人事・採用分野における「エンゲージメント」とは
まずは、人事・採用分野におけるエンゲージメントとはどのようなものか見ていきましょう。
企業と社員が信頼しあい、結びつきが強い状態のこと
エンゲージメントとは、もともと「約束」「契約」「雇用」という意味の言葉ですが、人事・採用分野では「企業と従業員が深く結びついていること」を意味します。つまり、従業員に企業のことを信頼してもらい、お互いに貢献し合えるような関係性のことです。
このエンゲージメントが高ければ、従業員は会社に愛着を持っていることになるため、積極的に企業利益に貢献するでしょう。
優秀な人材の流出を防げるため注目されている
エンゲージメントが高いと得られる効果は、従業員の生産性向上だけではありません。従業員自身が勤めている企業に愛着を持っている状態であるため、優秀な人材が流出するのを防げます。
近年では終身雇用が当たり前ではなくなり、労働人口が減少しています。結果として、今では人材不足に悩む企業が多いです。ただでさえ人手不足な上、会社の戦力となる人材に辞められると大きなダメージになるでしょう。
そこで企業と従業員の関係を良好に保ち、人材を確保することが重要視されるようになったため、「エンゲージメント」という言葉が広まっていきました。
ロイヤルティ
エンゲージメントと似た言葉にロイヤルティという言葉があります。ロイヤルティは、従業員が組織に対して忠誠心を持って行動するということを指す言葉です。エンゲージメントは、企業と従業員が相互の関係で結びつきを強めていくことを指します。どちらも企業と従業員との関係性を指す言葉ですが、意味合いは大きく異なりますので、使用する際は注意しましょう。
エンゲージメントが採用業務に与えるメリット
つづいて、エンゲージメントが採用業務に与えるメリットについて見ていきましょう。
自社にマッチした人材の特徴が分かる
社内のエンゲージメントが高い社員を分析することで、自社にマッチする人材の特徴や共通点を把握できます。この共通点を意識して採用活動をすれば、自社の社風に合ったエンゲージメントが高い社員を採用できるでしょう。
効果的に採用活動をするためには、社員にアンケートを取り自社にマッチする基準を精査する必要があります。そうすれば、早期離職を抑えて長く戦力になる社員を採用できるでしょう。
部署をまたいで採用活動への協力を依頼しやすくなる
エンゲージメントが高い社員は、会社に貢献しようと積極的です。採用活動は複数の部署が関わっているため、人事・採用部門以外の部署の協力が不可欠でしょう。例えば、会社説明会や特定の職種を希望する求職者の面接は、その部署の社員が行うことがあります。
エンゲージメントが高ければ複数の部署の社員に協力してもらい、効果的に採用活動を行えます。
定着率の高い人材を採用できる
人事・採用部門にとって、採用した人材の早期離職は大きなダメージになります。これは採用するために長い期間と手間がかかっており、研修が完了して活躍するまで利益を生まないことがほとんどだからです。
そこで、社内のエンゲージメントが高い社員を参考に採用活動を行えば、定着率が高い人材を採用できるでしょう。余計なコストを抑えるだけでなく、将来的に戦力となる社員を確保できます。
採用活動への協力をしてもらいやすくなる
エンゲージメントが高い従業員は会社への貢献意欲が高いことが特徴です。そのため採用活動にも積極的に協力してくれるようになります。従業員の声や一日の業務の流れなど採用にあたって、応募者へ自社を魅力的に見せるためのコンテンツの作成は、従業員の協力が欠かせません。そのような活動をおこなうためにもエンゲージメントが高いほうが良いでしょう。
社内エンゲージメントを高める方法
では、どのようにして社内のエンゲージメントを高めれば良いのか見ていきましょう。
会社のビジョンを明確にし社員と共有する
まずは会社の方向性や目指すものを明確にし、社員に理解してもらいます。
会社のビジョンを明確にすれば、一人ひとりの従業員の役割が見つかるでしょう。従業員は自分の仕事に意味があると分かれば、自発的に行動できるようになります。自分が会社から必要とされていると理解できれば、自身の価値に気づけるようになります。
会社のビジョンに共感できるような機会を設けることが大切です。
仕事の成果を正しく評価しフィードバックする
自分の存在意義や仕事の意味を理解するだけでは足りません。自分の仕事に対して適切に評価されれば、それがモチベーションに繋がります。このとき、従業員が納得できるように透明性がある評価を実施しなければなりません。
また、評価して終わりではなく、社員が確実にステップアップできるような体制を整えることが大切です。評価後は、フィードバックを行いましょう。成長に繋がると実感できれば、会社の信頼感が増し、エンゲージメントが高まるでしょう。
働きやすい労働環境を整える
仕事は一人ではなくチームで動くことが多いです。チームワークを発揮するためにも、社内のコミュニケーションを活性化させることが大切です。従業員同士が意見交換できる環境が整えば、自分が組織の一員である意識が強くなります。
また、長く働き続けるためには心身の健康が重要です。健康に害があるような働き方を強いられれば、社員の不満を募るだけでなくエンゲージメントも低下するでしょう。
このように働きやすい環境を整えることで、会社への信頼感は増していきます。
エンゲージメントとリファラル採用の関係
リファラル採用とは、自社の社員の友人や知人を紹介してもらい採用することです。一般的な採用の場合、膨大なコストをかけて求人広告を行っても必ず採用できるわけではありません。
しかし、社員の友人を紹介してもらう方法であれば、広告費用を抑えられます。さらにエンゲージメントが高い社員が自社を紹介することで、適切に企業を理解してもらうことが可能です。結果として採用のミスマッチを防ぎ、入社後の定着率も高くなります。
このようにエンゲージメントが高い社員によるリファラル採用を取り入れれば、採用活動を効率化できます。
リファラル採用に関しては、下記の記事で詳しく説明しています。エンゲージメントを高めリファラル採用をおこなっていきたいと考えている人事担当者様は柿の木jも併せてご覧いただくとより知識が深まります。
エンゲージメントを高めて良質な採用活動を行おう
エンゲージメントとは、従業員が会社に持つ信頼感のようなものです。社員のエンゲージメントが高ければ、会社の生産性や定着率が高くなります。
そのため人事・採用部門にとっては重要な指標になるでしょう。エンゲージメントを高めるためにはビジョンを明確にし、評価を適切にフィードバックしてください。また、働きやすい労働環境を整えることが大切です。
社員のエンゲージメントを高め、採用活動の効率を上げましょう。