ERPの市場規模
まずはERP(Enterprise Resources Planning)の市場について、最新情報を解説します。
世界のシェア
Apps Run The Worldが発表している「Top 10 ERP Software Vendors, Market Size and Market Forecast 2020-2026」によると、ERPの世界市場では、2021年に年平均成長率1.5%で1,041億ドルに達し、2026年までに1,123億ドルに達すると予想されています。世界の市場規模でも、成長していると読み取れるでしょう。参考:Top 10 ERP Software Vendors, Market Size and Market Forecast 2021-2026|Apps Run The World

市場を牽引しているのは「クラウドERP」
ERPはパッケージでの提供よりも、インターネット上で提供されるSaaS(Software as a Service)の伸び率が、顕著といえるでしょう。それぞれを2019~2024年度の年平均成長率でみると、パッケージ市場が-0.1%、SaaS市場は24.0%と予測されています。ベンダーがユーザーへSaaSへの移行を推進していること、新規案件でもSaaSの販売に注力していることが理由です。2023年度にはSaaS市場がパッケージ市場を上回り、半数近くを占める見込みです。
パッケージ市場だけでみた場合、2018年から2020年度にかけて、自社サーバやデータセンターにソフトウェアを導入するオンプレミスは減少傾向にあり、IaaS(Infrastructure as a Service)は、20%前後の伸びを維持し増加傾向にあります。IaaSはアプリケーションだけでなく、サーバやハードウェアなどのインフラ環境まで提供する形態です。パッケージ市場がほぼ横ばいになっているといえるでしょう。
新型コロナウイルスの感染拡大により働き方やビジネスモデルなどへの意識に変化が生じ、DX(デジタルトランスフォーメーション)の気運が高まっていると矢野経済研究所は記しています。クラウドなどのテクノロジーによりDXに取り組む企業も増えると考えられ、クラウドERPの需要もますます高まっていくことでしょう。
参考:ERP市場動向に関する調査を実施(2022年)|株式会社矢野経済研究所
-->導入が進む背景は、低コストで比較的簡単に導入できるクラウドERP製品が増えていることがあげられます。クラウドERPを知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
クラウドERPのメリット
先述のとおり、新型コロナウイルス流行の影響でERPはクラウド型の需要が高まっています。実際に多くの企業で利用されていますが、クラウドERPにはどのようなメリットがあるのでしょうか。
導入コストを抑えられる
クラウドERPはオンプレミスに比べて初期費用が安いため、導入のハードルは低いといえるでしょう。使用した分、月々の料金が発生する従量課金制の製品が多いため、運用コストも抑えられます。事業規模に応じて柔軟に機能を拡張したい場合にもよいでしょう。初期投資が無料の製品もあり、中小企業には魅力的です。
オンプレミス製品の場合、ERPを稼働させるためのインフラ設備が必要です。パフォーマンスチェックを自社で実施する必要があるため、運用コストも増大するでしょう。
セキュリティが強化されている
クラウドERPは常にインターネットに接続されるため、セキュリティ対策が必須です。近年クラウドERP製品は、ベンダーによって最新のセキュリティが導入されています。各種セキュリティ認証を獲得しているベンダーも多く、別途サイバー攻撃対策をする必要がありません。災害時でのデータ復旧を容易にする「BCP対策」も万全です。セキュリティに対するノウハウや知識がない企業でも、安全にERPを導入できるでしょう。
時間や場所を問わず作業できる
クラウドERPはインターネットさえあればシステムにアクセスできるため、作業する時間や場所を問いません。各部署、本社・支社間でのデータ共有が可能で、最近はモバイル端末の対応製品も多くあります。リモートワークが可能になれば、隙間時間を有効活用できるでしょう。
以下の記事では最新のERP製品を紹介しています。ERPの種類や提供形態、搭載機能などで比較できる表もあるので、自社にあう製品を見つけてみてください。
ERPの市場規模を理解し、自社にあった製品を導入しよう!
ERP市場は今後も伸びる見込みです。またクラウド型製品が今後も増加していくと予測されていますので導入を検討する際は、クラウドERPの検討もおすすめです。クラウドERPには導入コストを抑えられる、セキュリティが強化される、時間や場所を問わず作業できるなどのメリットがあります。ERPの市場規模を理解して、自社に最適な製品を導入してみてください。
