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【2026年1月施行】下請法が「取適法」に改正!手形払い禁止など5つの重要変更点と企業の対応策

【2026年1月施行】下請法が「取適法」に改正!手形払い禁止など5つの重要変更点と企業の対応策

2026年1月1日より、従来の下請法は「中小受託取引適正化法(通称:取適法)」として施行されました。適用対象の拡大や罰則の見直しなど、企業が押さえておくべき重要な変更点が含まれています。

この記事では、改正の背景や主な変更点、企業に求められる対応策を解説します。自社の取引が新法に適合しているか確認し、リスクのない公正な取引環境の整備に役立ててください。

この記事は2026年2月時点の情報に基づいて編集しています。
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目次
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    従来の「下請法」とは

    「下請法(下請代金支払遅延等防止法)」は、独占禁止法の補完法として制定された法律です。資本金規模などを基準に「親事業者(発注側)」と「下請事業者(受注側)」を定義し、優越的地位にある親事業者による不当な取引行為を防ぐことを目的としてきました。

    物品の製造・修理や情報成果物の作成、役務提供などの取引において、支払遅延や代金の減額、買いたたきといった行為を規制し、下請事業者の保護を図ってきた点が特徴です。違反した場合には、公正取引委員会や中小企業庁による指導・勧告、事業者名の公表など、厳しい措置が取られることもありました。

    2026年1月改正「取適法」とは

    近年、労務費やエネルギー価格、原材料費の高騰が続く中で、中小企業がコスト増分を取引価格に転嫁できず、経営を圧迫されるケースが問題となっていました。こうした課題を背景に、サプライチェーン全体で適切な価格転嫁を定着させることを目的として行われたのが、今回の法改正です。

    令和8年(2026年)1月1日から、従来の下請法は「中小受託取引適正化法(通称:取適法)」として施行されました。名称の変更にとどまらず、適用範囲の拡大や新たな禁止行為の追加など、取引ルールが大きく見直されており、多くの企業に影響を与える改正となっています。

    参考:中小受託取引適正化法(取適法)関係|公正取引委員会
    参考:製造委託等に係る中小受託事業者に対する代金の支払の遅延等の防止に関する法律|e-Gov 法令検索

    下請法改正の5つのポイント

    取適法への移行に伴う主な改正ポイントは以下の5点です。用語の変更から実質的な規制強化まで、順に解説します。

    「下請」などの用語の見直し

    「下請」という言葉が持つ上下関係のニュアンスを払拭し、対等なビジネスパートナーとしての関係性を強調するため、法律上の用語が全面的に見直されました。

    • 親事業者 → 「委託事業者」
    • 下請事業者 → 「中小受託事業者」
    • 下請代金 → 「製造委託等代金」

    適用対象の拡大

    従来は主に資本金基準で判断されていましたが、今回の改正で適用範囲が拡大されました。

    従業員基準の追加

    従来の「資本金基準」に加え、新たに「従業員数による基準」が追加されました。資本金が基準以下であっても、従業員数が一定規模以上であれば規制の対象となる可能性があります。

    • 製造委託等の場合:常時使用する従業員数が300人を超える事業者
    • 役務提供委託等の場合:常時使用する従業員数が100人を超える事業者

    これにより、資本金を抑えていても事業規模が大きい企業が委託事業者として認定されやすくなり、より多くの中小事業者が保護の対象となります。

    対象取引の追加(特定運送委託)

    従来の製造委託、修理委託、情報成果物作成委託、役務提供委託に加え、新たに「特定運送委託」が対象取引に追加されました。

    特定運送委託とは、事業者が販売する物品や製造・修理を請け負った物品について、その運送業務を他の事業者に委託する取引を指します。物流業界では長時間労働や無償の荷待ち・荷役作業が課題とされてきましたが、これらの取引が取適法の直接的な規制対象となります。

    新たな禁止行為の追加

    取引の適正化を強力に推進するため、委託事業者の禁止行為として以下の2点が新たに追加・明記されました。

    協議に応じない一方的な代金決定の禁止

    中小受託事業者から価格協議の申し出があったにもかかわらず、協議に応じなかったり、必要な説明を行わずに一方的に代金を据え置いたりする行為が禁止されます。これは、コスト上昇分の価格転嫁を拒否する行為を直接的に防ぐための措置です。

    手形払い等の禁止

    従来は割引困難な手形の交付が規制されていましたが、改正後は原則として手形払いそのものが禁止される方向へ強化されます。また、電子記録債権や一括決済方式であっても、支払期日までに現金化が困難なものは禁止対象となります。受領から現金化までの期間(サイト)を短縮し、中小企業の資金繰りを改善することが狙いです。

    面的執行の強化

    違反行為に対する取り締まり体制も強化されます。これまでは公正取引委員会や中小企業庁が中心となって指導を行ってきましたが、改正後は事業所管省庁の主務大臣にも指導・助言の権限が付与されます。

    さらに、執行機関へ通報したことを理由とする不利益な取り扱い(報復措置)を受けた場合、その情報提供先として事業所管省庁も追加されました。複数の省庁が連携して監視する「面的執行」体制により、違反の見逃しを防ぎます。

    その他の改正点

    上記の主要な改正に加えて、実務上の利便性向上やルールの明確化を図るため、以下の改正も行われます。

    ■発注内容の明示方法の電子化
    発注書面の交付について、これまでは相手方の承諾が必要だった電子メール等での提供が、委託事業者の選択によって可能になります。ただし、明示義務自体は継続。
    ■減額時の遅延利息
    正当な理由なく代金を減額した場合、その減額した部分についても遅延利息の支払い義務が生じることが明確化されました。

    改正下請法(取適法)における委託事業者の義務と禁止行為

    取適法では、委託事業者(旧:親事業者)に対し、公正な取引を確保するための「4つの義務」と「11の禁止行為」を定めています。違反した場合、是正勧告や指導、最大50万円以下の罰金が科される可能性があります。

    委託事業者の4つの義務
    • ■発注内容等の明示義務
      発注時には直ちに、給付の内容、代金額、支払期日、支払方法などを記載した書面または電磁的記録(電子メール等)を交付しなければなりません。
    • ■取引記録の作成・保存義務
      取引が完了した後も、その記録を作成し、2年間保存する必要があります。
    • ■支払期日の設定義務
      物品等の受領日から60日以内で、かつできる限り短い期間内に支払期日を定めなければなりません。
    • ■遅延利息の支払義務
      支払期日までに代金を支払わなかった場合、受領日から60日を経過した日から実際の支払日までの期間について、年率14.6%の遅延利息を支払う義務があります。また、不当な減額を行った場合も対象となります。
    委託事業者の11の禁止行為
    • ■受領拒否:注文した物品等の受取を拒否すること。
    • ■代金の支払遅延:受領日から60日以内の支払期日までに代金を支払わないこと。
       →【改正】手形払いや現金化が困難な決済手段も禁止。
    • ■代金の減額:発注時に決めた代金を後から減らすこと。振込手数料を不当に負担させることも含まれる。
    • ■返品:受領後に商品を引き取らせること(不良品等は除く)。
    • ■買いたたき:通常支払われる対価に比べ著しく低い代金を不当に定めること。
    • ■購入・利用強制:自社製品やサービスの購入・利用を強制すること。
    • ■報復措置:違反を公的機関に通報したことを理由に、取引停止などの不利益を与えること。
    • ■有償支給原材料等の対価の早期決済:支給した原材料費を、製品代金の支払日より前に支払わせること。
    • ■不当な経済上の利益の提供要請:協賛金や従業員派遣などを不当に要請すること。
    • ■不当な給付内容の変更・やり直し:費用を負担せずに、発注内容の変更ややり直しをさせること。
    • ■【新設】協議に応じない一方的な代金決定:価格協議の求めに対し、協議拒否や説明不足のまま代金を据え置くこと。

    ※上記の行為は、相手方の了解があっても、また違法性の意識がなくても禁止されます。

    下請法改正で企業が対応すべきこと

    取適法はすでに施行されています。経営者や法務・調達担当者は、以下の対応を早急に実施する必要があります。

    現状の取引状況の棚卸し

    まず、自社が「委託事業者」に該当するかどうか、従業員基準も含めて再確認してください。そのうえで、既存の契約書や発注フローが新法に適合しているかチェックします。特に「特定運送委託」を行っている場合は、これまで対象外だった取引が規制対象になる可能性があるため注意が必要です。

    支払条件の見直し

    「手形払い」や60日を超える長期サイトの支払条件を利用している場合は、現金払いや60日以内のサイトへの切り替えを検討する必要があります。資金繰りへの影響をシミュレーションし、早期に対策を講じましょう。

    価格転嫁協議の体制整備

    「協議に応じないこと」自体が禁止行為となるため、仕入先や外注先からの価格交渉には誠実に対応する体制を整える必要があります。協議の記録を残すフローや、合理的な根拠を持って価格決定を行うプロセスを社内で標準化しましょう。

    下請法改正対応に役立つITシステム

    取適法(改正下請法)の遵守には、発注内容の明示や支払期日の管理、取引記録の保存など、煩雑な事務作業が伴います。人手による管理では、うっかりミスによる法違反(形式的違反)のリスクを排除しきれません。こうしたコンプライアンスリスクを低減し、業務を効率化するためには、ITシステムの活用が非常に有効です。

    受発注システムを導入すれば、発注書面の自動交付や支払期日のアラート管理が可能になり、支払遅延や書面交付義務違反を防げます。また、電子契約システム契約書管理システムCLMを活用することで、契約内容の履歴管理や、価格協議の記録保存(「協議を行った」という証拠の保全)がスムーズに行えます。

    法改正を機に、アナログな管理からの脱却を検討してみてはいかがでしょうか。適正な取引管理をサポートするシステムを探したい方は、以下の記事をご覧ください。

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    下請法改正に関する相談窓口

    「この取引条件は法的に問題ないか?」「価格交渉に応じてもらえない」といった疑問やトラブルがある場合は、専門の窓口へ相談することをおすすめします。相談内容は秘密厳守されます。

    ■公正取引委員会(不当なしわ寄せに関する下請相談窓口)
    下請法・取適法に関する一般的な相談や、違反被疑事実の申告を受け付けています。
    フリーダイヤル:0120-060-110
    ■中小企業庁(下請かけこみ寺)
    中小企業の取引に関する悩み相談や、調停(ADR)による紛争解決をサポートしています。
    ■最寄りの商工会議所・商工会
    「独占禁止法相談ネットワーク」を通じて相談が可能です。

    まとめ

    2026年1月に施行された「取適法」は、中小企業の賃上げ原資確保と公正な取引環境の実現を目的とした重要な法改正です。「委託事業者」の定義拡大により、これまで規制対象外だと思っていた企業も対象となる可能性があります。

    特に、手形払いの禁止や価格協議への対応義務化は実務への影響が大きく、早めの対応が不可欠です。違反した場合は罰金や企業名公表といったリスクも伴うため、新法を正しく理解し、社内体制の見直しやシステム導入を通じて、持続可能な取引関係の構築を進めましょう。

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