企業の採用失敗例
時間をかけて採用した人材も少しの認識のズレや価値観の違いで、すぐに退職してしまう場合があります。まずは、実際にどのような採用失敗例があるのか見ていきましょう。
応募者のスキルと業務が合っていなかった
あるスキルを持っている人材を募集していたA社は、マッチした人材のBさんが応募してきてくれたため、面接にすすむことになりました。早急にそのスキルを持っている人材を確保する必要があったため、この応募は願ってもないことでした。すぐに面接を行った結果人柄も悪くなく、企業理念にも共感を示してくれたため、採用に至ることになりました。
しかし、入社後業務に取り掛かってもらうと、Bさんは持っているスキルと業務の乖離を訴え始めました。確かに持っているスキルとしてはA社が求めていたものでしたが、前職で行っていた手法は、A社で行っている手法とは異なるものでした。Bさんは、前職のやり方で業務を行う必要を強く訴えました。ですが、実際の所A社のビジネススタイルでは実現不可な方法であり、到底その意見は通すことができないものでした。結局まともに業務に携わることなく2ヶ月足らずで、Bさんは離職してしまいました。
面接の不手際で採用できなかった
ある部署で即戦力の人材を募集していた人事担当のFさんは、5人の候補者と面接を行う予定でした。2回の面接の予定でしたが、今回の採用には力を入れたいということで、急遽追加で部長と役員との面接をそれぞれおこなうことになりました。この会社の採用では社長との最終面接を組むことが通例とされていたため、面接回数は4回にまで増えることになってしまいました。5人中2人まで面接で絞ることができ、いよいよ最終面接というところまで面接過程がすすみました。
しかし、予定外の面接を行ったため2人の候補者のうち1人は先に内定が出た企業へ入社を決めてしまい、もう一人は事前に聞いていた話と違うということで辞退を伝えられました。こうして、莫大な労力を使った採用活動は、一人も採用できずに終了してしまいました。
中途社員のフォローができなかった
人事計画に合わせ、1名の採用を検討していた人事担当のCさんは、中途採用枠で10名の面接を予定していました。今回は営業部署への人材補充ということで、営業経験のある人材と面接を執り行う予定で採用をすすめていました。予定の10名と面接した結果、今回は営業経験も長く、人当たりがよく明るい性格のDさんを採用することにしました。
営業経験者ということで、即戦力として期待していたDさんですが、3ヶ月経っても目立った成果を上げることはありませんでした。Cさんは、Dさんの教育担当をしているEさんに様子をうかがいました。Eさんによると、「ある程度経験があるだろうし、自分のやり方もあるだろうから一連の方法を指導して、そこからは一人でやってもらっている」とのことでした。確かに繁忙期であったし、Eさん自身にもあまり余裕はなかったのですが、Dさんはほとんどフォローをいれてもらえず、孤立していたのです。結局Dさんは、周りとの溝を埋められず、成果もあげられなかったことから、それから1ヶ月ほどで退職してしまいました。
これらの採用活動の失敗原因はなんだったのでしょうか。
よくある採用の失敗例と原因
採用でよくある失敗とは、「選考の辞退が多い」「自社に合う人材が見つからない」「早期退職してしまう」という3つが挙げられます。早速よくある採用の失敗事例とその原因を詳しくみていきましょう。
選考中の辞退が多い
せっかくよい人材の応募があったのに、合否の判定を出す前に候補者から辞退されてしまうことがあります。場合によっては連絡がつかなくなることもあるでしょう。その原因として、以下のようなケースでは選考中の辞退者が多くなります。
- 面接回数が多い
- 応募者は、初めの面接にはモチベーションが高い状態で臨みます。しかし、何度も面接を繰り返すと徐々に熱が冷め、ほかの企業に関心が移る可能性があります。
- 熱意ある応募者を見極めるためにあえて複数回数の選考を行うという考えもあるかもしれません。しかし、モチベーションが下がったときにライバル企業からアプローチがあれば、応募者はそちらに流れてしまうでしょう。
- 連絡が遅い
- 面接の後、応募者に連絡するまでの期間が長いと、応募者は不安になります。企業の対応が冷たいと感じ、不信感を抱くかもしれません。選考の段階から応募者と信頼関係を築く心構えで臨みましょう。
採用したい人材に出会えない
採用活動を続けていても、自社が採用したい人材になかなか出会えないということもあります。その原因は以下の2つが考えられます。
- 母集団形成が不十分
- 良い人材に出会うには、まず多くの応募者から注目してもらわなければなりません。求人サイトを利用するのが一般的な手段ですが、自社に合う人材が集まりそうなサイトを選ぶ必要があります。求人サイトによって、閲覧される数や与える印象が異なるためよく確認することが大切です。
- 採用条件が不適切
- どれほど大きな母集団を形成しても、採用条件が厳しすぎると求める人材には出会えません。仮に適合する人材がいても、その人が自社に転職するメリットを見出せなければ意味がありません。また、漠然としている採用条件も不適切です。
- 自分が適合しているのか判断しかねて応募を躊躇する人が多くなります。
入社後すぐに退職してしまう
せっかく入社してもすぐに退職されては意味がありません。ところが、新卒の3割は3年以内に退職すると言われています。特に入社直後は分からないことが多く、周囲から適切なサポートを受けられなければ孤立します。
新入社員に長期定着してもらうためには、定期的な面接や研修などを通じてコミュニケーションを促す仕組みが必要です。また、自分が力を発揮できていると感じてもらうための、適切な目標設定なども欠かせません。
採用を成功させるポイント
採用を成功させるためのポイントを3つにまとめましょう。
採用フローや体制を最適化する
選考中の辞退を防ぐためには、採用フローを見直す必要があります。応募者がモチベーションを維持できる体制を整えましょう。
まず、面接では企業に対して良い印象を持ってもらうことが大切です。この企業に入社したいと思ってもらわなければなりません。
そのためには、面接で積極的に応募者の不安や疑問点を解決できるよう努めましょう。そして、面接後にはできるだけ早く合否連絡をしましょう。連絡が遅いと不安感が先立ち、辞退されるリスクが高くなります。
また、複数回の面接を行う場合は日程調整にも配慮が必要です。応募者の負担が多いとモチベーションが低下します。スムーズに日程を調整できるオンライン面接の導入も効果的でしょう。
求める人物像を明確にして採用機会を増やす
次に気をつけるべきポイントは、母集団形成と求める人物像の明確化です。
母集団形成は求人サイトへの情報掲載が一般的ですが、それだけではありません。
たとえば、昨今はSNSを活用した採用活動も効果的でしょう。応募者が日常的に使っているツールであるため、情報確認や連絡に抵抗がありません。もともと自社に興味を持っていなかった優秀な人材の関心を引くこともできるかもしれません。
うまく母集団を形成できたら、その中から自社が求める人材を見つける必要があります。そのために必要なのが求める人物像の明文化です。明文化しておかなければ、いざ採用する段階になって判断基準が曖昧になります。
自社の事業計画や、新入社員が配置されるポジションなどの人事情報を踏まえて設定しましょう。
入社後のフォローをマメに行う
入社後すぐに退職されないように、丁寧なフォローが必要です。2~3か月ごとくらいの定期的な面談を行い、以下のようなことを確認しましょう。
- 業務で困っていることはないか
- モチベーションはどうか
- 対人関係などはどうか
- 今後のキャリアプランについてどう考えているか
退職を考える社員は基本的に悩みを抱えています。上記のような質問によってその悩みを明らかにし、解決をサポートすれば退職率を下げられるでしょう。
解決のサポートはできるだけ具体的なものであるのが理想的です。たとえば、モチベーションが低いのであれば目標管理の体制を見直すとよいでしょう。目標管理システムの導入もよいかもしれません。
また、周囲とコミュニケーションをとるのが苦手な場合は、気軽に質問できる社内SNSの活用なども考えられます。
採用の失敗を防ぐ「採用管理システム」とは
採用管理システムとは、採用活動を全面的に支援するITツールです。これを導入することで以下の活動が円滑化します。
- 求人情報管理
- 応募者管理
- 応募経路の管理
- 選考データの管理
- 応募者との連絡
- 採用活動のコスパ分析
上記の作業を人力で行うのは大変です。しかし、これらに滞りや支障が生じれば欲しい人材を採用するのは難しくなります。
一方、採用管理システムで求人情報の公開がうまくいけば、採用したい人材に出会える可能性が高まるでしょう。また、日程調整や応募者との連絡が円滑になれば、選考中の辞退を防止できます。
採用管理システムについて詳しく知りたい方は以下の記事が参考になります。
失敗例から学び、採用活動を成功させよう!
よくある採用の失敗例は以下の3つです。
- 選考中の辞退が多い
- 採用したい人材に出会えない
- 入社後すぐに退職される
上記の失敗を回避するためのポイントは、採用フローを見直し、応募者の不安や負担を減らす、求める人物像を明確にする、丁寧に入社後のフォローを行うことです。
採用を成功させるには、採用管理システムで採用活動を円滑化するのも有効です。以上を踏まえ、効果的な採用活動を目指しましょう。