ERPとは?
ERPとは、企業にあるシステムの情報を一元管理することのできる、基幹系システムのことを指します。情報の一元管理が行えるため、業務の効率化を図れます。近年では、パッケージ型ERPだけでなくクラウド型ERPも登場し、自社の業務にあった製品を導入可能になりました。
ERP導入前の課題
まずは、ERPを導入する前の企業が抱えている課題について、一般的なものをご紹介します。
現状の正確な経営情報が欲しい
人事情報は人事システム、財務状況は会計システム、製品の生産状況は生産管理システムと、管理する情報によって使うシステムが分かれていることで起こりやすい課題です。総合的な経営状況を見るためには各種システムからデータを抽出し、人の手でデータを加工する必要があり、時間がかかったりミスが起きる可能性があったりするなどの問題があります。
手間のかかる業務を省き、効率化を図りたい
データを集計するためには人の手による加工が必要であったり、情報を入力する際には各システムに同じ情報を繰り返し入力することが必要になることもよくある課題です。多くの部分で人的工数がかかり、業務効率化が図れているとは言いにくい状態といえます。
スピード感のある経営判断を行いたい
データを出すのに大きな工数がかかる状態では、必要な時にすぐにデータを確認できません。データ出しの依頼をしてから2~3日かかると、経営判断が後手に回りがちになります。
このような課題を解決するのがERP
では、これらの課題がERPでどのように解決できるのか、詳しく見ていきましょう。
企業のあらゆる情報を一つに集約
ERPの主な役割の一つは、経営基盤となる情報を一元管理することです。ERPを導入することで、これまでばらばらに管理されてきた会計や人事などの情報をまとめて管理でき、手間やミスなく正確な経営情報を見られるようになります。
業務効率の向上
データが一元管理される事によって、統合的なデータの抽出をするために人の手で加工をする必要はなくなり、そこでミスが起きる可能性を抑えられます。また、データの多重登録が必要なくなるため、無駄な工数を割く必要もありません。
可視化された経営情報
ERP製品の中には、データの一元管理だけではなく、経営分析機能までついているものがあります。売上、営業状況、人的リソースの活用状況などを可視化させ、現状把握やボトルネックの分析、打ち手の模索などができます。
スピードアップした経営判断
変化の激しい現代では、経営判断に求められるスピードもますます早くなっています。ERPで経営基盤のデータを一元管理し、必要な時にすぐ見られるような仕組みを作っておくことで、スピーディーな経営判断が可能になります。
ERP導入事例
ITトレンドでは、実際にERP製品を導入した企業の、「導入前の課題」「導入後の結果」「製品の選定ポイント」を紹介しています。
企業名だけでなく業種や、従業員規模、事業内容のデータもあるので、自社に近しい企業の事例を参考にしてみてください。
参考:ERP(統合基幹業務システム)に関連する導入事例一覧|ITトレンド
ERP導入の失敗事例も知っておこう
ここまではERPの導入成功事例を見てきましたが、企業の中には導入に失敗してしまったケースもあります。ここでは、ERPの導入に失敗してしまうケースをいくつかご紹介します。
管理業務はERPまかせ
ERPを導入しただけで管理業務におけるすべての課題が解決できると考えてしまい、運用フローの構築などを全く考慮に入れないケースでは、ERP導入の効果をしっかりと感じられない場合もあります。
ERPを導入することによって、業務フローが変わる点も多くあります。導入前に、ERPの運用も含めた業務フローをしっかりと検討しましょう。
現実的ではない目標の設定で失敗
ERPの導入によってすべての課題が解決できるとして、現状の課題をすべて無視した目標を立ててしまうことも失敗例の一つとしてよくあるケースです。もちろん、ERPの導入によって課題をすべて解決できることが理想ではありますが、はじめから理想通りにいくことは難しいでしょう。自社の状況を鑑みて、ある程度現実的な目標設定をすることが重要です。
明確な目標をたて、そこに向けて活動を続けることは非常に重要ですが、あまりにも高すぎる目標は達成への道筋が見えず、現場のモチベーション低下にもつながってしまいます。日々ERPの運用を続け、改善活動を繰り返すことによって理想的な運用に近づくという想定で目標を立てていくと、導入による業務改善も前に進みやすくなります。
導入形態の選定によるコスト面の圧迫
ERPの提供形態にはいくつか種類があり、自社の状況に合っていない形態で導入してしまうと、使い勝手が悪かったり想定以上のコストがかかるなどの失敗をしてしまう場合があります。
オンプレミス型は初期導入費用が高くつきますが、それ以降にかかるコストはメンテナンス費用程度で、その代わり社外からのアクセスは基本的にできないという特徴があります。一方クラウド型はどこでもアクセスでき、初期導入費用も比較的安価に抑えられるが、月額のランニングコストが発生したりカスタマイズ性に乏しいなどの特徴があり、どちらが適しているかは自社の活用シーンや規模、セキュリティなど様々な条件によって異なります。
事前に活用方法や自社の状況を整理しておき、最適な提供形態の製品を選ぶようにすることをおすすめします。
クラウドERPの種類
一口にクラウドERPといっても、サービス提供方式によって、いくつかの種類に分かれます。
プライベートクラウドERP
既存のオンプレミス型ERPを、AmazonAWSなどのようなデータセンターに移し使用する方法のことをプライベートクラウドERPと言います。ベンダーから提供されるデータセンター領域を使用するのではないので、自社でデータセンターの管理を行う必要があります。
パブリッククラウドERP
さきほどのプライベートクラウドと異なり、ベンダーのデータセンターに実装されているERPを利用する方式です。こちらはベンダーが管理しているので、メンテナンスも自社ではなく、ベンダーが行ってくれるという特徴があります。
ハイブリッドクラウド(2層)ERP
海外拠点などを設置する際に、現地の商慣習などに合わせたERPをすでに使用しているERPに乗せる形で使用する方法をハイブリッドクラウドERP(2層ERP)といいます。また、プライベートクラウドとパブリッククラウドを併用する形のこともハイブリッドクラウドと呼ばれます。
クラウドERPの製品について、以下の記事でも紹介しているため、参考にしてみてください。
ERP導入成功の秘訣は?3つの導入ポイント
成功事例と失敗例をご紹介したところで、ぜひとも導入を成功させたいとお考えの方も多くいらっしゃるでしょう。ここでは、ERPの導入を成功させるために押さえておきたい秘訣をご紹介します。
慎重に導入検討する
ERPの導入によって影響を受けるのは、企業の経営に関わる部門です。導入したあとの状況が当初の想定とあまりにも乖離していると、非常に大きな影響を受けてしまうこともあるでしょう。
現状とERP導入後でどのような業務フローの変化があるのか、その変化による影響範囲はどこまでかなど、導入後の状況を慎重に想定し、当初想定と近しい状態で運用開始できるように検討を進めましょう。
あらかじめ目標設定をしておく
明確な目標が無い状態でERPを導入しても、導入による効果を最大限に感じることは難しいでしょう。何を目的としてERPを導入するのか、それによって改善したいポイントは何か、そのうえでの目標はどのように設定するか、あらかじめ検討しておくことが重要です。
将来を見据えて拡張度の高いものを選ぶ
ERPはすぐにリプレイスできるほど簡単な製品ではありません。導入には大きなコストもかかります。事業の方向性や経営方針が急激に変化することもあるでしょうし、実際に運用を進めていく中で各事業部からさまざまな要望がでてくることもあるでしょう。そのような状況の変化に対応できるように、柔軟性のある製品を選ぶとよいでしょう。
自社に最適なERPの導入をしましょう
ERPの導入は、企業の競争力強化に大きなインパクトを与える可能性があります。押さえるべき製品の選定ポイントをしっかりと理解し、最適なERPを導入しましょう。
ITトレンドでは、ERP製品を比較しやすい一覧形式でご紹介しています。気になる方はぜひ御覧ください。