現物管理に特化したシステムです。機能と資産数によって価格は異なり、資産数1,000までであれば月額60,000円~。
業種 | 情報処理、SI、ソフトウェア |
従業員規模 | 1,000名以上 5,000名未満 |
Assetment Neoのいい点 |
★ ★ ★ ★ ★ 5 |
スマホにアプリを入れてIT資産に貼付しているバーコードを読み取るだけで棚卸が可能です。複数の機器を連続でスキャンすることも可能です。 |
業種 | 電気、電子機器 |
従業員規模 | 5,000名以上 |
Assetment Neoの改善してほしい点 |
★ ★ ☆ ☆ ☆ 2 |
印刷環境のせいではなく、時々読み取りできないことがある。また場所や稼働状況が変わるたびにバーコードを読まないといけないのが面倒。 |
固定資産管理システムを導入するメリット
固定資産管理システムによって、複雑な会計処理や現物管理が効率化します。さらに企業やグループ企業の固定資産を一括管理・把握が可能になるので、申告漏れの防止やリース・購入の意思決定をスムーズに行えます。
法改正にも迅速に対応しているシステムを選ぶことで、改正するたびに必要になっていた修正などの対応工数も削減可能です。
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自社にあう固定資産管理システムを比較しよう
固定資産管理は手作業やエクセルで管理するには限界があります。さらに今後、IFRSなどのへの適用の必要性も十分に考えられます。この機会に固定資産管理システムを導入し、制度改正にもすぐに対応できるように準備を整えてはいかがでしょうか。
固定資産管理システムを導入する際は選定ポイントを必ず確認し、自社に最適な製品を選定しましょう。