新卒採用の一般的なフロー
一般的な新卒採用フローは、大学4年生になる前から始まり、説明会や選考を経て、夏頃には内定を出す流れです。多くの企業では以下のようなステップに分けて採用活動を進めています。
自社の新卒採用計画を立てる
はじめに新卒採用計画を立てましょう。近年は採用スケジュールが多様化しているため、企業ごとに柔軟な設計が求められますが、目安としては入社の前前年(大学3年生の夏頃)までに方針を定めるケースが多く見られます。
- 人員計画
- 採用したい人数を明らかにする
- 採用計画
- 採用活動に従事する人員や手順などを決める
- 求める人物像の決定
- 採用したい人物像をできるだけ詳細に決める
- 採用市場や動向分析
- 学生や同業他社の動きを調べる
採用の戦略を練る
採用したい人物像を固めるには、ペルソナを作成することが近道でしょう。
採用においてのペルソナ作成は、下記の記事を参照していただくと理解が深まります。
ペルソナを作成して、取りたい人物像が出来上がったら、実際の採用に関しての戦略を立てていきましょう。
学生に入社したいと思わせるまで、どのような流れを作っていくのかを形にしていく必要があります。戦略を立てる際は、インターンシップから選考、内定までの全ステップを踏まえて考えましょう。
戦略を立てるうえで抑えておくべきことは、「競合と比べたとき自社の魅力はなにか」ということを明確にしておくことです。学生からみて自社にはどのような魅力がるのかをリストアップし、分析をしましょう。以下のポイントを確認してみると差別化ポイントを見つけやすくなります。
- 知名度
- 企業規模
- 社風
- 福利厚生
- 社内制度
- 関わる業務範囲
自社の魅力を洗い出すことができたら、それを各種採用広告に反映していく作業が必要になります。キャッチコピーやコンテンツなどを魅力をベースに作成していきましょう。特に突出した魅力がないと感じられる場合でも、それぞれの要素を掛け合わせることでユニークな魅力を作成することができます。
学生に魅力を感じてもらうために、自社の強みがどこなのかを徹底的に洗い出しましょう。
母集団と動機の形成を行う
採用前前年の6~12月頃は、早期に母集団形成や動機づけを図る企業も多く見られます。特にインターンシップや採用広報の充実が重視されるようになっており、年内から本格的な学生接点を持つことも一般的になりつつあります。
- 求人ポータルサイトに求人を掲載
- 学校のキャリアセンターに求人票を提出
- 採用サイトの立ち上げ
一般的に多くの学生を集められるのは求人ポータルサイトの利用です。しかし、サイトによって掲載価格やアクセス数が異なるためよく吟味しましょう。続いてエントリー受付と会社説明会を行います。以下の準備を行い、説明会を円滑に実施しましょう。
- スカウトメールやDMによるアプローチ
- 説明会資料やパンフレットの作成
- 説明会に予約した学生へのリマインドメール送信
- 会場や人員の手配
募集・選考を行う
募集・選考の時期は企業ごとに異なりますが、通年採用が浸透しつつある現在では、早い企業では前年夏〜秋頃に選考を開始するケースもあります。
- スタートアップミーティング
- セミナーの準備・実施
- エントリー管理
- 筆記試験の準備
- 資料送付
- 大学訪問
- 面接官の訓練
- 面接の準備と実施
新卒採用では応募人数が多くなるため、細心の注意を払って個人情報を管理しなければなりません。適切な管理体制を整えたうえで活動を実施しましょう。
また、面接や選考には多くのスタッフが関わることになります。スタッフ間で円滑に連絡が取れる体制も必要です。
入社まで内定者のケアを行う
内定が決まってから実際に入社するまでの期間は、内定者のケアを行いましょう。内定辞退は企業にとって大きな問題です。辞退者が続出すると、採用目標人数を下回ります。内定者が企業に関心を持ち続けられるように、以下のような対策が求められます。
- 懇親会
- 集団研修
- インターン
- アルバイト雇用
- 内定者用SNSの利用

新卒採用スケジュールの設計ポイント
新卒採用スケジュールを設計するうえで気をつけるべきポイントを2つ解説します。
社外における日程変更に気を配る
同業他社が採用スケジュールを早めた場合、自社もそれに合わせて設計を変える必要が生じるでしょう。過去に成功したスケジュールがあっても、それを使いまわすことはできません。
採用日程はライバル社のほか、学生の動向や自社の経営状況にも左右されます。これらを総合的に判断し、採用活動の度に適切なスケジュール設計を心がけましょう。
採用にかかわる予算や社員スケジュールの調整
採用スケジュールを立てるには、採用活動に関わる社員のスケジュール調整や予算の検討も欠かせません。広報や説明会、セミナー、面接には多くの人員と予算が必要になります。これらが不足して円滑に活動できなければ、優秀な学生を採用する機会損失になりかねません。
社員のスケジュール調整は、基本的に人事部内で済みます。ただし、ほかの部署の協力が必要な場合には、調整を早めに行うことが大切です。
また、適切な予算を決めるためには、前年度の1人あたりの採用単価を参考にします。そのほか、以下の料金も確認しておきましょう。
- 求人サイトへの掲載料
- パンフレットや資料の制作費
- 面接費用(交通費・飲食費など)
採用活動時期に関する最近の変更点
これまで新卒採用は、経団連が策定する「採用選考に関する指針(いわゆる就活ルール)」にもとづき、エントリー開始時期や選考開始時期が統一されていました。しかし、2018年に経団連がこのルールの策定を終了したことで、企業は独自のスケジュールで採用活動を行えるようになりました。
その結果、2022年卒以降は、各社がインターンシップや選考の時期を前倒しするなど、柔軟な採用スケジュールを構築する動きが加速しています。年間を通じて新卒採用を行う「通年採用」も、選択肢の一つとして広がりつつあります。企業同士による優秀な学生の確保競争は激化しており、採用活動の設計にはこれまで以上に戦略性が求められています。
新卒採用の流れをつかみ、万全なスケジュールの設計を!
新卒採用では、採用計画の立案から母集団形成、選考、内定者フォローまで、いくつかのステップを段階的に進めていくのが一般的です。
ただし、近年は通年採用や早期選考が拡大しており、スケジュールの立て方も企業ごとに大きく異なります。そのため、「自社の採用方針や対象学生層に合った柔軟な設計」がますます重要となっています。
採用スケジュールを組む際は、他社や学生の動向、インターンの実施時期、選考の負荷、予算配分などを総合的に考慮し、社内リソースと照らし合わせながら綿密に設計しましょう。
