
売掛金・買掛金とは
まずは、売掛金と買掛金がどのようなものか見ていきましょう。
売掛金:商品を先に販売して、代金を後から受け取る権利
売掛金とは平たくいうと、商品やサービスを先に販売・提供し、代金を後から受け取る権利(債権)のことです。企業間の取引では、商品やサービスを提供するタイミングと代金を受け取るタイミングが異なります。基本的には「月末締め翌月末払い」などと取り決めをして代金を受け取ります。そのため、商品を販売したときに売上を計上しますが、その時点では手元に現金はありません。代わりに売掛金が発生します。このような取引は掛取引と呼ばれ、まとめて決済することで効率化やお互いの便宜を図る方法なのです。
買掛金:商品を先に仕入れて、代金を後で支払う義務
買掛金とは、商品を先に仕入れて代金を後で支払う義務のことです。売掛金は、代金を受け取る権利になるため「資産」として計上されます。しかし、買掛金は代金を支払う義務になるので「負債」として計上されます。このように、売掛金と買掛金を資産や負債として貸借対照表に集計することで、会社の財務状況を把握できます。
売掛金で気を付けるべきポイント
つづいて、売掛金を扱う際に気を付けるべきポイントを見ていきましょう。
売掛金を回収できないリスクがある
売掛金で気を付けるべきなのは、回収できないリスクがあることです。売掛取引を行う場合、商品やサービスを販売・提供して売上を計上することはできます。しかし、取引先が代金を支払う前に倒産してしまえば、売掛金の回収はできないでしょう。また、売掛金を回収できないことで自社が倒産する事態に発展する可能性もあります。
このように掛取引は信用取引になるため、取引先の動向を確認しなければなりません。また、支払い期日に入金がない状況では、営業部門への確認や督促といった対処が必要になります。
売掛金は5年で時効を迎える
代金の請求期間は有限であることにも注意しなければなりません。つまり、一定期間を経過すると売掛金は時効となり、代金の回収ができなくなります。売掛金の時効期間は5年とされているため、その前に取引先に督促して回収に努めましょう。
以前は売掛金の種類によって時効になる期間がそれぞれ異なっていました。しかし、法改正により売掛金の種類を問わず2020年4月から時効期間が統一されているので注意してください。
回収不能になった際は貸倒損失への仕訳変更を行う
売掛金が時効を過ぎ、回収できない場合は仕訳変更をします。仕訳変更することで税金が課されるリスクを防ぎます。貸倒れの事実が発生すれば、貸倒損失として計上できます。
貸倒損失を計上する場合は、貸倒れリスクの大きさによって仕訳が異なるため注意してください。以下のパターンが挙げられます。
- ・実際に倒産した場合:切捨額・免除額を貸倒損失として計上
- ・全額回収ができない場合:全額を貸倒損失に計上
- ・一定期間取引停止した後に弁済がない場合:備忘価額1円を残し、貸倒損失を計上
売掛金の管理方法
最後に、売掛金の管理方法を見ていきましょう。
振替伝票の作成
売掛金を管理するには、請求書の控えなどを元に経理部が「振替伝票」を作成する必要があります。振替伝票の貸方には、売掛金、貸方には売上を記入します。摘要欄には、今後入金予定のものを記入します。
買掛金も同様に取引先から受け取った請求書を元に作成します。振替伝票への記入は貸方に買掛金を記入し、得意先元帳と照らして対になる仕入先元帳に転記します。
会計ソフトの利用
売掛金は一般的に売掛金元帳を使って管理しますが、効率的に管理するには会計ソフトを使うと良いでしょう。会計ソフトなら請求データの入力だけで、自動で売掛元帳に転記されるためミスを減らせるでしょう。さらに会計ソフトに入金データを記帳することで、取引ごとの売上と入金のバランスを簡単に把握できます。
売掛金の回収には代行の利用
売掛金の回収に請求・回収代行サービスを利用するのもおすすめです。経理業務の中でも売掛金の管理は負担が大きく、未回収は企業の存続に関わるため確実性が問われます。代行サービスを活用すれば業務負担を軽減でき、与信と回収保証をする業者なら未回収のリスクをゼロにすることも可能です。取引社数が多く、リソースを基幹業務に集中させたいと考えているなら、代行業者の利用を検討するといいでしょう。
売掛金を理解して、的確に仕訳をしましょう!
安定した経営のためには売掛金・買掛金の管理を徹底しなければなりません。売掛金とは代金を後から受け取る権利のことです。しかし、売掛金には有効期限が存在し、取引先が倒産すれば回収はできません。そこで会計ソフトを活用すれば掛取引の管理が容易になります。未回収の売掛金が多い場合は代行サービスの利用も有効です。売掛金を理解して効率的に経理業務を行いましょう。
多忙な経理担当者の業務をサポートするサービスとして、経理アウトソーシングがあります。興味のある方は以下の記事もぜひ参考にしてください。
