ERPとは?
ERPとは基幹系情報システムのことを指すことが多く、社内のシステムを統合し情報の一元管理を行うことができます。これにより、社内のデータの活用や業務の効率化を進めることが可能です。
企業経営を効率化するための5つの課題
経営判断の迅速化や精度の向上、また経営全般の効率化やさらに経営リスク低減を実現させるためには、さまざまな情報管理上の課題が存在します。具体的には下記の5点です。
データが分析できておらず、活用ができない
売上予測などの経営判断に「必要な情報」を「必要な時」に素早く取得したいにも関わらず、データの集約や分析ができていないため、活用することができていない事が多くあります。
情報の整合性が取れていない
情報の整合性が取れているか不確かなため、データを信頼せず確認を行うという工数が発生している場合があります。
ヒト、モノ、カネの経営資源が無駄や無理なく最適化できていない
情報が集約できていないので、資源が有効に配分できているか確認を取ることができず、資源の過多や不足が発生している場合があります。
アクセス権限や申請・承認などの情報管理が統制されていない
情報管理をさまざまなシステムで行うと、情報管理が煩雑になり適切な内部統制を行いづらくなります。
社内の業務フローを統一できていない
社内の業務手順がバラバラなため、手順の確認ややり直しのような無駄な作業が発生してしまう場合があります。
ERPの導入で解決すること
上記のような課題多くは、主に経理や在庫・発注、営業など各分野の管理システムがそれぞれ別々に開発され、その後にデータ連携を行っていることが原因で発生しています。社内の情報を一元的に管理することができるERPを導入すれば、これらの課題を解決することができます。
リアルタイムに必要な情報を得ることができる
ERPを導入した場合、会計や販売情報そして生産情報や在庫情報などが一元的に同一システム内で管理されることになります。例えば、最新の販売情報は販売管理システムから、過去の正確な販売実績は経理情報から取得して結合した上でトレンド分析をする、などの作業が必要なくなり、システム内からリアルタイムでいつでも必要な情報を出力することができます。
マスターの一元化により精度の高い情報管理ができる
複数のシステムでデータ連携を行っている場合、マスター類が統一されていなかったり、関連するデータの更新がリアルタイムで行われないために、データの不整合が発生し正確な情報が得られないケースが発生します。
ERPを導入することによりシステム内で使用するマスター類は一元化され、関連するデータの更新もリアルタイムで行われます。従って在庫情報のずれや経理と販売管理システム間での売り上げ実績の乖離などの現象が発生せず、常に情報の整合性が保たれた正確な情報を得ることができます。
経営資源の最適配分が可能になる
経理情報などの計数データと、在庫や資産などのモノの情報、さらに人事情報を統合することにより、ヒト、モノ、カネの経営資源の配分状況が一目で把握できるようになります。それにより、組織変更や在庫・資産の移動、先行投資の判断など、状況に応じた経営資源の選択と集中を素早く行うことが可能になります。
情報統制が強化される
統一したERPを導入することにより、社内の全てのデータに対する更新権限や申請権限の適正な管理が可能になり、故意または過失による不正なデータ閲覧や書き換えを防止することができます。さらに、マスター類の統一やシームレスなデータ連携より経理データの不整合も発生しないため、会計上の統制強化も実現できます。
業務フローが統一できる
ERPは、すでに特定の手順に従って業務を進めることが前提で設計されています。例えば、経費支出申請や人事申請などは社内で統一した手順に従ってシステム内で申請・承認されることになります。全社で「同一業務・同一フロー」が実現され、社内処理における業務効率がアップします。
ERP導入にあたってのよくある課題
導入と運用初期には様々な課題がつきものです。よくある課題をご紹介しますので、導入の際はぜひ参考にしてください。
- 導入して満足してしまう
- 導入前は期待値が高く様々な改善を行うことを考えますが、いざ導入してしまうとその他の業務に追われ、設定まで手が回らないなどの要因で手つかずになってしまうことがあります。また、導入までの紆余曲折で、導入完了したことで満足してしまう可能性も。そのような事にならないよう事前に運用計画を建て計画的に運用を行うようにしましょう。
- 業務負担が増加してしまう
- 現場の作業者にツール導入が周知されておらず、運用目的などが不明でうまく扱えず、結果的に業務負担のみが増えてしまっている状態になることがあります。導入検討段階から今後使用するであろう担当者を見繕って、どのようなツールでどのような目的で運用するのかを現場に共有していく必要があるでしょう。
- 導入後の運用を考慮していない
- オンプレミス型の場合自社にサーバー設置して、システム導入を行うのでシステムのバージョンアップやOSバージョンアップ、バックアップなどのすべての運用を自社内で行う必要があります。余力がないまま導入を行ってしまうと、運用が破綻してしまい導入した意味がなくなってしまいます。運用段階の工数も計算に入れて導入を進めましょう。
- ERPのメリットとデメリットを理解していない
- ERPを導入することのメリットとデメリットを理解しないまま導入に踏み切ってしまうとうまく使えません。しっかりと理解した上で導入しましょう。
- ベンダーに丸投げ
- ツールのプロであるベンダーに導入を丸投げしてしまう場合があります。しかし、ベンダーは自社の課題や業務に詳しいわけではありません。実務的な部分まで最適なものにツールをカスタマイズすることはできないのです。
ERP導入に不安のある方は、以下の記事も参考にして下さい。
ERPで効率的に課題解決しよう
ERPが国内に導入され始めた時期は海外製のものが中心で、業務フローが必ずしも自社にフィットしていないという意見が散見されました。しかし、現在では国内製のものも増え、海外製品も国内企業に合う業務フローを実装しているものが増えています。また導入コストも格段に下がってきており、コスト面、運用面とも導入障壁が下がってきています。
ここでは、5つの課題解決の例を紹介しましたが、企業経営全般にメリットをもたらすことのできるERPの導入の検討をしてみてはいかがでしょうか。