応募者の選考辞退に関する現状
エン・ジャパン株式会社の1,800社を対象とした調査により、選考辞退について以下のことが判明しました。
- ■60%が選考辞退に問題意識を抱いている
- ■その内、53%が直近の1年間で選考辞退者が増加したと認識
- ■内定獲得後の辞退がもっとも多い
- ■面接前日・当日における辞退の9割が、事前連絡なし
- ■選考辞退への対策を講じている企業は約3割にとどまる
これらの調査結果から、内定辞退が大きな問題になりつつも、適切な対策をとれている企業はまだ少ないのが現状と言えます。早めに何らかの手を打たなければ、今後も損失が膨らみ続ける可能性があります。
参考:1800社に聞く!「選考辞退」実態調査 選考辞退について、悩みや課題を感じている企業が6割。選考辞退の対策をしている企業は3割に留まる。|エン・ジャパン(en Japan)
応募者が選考辞退してしまう理由として考えられるもの
応募者の選考辞退はなぜ生じるのでしょうか。代表的な理由を4つ紹介します。
理由1:他社から内定をもらった
応募者にとっては、複数の企業に応募するのが当たり前になっています。したがって、自社における選考がどれほどスムーズに進んでも、より志望度の高い他社から内定をもらえば、応募者はそちらに流れます。
これは、他の選考辞退理由と比べると、やや仕方がないものと言えるでしょう。たとえ自社が応募者に対して充分に魅力を伝えられていても、それが応募者の希望とマッチしなければ響きません。むしろ、ミスマッチに気づかないまま入社してしまうと、早期離職のリスクが高くなります。
しかし、本当ならば応募者の希望と自社の魅力がマッチしていたにも関わらず、それを伝えきれなかったがために選考辞退になるケースもあります。自社の採用活動を振り返り、説明が不十分な点や対応が不適切だった点がないか確認しましょう。
理由2:条件が一致しなかった
近年の求職者は、条件の良さよりも仕事のやりがいやストレスの少なさなど、精神的な要素を重視すると言われています。しかし、それらの要素が同程度の企業に複数応募した場合、条件の良い企業への志望度が高くなるのはごく自然なことです。
したがって、条件面に不満があったために選考辞退に及ぶ可能性も充分に考えられます。自社が提示している条件が同業他社と比べてどうなのか、一度見直してみましょう。
また、優れた条件を用意するのが難しい場合は、別の魅力でカバーするのも1つの手です。近年の求職者のニーズを把握し、それを満たせれば、条件の不一致が多少あっても選考辞退は減少するでしょう。
理由3:社員の対応に不満があった
採用・就職活動はしばしばお見合いにたとえられます。どれほど希望どおりの条件でも、相手の態度の良し悪しや、コミュニケーションの円滑さによって志望度は変わります。
たとえば、面接官に無礼な態度で対応された求職者が、その企業を選ぶ可能性は非常に低いです。応募者にとっては、その面接官が将来自分の上司になるおそれも充分にあるため、選考辞退を選ぶのはごく自然と言えるでしょう。
また、求職者は複数の企業に応募している関係上、レスポンスの速さによって優先順位が変わる点にも気をつけなければなりません。志望度が同程度の企業が複数ある場合、連絡が早かった企業から優先されていきます。メールの送信がわずかに遅かったせいで応募者を逃すリスクがあるのです。
できるだけ採用のスケジュールを早めに設定し、それを迅速に応募者と共有できる体制を構築しましょう。
理由4:選考日程が合わなかった
複数社を並行して就職活動を行っている場合、効率的な活動を心がける応募者は多いものです。候補日が少ないと他社の選考日との兼ね合いから選考辞退につながります。
特に、地方在住の応募者は就職活動に時間やお金がかかります。面接は首都圏で行われることが多く、上京に費用や時間がかかるため、本命企業の選考日に他の企業の選考も合わせようとするでしょう。本命企業の選考日と一致しなければ、選考を辞退する可能性もあるのです。
また、働きながら転職活動をする応募者の場合、仕事の合間を縫って面接を受けています。選考フローが長引くと仕事の調整が難しくなり、選考辞退につながるケースもあるようです。
応募者の選考辞退を防ぐ4つの対策方法
ここまでは選考辞退の理由を見てきました。では、それらの理由を解消し、選考辞退を防ぐにはどうすれば良いのでしょうか。
対策1:選考プロセスを改善する
日程が合わないせいで選考辞退をする応募者がいることは先述しました。これを解消するには、選考プロセスを改善するしかありません。具体的には以下の対策を講じましょう。
- 連絡を早くする
- 面接の日程やその後の連絡を可能な限り早く行います。空白期間を短くすることで、応募者の志望度が低下するのを防ぐと同時に、他社に先んじて選考を進められます。また、連絡を早くするには採用担当者が忙殺されている状態ではいけません。人手を増やすなどして余裕を作り、採用活動が円滑に進む体制を構築しましょう。
- 面接の回数を減らす
- 面接は自社の魅力を伝えると同時に、応募者の人格や資質を見極める場面です。採用活動が大きなコストを伴う以上、面接は慎重に行うべきと言えます。ところが、面接回数が増えれば増えるほど応募者の負担も増加し、志望度が低下するというデメリットも生じます。できるだけ少ない回数で済むよう、面接方法などを見直しましょう。
対策2:求人情報の内容を見直しする
人が何かを判断する際、情報量が充分かどうかは極めて重要な要素です。どれほど良い面をアピールしても、充分な求人情報を提供できていなければ、応募者の関心を惹くのは難しいでしょう。特に、近年の若い求職者は情報に対するリテラシーが高く、安直な判断はしない傾向にあります。
したがって、求人情報を見直し、充分な情報を掲載しましょう。自社の魅力をアピールするのはもちろんですが、大変な部分もしっかりと記載します。悪い点を隠したままでは、入社にミスマッチを感じる人が増え、早期離職のリスクが高くなります。
社内の雰囲気や社員の1日のスケジュールなど、応募者が自分の働く姿を想像できるくらい具体的な情報を掲載するのが理想的です。
対策3:丁寧なコミュニケーションを心がける
企業が応募者に送信するメールや、面接における面接官の対応は、応募者が企業に抱く印象に直結します。実際には優れた人格の社員が多かったとしても、これらの要素で悪い印象を応募者に与えれば、それが丸ごと企業へのイメージになるのです。したがって、選考過程におけるコミュニケーションは可能な限り丁寧に行いましょう。
具体的には、メールは簡素過ぎず、長過ぎずを意識し、こまめに送信します。特に面接前日はリマインドの意味も込めて送信すると良いでしょう。また、応募者から質問などがあれば、丁寧かつ迅速に対応します。さらに、応募者が来社した際にも積極的に挨拶するなどして、良い印象を与えましょう。
対策4:面接の日程・場所を柔軟に設定する
応募者は応募した複数の企業の面接日程が重複した場合、志望度の高い企業を選びます。この時点で、志望度が低かった企業は面接をする機会を失い、アピールさえすることなく応募者を逃します。
このリスクを回避するには、面接日程を柔軟に設定するのが有効です。事前に応募者にヒアリングをしたり、いくつかの選択肢を提示して選んでもらったりしましょう。
また、面接場所への配慮も大切です。多くの企業の面接は東京で行われますが、地方からの応募者も少なからずいます。彼らは1度面接に行くだけでも膨大な時間と費用を費やさなければなりません。この負担を苦に思って面接を辞退する可能性も充分にあります。
面接の負担を減らすには、地方にある支社での面接や、Web面談の利用が有効です。これらについても、応募者のヒアリングを基に決定すればより良い印象を与えられるでしょう。
応募者の選考辞退防止に役立つ「採用管理システム」とは
応募者の選考辞退を防ぐ対策はこれまで紹介したとおりです。しかし、いずれの対策も多くの労力を必要とします。さまざまな雑務に追われる中で、充分な対策を実施するのは容易ではありません。
そこで検討したいのが、採用管理システムの利用です。これはその名のとおり、採用活動におけるさまざまな情報や活動を管理するITシステムです。
たとえば、採用管理システム上では応募者とのコンタクトを一元管理できます。メールや履歴書のデータ、面接の記録などをすべてまとめて管理できるため、参照する際の負担も軽く済みます。また、どのような経路で自社と応募者が接点を持ったのかまで記録できるため、分析してその後の採用活動に活かすことも可能です。
単に手間を減らすだけでなく、長期的に採用活動を改善し続けられるシステムと言えるでしょう。
応募者の選考辞退を防ぐ対策方法を知り、採用を促進!
応募者が選考辞退をする理由には以下のものがあります。
- ■他社から内定をもらった
- ■条件が一致しなかった
- ■社員の対応に不満があった
- ■選考の日程が合わなかった
これらへの対策は以下のとおりです。
- ■選考プロセスの改善
- ■求人情報の見直し
- ■丁寧なコミュニケーション
- ■面接の日程・場所の柔軟な設定
また、採用管理システムを使えば上記の対策が効率化します。この機会にシステムの導入を検討してはいかがでしょうか。