週30時間未満勤務、週4日以下あるいは年間所定労働日数が216日以下のパートやアルバイトでも有給付与を取得できます。週の労働時間や日数が短い場合、労働日数に応じた有給休暇の付与を、比例付与といいます。以下の一覧をもとに、付与日数を算出しましょう。
【週所定労働日数】 |
【年間所定労働日数】 |
【勤続年数】 |
|
|
0.5 |
1.5 |
2.5 |
3.5 |
4.5 |
5.5 |
6.5以上 |
4 |
169~216 |
7 |
8 |
9 |
10 |
12 |
13 |
15 |
3 |
121~168 |
5 |
6 |
6 |
8 |
9 |
10 |
11 |
2 |
73~120 |
3 |
4 |
4 |
5 |
6 |
6 |
7 |
1 |
48~72 |
1 |
2 |
2 |
2 |
3 |
3 |
3 |
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有給休暇付与日数の注意点
ここでは、有給日数を計算する際の注意点について紹介します。
勤務時間の切り捨ては不可
基本的に、有給日数計算の基準日は、労働者の採用日から6か月が経過した日とされます。勤続年数による有給日数の変動が「0.5+N年」ごとに生じるため、好都合といえるでしょう。
しかし、労働者ごとに基準日がばらばらになるため、社内で統一した日を設定する企業も珍しくありません。その際、勤続時間の切り捨ては認められない点に注意が必要です。
例えば、6月1日に入社した労働者は通常なら同年12月1日が基準日です。しかし、基準日を翌年から4月1日に変更したいとしましょう。本来であれば、翌年の12月1日まで働いて勤続年数が1.5年になります。入社年度の12月1日~翌3月31日までの勤務が切り捨てとならないように、4月1日時点で1.5年働いたことにします。この場合は、4月1日に11日分(勤続年数1.5年分)の有給休暇を付与しなければなりません。
有効期間は2年
付与された有給休暇のうち、使われなかった分は翌年に持ち越せます。ただし、労働基準法第115条にて有給休暇の有効期間は2年までと定められている点に注意しましょう。この期間を超えてしまうと、労働者は有給休暇の申請権利を失います。
例えば、勤続年数0.5年の時点で10日分の有給休暇が付与された場合で考えましょう。そして、翌年に勤続年数1.5年を達成した段階で、まだ5日分の有給休暇が残っているとします。このとき、1.5年目として新たに付与される11日分を加え、合計16日が保持されます。
しかし、2.5年目を迎えた時点で0.5年目分の5日分が残っていても、持ち越されません。1.5年目の11日分と、2.5年目の12日分を合わせた合計23日分しか保持されません。
参考:労働基準法
年次有給休暇管理簿
2019年4月に施行された働き方改革関連法により、年間10日以上の有給休暇が付与される従業員は、年5日の休暇取得が義務づけられました。基準日から1年以内に5日間の休暇の所得ができない場合、労働基準監督署の指導もしくは罰則対象となります。
また法改正に伴い、従業員がいつ有給休暇を取得したかを記録した「年次有給休暇管理簿」を作成して3年間保存しなければなりません。年次有給休暇管理簿には、以下の3点を必ず記載します。
- ■有給休暇を取得した日付
- ■1年間で有給休暇を取得した日数
- ■有給休暇を付与する基準日
保存方法は、電子データでも紙媒体でもどちらでも構いません。
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有給休暇申請のルール
実際に、従業員が有給休暇を申請する場合、どのような決まりに則る必要があるのでしょうか。
有給休暇取得の理由は不要
有給休暇取得の際に、休暇理由を申告させている企業もあるかもしれません。しかし有給休暇は、労働者の権利のため休暇理由を伝える義務はありません。理由の確認事態は、違法ではありませんが、従業員が申請をためらうおそれもあるため注意しましょう。
さらに、休暇の理由により取得の拒否や欠勤扱いなど、従業員に不利益になる扱いをしてはならないと定めています。原則、従業員が希望する日付に有給休暇を取得させましょう。
時季変更権がある
従業員が希望する日付に有給休暇を取得させるのが厳しい場合は、時季変更権を行使して日付を変更できます。有給休暇の取得をさせるのが厳しいケースとは、当日の有給休暇の申請や代替人員の確保が困難など、事業の運営上支障をきたす場合です。
なお、企業側が時季変更権の行使する判断に迷う場合は、従業員に有給休暇の取得理由を確認しても構いません。その際に確認できる有給休暇取得理由は、緊急性や重要度の高さのみです。
有給休暇の付与日数を効率よく計算する方法
有給日数の計算結果は、勤続年数や週の所定労働時間によって変動します。従業員一人ひとりの情報を適切に管理・計算するのは困難です。ここでは、効率よく有給休暇付与日数の計算や管理する方法を紹介します。
エクセルを利用する
エクセル関数を用いて年次有給休暇取得計画表を作成します。使い慣れた方も多いソフトで、導入コストもかかりません。しかし数値は手入力となるため、時間と手間がかかるでしょう。また、人的ミスの可能性もゼロではないため二重チェックの必要があります。
勤怠管理システムを導入する
勤怠管理システムでは、労働者の勤続年数や有給休暇の付与日数などを管理できます。採用日をはじめとした基本的な情報を入力すると、システムが計算をするため、管理者の負担はほとんどありません。
さらに勤怠管理システムの機能は、有給日数計算だけにとどまりません。休暇申請や出退勤記録、残業時間の管理など、勤怠管理業務を幅広く支援します。
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有給休暇付与日数の正しい計算をして適切に管理をしよう
有給休暇の付与日数を求めるには、まず出勤率を計算しましょう。出勤率が80%以上で、採用日から6か月間継続的に勤務している従業員は有給休暇の付与対象です。週所定労働時間と継続勤務年数に応じて、付与日数が異なるので一覧表で確認してください。
また、法改正による年間5日の有給休暇の取得や、年次有給休暇管理簿の保存も正しく行いましょう。こうした煩雑な計算や管理は、勤怠管理システムで効率化できます。システムの導入も視野に入れ、適切な計算・管理を行いましょう。