BIツールとは
BI(ビジネスインテリジェンス)ツールとは、社内にある大量のデータを統合・分析し、経営や営業活動などでスピーディーな意思決定を促進するためのツールです。
BIツールについて、詳しくはこちらの記事をご覧ください。
BIツールの5つのメリット
大量のデータを分析するというと、高度な知識が必要と思う方も多いかもしれません。しかし、BIツールは専門スキルがなくても、誰でも簡単にデータの分析・活用できます。ここがBIツールの大きなメリットです。
システムに散在したデータを集めて分析できる
企業には営業支援の役割を担うSFAや、顧客情報の管理を行うCRMなど数多くのシステムがあり、それぞれが企業にとって重要な資産であるデータを蓄積しています。
BIツールを使用せずにこれらを一緒に分析するためには、CSVなどの形式で各システムからデータを出力し、Excelでデータの結合を行ったうえで、各データの分析を始めなければなりません。しかしBIツールを活用すれば、各システムと連携して簡単にデータを1か所に集め、分析できます。
データの集計・分析の時間を大幅に短縮できる
Excel等でデータを集計・分析するためには、関数やピボットテーブルなどを組み合わせて複雑な作業をする必要があります。しかしBIツールでは、これらの手間を大幅に削減することが可能です。
後述のとおり、BIツールにはOLAP分析やデータマイニング機能が搭載されており、膨大なデータを多次元分析したり、相関分析や回帰分析などの多彩な手法を用いたりすることで、質の高い分析結果を短い時間で入手できるのです。
可視化することで現状把握が簡単にできる
BIツールを用いると、データの分析結果を視覚的にわかりやすい表やグラフの形式で表示できます。Excelで表やグラフを作成する場合、最新の状態を知るためには毎回各システムからデータを出力し、加工する必要があるでしょう。
BIツールならば、例えば営業の売上達成の進捗をメンバーごとに毎朝表示することも簡単に行えます。元のデータが大量であったり、更新頻度が高いものであったりしても、リアルタイムな可視化によって現状の把握が素早く簡単にできるのです。
問題・課題の早期発見ができる
BIツールは大量のデータを分析するなかで、時に人間が気づかないようなデータの関連性や異変を検知することがあります。ビジネスにおいては、問題や課題を早期発見し対処することは不可欠です。しかし、人員不足といった課題を抱えていることも多く、膨大なデータを分析する十分な時間が取れる企業はほとんどないでしょう。
BIツールにデータの処理を任せれば、人が作業する場合に比べて早く正確に問題や課題を発見し、その解決方法まで容易にたどり着けます。
多数の分析ツールを複合的に活用できる
一般的なBIツールには、さまざまな分析ツールが多数搭載されています。
BIツールは、レポーティング機能、OLAP(オンライン分析処理)、データマイニングなど、多彩な分析機能を一つのプラットフォーム上で提供しています。これらの機能を活用することで、ユーザーは複数の角度からデータを分析し、より深い洞察を得られるでしょう。
例えば、レポーティング機能を使用して標準的なビジネスレポートを作成した後、OLAP分析を通じてそのデータをさまざまな次元(時間、地域、製品カテゴリー等)で掘り下げられます。さらに、データマイニング機能を利用することで、隠れたパターンや予測モデルまで発見できるでしょう。
このように、BIツールを使うことで、単にデータを集計・可視化するだけでなく、複数の分析ツールをシームレスに組み合わせて利用できます。これにより、データにもとづく意思決定を迅速かつ精度高く行えます。
BIツールで活用できる主な機能は、次のとおりです。
- ■レポーティング機能
- レポーティング機能によって、Excelのような表計算ソフトよりも見やすいグラフをダッシュボード上に表示したり、定型レポートとして出力したりできます。
- ■OLAP分析機能
- OLAPとは「Online Analytical Processing(オンライン分析処理)」の略です。さまざまな角度からデータを分析することで、問題に対する要因の仮説を検証できます。
- ■データマイニング機能
- 問題への対処のヒントを得るために使用されるものです。例えば、売上と天気との関係性など複数のデータの中から、使えそうな未知の関連性や傾向などを見出せます。
- ■プランニング機能
- 過去データの分析結果から、全体の変化を見るシミュレーションなどを行い、計画の根拠を得られる機能です。
具体的なBIツールや種類については、こちらで詳しく解説しています。
BIツールの4つのデメリット
BIツールは、明確な目的をもって導入すればメリットの多いシステムですが、場合によってはデメリットになってしまう点もあります。ここでは、BIツールの導入におけるデメリットを解説します。
導入が難しく運用にはある程度の知識も必要
BIツールは導入が難しいシステムの一つです。製品選びの際に何を比較すればよいのか、失敗しないために必ず確認すべき重要な点は何かなどがわかりづらいという特徴があります。
自社に合った製品が選べていなかったり、導入後の自社の運用体制が十分でなかったりする場合などに、うまく社内に定着せず失敗しやすくなるようです。
コストがかかる
導入前に利用目的や人数などをしっかり設定しておかないと、必要な機能がなくて追加しなければならないなど、思わぬコスト増になってしまうこともあります。
また、ユーザー数課金型のBIツールの場合は、提供形態によっては利用人数の増加にあわせて月額費用も高くなります。その結果、ふたを開けてみれば当初の想定よりも多額のコストがかかってしまった、ということも起こり得るでしょう。
BIツール導入の費用については、以下の記事で詳しく解説しています。
設定に手間がかかる
BIツールの初期設定は、一般的に手間がかかる作業です。各種システムからデータを抽出・加工し、BIツールで分析することに特化した「多次元データベース」に格納する作業は非常に煩雑であるため、場合によっては情報システム部門などに依頼をする必要があるでしょう。
また、一度作成したデータベースを後から改変するのも、手間がかかってしまいます。
BIツールで利用する「多次元データベース(キューブ)」については、以下の記事で詳しく解説しています。
使いにくいとかえって作業負担が増す
使用感がよくない製品を導入してしまうと、かえって作業の非効率化を招いてしまうことがあります。BIツールは情報システム部門以外の担当者が使用する前提の製品であるため、比較的シンプルでわかりやすい操作性のものが多くなっています。
しかし導入前には必ずトライアルとして、何人かの社員に利用してもらい使いづらい点がないか確認してもらいましょう。使いづらい製品を導入してしまうと、かえって作業負担が増えてBIツールへの現場の抵抗感が増してしまうことがあります。
失敗しないための選定ポイント
導入するにあたって失敗しないための5つのポイントを説明します。
課題を整理し目的は明確にする
BIツールに限らず、ツールを導入するときには自社の抱える課題を洗い出し、導入目的を明確に設定しておきましょう。課題を解決するために必要な機能は何かを判断する際の軸になったり、導入後も目的が達成されているか振り返ったりできます。
自社に最適な製品かどうか確認する
BIツールを導入する目的や利用範囲は企業によってさまざまで、必要な機能も異なります。もし自社に必要な機能が搭載されていなければ、活用されなかったり、機能を追加しなければならなかったりと、コストの無駄になってしまう恐れがあります。
機能や使い勝手などが自社に最適かどうか、しっかりと確認しましょう。
まずはスモールスタートで始める
全社で一斉にBIツールを導入してしまうと、社内で混乱を生じてしまう可能性もあります。リスク低減のために、まずは部門やチームごとなど小規模の限られた人数でスタートし、密に連携を取りながら、運用のフローやルールなどを定めていくことをおすすめします。
インテグレーションの容易さを確認する
導入するBIツールが既存のシステムやデータソースと容易に連携できるかどうかは、運用の効率性に直結します。例えば、CRMやERPなどの既存システムからデータを取り込む必要がある場合、そのプロセスがスムーズに行えるかを事前に確認することが重要です。
また、APIの提供やカスタム開発のサポートなど、柔軟なインテグレーションオプションを提供する製品を選ぶことで、将来的なシステム変更や拡張にも対応しやすくなるでしょう。
スケーラビリティを考慮する
ビジネスの成長にともない、データ量が増加することや、より複雑な分析が必要になることも考えられます。そのため、導入初期から将来の拡張性を見越して、スケーラビリティの高いBIツールを選定することも重要です。例えば、クラウドベースのBIツールは、リソースの追加が容易であり、データ量の増加や分析ニーズの変化に柔軟に対応できるメリットがあります。
また、ユーザー数の増減に応じた料金プランを提供する製品も、コスト面でのスケーラビリティを考慮した選択肢といえるでしょう。
BIツール製品の選定ポイントについては、こちらの記事でさらに詳しく解説しています。
メリット・デメリットを知ったうえで導入を検討しよう
BIツールのメリット・デメリットについて、ご理解いただけたでしょうか。BIツールの導入を進めるうえで重要なポイントは、自社の課題・分析の目的を明確にして、その解決のために最適なシステムを選ぶことです。
BIツールを提供している企業は多く、各ツールの機能や得意としているものはさまざまなので、まずは各社の製品を比較して最適な製品を選ぶようにしましょう。