運送業における勤怠管理の課題
一般的な会社員であれば、事務所に設置されているタイムカードで出勤と退勤時に打刻して勤怠管理を行います。しかし、働いている時間が不規則な運送業などの業種では、正確な勤怠管理が難しいという課題を抱えています。
ここからは運送業における勤怠管理の課題について解説します。
責任者がいない時間帯の不正打刻
運送業の場合、深夜や早朝に出勤する場合が多く、管理者がいない時間帯に勤務することがあります。管理者が事務所にいなければ、他の人に打刻を頼んだり、実際よりも早い時間に打刻したりできてしまいます。
仮に1時間早く打刻をすれば、8回繰り返すだけで1日分の勤務時間に値します。このような不正打刻が続くと、働いていないのに給料を支払うことになるのです。不正打刻を予防する仕組みがない職場では、従業員のモラルが低下するだけでなく無駄な人件費が発生してしまいます。
ドライバーの正確な勤務時間が不明
通常の打刻による勤怠管理は、出勤時や退勤時、休憩時間の前後にも打刻をします。運送業の場合、ドライバーは常に外出しているため休憩時間の打刻ができません。
短距離輸送であれば当日中に帰ってくることができるため、比較的勤務時間の管理も単純です。しかし、長距離輸送の場合だと出発した当日中に帰ってくることが難しく、勤怠管理が複雑になります。
企業ごとに管理する方法は異なりますが、自己申告による勤怠管理を行うケースが大半であり、実際に働いた時間を把握しにくいといった課題があります。
勤怠集計や給与計算のミス
運送業の企業は、ドライバー以外にも荷物の仕分けスタッフや事務スタッフなど、業種や雇用形態が多種多様です。勤怠管理の方法が変わるため、業務の負担は大きいでしょう。複数パターンある勤務時間の管理を手作業で行うとミスが発生しやすく、給与計算の結果を間違う可能性もあります。
勤怠管理や給与計算を正確に行えなければ、従業員の不満が溜まり、離職の原因になりかねません。それを阻止するため、自社に合った勤怠管理の方法を見つけることが求められます。
運送業における勤怠管理システムの導入効果
働き方改革関連法の施行に伴い、残業の制限や有給休暇の取得など、これまでよりも厳格な勤怠管理が求められるようになりました。特に運送業は勤怠管理の課題が多いので、システム化によって適正な勤怠管理を行うと良いでしょう。
ここからは勤怠管理システムの導入によって解決できることを説明していきます。
GPS機能や生体認証機能による不正打刻の防止
勤怠管理システムの専用端末にはGPS機能があり、打刻を行った「場所」の把握が可能です。事務所に出勤しない場合でも出勤時間にどこにいるかがわかり、出勤していないのに打刻することを防げます。
また、静脈認証や指紋認証などによる生体認証機能により、本人確認を行えます。この「場所」と「本人確認」ができる2つの機能によって不正打刻を防ぐことが可能です。
スマホ連携により遠距離からの打刻が可能
スマートフォンやタブレットと連携し、どこからでも打刻できるようにした勤怠管理システムもあります。スマートデバイスの位置情報サービスと連携して、打刻した場所を把握することも可能なので、事務所に出勤しないドライバーも正確な出退勤の時間を申告できます。
勤怠集計や給与計算の自動化により業務を効率化
勤怠管理システムは全従業員の勤怠データを自動で集計します。さらに、給与計算システムと連携できる場合が多く、給与計算も自動化できます。人の手でデータを転記しないのでミスを防止し、勤怠管理・給与計算の担当者の業務負担を減らすことが可能です。
システムアップデートにより法改正等に対応
給与計算や勤怠管理は法改正の影響を受けやすいです。例えば、最低時給や税率は法改正によって変わる可能性があるので、その都度対応しなければなりません。
エクセルを使って勤怠管理することも可能ですが、関数を変更するなど手間がかかります。しかし、勤怠管理システムなら、アップデートするだけで法改正などの規則変更に対応できます。
統計データの活用により経営判断を迅速化
勤怠管理システムでは勤務時間ベースのデータを集計し、統計データを分析できます。人員の過不足を発見し、勤怠状況を客観的に把握できるため、自社の労働環境の課題を発見しやすいです。特に運送業であれば時間外労働が多い部分を見つけることによって、運送ルートを見直せるなど企業全体の業務を効率化できるでしょう。
【導入事例】運送業における勤怠管理システムの活用
勤怠管理システムを導入する前に、実際の導入効果を知っておきましょう。ここでは、導入に成功した事例を2つ紹介します。
勤務状況が把握できるようになった事例
長距離用トラックを37台保有している大手運送会社では、携帯端末とQRコードを使うことで、トラックの位置情報と勤務状況を把握できる仕組みを作りました。携帯端末にインストールされているアプリでドライバーのネームプレートにあるQRコードを読み込むと打刻できます。
この仕組みはシンプルで簡単なので、ドライバーに負担をかけることなく導入できました。データはそのままサーバにアップされるため、本社でも勤務状況の把握が可能です。
給与計算業務を効率化できた事例
紙ベースで勤怠管理していた運送会社では、勤怠情報をシステム化することで給与計算業務を効率化できました。従業員の人数に比例して勤怠管理・給与計算業務の負担が大きくなります。この企業は従業員が420名ほどいるため、給与計算業務に膨大な時間がかかっていました。
そこで給与計算システムと連携できる勤怠管理システムを導入することで、給与計算業務を2日間も短縮できたのです。
【運送業向け】勤怠管理システムの選び方
実際に導入する際、どんな勤怠管理システムを選べばいいかわからないという人も多いのではないでしょうか。
ここでは、運送業向けの勤怠管理システムの選び方を紹介していきます。
モバイル端末に対応しているか
運送業は24時間勤怠の対応が必要になる場合が多いので、モバイル端末に対応しているかどうかは導入前に必ず確認しておきましょう。管理者・従業員両者ともにモバイル端末に対応していれば、PCがなくても業務が完結します。
GPSで位置情報を把握できるか
運送業は全国規模での移動が多いため勤怠管理が非常に難しいです。特に長距離運送の場合は、自己申告やタイムカードでは従業員の正確な勤怠管理が難しくなります。
勤怠管理システムのGPS機能を使えば、従業員が今どこにいるのかリアルタイムで追跡できるため、目的地への出発・到着だけでなく休憩の管理もできます。
【運送業向け】おすすめ勤怠管理システム比較
では運送業で活用しやすいおすすめのシステムを紹介します。
ジョブカン勤怠管理 の比較ポイント
- 働き方改革関連法案にも対応!
- 勤怠管理・シフト管理共に業界トップクラスの機能をご用意!
- 導入実績60,000社以上! あらゆる業界、企業規模に対応可能!
参考価格 |
スマホ対応 |
GPS機能 |
月200~500円/1ユーザー 初期費用0円 |
◯ |
◯ |
「勤怠管理システム ジョブカン」は株式会社Donutsが提供するクラウド型勤怠管理システムです。50,000社以上で導入された実績があり、あらゆる業種に対応しています。深夜労働時間の管理や拠点間移動を含んだ打刻も可能で、スマホを使いGPS打刻ができるので運送業でも役立つでしょう。30日間の無料トライアルや無料プランが用意されているので、まずはお試しください。
バイバイ タイムカード の比較ポイント
- 選択自由!iPad、スマホ、パソコン等多種多様なタイムレコーダー
- 実現します!柔軟なカスタマイズで独自ルールやニーズへも対応
- 失敗しません!専任コンサルタントによる調査・設定導入・運用
参考価格 |
スマホ対応 |
GPS機能 |
別途お問い合わせ |
◯ |
◯ |
株式会社ネオレックスが提供する「バイバイ タイムカード」は、スマホやiPadにも対応した大規模企業向けの勤怠管理システムです。GPS打刻が可能で、勤怠データの集計機能は自由にカスタマイズし、独自のルールに合わせて運用できるでしょう。また、平均レスポンスタイムが0.02秒と動作がスピーディーなのも忙しい従業員には嬉しいポイントです。導入から運用までのサポートが手厚く、丁寧な対応をしてくれます。
jinjer(ジンジャー)勤怠 の比較ポイント
- 300円/1名で業界TOPの多様な機能と運用までの充実サポートを実現
- 「働き方改革関連法案」やあらゆる就業規則や勤務形態に対応
- 業界初の管理者画面のスマートフォンとタブレット完全対応
参考価格 |
スマホ対応 |
GPS機能 |
月300円/1ユーザー 初期費用100,000円~ |
◯ |
◯ |
「jinjer(ジンジャー)勤怠」は株式会社ネオキャリアが提供する勤怠管理システムです。最大の特徴は、管理者画面もスマートフォンやタブレットに対応している点です。これは業界初の機能であり、スマートフォンがあれば業務が完結します。GPS打刻やスマートフォンアプリにも対応しており、シンプルなUIで誰でも簡単に使えるでしょう。
MINAGINE就業管理 の比較ポイント
- 導入前、導入後のサポート体制が手厚い
- 社労士も複数在籍しており、コンプライアンスに強い
- 法改正に対応、36協定におけるアラート機能も実装予定
参考価格 |
スマホ対応 |
GPS機能 |
別途お問い合わせ |
◯ |
◯ |
株式会社ミナジンが提供する「MINAGINE就業管理」は、人事労務のプロ集団が開発した勤怠管理システムです。社労士が複数在籍しており、働き方改革関連法にも対応しているので安心して導入できるでしょう。iPhoneとAndroidに対応したスマホアプリでGPS打刻が可能で、打刻の上書きができないようにするなど不正を防ぐための配慮がされています。
参考価格 |
スマホ対応 |
GPS機能 |
月額300円/1ユーザー 初期費用1,200円/1ユーザー |
◯ |
◯ |
株式会社エイ・アイ・エスが提供する「ちゃっかり勤太くん」は、サーモグラフィーカメラと連携しているクラウド型勤怠管理システムです。新型コロナウイルス感染症の拡大防止策として、AI顔認証と体表面温度の測定を行えます。独自の就業ルールに応じてカスタマイズも可能で、スマホでGPS打刻もできます。
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最適な勤怠管理システムを導入して課題を解決しよう
運送業は勤務時間や勤務場所が変則的であるため、勤怠管理には工夫が必要です。適切な管理体制がなければ、従業員の不満が溜まったり、不正打刻が増えたりします。労働環境を整えるためにも、最適な勤怠管理システムを導入し、業務を改善しましょう。