ゲスト紹介
株式会社ユニリタ
グループ業務本部 副本部長 兼 法務部 部長
滝口 賢勝 氏
管理部門全体の問題解決に取り組みつつ、法務部長として法務部のマネジメント業務にも従事する。また、ユニリタグループ全体に対する管理部門業務の企画調整役でもある。「仕事は楽しく、丁寧に、迅速に」がモットーで、仕事における組織・個人の理想的なあり方、パフォーマンスを追求しつつ、ワークライフバランスも大切にしている。
はじめに
ーー滝口さんの現在の業務やミッションなどお聞かせください。
現在、弊社のグループ業務本部 副本部長と法務部長、株式会社ユニリタプラスというグループ会社の監査役を務めています。社内組織横断型の「働き方変革プロジェクト」のリーダーも務めていますが、元々、同プロジェクトにおいては2019年4月から、東京オリンピックを見据えたリモートワークの導入などを推進する役割でした。その流れでコロナ禍以降、リモートワーク導入などを先導しました。
働き方変革プロジェクトにて、リモートワーク、サテライトオフィス、副業解禁、在宅勤務の手当て、といった制度は一通り揃ったと感じています。今は、それらの制度の活用と業務の効率化との調整を行って、働きやすさと仕事の成果の両方のバランスを図っていく活動を進めたいと考えているところです。
ユニリタ法務部門のコロナ奮闘記
https://www.unirita.co.jp/covid-19/legal-column-1.html
滝口さんが紹介する3つのITツールはこちら
Slack
Slackは、2022年4月から管理部門で使用しており、非常に使いやすいと感じています。それまでは、Google Chatを主に使っていました。Google Driveなども活用しているので、Googleで揃えられるといいかなと思っていたのですが、一部の社員や役員に薦められてSlackを使ってみたのがきっかけです。
具体的には、スレッドの表示機能がとてもいいですね。以前のチャットだと話題がばらばらになってしまって不便だったのが、非常に見やすくなりました。あとは、検索機能もわかりやすいですね。「何だったかな」という話題も、Slack内でキーワードで検索すればすぐに見つけられます。
Slackはメールよりも気軽に使えますが、まだまだ社内での活用にはマインドチェンジも必要かなと思っています。例えば誰かがSlackで発信したときは、スタンプやメッセージで反応することが大切だと思います。例えば、オフィスで机を並べて仕事をしているときに、近くで誰かが話しかけたり、発言しているのに、無視したりはしないですよね。それと同じだと思います。
「義務」と言うと重すぎますが、業務で使う上では個人のLINEなどとは違って「気が向いたら返信する」のではなく、きちんと何かしらの反応をするような向き合い方にしていくのが、リモートワークでは必要不可欠だと思います。どんどん情報発信をしたり、反応したりするように、個人単位やマネージャー、管理職に啓蒙しています。
ーーテキストのコミュニケーションで気をつけていることはありますか?
文章だとどうしても言い方が強く受け取られやすいことがあると思うので、文末をなるべく柔らかくなるように工夫するようにしています。「〇〇できますか?」よりも、「〇〇していただけると助かります」のような言い換えですね。絵文字も雰囲気が和らぎ、感情が表現しやすいので、積極的に使うようにしています。
- Q.どんなときに使っているか
- 社内間での非公式な連絡のとき(フランクかつ迅速なコミュニケーションが求められる場面)
- Q.気に入っている機能
- スレッド表示機能とブックマーク機能
- Q.このツールがおすすめの企業
- リモートワークを導入していて、生産性向上のためにはリアル出社同様にフランクなコミュニケーションが欠かせないと考えている企業
クラウドサイン
クラウドサインは、2019年の9月から導入しています。最初は当社グループ会社間での取引から利用を始めて、今ではお客様を含めて契約全体の7割弱を電子契約にしています。
前々から、ハンコを押すためだけに出社が必要なことは改善したいと思っていました。台風などの災害が発生した場合、対応ができなくなってしまいますから。しかし、以前は電子契約システムというと、電子証明書の取得と取引先様も同じシステムを必要とすることが大きなネックでした。しかし、クラウドサインはそれらが不要なことで、ハードルがぐっと下がり導入に至りました。
導入当時は、まだ電子契約がそこまで浸透していないタイミングだったので、お取引様にご理解いただけるような知名度や信頼性のあるサービスを最優先に考えたのが、クラウドサインの選定の決め手です。
結果として、紙書類や押印が不要になったことでコストも手間も省けてとてもよかったです。現在は3割ほどの紙の契約書が残っているため、ハンコを押す手続きのために法務部の社員は持ち回りで基本的に週に1回程度は出社していますが、それ以外の日は概ねリモートワークができています。さらに、収入印紙代がかからなくなったことも非常に大きなメリットです。年間の収入印紙代を計算してみると結構大きな金額になるんですよね。
ーー取引先への電子契約のお願いはハードルが高いこともあるかと思いますが、反応はいかがですか?
最近では、むしろ大手の企業様は電子契約システムの方が主流になっているように思います。まだ導入されていない企業様の場合、当社の法務部で作った「電子契約のメリット」をまとめたレターをお渡ししてお願いするようにしています。使ってみるととても楽なので、まずは一度使ってみていただきたいですね。
- Q.どんなときに使っているか
- 企業間の契約締結手続きはもちろんのこと、取締役会議事録、社内での各種誓約書取得の手続き等にも使用しています。
- Q.気に入っている機能
- 分かりやすいインターフェース。クラウドサイン上で先方にメールの送付も可能で、非常に簡単に使えます。
- Q.このツールがおすすめの企業
- 押印のための出社がリモートワークの障害になっている企業や紙の契約書が多い企業です。収入印紙も不要になるので、取引金額が大きな企業にもおすすめです。
《クラウドサイン》のPOINT
- 累計契約送信件数1000万件超! 導入実績250万社以上※
- 弁護士監修。日本の法律に関する知見を活かした開発・サポート
- 電子帳簿保存法の要件を満たしたデータ保存が可能
bindit(バインドイット)
binditは、自社製品だから下駄を履かせて紹介したいというような意図は特段なくて、本当に便利で生産性の向上に大きな可能性を感じるツールなので紹介したいと思います。iPaaSツールと呼ばれるツールで、クラウドサービス間での作業フローを簡単に自動化できるツールです。
法務部門では、2つの作業で使っています。1つ目は、営業部からの電子契約書の作成依頼に関する管理作業です。営業部からメールで締結の依頼が届き、内容をクラウドサインに転記する必要があったのですが、binditで自動化しました。
具体的には、Googleフォームで作った申請フォームに申請者が入力するだけで、入力データがGoogleスプレッドシートに集約されて、クラウドサインの下書きに自動で入力されます。この転記の作業を手動で行うと1件5分くらいかかります。現状、月に120件の契約があるのでこれだけで10時間の削減につながっています。
↑電子契約依頼フォームの詳細画面
2つ目は、法務部への相談の受付です。以前は主に事業部の社員からフリー形式のメールで相談をもらっていましたが、こちらも受付方法を入力項目を定型化したGoogleフォームに置き換え、Googleスプレッドシートに自動収集し、収集された内容がメールで法務部に届くようになっています。スプレッドシートはそのまま相談受付表として使用できるので煩雑な管理がなくなりました。また、自動で届くメールの題名やラベルなど任意に指定できるため対応の抜け漏れも無くなっています。
法務部門以外にも、危機管理委員会にて、新型コロナ陽性者や濃厚接触者の発生時に、関係者間での素早い情報共有に使ったりもしています。非常に助かっていますね。
リモートワークがこれだけ定着してコモディティ化してくると、次に考えるのはリモートワークならではの生産性向上への取り組みですよね。いろいろなツールがクラウドになってきているからこそ、それらを活用して生産性を上げていかないといけない。そこに注目してみると、クラウドツール間において手作業でのデータ転記などの無駄な作業が発生していると思うんです。今、私たちは3つの業務フローで使っているんですが、まだまだ気づかないところで使えるシーンがあると思います。Slackとも連携ができますし、今後もさらに機能が増えていきますので、活用の可能性がより広がると思います。
ーーどんな部門から導入するのがおすすめですか?
どんな部門でも活用できる場面はいろいろあると思いますが、私のような管理部門では、データ転記が必要となる業務が多くあるため、生産性向上に特におすすめです。クラウド上で、「レシピ」と呼ばれる作業フローの設定を行い、入力や出力の宛先のメールアドレスを設定したりするだけなので、エンジニアでなくても簡単にできますよ。
↑具体的なレシピの内容が記載されている画面
- Q.どんなときに使っているか
- 法務部への依頼の受付・管理、クラウドサインとの連携、危機管理としてのコロナ陽性者や濃厚接触者の情報共有
- Q.気に入っている機能
- 管理者が設定しやすいことと、直感的に作業フローが作成できること
- Q.このツールがおすすめの企業
- クラウド上に別々のシステムが数多くある企業です。大きなERPパッケージで一つのシステムに統合することも良いとは思いますが、複数システムを組み合わせて使いたいというニーズの方も多いと思います。また、Googleスプレッドシートとの相性が良いので、Googleスプレッドシートを多用している企業様にもおすすめです。
binditの公式ページはこちら
https://www.bindit.jp/
編集後記
滝口さんの、ハード面だけでなくソフト面も忘れずにツール運用環境や運用ルールの整備をしていくお話はとても参考になりました。あらためて「働きやすさ」の環境作りについて、社内のバックオフィス部門の支援や役割ってとても大きいなと感じます。
最後にご紹介いただいたbinditは、操作画面を拝見して想像以上に直感的に使えそうなUIに驚きました。6月にリリースされたばかりのベータ版だそうで、今後の進化も目が離せません。クラウドサービスを利用していて、データの転記などの無駄な手間が発生している企業の方は、ぜひ詳細のお問い合わせがおすすめです。
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