新卒採用の一般的なフロー
一般的に、採用したい大学生が4年生になる前に採用計画を決定し、説明会や面接を経て4年生の夏には内定を出します。
ただし、同業他社や学部によって左右されることも少なくありません。以下で4ステップに分けてフローを解説しますが、あくまで一般例であることを念頭において見ていきましょう。
自社の新卒採用計画を立てる
はじめに新卒採用計画を立てましょう。時期は入社の前前年(採用対象が大学3年生)の5~6月頃が一般的です。具体的には以下の計画や検討を行います。
- 人員計画
- 採用したい人数を明らかにする
- 採用計画
- 採用活動に従事する人員や手順などを決める
- 求める人物像の決定
- 採用したい人物像をできるだけ詳細に決める
- 採用市場や動向分析
- 学生や同業他社の動きを調べる
採用の戦略を練る
採用したい人物像を固めるには、ペルソナを作成することが近道でしょう。
採用においてのペルソナ作成は、下記の記事を参照していただくと理解が深まります。
ペルソナを作成して、取りたい人物像が出来上がったら、実際の採用に関しての戦略を立てていきましょう。
学生に入社したいと思わせるまで、どのような流れを作っていくのかを形にしていく必要があります。戦略を立てる際は、インターンシップから選考、内定までの全ステップを踏まえて考えましょう。
戦略を立てるうえで抑えておくべきことは、「競合と比べたとき自社の魅力はなにか」ということを明確にしておくことです。学生からみて自社にはどのような魅力がるのかをリストアップし、分析をしましょう。以下のポイントを確認してみると差別化ポイントを見つけやすくなります。
- 知名度
- 企業規模
- 社風
- 福利厚生
- 社内制度
- 関わる業務範囲
自社の魅力を洗い出すことができたら、それを各種採用広告に反映していく作業が必要になります。キャッチコピーやコンテンツなどを魅力をベースに作成していきましょう。特に突出した魅力がないと感じられる場合でも、それぞれの要素を掛け合わせることでユニークな魅力を作成することができます。
学生に魅力を感じてもらうために、自社の強みがどこなのかを徹底的に洗い出しましょう。
母集団と動機の形成を行う
採用前前年の6~12月頃は、採用対象となる学生の母集団形成・動機づけをする段階です。以下の手段が用いられます。
- 求人ポータルサイトに求人を掲載
- 学校のキャリアセンターに求人票を提出
- 採用サイトの立ち上げ
一般的に多くの学生を集められるのは求人ポータルサイトの利用です。しかし、サイトによって掲載価格やアクセス数が異なるためよく吟味しましょう。続いてエントリー受付と会社説明会を行います。以下の準備を行い、説明会を円滑に実施しましょう。
- スカウトメールやDMによるアプローチ
- 説明会資料やパンフレットの作成
- 説明会に予約した学生へのリマインドメール送信
- 会場や人員の手配
募集・選考を行う
採用前年の1月から5月にかけて募集・選考を行います。具体的には以下の活動を行いましょう。
- スタートアップミーティング
- セミナーの準備・実施
- エントリー管理
- 筆記試験の準備
- 資料送付
- 大学訪問
- 面接官の訓練
- 面接の準備と実施
新卒採用では応募人数が多くなるため、細心の注意を払って個人情報を管理しなければなりません。適切な管理体制を整えたうえで活動を実施しましょう。
また、面接や選考には多くのスタッフが関わることになります。スタッフ間で円滑に連絡が取れる体制も必要です。
入社まで内定者のケアを行う
内定が決まってから実際に入社するまでの期間は、内定者のケアを行いましょう。内定辞退は企業にとって大きな問題です。辞退者が続出すると、採用目標人数を下回ります。内定者が企業に関心を持ち続けられるように、以下のような対策が求められます。
- 懇親会
- 集団研修
- インターン
- アルバイト雇用
- 内定者用SNSの利用
新卒採用スケジュールの設計ポイント
新卒採用スケジュールを設計するうえで気をつけるべきポイントを2つ解説します。
社外における日程変更に気を配る
同業他社が採用スケジュールを早めた場合、自社もそれに合わせて設計を変える必要が生じるでしょう。過去に成功したスケジュールがあっても、それを使いまわすことはできません。
採用日程はライバル社のほか、学生の動向や自社の経営状況にも左右されます。これらを総合的に判断し、採用活動の度に適切なスケジュール設計を心がけましょう。
採用にかかわる予算や社員スケジュールの調整
採用スケジュールを立てるには、採用活動に関わる社員のスケジュール調整や予算の検討も欠かせません。広報や説明会、セミナー、面接には多くの人員と予算が必要になります。これらが不足して円滑に活動できなければ、優秀な学生を採用する機会損失になりかねません。
社員のスケジュール調整は、基本的に人事部内で済みます。ただし、ほかの部署の協力が必要な場合には、調整を早めに行うことが大切です。
また、適切な予算を決めるためには、前年度の1人あたりの採用単価を参考にします。そのほか、以下の料金も確認しておきましょう。
- 求人サイトへの掲載料
- パンフレットや資料の制作費
- 面接費用(交通費・飲食費など)
採用活動時期に関する最近の変更点
2019年4月19日に、経団連は通年採用を拡大することで大学側と合意しました。通年採用とは、1年を通じて新卒採用を行うことです。新卒採用が4月に偏っている現状を変える目的で合意され、2022年春入社組から移行していきます。
つまり、2022年春の採用者からは、企業の好きなタイミングで採用活動を始められるということです。極めて早い時期から選考に踏み切る企業も少なくないでしょう。
その結果、優秀な学生を取り合う企業同士の競争が今よりも激化すると考えられます。ライバル社が早めに採用活動を始めれば、ほかの企業もそうせざるを得ないからです。2022年春卒以降の新卒採用スケジュールには大きな変更が求められるでしょう。
新卒採用の流れをつかみ、万全なスケジュールの設計を!
新卒採用の一般的な流れは以下のとおりです。
- 前前年5~6月
- 新卒採用計画策定
- 前前年6~12月
- 母集団と動機づけの形成
- 前年1~5月
- 募集・選考
- 内定後~入社
- 内定者のケア
採用スケジュールの設計ポイントは、他社や学生動向を考慮すること、予算と社員のスケジュール調整を綿密に行うことです。2022年春卒者以降は通年採用に移行するため、調整が必要です。以上を踏まえ、万全なスケジュールを設計しましょう。