タレントの能力を評価する指標
タレントマネジメントにおいて、能力を評価する指標を見ていきましょう。
タレントマネジメントについて、基礎から知りたい方は以下も参考になります。
先天的な性格
先天的な性格は、生まれつき備わっている気質のことです。この性格によって、その人がどのような業務に向いているか変わります。たとえば、コミュニケーションが苦にならない性格なら営業、細かい作業に集中できる性格なら事務やIT関係などが向いているでしょう。
先天的な要素であるため、採用後の教育によって簡単に変わるものではありません。したがって、採用の段階からその人の性格を把握し、適材適所な配置を考えることが大切です。
一方、後天的に決まる価値観も重要な指標となります。これは幼少期の養育環境から影響を受けやすい特徴があります。この価値観も、先天的な性格ほどではないにせよ、容易には変わらない性質です。適性検査などを活用し、採用前によく情報収集しておくことが大切です。
コンピテンシー
コンピテンシーとは行動特性のことです。ある目的を果たす際、その人がどのような行動に出るのかを表す指標です。
たとえば、業務を行ううえで不明点があった場合で考えてみましょう。その際、すぐに周囲の人に質問する人もいれば、できる限り自力で解決しようとする人もいるでしょう。このように人によって異なる行動傾向がコンピテンシーです。
優れた業績を上げている従業員のコンピテンシーを分析し、それを社内で推奨するケースが増えています。上述の例でいえば、質問できる環境であれば、一人で考えるより誰かに聞いたほうが早く問題が解決するでしょう。
それを適切なコンピテンシーとして推奨することで、生産性向上が期待できます。
スキル・経験
タレントマネジメントにおけるスキルは以下の3つを指します。
- ■ヒューマンスキル
- 対人関係において必要となる能力
- ■テクニカルスキル
- 専門知識・技術など
- ■コンセプチュアルスキル
- 物事の本質を捉え、解決する能力
これらの能力に関するデータは、社内研修における報告書や採用時の情報から得られます。具体的には、保有する資格や業務に従事した年数などがスキルを示す指標となるでしょう。

タレント育成の目標管理項目
人材を自社の理想へと近づけるためには、適切な目標を設定しなければなりません。最適な目標は人それぞれなため、その人に合った目標を決めることが大切です。
その際に注意すべきなのが、目標を明確なものにすることです。目標が曖昧だと、社員は何をどのくらい努力すれば良いのか分からなくなり、モチベーションが上がりません。
可能な限り具体的な数値目標を設定することで、社員が納得して目標達成を目指せます。たとえば、営業職であれば売上達成率や新規獲得顧客数が目標となるでしょう。そのほかの業務でも、時間や数量、金額、距離、割合などを活用することで目標が明確なものになります。
後継者に相応しいか評価する指標
通常のタレントマネジメントとは別に、経営者は自身の後継者となる人材を見つけなければなりません。ほかの人材とは異なり、経営者には以下の能力が求められます。
- ■経営方針や経営戦略などを踏まえて、長期的な視点でビジネスを見据える
- ■特定の部門に特化した能力ではなく、横断的に自社のビジネスを俯瞰できる
上記の能力の有無を判断するうえで有効な指標は以下のとおりです。
- ■経営全般に関する知識・理解があるか
- ■実務経験は充分か
- ■責任が重いポジションの経験はあるか
- ■社内外における人脈は豊富か
- ■リーダーシップや忍耐力など、性格的な資質が経営者に相応しいか
ただし、どのような人材が経営者の後継者に相応しいかは一概に決められません。なぜなら、企業理念や描いているビジョンによって最適な人材は変わるためです。自社がどのような方針で経営を進めるのか明らかにし、それに則した人材を選ぶための指標を設定しましょう。
後継者育成や次世代リーダー育成については、以下の記事も参考になります。
タレントマネジメントの指標項目を理解して導入を検討しよう
タレントマネジメントにおける主な指標は以下のとおりです。
- ■先天的な性格
- ■コンピテンシー
- ■スキル・経験
上記のうち、コンピテンシーやスキルは教育によって育成できます。社員に合った目標を数値で具体的に定めて能力を伸ばしましょう。一方、経営者に相応しい人材を評価する指標はほかのケースとは異なります。より広範囲に渡る理解や人脈が必要です。
以上を踏まえ、最適な指標項目の設定を目指しましょう。
