企業経営における課題
経営判断の迅速化や精度の向上、経営全体の効率化、リスクの低減を実現するには、さまざまな情報管理上の課題を解決する必要があります。具体的には下記の点が挙げられます。
データが分析不十分
売上予測などの経営判断に「必要な情報」を「必要な時」に素早く取得したいにも関わらず、データの集約や分析ができていないため、活用することができていない事が多くあります。日々の業務で発生するデータが複数のシステムに分散していることが、ボトルネックとなっています。
情報の整合性の欠如
情報の整合性が取れているか不確かなため、データを信頼せず確認を行うという工数が発生している場合があります。部門ごとに異なるフォーマットや更新タイミングの違いも、整合性を損なう要因となっています。
ヒト・モノ・カネの経営資源配分が非効率
情報が集約できていないので、資源が有効に配分できているか確認を取ることができず、資源の過多や不足が発生している場合があります。結果として、余剰在庫や人員過多、設備の遊休といったロスが生じる可能性があります。
アクセス権限や申請・承認などの情報統制の不備
情報管理をさまざまなシステムで行うと、情報管理が煩雑になり適切な内部統制を行いづらくなります。特に組織が拡大するほど、申請ルートや承認権限の一貫性を保つのが難しくなります。
ERPの導入で解決すること
上記のような課題多くは、主に経理や在庫・発注、営業など各分野の管理システムがそれぞれ別々に開発され、その後にデータ連携を行っていることが原因で発生しています。ERPとは基幹系情報システムのことを指し、社内のシステムを統合し情報の一元管理を行います。これにより、社内のデータの活用や業務の効率化を進めることが可能です。具体的なERPの導入メリットを見ていきましょう。
リアルタイムに必要な情報を得られる
ERPを導入した場合、会計や販売情報そして生産情報や在庫情報などが一元的に同一システム内で管理されることになります。例えば、最新の販売情報は販売管理システムから、過去の正確な販売実績は経理情報から取得して結合した上でトレンド分析をする、などの作業が必要なくなり、システム内からリアルタイムでいつでも必要な情報を出力できます。
マスターの一元化により精度の高い情報管理が実現
複数のシステムでデータ連携を行っている場合、マスター類が統一されていなかったり、関連するデータの更新がリアルタイムで行われないために、データの不整合が発生し正確な情報が得られないケースが発生します。
ERPを導入することによりシステム内で使用するマスター類は一元化され、関連するデータの更新もリアルタイムで行われます。従って在庫情報のずれや経理と販売管理システム間での売り上げ実績の乖離などの現象が発生せず、常に情報の整合性が保たれた正確な情報を得られます。
経営資源の最適配分が可能になる
経理情報などの計数データと、在庫や資産などのモノの情報、さらに人事情報を統合することにより、ヒト、モノ、カネの経営資源の配分状況が一目で把握できるようになります。それにより、組織変更や在庫・資産の移動、先行投資の判断など、状況に応じた経営資源の選択と集中を素早く行えます。
情報統制が強化される
統一したERPを導入することにより、社内の全てのデータに対する更新権限や申請権限の適正な管理が可能になり、故意または過失による不正なデータ閲覧や書き換えを防止できます。さらに、マスター類の統一やシームレスなデータ連携より経理データの不整合も発生しないため、会計上の統制強化も実現します。
業務フローが統一できる
ERPは、すでに特定の手順に従って業務を進めることが前提で設計されています。例えば、経費支出申請や人事申請などは社内で統一した手順に従ってシステム内で申請・承認されることになります。全社で「同一業務・同一フロー」が実現され、社内処理における業務効率がアップします。
以下の記事では、ERPの概要について詳しく解説しています。あわせご覧ください。
ERP導入を経営戦略と連動させるポイント
ERPの導入は単なるシステム刷新ではなく、経営戦略と強く結びついています。例えば、グローバル展開や多拠点展開を進める企業では、部門を横断した情報統合や迅速な意思決定が求められます。ERPはこのような経営課題を解決する中核的な役割を担います。導入に際しては、「どのような経営目標を実現したいのか」を明確にし、それをもとに要件定義を行うことが重要です。
ERP導入にあたってのよくある課題
ERPは導入効果の大きいシステムである一方、導入・運用の初期段階においては注意すべき課題も多く存在します。以下に代表的な課題と留意点をまとめました。
導入後の活用が進まない
導入前に多くの改善案が検討されていても、導入後は他業務の優先度が高まり、システムの初期設定や活用が進まないケースがあります。また、導入完了をゴールと捉えてしまい、その後の運用計画が十分に整備されていない状況も見られます。活用を定着させるには、事前に明確な運用スケジュールを策定し、定期的な振り返りと改善を継続することが求められます。
現場の理解不足による業務負荷の増加
導入時に現場担当者への周知が不十分な場合、業務の流れにERPが適切に組み込まれず、手間や混乱が生じることがあります。導入検討の初期段階から現場メンバーを参画させ、ツールの目的と役割を共有しながら、現実的な運用設計を行うことが重要です。
運用負荷を見込んだ体制設計が不足している
特にオンプレミス型を選択する場合、自社でのサーバー管理や定期的なバージョンアップ対応などが発生します。十分なリソースや体制が確保されていないと、導入後の運用品質が低下し、システム全体の信頼性にも影響を及ぼします。導入前に必要な人員・時間・コストを明確にし、持続可能な運用体制を設計することが不可欠です。
ERPの特性や制約の理解が不十分
ERPは多機能である一方、自社の業務に合わない機能や運用ルールを持つ場合もあります。利点だけでなく、制約や運用上の注意点も事前に把握し、適合性を見極めたうえで導入判断を行う必要があります。
ベンダー任せの導入設計
ERPベンダーはシステムに関する専門知識を有していますが、自社固有の業務や課題までは十分に理解していない場合があります。導入を成功させるためには、要件定義や業務プロセス設計を自社主導で進め、ベンダーとは密に連携しながら進行管理を行うことが重要です。
ERP導入に不安がある方は、以下の記事も参考にしてみてください。
ERPで効率的に課題解決しよう
ERPが国内に導入され始めた時期は海外製のものが中心で、業務フローが必ずしも自社にフィットしていないという意見が散見されました。しかし、現在では国内製のものも増え、海外製品も国内企業に合う業務フローを実装しているものが増えています。また導入コストも格段に下がってきており、コスト面、運用面とも導入障壁が下がってきています。
自社の課題にフィットするERPを選定するためにも、まずは資料請求からはじめてみましょう。以下のボタンから一括資料請求(無料)が可能なので、ぜひご利用ください。



