ゲストプロフィール
メディフォン株式会社
代表取締役CEO 澤田真弓 氏
2005年東京外国語大学 外国語学部欧米第一課程英語専攻卒。北京大学漢語進修プログラム修了後、2008年インペリアルカレッジロンドン大学院にて経営学修士号取得。帰国後、グーグル株式会社を経て、メディフォン株式会社を創業。
澤田さんが紹介する3つのツールはこちら
はじめに
ーー御社の事業について教えてください。
医療現場に外国人の患者さんが来られた際に、いつでもつないでいただけるような遠隔の医療通訳サービスを2014年から提供しています。現在では保健所や自治体、大学、企業などでもご利用いただけるようになりましたね。訪日・在留外国人を大幅に増やしていくという政府の方針がある中で、医療現場においては多言語対応も含めた外国人患者受け入れの体制整備の必要性が高まっています。そうした動きとともに弊社のサービスも拡大してきました。
また現在は、クラウド健康管理システムmedimentという新たなサービスも展開しています。きっかけになったのは、コロナ禍に入ってから、いくつかの企業に「産業医の面談に通訳として入ってもらえないか」というご依頼をいただいたことでした。企業における予防医療の現場を見ると、日本語を話さない従業員のために健康管理の多言語化に対応している企業は非常に少ないことが分かりました。同時に、産業医との顧問契約や健診結果の管理など、業務が煩雑で多岐にわたることも知りました。それらが紙で行われていることが多いことも。
弊社として、予防医療の現場での多言語化の必要性を感じていたところでしたので、企業の健康管理における多言語化と業務効率化を実現するプロダクトを開発しよう、と。そこからmedimentが誕生しました。
ーー澤田さんのミッションについて教えてください。
私の一番のミッションは、弊社のビジョンを描き、実現していくことですね。社会に対してどのようなアプローチで貢献するのかを具体的に示して、事業やプロダクト、組織に落とし込んでいく。そうした作業に責任をもって取り組まなければいけないと思っています。
「多様な社会のための医療インフラを構築する」というミッションを掲げておりますので、「実現するには何が必要なんだろう?」「これからの社会にはどのようなことが課題として浮き彫りになってくるのだろう?」ということを常に考えています。
バクラク
バクラクは、煩雑な経理業務を効率化してくれるツールです。弊社では、経費の申請や精算にあたって全従業員が使っています。以前はExcelのフォームに記入して提出していた経費申請の月次の作業が全て、バクラク内でできるようになりました。経理を管轄しているコーポレート本部の負担が非常に軽減されましたね。
それに加えて、出張の事前申請、経費の事前申請に関しても決済プロセスを明確化できました。以前は、上長との個別のやり取りだけで出張の承認を得るというやり方でしたが、バクラク上で申請できるようになり、証票も残せるような仕組みをスムーズに整備することができ、内部統制面にも効果的です。
バクラクは5つのサービスに分かれているのですが、弊社で利用しているのは「バクラク経費精算」だけです。1年間ほど使ってみたところ非常に便利だと感じているので、活用範囲については今後広げていくことを検討中です。
――バクラクを使い始めたきっかけは?
弊社は営業組織が大きいため、月次で発生する経費が多く、経理チームに確認の負担がかかっていました。また、出張する側にも申請作業で負担が生じていました。人数が増えるにしたがって、そうした負担が限界に到達しつつあったことが直接的なきっかけです。
ほかのツールもいくつか比較検討しましたが、弊社としては、最初からたくさんの機能を求めていたわけではありませんでした。また、新たなツールの導入に際しては、一気にやるより少しずつ取り入れていったほうが現場の負担も少なくて済みます。
バクラクは必要に応じて一部のサービスを提供していただけるので、そのシンプルさ、操作性のよさに魅力を感じて選ばせていただきました。
- Q.どんなときに使っているか
- 経費の申請や精算、また出張の事前申請や承認などに使っています。
- Q.気に入っている機能
- 領収書などの書面の写真をアップロードすれば自動的に精算金額を出してくれるOCR機能が気に入っています。
- Q.おすすめの企業
- おすすめの企業弊社のような中小企業、スタートアップにおすすめです。従業員の負担を軽減することで、少人数での経理業務を実現できます。また、BtoBの営業活動を積極的に行っている組織も、出張などに伴う経理業務を効率化できると思います。
《バクラク経費精算》のPOINT
- AI-OCRが領収書を数秒でデータ化!
- アラート機能でミスや差し戻しを削減できる!
- シンプルな操作画面なので従業員もミスなく使える!
SmartHR
SmartHRは、人事労務の業務効率化や人事データの一元管理、それを活用した組織改善ができるツールです。弊社では2021年から使い始めました。入社手続きや給与明細の発行などの業務が簡易化でき、効率の向上につながっています。
――導入前はどのような状況だったのでしょうか。
例えば給与明細については、1件ずつ送る作業をしていました。紙に出力していた時代もありましたし、リモートワークが広まってからはパスワードをかけたPDFファイルにしてメールで送るようになりました。絶対に間違ってはいけない作業ですので、ダブルチェック体制を敷いて取り組んでいました。従業員数が増えるに伴い、作業負担も大きなものになっていたのです。
SmartHRでは給与明細の電子交付ができるので、従業員へタイムリーかつ安全に給与明細を公布することが可能になり、担当者の給与明細配布にかかる作業負担はなくなりましたね。
従業員情報についても、ワードやExcelファイル、口頭やメールなどで収集し人事労務担当者が管理用のExcelファイルへ転記し管理しており、従業員も引越や結婚などの異動情報を誰にどのように伝えればよいかわからず、情報を適切なタイミングで収集できないなどの問題も発生していました。SmartHR導入後は、各種異動情報をSmartHRで全て収集できるため、情報の収集に関する工数や安全性、網羅性は各段に向上いたしました。
――導入のきっかけは何だったのでしょうか。
コーポレート本部の人事労務担当として入社してきた社員が、前職でSmartHRを使っていたんです。給与明細を個別に送っている状況を見るなり「これはあり得ないです」と。すぐにSmartHRの導入を提案してくれました。
本来であれば比較検討をする必要があるなど、新たなツールの導入にはそれなりの労力がかかるものですが、その社員がリーダーシップをとってくれましたので、非常にスピーディーに導入することができました。
――実際の使い心地はいかがでしたか?
従業員の個人情報を収集し安全に管理するのは、なかなか手間がかかります。一部の人だけにアクセス権限を付与するなど、クラウドフォルダごとの設定が複雑になりがちです。特に人数が増えてからは大変でしたが、SmartHRのおかげでそうした情報管理は安全かつ楽にできるようになったと感じています。
全従業員に入社時に必要な情報を網羅的に登録してもらいさえすれば、あとは安全に管理ができますので、非常に便利ですね。操作性にも優れていて従業員から画面操作に関する問合せもほとんどなく、入社後の異動情報の収集などもストレスなく行えています。
- Q.どんなときに使っているか
- 従業員に入社した際に個人情報を登録してもらい、登録された情報を管理更新していくという使い方です。また、給与明細や源泉徴収票の確認や電子交付にも使用しています。
- Q.気に入っている機能
- 年末調整にも使える点が気に入っています。以前はコーポレート本部がいろいろな書類をかき集める必要がありましたが、準備する書類の数や従業員による記入の手間などが大幅に減り、非常に楽になりました。
- 給与明細や源泉徴収票も、従業員本人が、在職中も退職後も自身で明細の履歴をSmartHR上で確認することが出来るようになったため、給与明細や源泉徴収票の再発行の依頼がなくなりました。
- Q.おすすめの企業
- 急成長して、どんどん人数が増えているようなスタートアップ企業におすすめです。毎月のように新しい人が入ってくると入社手続きだけで非常に大変ですが、その負担を軽減できると思います。
《SmartHR》のPOINT
- 雇用契約や入社手続きがペーパレスで完結できます。
- 従業員情報が社員名簿に集約され、自動で更新します。
- 外部サービスとの連携も充実!あなたの会社にあった活用方法。
mediment
mediment(メディメント)は弊社が開発したクラウド健康管理システムで、健康診断やストレスチェックのデータの管理・分析ができるツールです。これまで紙で管理していたものをデジタル化し、業務負担を減らすことで、効率化に貢献できます。
また、デジタル化によって、紙で管理していたときには難しかったような分析も容易にできるようになります。例えば、健康リスクがある方を初期の段階で見つけ出し、早期に対策を実行することも可能になります。弊社には、産業保健師や産業看護師で構成される医療者チームがあり、具体的な打ち手の提案や実行まで行えるのが強みです。
できるだけ多くの従業員が健康で、長く活躍すること、またそれによって休職者や離職者を可能な限り減らすことを企業の労務担当者は願っておられますので、そうした部分に対してご支援できればと考えています。
――medimentを導入した企業からは、どのような声が届いていますか?
ある企業様では、健康診断の結果をデータ化し、分析したところ、特定の事業所に在籍する従業員の聴力が、ほかの事業所の従業員に比べて低いことが判明しました。その事業所の作業環境に問題があるのだろうという課題が浮き彫りになり、作業環境の改善につながりました。
データを可視化することで従業員を健康にすることができた、良い事例ではないかと考えています。
――メディフォン自社内でも利用されているのでしょうか。
はい。例えばコロナ禍においては、ワクチン接種管理機能を活用していましたね。どれくらいの人がワクチンを接種しているのか、一斉にアンケートを行ってみたり。弊社は医療関連に近い業務内容なので、社員はみんなワクチンの接種を希望しているのかなと考えていましたが、一部にはワクチン接種に不安を感じている人もいることが分かりました。
やはり、データを可視化することで改めて発見があるので、medimentの利用価値もそうしたところにあります。分析機能については、さらに高度なものを開発中で、もっともっと健康リスクに対して具体的なアラートを出せればと思っています。
- Q.どんなときに使っているか
- 健康診断やストレスチェックの結果をデータ化するときや、分析するときに使っています。
- Q.気に入っている機能
- 社内で「パラパラ健診機能」と呼んでいる、産業医の先生向けの就業判定サポート機能が気に入っていますね。「紙をパラパラめくりながら健診結果を見たい」という先生たちのご意見を受けて、弊社のUI/UXチームが努力して開発しました。紙を手でパラパラめくるような感覚で、画面上でさまざまなデータを確認できるUXです。
- Q.おすすめの企業
- 規模問わず、従業員の健康情報をまだ紙で管理している企業さまには、ぜひデジタル化のお手伝いをさせていただきたいと考えています。
- また、大企業であればあるほど膨大なデータの中から健康リスクのある方を抽出するなど、分析の効果や意義も大きくなります。現在開発中の高度なデータ分析機能もあるのでぜひご利用いただきたいです。
《mediment》のPOINT
- 健診・ストレスチェックなど従業員の健康情報をデータ化
- 受診勧奨や産業医連携もシステム内で一元管理が可能
- データ分析で課題を自動抽出し、健康リスクを未然に防止
編集後記
急成長中の企業を率いているからこそ、それに伴う人事労務部門の大変さをよくご理解されている澤田さん。お話しいただいたエピソードを通して、ITツールによる効率化の実感がとてもよく伝わってきました。
また、医療通訳サービスから健康管理システムへと新たに踏み出したメディフォンのこれからも非常に楽しみです。
澤田さん、お忙しいなか取材にご協力いただき、ありがとうございました!
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