ERPの市場規模・導入率
まずはERP(Enterprise Resources Planning)の市場について、最新情報を解説します。
国内におけるERPの導入率
日本では従来、大企業を中心にERP導入が進んできましたが、近年は中堅・中小企業でも導入を前向きに検討する動きが広がっています。ITトレンドが2025年5月までの過去半年間で独自に調査した資料によると、ERPに関する資料請求の多くは、従業員規模10名以上100名未満の企業から寄せられていました。次いで、100名以上250名未満の企業や、250名以上500名未満の企業からの請求も続いており、中堅企業でもERP導入に対する関心が高まっていることがわかります。
世界のシェア
Apps Run The Worldが発表している「Top 10 ERP Software Vendors, Market Size and Market Forecast 2020-2026」によると、ERPの世界市場では、2021年に年平均成長率1.5%で1,041億ドルに達し、2026年までに1,123億ドルに達すると予想されています。世界の市場規模でも、成長していると読み取れるでしょう。参考:Top 10 ERP Software Vendors, Market Size and Market Forecast 2021-2026|Apps Run The World

市場を牽引しているのは「クラウドERP」
ERP市場では近年、パッケージ型からクラウド型への移行が加速しています。特に、インターネット経由で提供されるSaaS型ERPは、新規導入やシステムの見直しを検討する企業にとって有力な選択肢となっています。初期費用を抑えやすく、短期間での運用開始が可能なことに加え、アップデートや保守の手間を軽減できる点も導入拡大の要因です。
一方で、従来のオンプレミス型ERPは、自社でインフラを保有・管理する必要があり、コストや運用面での負担が課題となっています。こうした背景から、IaaSなどインフラごと外部に委ねる形でのクラウド活用も進んでおり、企業のDX推進や働き方の変化を受けて、今後もクラウドERPへのシフトはさらに加速していくと見られます。
クラウドERPについて詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
クラウドERPのメリット
先述のとおり、新型コロナウイルス流行の影響でERPはクラウド型の需要が高まっています。実際に多くの企業で利用されていますが、クラウドERPにはどのようなメリットがあるのでしょうか。
導入コストを抑えられる
クラウドERPはオンプレミスに比べて初期費用が安いため、導入のハードルは低いといえるでしょう。使用した分、月々の料金が発生する従量課金制の製品が多いため、運用コストも抑えられます。事業規模に応じて柔軟に機能を拡張したい場合にもよいでしょう。初期投資が無料の製品もあり、中小企業には魅力的です。
オンプレミス製品の場合、ERPを稼働させるためのインフラ設備が必要です。パフォーマンスチェックを自社で実施する必要があるため、運用コストも増大するでしょう。
セキュリティが強化されている
クラウドERPは常にインターネットに接続されるため、セキュリティ対策が必須です。近年クラウドERP製品は、ベンダーによって最新のセキュリティが導入されています。各種セキュリティ認証を獲得しているベンダーも多く、別途サイバー攻撃対策をする必要がありません。災害時でのデータ復旧を容易にする「BCP対策」も万全です。セキュリティに対するノウハウや知識がない企業でも、安全にERPを導入できるでしょう。
時間や場所を問わず作業できる
クラウドERPはインターネットさえあればシステムにアクセスできるため、作業する時間や場所を問いません。各部署、本社・支社間でのデータ共有が可能で、最近はモバイル端末の対応製品も多くあります。リモートワークが可能になれば、隙間時間を有効活用できるでしょう。
以下の記事では最新のERP製品を紹介しています。ERPの種類や提供形態、搭載機能などで比較できる表もあるので、自社にあう製品を見つけてみてください。
ERPの市場規模を理解し、自社にあった製品を導入しよう!
ERP市場は今後も伸びる見込みです。またクラウド型製品が今後も増加していくと予測されていますので導入を検討する際は、クラウドERPの検討もおすすめです。クラウドERPには導入コストを抑えられる、セキュリティが強化される、時間や場所を問わず作業できるなどのメリットがあります。ERPの市場規模を理解して、自社に最適な製品を導入してみてください。
